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ボウモアは潮風感じる島のウイスキー!種類とおいしい飲み方は?

2021.08.27 / 最終更新日:2021.08.27

ボウモアは、ウイスキーの聖地ともいわれる「アイラ島」を代表するシングルモルトウイスキーです。アイラ島はスコットランドに属する島でありながら、ウイスキーづくりの技術は、はるか昔にアイルランドからもたらされたといわれています。

島内にある蒸留所は8つ。そのうち最も古いのが1779年創業のボウモア蒸留所です。他にはない特殊な環境で育まれたボウモアとはどのようなウイスキーなのでしょうか。ボウモアの特長について解説し、種類やおいしい飲み方を紹介します。

この記事のポイント

  • ボウモア味・香りを引き出すピートと貯蔵環境について解説
  • 個性豊かなボウモアの種類を紹介

ボウモアの味・香りを生み出すアイラ島のピート

スコッチウイスキーは、つくられる地域によって味や香りに大きな違いがあります。育まれる環境の影響を大きく受けるからです。通常はスペイサイド、ハイランド、キャンベルタウン、ローランド、アイランズ、アイラの6地域に分けます。スコットランドに属する島々を表すアイランズという分類がありながら、アイラ島だけ別に分類されていることからも、アイラ島の環境がいかに特殊であるかわかるでしょう

まず、ボウモアの味や香りを決定づける重要な要因がアイラ島のピート原野です。アイラ島は日本の淡路島より一回り程度大きな島で、その土壌の大半をピート原野が占めています。しかも、海風によって運ばれてきて体積した海藻類貝類などを多く含む島ならではのピートです。スコットランド本土のものとは全く性質が異なります。

このピートの影響を大きく受けるのが、麦芽を乾燥させる工程です。スコットランドでは、ほとんどの蒸留所が麦芽の製造を精麦会社に委託している中、ボウモア蒸留所は、伝統的なフロアモルティングを行っています。フロアモルティングとは、数日間仕込み水に浸した大麦を床一面に広げて発芽させる工程です。

モルトマンが木製のシャベルで時折攪拌し、均一に空気に触れさせます。手間と時間をかけて発芽させた麦芽は、ウイスキーに最適な発芽状態で止めるため、キルンという麦芽乾燥棟に移し、ピートを炊いて乾燥させます。その際、島独特のピート香が麦芽に染み込むわけです。

ウイスキーのピートについて詳しく知りたい方はこちらの記事をチェックしてください。

ウイスキーのピートとは? ピート香の強いウイスキーの飲み方も解説!

潮風の影響を受ける特殊な貯蔵環境

 

ボウモアの味や香りを決定づけている特殊な要因はもうひとつあります。床の位置が海面より下に位置する第一貯蔵庫の存在です。スコッチモルトの貯蔵庫としては最古のもので、約240年間、理想的な貯蔵環境として使われ続けています。

海に面した岩礁を削って基礎を造り、その上に建てられた貯蔵庫です。建物の外壁には常に潮風が吹き付け、嵐の時には海水さえ浴びることがあります。他に類を見ない特殊な環境ですが、ウイスキーの熟成に適した湿度を見事に保つことができるのです。この貯蔵環境を知れば、潮の香りがそこはかとなく漂うことも納得がいくでしょう。

ボウモアの種類は?

長い歴史を持つウイスキー「ボウモア」には、数多くの種類があります。どれから飲めばよいかわからないという人は、熟成期間の短いものから縦飲みして、好みに合うものを探すと良いでしょう。ここでは初心者でも比較的飲みやすい、熟成期間の短いものから順に紹介していきます。

ボウモア12年

最低12年以上熟成させた原酒をヴァッティングしたボウモアのレギュラーボトルです。グレープフルーツに近い柑橘系の香りとピート独特のスモーキーフレーバー、どちらも適度に感じられ、アイラモルトを初めて試すという人でも抵抗なく飲めるでしょう。

口に含んだ瞬間は蜂蜜の甘さ、続いてビターチョコのほろ苦い甘さが余韻として続きます。アイラモルトには強烈な個性を持つものも多く、苦手意識を持っている人もいるかもしれません。しかし、そのような人でも受け入れやすいのがボウモア12年です。一口飲めば、ボウモアというウイスキーの全体像を知ることができるでしょう

ボウモア 15年 ダーケスト

12年以上バーボン樽で熟成させた原酒を、更に3年以上オロロソ・シェリー樽に移して熟成させてからボトルに詰めています。バーボン樽特有のバニラ香と、シェリー樽由来のフルーツ感や甘みを同時に楽しめる1本です。12年物と熟成期間の違いはわずか3年ですが、香りも味わいも大きく変化しています。

ピートのスモーキーフレーバーと共に、カカオの香ばしさやレーズンの甘酸っぱさを強く感じるところから、「ダーケスト」という名前が付けられたのでしょう。ボウモア12年との飲み比べがおすすめです。

ボウモア 18年

18年以上熟成させた原酒をヴァッティングしたボトルです。赤みを増した琥珀色が熟成期間の長さを感じさせます。12年物と飲み比べれば、口に含んだときのアルコール感が薄れ、口当たりが柔らかくなっていることが簡単にわかるはずです。ボウモア独特のスモーキーさや潮の香りが心地よく感じられます。

シェリー樽由来の甘み、クリーミーさ、よく熟れたフルーツのような甘酸っぱさのバランスが絶妙です。余韻も長く続くので、フィニッシュまでしっかり時間をかけて楽しみましょう。ドライフルーツナッツ入りのチョコレートなど、ビタースイーツと相性もよさそうです。

ボウモア 25年

熟成期間が最低25年の原酒だけをヴァッティングしています。シェリー樽原酒とバーボン樽原酒を掛け合わせたボウモアの最上級ボトルです。赤みを帯びた濃い褐色は長期間熟成の証。香りも味わいも円熟味を感じます。アイラ独特のピート香はかなり薄くなり、軽く鼻の奥で感じる程度です

口に含むとシェリー樽由来の甘さや、チョコレートのような力強く濃厚な旨味、ラムレーズンのような甘酸っぱさが感じられ、後から甘く芳醇な余韻が追いかけてきます。完熟させたボウモアともいえる逸品。SWSC最高賞を受賞しているのも納得です

ボウモアNo.1

「ボウモアNo.1」というネーミングにはかなり強気な印象を受けるかもしれません。このNo.1とは、ボウモア蒸溜所が所有する3つの貯蔵庫のうち最も古いNo.1 Vaults=第一貯蔵庫を意味しています。第一貯蔵庫で熟成させたファーストフィルバーボン樽の原酒飲みを使用している点が特徴です。

第一貯蔵庫は海沿いにあり、床は海面より低い位置にあります。潮風や波しぶきを外壁に受ける環境で貯蔵され、潮の香りをまとった原酒です。バニラの甘い香りとピート感強めのスモーキーフレーバー蜂蜜のような甘さとシナモンライムのさわやかな味わい、ほんのりと甘じょっぱさも感じます。

ボウモアヴォルト

限定販売のノンエイジのカスクストレングスです。海抜0メートルの海沿いに建てられた第一貯蔵庫= No.1 Vaultsで熟成された原酒のみをヴァッティングしています。ボウモア蒸留所の第一貯蔵庫は、約240年の歴史を持つスコッチモルト最古の貯蔵庫です。

さまざまな熟成期間の原酒を合わせることで、香りや味わいに深みを増しています。しっかりとしたバニラカカオの風味と、オレンジパッションフルーツのような甘酸っぱさのバランスが絶妙です。後から、ボウモア特有のスモーキーフレーバーや潮の香が漂ってきます

ボウモア17年ホワイトサンズ

免税店向けにつくられた販売本数の少ないボトルで、同時に発売された他のボトルとは異なり、サイズは小さめの700mlです。海抜0メートルにあるボウモア蒸留所第一貯蔵庫で熟成されたバーボン樽原酒をメインにボトル詰めしています。

ホワイトサンズとは、ボウモア蒸留所近くにあるラーガンベイの砂浜をイメージして付けられた名前です。マンゴーパインといった南国のフルーツとバニラの甘味はバーボン樽に由来するものでしょう。ボウモア特有の潮の香りやヨード感強めのピート香が余韻として長く感じられます

ボウモアブラックロック

免税店向けに作られたノンエイジボトルです。サイズは1Lで、アルコール度数は40度に調整されています。ボウモア蒸留所の近くにある黒い岩礁の名前からブラックロックと名付けられました。ファーストフィルのシェリー樽で熟成させた原酒を主に使用しています。色は深めの赤褐色です。シェリー樽由来の甘い果実感と共に香ばしさや渋みもあります。比較的どっしりとしたボディで、飲みごたえは十分です。

口に含んだと気に感じるのは、ドライフルーツのような甘酸っぱさ。とくに渋みや苦みが入り混じったオレンジピールのような複雑な甘酸っぱさです。余韻は、アイラ独特のピート香、チョコレートのようなビターで濃厚な風味、ドライフルーツの凝縮した甘味が折り重なって続くのが特徴的です。心地よい余韻が長く続きます

ボウモアゴールドリーフ

17年ホワイトサンズ、ブラックロックと共に免税店向けにつくられたボトルです。1Lサイズでアルコール度数は43度と3種類の中で最も高くなっています。ボウモア蒸留所の第一貯蔵庫は海沿いの岩盤の上に建てられており、その岩盤を照らす太陽の光がキラキラ輝く様子からゴールドリーフの名前が付けられました。ゴールドリーフの光輝くような金色も名前にぴったりです。

ノンエイジながらもバーボン樽で熟成させた原酒を主に使用していることから、バーボン樽由来の香りや味わいを存分に楽しめます。強めのピート香と、トロピカルフルーツのような甘味、シトラス系の酸味が絶妙なバランスです。温度や加水の加減で、バニラのような甘味が際立ったり、ダークチョコレートのような苦味オイリーさが際立ったりします。いろいろな飲み方を楽しめるボトルです

ボウモアのおすすめの飲み方は?

クセを少し弱めたいなら、トワイスアップハーフロックもよいでしょう。少しクセを抑えることで、じっくり味わって飲むことができます。トワイスアップは、常温の水で等倍に割る水割りのことです。加水することによって、奥に潜んでいた甘味や香りが前面に出てきます。

とくに、甘味やフルーティ―な香りを楽しみたいなら、加水は重要です。ボウモア独特のスモーキーフレーバーが抑えられ、華やかで上品な味わいになります。小さじ一杯程度の水を加えただけでも、意外なくらい違いがはっきり出るので、一度に多くの水を足さないように注意しましょう

アルコールのきつさを抑えたいならハーフロックがおすすめです。トワイスアップに氷を加え温度を下げる飲み方をハーフロックといいます。アルコール度数を下げながら、癖の強さも抑えられます。加える氷は、できるだけ純氷を使うようにしましょう。

家庭の製氷機でつくる氷は温度変化で割れやすく、すぐに水っぽくなってしまいます。じっくり味わえるように、ゆっくり溶ける純氷を用いるようにしましょう。逆に、アイラモルトのクセを強く感じたいのであればロックで飲んでみましょう。こちらもゆっくり溶ける純氷がおすすめです。ボウモアの場合、持ち味のピート香と香ばしさ、かすかな塩味が際立ちます。

もちろん、ハイボールや水割りにしてもおいしく飲めます。自分好みの濃さを探してみてもよいでしょう。ハイボールは、グラスいっぱいに氷を入れてからウイスキーを注ぎます。炭酸水は氷にかからないように静かに注ぎ、マドラーは縦に入れて氷を底から上に持ち上げるように1回だけ混ぜるのがコツです。

また、お気に入りのボウモアを見つけるなら、縦飲みしてみましょう。熟成が浅い12年から順に同じ飲み方で飲み比べれば、自分好みの熟成具合がわかります

飲みやすいのにアイラらしさも堪能できるウイスキー

潮の香りが漂うアイラ系のシングルモルトは、クセの強さが苦手という人も少なくありません。しかし、ボウモアはアイラ系の魅力と飲みやすさを兼ね備えている銘柄です。

また、伝統の製法で作られている数少ないスコッチウイスキーでもあります。類まれな熟成環境で育まれる豊かな香りや味わいを、好みの飲み方で味わってみましょう。

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