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- ウイスキー基礎知識
琥珀色が美しいお酒と言えば、あなたは何を思い浮かべますか?
「ウイスキー」と答える方もいれば、「ブランデー」と答える方もいるでしょう。
両者の見た目は非常によく似ていて、「どちらがどちらなのか、見分けがつかない」と感じる方も多いものです。
ここで気になるのが、「見た目がそっくりなウイスキーとブランデーの違いは、いったいどこにあるのか?」という点です。
詳しい知識を身に付けて、ウイスキー通を目指しましょう。
この記事のポイント
見た目はそっくりな、ウイスキーとブランデー。
お酒についてあまり詳しくない方からは、「どちらも同じようなものだろう」と判断されがちです。
しかし実際には、両者の間には、非常に大きな4つの違いが存在しています。
ウイスキーとブランデーの違い
1つずつ詳しく解説していきます。
ウイスキーとブランデーの、もっとも大きな違いは「原料」です。
ウイスキーの原料は、以下のような「穀物」です。
ウイスキーの原料となる穀物の種類
特に多いのは、大麦を使って作られるウイスキーです。
一方ブランデーはというと、「果物」を使って作られています。
ブランデーの原料となる果物の種類
この他にも、ブランデーの原料として使われるフルーツは多くあります。
一般的には、ブドウを使って作られるケースが多いため、ブドウを原料として作られたブランデーを「グレープブランデー」、その他の果物で作られたものを「フルーツブランデー」と呼び、区別しています。
両者の見分けがつかなくなってしまったときには、ぜひその原料に注目してみてください。
穀物とフルーツ、どちらから作られているのかによって、両者を見極められます。
ウイスキーとブランデーは、どちらも「蒸留酒」に分類されるお酒です。
蒸留酒とは、原料を発酵させて作った醸造酒を、さらに蒸留して作られたもの。
とはいえ、ウイスキーとブランデーでは、その製造方法も大きく異なっています。
穀物を原料として使うウイスキーの場合、まずデンプンを糖化させ、その糖をアルコール発酵させる必要があります。
このため、いったん大麦を発芽させ、酵素の力を活性化させる必要があります。
一方ブランデーの場合、原料となる果物には、すでに十分な糖が含まれているため、酵素の力を活性化させなくても、醸造・蒸留が可能です。
見た目はそっくりなウイスキーとブランデーですが、一口でも味わってみれば、すぐにその違いに気付くでしょう。
原料も製造方法も異なるウイスキーとブランデーですから、味わいが異なるのは当たり前のこと。
ウイスキーよりもブランデーの方が、原料特有の甘みを感じやすいでしょう。
また、香りにも大きな差があります。
ウイスキーからは燻製のような、芳醇な香りを楽しめるでしょう。
一方ブランデーは、原料となった果実特有の、フルーティーな香りを漂わせています。
最後に紹介する違いは、お酒そのものの楽しみ方の違いです。
ウイスキーはブランデーよりも、「味」を楽しむお酒です。
このため、ストレートで楽しむ方もいれば、氷や水で割って楽しむ方もいます。
ウイスキーを炭酸水で割って作るハイボールは、アルコール度数が高いウイスキーを、手軽に楽しめる飲み方の一つです。
ウイスキーに親しみがない若い世代にとっても、飲みやすいお酒と言えるでしょう。
一方ブランデーの最大の魅力は、「香り」です。
その香りを最大限に楽しむため、ストレートで楽しむスタイルが基本となります。
ウイスキーとブランデーの違いを詳しく学んでみれば、両者が全く別のお酒であるということがお分かりいただけるのではないでしょうか。
とはいえ、同じ蒸留酒の仲間でもある、ウイスキーとブランデー。
もちろん共通点も多くあります。
3つのポイントを深掘りしてみましょう。
ウイスキーとブランデーは、どちらも高濃度のアルコール飲料です。
ウイスキーのアルコール度数は、一般的に40~43度。
ブランデーでは、40~50度です。
どちらも非常に強いお酒ですから、飲み方に工夫して楽しむのがおすすめです。
ブランデーはストレートが基本ですが、チェイサーを用意しておくと安心です。
お酒とチェイサーを交互に飲めば、アルコールの影響を抑えやすくなります。
ウイスキーとブランデーの共通点の一つが、「熟成」です。
醸造酒を蒸留して作られている蒸留酒。
蒸留作業が終われば、「そのまますぐに完成」というわけではありません。
できたばかりの蒸留酒は樽に詰められ、熟成されます。
この熟成期間の中で、ウイスキーとブランデーは、それぞれの味や香りを高めていくのです。
また、ウイスキーやブランデー特有のあの「琥珀色」も、この熟成期間に生み出されています。
ウイスキーであれば、味や香りがよりまろやかに、芳醇になっていくでしょう。
ブランデーであれば、フルーティーな香りがより強くなると共に、樽の香りが移り、高級感のある味わいを楽しませてくれます。
ブランデーとウイスキーには、未開封のボトルであれば、基本的に賞味期限はありません。
もともと、アルコール度数の高い2種類のお酒。
殺菌作用が高いため、適切に管理されていれば、中で雑菌が繁殖するリスクは極めて低いという特徴があります。
このため、ブランデーにもウイスキーにも、熟成期間の制限はありません。
熟成期間が長ければ長いほど、そのお酒は「高級酒」として扱われます。
手間と時間をかけて作られた特別なお酒には、世界中に熱狂的なファンも多く存在しています。
古いものほど人気があるのは、こうした理由によるものなのです。
ウイスキーとブランデーは、どちらも歴史ある古いお酒です。
世界的に見れば、どちらも非常に多くのファンを獲得しています。
ウイスキーとブランデーは、どちらもヨーロッパで生まれたお酒です。
ヨーロッパの歴史と共に歩んできたお酒と言っても過言ではないでしょう。
ブランデーが日本に入ってきた時期は、正確にはわかっていません。
ただ過去の記録から、1600年代には、長崎の出島にすでに入ってきていたことがわかっています。
一方ウイスキーは、1853年に、ペリーと共にやってきたと伝えられています。
日本においても、ウイスキーとブランデーはどちらも、歴史的な意味を持つお酒と言って良いでしょう。
共通点も多いウイスキーとブランデーですが、現在の人気度という点においては、若干の違いがあります。
日本で人気が高いのは、ブランデーよりもウイスキーです。
なぜこのような差が生まれたのかというと、その理由は両者の「イメージ」にあるのでしょう。
華やかな香りを楽しませてくれるブランデーには、「高級なお酒」というイメージがつき物です。
「リッチな中高年男性が楽しむもの」といった印象を抱いている方も多いのではないでしょうか。
また、実際にアルコール売り場を覗いてみても、ブランデーには高級ボトルが目立ちます。
いわゆる「大衆向け」のお酒ではないため、メーカー側も積極的に売り出さず、その結果、国内ファンが増えていない、という状況にあるようです。
ウイスキーに対しても、もともとはブランデーと同じような印象を抱く方が多かったのではないでしょうか。
ウイスキーの人気が急上昇した理由は、以下の2つです。
ウイスキーの人気が上昇した理由
幅広い世代がウイスキーを「身近なお酒」として捉えるようになったのは、最近の出来事です。
ウイスキーのイメージが変わり、より多くの人が気軽に楽しむようになったことで、近年ウイスキーの人気は急上昇しています。
とはいえ、お酒の歴史は人類と共に歩んでいくもの。
ウイスキーのイメージが、ある時期を境に一気に変わっていったように、今後ブランデー人気が高まる時期もやってくるのかもしれません。
ウイスキーやブランデーと混同しやすいお酒には、以下のような種類があります。
どれも「お酒の名前だ」という点は知っていても…「詳しい違いについてはわからない」という方が多いのではないでしょうか。
バーボン・スコッチ・コニャックの3種類のお酒について詳しい情報を解説すると共に、ウイスキーやブランデーとの違いについても紹介していきます。
「大人のお酒」といったイメージも強いバーボンですが、実はウイスキーの一種です。
正確には「バーボンウイスキー」と言います。
ウイスキーが「バーボン」を名乗るためには、以下の条件を満たしている必要があります。
バーボンウイスキーの条件
バーボンの主な銘柄としては「アーリータイムズ」や「ワイルドターキー」が挙げられます。
もともとアメリカのケンタッキー州で作られていたお酒ですが、ケンタッキー州以外で作られたお酒であっても、上の条件さえ満たしていれば「バーボン」を名乗れます。
ウイスキーの中でも、バーボンは「存在感のある木材の香り」と「ギャップを感じさせるバニラのような甘さ」が魅力。
こうした魅力は、原料と独自の製法によって生まれたものなのでしょう。
日本では「特別なお酒」といったイメージで見られやすいバーボンですが、アメリカ人にとっては、馴染み深い身近なお酒の一つです。
カリフォルニア州で愛され、世界中に広がったウイスキーの一種が、バーボンなのです。
実はスコッチも、ウイスキーの一種です。
正式名称は「スコッチウイスキー」と言います。
バーボンと同じく、スコッチウイスキーにも厳しい条件が設定されています。
スコッチウイスキーの条件
バーボンよりも、はるかに厳しい条件のもとで作られているのがスコッチです。
スコッチを名乗れるのは、イギリスのスコットランド地方で作られたお酒のみですが、スコットランド地方の中にもさまざまな地域があります。
スコッチの産地と種類
どの産地のスコッチを選ぶのかで、異なる味わいを楽しめるでしょう。
フルーティーな香りが好みなら、おすすめはスぺイサイドのスコッチです。
まろやかさを重視したいなら、ローランドのスコッチを選んでみてください。
ウイスキーの中でもスコッチは、特に奥深い歴史を持つもの。
スコッチウイスキーをきっかけに、ウイスキーの世界により深くはまっていく方も少なくありません。
コニャックは、ブランデーの一種です。
以下の条件を満たして作られたブランデーだけが、コニャックを名乗れます。
コニャックの条件
スコッチと同様に、コニャックも産地が指定されているお酒の一種です。
ブランデーの中でも高級なお酒として知られていて、特に芳醇な香りを楽しめるでしょう。
コニャックの中でも、特に人気の高い5銘柄は以下のとおりです。
コニャックの人気銘柄
どれもコニャックならではの高貴な香りを楽しませてくれる一方で、銘柄独自の個性を放っています。
お気に入りの香りと味を求めて、あれこれと試してみるのもおすすめです。
上述のとおり、バーボン・スコッチはウイスキーの一種であり、コニャックはブランデーの一種です。
名称が多く混乱しがちですが、それぞれの特徴について知ってみると、ウイスキーやブランデーの魅力を、より深く知れるでしょう。
バーボン・スコッチは、5大ウイスキーの1つに数えられている有名なお酒です。
「それぞれの違いについてさらに知りたい」と思ったときには、ぜひ実際にその香りや味わいを楽しんでみてください。
なぜ世界中でこれほどまでに深く愛され続けているのか、ご自身の舌と鼻で、その秘密に迫れるでしょう。
五大ウイスキーの違いや特徴について知りたい方はこちらの記事をチェックしてください。
ウイスキーの違いとは?世界5大ウイスキーを飲み比べてみよう!
見た目はそっくりなウイスキーとブランデー。
お酒に詳しくない方にとっては、「どちらも同じようなお酒なのでは?」と感じてしまうのも、無理はないことなのかもしれません。
とはいえ、ウイスキーとブランデーの間には、原料や製法、味や香りなど…一言では説明できないほど多くの違いがあるのです。
ウイスキーとブランデーの違いについて、「知識」として学んだあとは、ぜひ「体感」してみてください。
ウイスキーの魅力とブランデーの魅力、自分自身で両方を知れば、違いについてもより深く理解できるでしょう。