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ウイスキー樽はサイズや大きさによって種類が異なる!容量別にご紹介

2021.09.04 / 最終更新日:2024.10.21

ウイスキー樽はサイズや大きさによってさまざまな種類が存在しています。

ウイスキーの熟成においてメインで使用される樽の種類はバレル、ホグスヘッド、パンチョン、バットですが、他にも複数の種類があり、熟成できる原酒の容量も変わります。

また、ウイスキー樽は使用される木材によってシェリー樽やミズナラ樽といった種類に分類されますが、シェリー樽に使用される樽のサイズや容量は決まっていることが一般的です。

この記事ではウイスキー樽において重要な樽の大小によって異なる熟成の効果について解説し、容量別に樽の種類も紹介します。

この記事のポイント

  • ウイスキー樽を容量別に分けて種類を紹介
  • ウイスキー樽の大きさが与える原酒への影響も解説

ウイスキー樽は大きさによって熟成の効果が異なる

ウイスキー樽はサイズや大きさによっても種類が分類されており、樽の大小は熟成に大きな影響を及ぼします。

基本的には樽のサイズが小さいほど原酒熟成のスピードが早まり、樽のサイズが大きいほど熟成が遅くなりますが、長期熟成をするウイスキーと相性がよいです

また、小さい樽で熟成させると樽自体の木材の香りがウイスキーに付与されやすくなります。

つまり、別の香りを与えたい場合は、小さい樽で長期熟成させてしまうと木材の香りが強くなり過ぎてしまうことが考えられます。

熟成効果は材料だけでなく、大きさによっても決まるため、ウイスキー樽は熟成効果を総合的に判断した上で製造されているのです

ウイスキー樽の作り方や材料となるオークについて詳しく知りたい方はこちらの記事をチェックしてください。

代表的なウイスキー樽の作り方と材料となるオークについてご紹介

ウイスキー樽の容量別に種類を紹介

それでは、ウイスキー樽を容量別に10種類紹介します。下記に紹介する樽の容量をまとめました。

種類 容量
クォーター 45~50リットル
オクタブ 45~68リットル
バレル 180~200リットル
ホグスへッド 250リットル
バリック 220~300リットル
パンチョン 300~500リットル
バット 500リットル
パイプ 410~650リットル
ドラム 650リットル
ゴルダ 700リットル

クォーター(45~50リットル)

クォーターはその名の通りバレルの4分の1のサイズのウイスキー樽です。

樽が非常に小さいため、短期間でウイスキーを熟成させるのに向いています。

しかし、ラフロイグの中でも「ラフロイグ クォーターカスク」ではバレルサイズのバーボン樽によって熟成した後に、クォーターカスクによる再熟成をおこなっています。

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オクタブ(45~68リットル)

オクタブはシェリー樽に用いられる樽のサイズであるバットの8分の1の大きさで製造される小型のシェリー樽です。

現在のシェリー樽の大きさとしては一般的ではありませんが、追加の熟成に使用されることがあります。

ボトラーズ(独立瓶詰業者)のダンガンテイラーではオクタブ・シリーズを販売しており、カリラ、グレンロセスなどの人気のスコッチウイスキーを再熟成することで、より複雑なフレーバーに仕上げています。

バレル(180~200リットル)

バレルはバーボン樽に使用されるサイズであり、現在のウイスキー業界では最も数が多い樽です。

アメリカの法律で使用する樽の基準が定められていることから、アメリカンスタンダードバレルとも呼ばれます。

バーボンウイスキーの熟成に使用されますが、アメリカの法律でバーボンウイスキーに使用する熟成樽は再使用できません。

そのため、一度使用したバレルは再利用して他のウイスキーの熟成に利用されています

ホグスへッド(250リットル)

ホグスへッドはバーボン樽を解体し、側板を削って、胴回りを大きくしたウイスキー樽です。

和訳すると豚の頭になりますが、ウイスキーを詰めたときの樽の重さが豚の頭の重さと一致することから付けられました。

出来上がっている樽を解体する理由は、貯蔵効率を高めることと樽香の影響を弱めることが挙げられます

スコッチウイスキーとアイリッシュウイスキーのほとんどがこの形式による再利用です。

通常のバレルサイズのバーボン樽よりもサイズが大きいので長期熟成にも適しています

バリック(220~300リットル)

バリックは一般的にはワインの熟成に使用される樽のことです。

ウイスキーの歴史でもバリックが熟成に使われてきたことはありませんでしたが、近年では使用されたケースが存在します。

台湾で誕生したウイスキーであるカバランソリストIWSC(インターナショナル・ワイン・アンド・スピリッツ・コンペティション)世界最高賞を受賞するほどの実績のあるウイスキーですが、熟成にはバリックの樽が使用されていました。

パンチョン(300~500リットル)

パンチョンの容量は300~500リットルと最もサイズや容量にバラつきがある樽です。

アメリカンホワイトオーク、コモンオークなどの木材によって製造される樽のことを指すのが一般的ですが、シェリー樽のサイズにも使用されることもあります。

後述するバットとの違いとしてはパンチョンのほうが樽の背が低く、胴回りが太いことが特徴です

サントリーでは近江エージングセラーで、良質なアメリカンホワイトオークを厳選してウイスキー熟成用のパンチョン樽を製造しています。

バット(500リットル)

バットはラテン語で大きな樽を意味しており、シェリー樽のサイズとして最も使われています。

スペインの伝統的なお酒であるシェリー酒の熟成に使われ、その後、スコッチウイスキーの熟成に使用されるのが一般的です。

一般的にシェリー樽の熟成に使用される樽のサイズであることからシェリーバットと呼ばれることもあります。

ウイスキーの樽熟成が始まったのはシェリーバットによる熟成であると言われており、まさにウイスキー樽の原点とも呼べるサイズなのです

パイプ(410~650リットル)

パイプはピぺとも呼ばれる大樽のことであり、主にポートワインの熟成に使用される樽です。

ウイスキーにおいてはブレンデッドウイスキーの仕上げに使用され、ブレンドしたウイスキーを樽に戻して味や香りを整えます。

パイプ樽で二次熟成されるウイスキーにおいて代表的な銘柄は完璧すぎるウイスキーと呼ばれるほど評価が高いグレンモーレンジィの銘柄の一つである「グレンモーレンジィ 14年 キンタルバン」が代表的であり、タリスカーラフロイグにもこの樽で熟成した銘柄が存在します。

ドラム(650リットル)

ドラムはポルトガルのポートワインの熟成にも使用されますが、主にマディラワインの熟成における標準サイズの樽です。

ウイスキーの熟成に使用されることは少ないですが、ウッドフィニッシュと呼ばれる二次熟成に使用されることがあります。

アイラウイスキーのキルホーマンには「キルホーマン マディラカスク」があり、ドラム樽による二次熟成がおこなわれています。

キルホーマンとは?種類や味わい、おすすめの飲み方

ゴルダ(700リットル)

ゴルダは700リットルの容量を持つ非常に大きい樽です。

その大きさから基本的には熟成に使用されるものではなく輸送に使用される樽になります。

ウイスキー樽の種類や木材について

ウイスキー樽は大きさ以外でも使用したオークなどによって分類が分かれます。

例えば、バットのサイズで製造されるのが一般的であるシェリー樽であればスパニッシュオークを材料にすることが一般的です。

バーボン樽であればバレルかつアメリカンホワイトオークを材料に製造されます。

一般的にウイスキーの価値を判断するときに重要になる要素は樽の大きさではなく樽の種類です。

例えば、シェリー樽は樽不足に陥り貴重であるため、シェリー樽で熟成させたウイスキーも希少になります。

ウイスキー樽から熟成させるウイスキーの希少価値を測るときは、使用される木材や樽の種類について考慮する必要があるといえるでしょう

ウイスキー樽(カスク)の種類について詳しく知りたい方はこちらの記事をチェックしてください。

ウイスキーの価値を左右するカスクとは?種類についても解説!

まとめ

ウイスキー樽はサイズや容量ごとにさまざまな種類が存在しており、その特徴について紹介しました。

樽の大きさは熟成にも大きく関わっており、製造する際は材料だけでなくサイズにもこだわった上で作られています。

また、小さい樽ほど樽香が強くなるので、ウイスキー特有のウッディーな香りが好きな方は小さい樽で熟成されたウイスキーを探してみてもよいでしょう。

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