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- ウイスキー基礎知識
カスクストレングスは、ウイスキーに関する用語のひとつであり、愛好家の中にはカスクストレングスであるかを基準にウイスキーを選ぶ方もいます。
高いアルコール度数でボトル詰めされており、ウイスキーの本来の風味を味わいやすいため、こだわる人はこだわるポイントとなっているといえるでしょう。
カスクストレングスはスコッチのシングルモルトを中心に広くリリースされており、こだわるようになればウイスキー通の仲間入りといえます。
この記事では、ウイスキーのカスクストレングスについてその魅力を解説し、おすすめ銘柄や飲み方を紹介します。
この記事のポイント
カスクストレングスは、ウイスキーを樽(カスク)から出した時のアルコール度数の強い状態、そのままボトル詰めした銘柄に付けられるウイスキー用語です。
ウイスキーの熟成は樽の中で行われ、通常は樽から出したウイスキーをそのままボトル詰めするのではなく、加水などをして調整する作業があります。
加水してアルコール度数などを調整することで、飲みやすい状態に整えてから通常のウイスキーは40%~50%の調整された度数で出荷されていく仕組みです。
しかし、カスクストレングスのウイスキーの度数は50%を超えており60%に近い高いアルコール度数で商品化されています。
度数が高い状態でボトル詰めする魅力は次に解説しますが、カスクストレングスは樽出しでアルコール度数が高い銘柄に付けられる用語であることを理解しておきましょう。
ウイスキー用語には、シングルカスクとカスクフィニッシュなど樽に関連する用語がいくつも存在します。
その中でもシングルカスクとカスクフィニッシュは非常に混同されやすい用語です。
通常、ウイスキーはシングルモルトでも熟成年数や熟成樽が異なる同一のモルト原酒をヴァッティングさせることでボトル詰めしています。
シングルカスクは単一の樽のみを使用してボトル詰めするため、ヴァッティングなどの作業を一切行わない希少なウイスキーです。
しかし、シングルカスクは単一の樽のみを使用するだけでなく、加水などもせずボトル詰めをすることが多いため、シングルカスクでありながらカスクストレングスでボトル詰めされることがあります。
そのため、カスクストレングスをシングルカスクの説明と勘違いする場合もあり、混同されやすいウイスキー用語となっています。
一方で、カスクフィニッシュは樽出しのウイスキーを別の樽に移して熟成させることです。
例えば、バーボン樽で熟成させたウイスキーをシェリー樽に移して熟成させた場合は、シェリーカスクフィニッシュと呼ばれます。
カスクフィニッシュも別の樽で熟成させた後に樽出しのままボトル詰めをすればカスクストレングスにもなるため、両立する用語となります。
カスクストレングスを含むカスク系の用語は銘柄によっては両立する場合もあるため、混同してしまい勘違いすることがないように覚えるようにしましょう。
ウイスキーのカスクに関する用語はこちらの記事で紹介しています。
ウイスキーは元から高いアルコール度数のお酒であり、より度数を高くしてボトル詰めすることに意味があるのか疑問に思う方もいることでしょう。
通常のウイスキーと比較したときのカスクストレングスの魅力を紹介します。
それぞれ詳しく見ていきましょう。
樽出しの状態のウイスキーは、加水も含めてなにも加えられていないことから、ウイスキーが持つ本来の風味を味わいやすい魅力があります。
ウイスキーの味わいの違いが飲み慣れてわかるようになり、蒸溜所などを見学し樽出しのウイスキーを飲む経験をすると商品化されるウイスキーとは風味が全く異なることに衝撃を受ける人が多くいます。
このような感動体験から樽出しの状態のカスクストレングスにこだわる人がおり、ターゲットを考えるならオフィシャルボトルよりもボトラーズ(独立瓶詰業者)などマニア向けのリリースに多い印象です。
ウイスキーを飲み慣れていない人はその違いを理解することは難しいかもしれませんが、飲み慣れている愛好家はウイスキーが持つ本来の風味をカスクストレングスを通して味わうことができます。
カスクストレングスの魅力を五感で味わい正しく理解できたのであれば、ウイスキー通の仲間入りを果たしたといえるでしょう。
樽出しの状態のウイスキーはアルコール度数が高い状態にありますが、高い度数は濃厚な香味成分を持つことができる証です。
ウイスキーは通常の40%程度のアルコール度数の銘柄の場合は、加水のほかに冷却ろ過もおこなわれています。
加水と同様にウイスキーの品質を安定させるために必要な処理ではありますが、冷却ろ過はウイスキーが持つ本来の香りを損ねる原因になります。
カスクストレングスのウイスキーは冷却ろ過が不要であるため、香りを損ねずに楽しむことが可能です。
ウイスキーのカスクストレングスのおすすめ銘柄を紹介します。
画像引用:https://www.saketen.jp/shopdetail/000000000749/
ザ・マッカラン カスクストレングスは、シングルモルトのロールスロイスと呼ばれる高級シングルモルトのマッカランの10年以上熟成した原酒を樽出しの状態でボトル詰めした銘柄です。
マッカランが持つ風味がダイレクトに味わえる銘柄であり、ドライフルーツのような熟した果実の香味と樽由来のスパイシーさが味わえます。
スコッチのシングルモルトを代表する銘柄だからこそカスクストレングスの本来の味わいが気になるところです。
画像引用:https://www.miraido-onlineshop.com/item/3-glenfarclas-sm-105/
グレンファークラス 105 カスクストレングスは、1968年に業界初のカスクストレングスのウイスキーとしてリリースされたシングルモルトです。
熟した果実の甘い香りとピートスモークが非常に濃厚であり、カスクストレングスでありながらまろやかで飲みやすい味わいに仕上がっています。
カスクストレングスのウイスキーに初めて挑戦したい場合には入門酒となるおすすめの銘柄となっています。
画像引用:https://www.ardbegjapan.com/products/
アードベッグ ウーガダールは、アードベッグのカスクストレングスのボトルの名称であり、元々非常にクセの強いウイスキーとして知られているアードベッグを高いアルコール度数でボトル詰めしています。
アードベッグのスモーキーな香りにクルミや松葉などウッディな香りが強調されており、濃厚で豊かな味わいが口一杯に広がります。
カスクストレングスであるだけでなく、銘柄の個性も強いことから上級者向けの銘柄です。
画像引用:https://www.miraido-onlineshop.com/item/3-ileach-cs/
アイリーク カスクストレングスは、蒸溜所の名を明かさないアイラウイスキーをボトル詰めした銘柄であり、カスクストレングスのボトルです。
度数が高いことからアルコールの刺激が強烈であり、ピートスモークの強さも含めて、力強い印象を受けます。
カスクストレングスはウイスキーの風味を理解しやすいことから、アイリークがアイラウイスキーの中でもどの原酒を使用しているのか予想しやすいボトルともいえるでしょう。
画像引用:https://whisk-e.co.jp/products/ioad-malt-shcs/
アラン シェリーカスクは、その名の通りシェリー樽で熟成したウイスキーであり、カスクストレングスでボトル詰めすることでシェリー樽熟成の味わいを理解しやすいボトルとなっています。
レーズンとチョコレートの甘い香りにスパイス感があり、濃厚なフルーティーさとナッティな味わいが特徴的です。
スコッチではアイランズに分類されるアランは、シングルモルトでも人気の高い銘柄です。
ウイスキーアランモルトの魅力とは?種類やおすすめの飲み方を紹介
画像引用:https://whisk-e.co.jp/products/oldperthcaskstrength/
オールドパース カスクストレングスは、ブレンデッドウイスキーでありながらカスクストレングスでボトル詰めされた珍しいウイスキーです。
シェリー樽熟成の原酒のみを使用していることから、重厚感のあるアロマとフルーティーな香味が特徴的であり、ジンジャーやシナモンなどのスパイシーさも強く感じられます。
ブレンドによって洗練されたシェリー樽熟成のウイスキーの風味を余すことなく味わうならおすすめの銘柄です。
画像引用:https://surdyks.com/makers-mark-cask-strength/
メーカーズ・マーク カスクストレングスは、カスクストレングでボトル詰めされたバーボンウイスキーであり、スコッチと比較すると珍しい銘柄です。
メーカーズ・マークの味わいを濃厚に堪能できるボトルであり、キャラメルやバニラの甘みの中にウッドスモークの渋みが感じられます。
バーボンやメーカーズ・マークが好きなら味わってみたい銘柄です。
画像引用:https://www.redbreastwhiskey.com/en-EN/
レッドブレスト 12年 カスクストレングスは、2011年に限定リリースされたアイリッシュウイスキーのカスクストレングスです。
甘くフルーティーで、原料由来の味わいを引き出しており、度数の高さからスタンダードと比較して力強い印象を感じます。
限定ボトルであるため、入手が困難ではありますが、アイリッシュのカスクストレングスを味わいたいなら有力な候補です。
画像引用:https://www.sakuraodistillery.com/news/detail-49.html
桜尾 1stリリース カスクストレングスは、ジャパニーズウイスキーでも限定生産されることが多いカスクストレングスの銘柄の中でも「Hong Kong International Wine & Spirit Competition 2021」でも受賞経験のあるボトルです。
ブドウ、オレンジとビターチョコレートの香りに、程よいスモークと濃厚な甘みが感じられます。
日本の蒸溜所ではスコッチと同様に限定リリースを中心にカスクストレングスを販売することから、カスクストレングスにこだわるならチェックしておきたいところです。
画像引用:https://www.kavalanwhisky.com/jp/product.php?act=view&id=10
カバラン ソリスト バーボン カスクストレングスは、台湾ウイスキーのカバランの中でもカスクストレングスのシリーズとなっているソリストシリーズのボトルの一つです。
フレッシュなトロピカルフルーツの風味が特徴的であり、濃厚でありながらシルクのようになめらかな口あたりで飲みやすい魅力があります。
台湾で製造されるカバランに興味を持った人の中でカスクストレングスにこだわりたいなら数ある種類の中でもソリストシリーズから選ぶことをおすすめします。
ウイスキーのカスクストレングスのおすすめの飲み方を解説します。
それぞれ詳しく見ていきましょう。
カスクストレングの銘柄は、加水していないことからストレートで味わうことで真価を発揮します。
加水や冷却ろ過が施されたウイスキーでは味わえない濃厚な香りと、ダイレクトに味わえる風味を堪能しましょう。
ただし、アルコール度数が高いことから舌を麻痺させないように水や炭酸水などのチェイサーの用意は必須です。
ストレートで美味しいウイスキーの条件とは?おすすめの銘柄4選
加水をしていないカスクストレングスに加水する飲み方で飲むことに疑問を覚える方もいるかもしれません。
しかし、カスクストレングスには加水することで香りが開く特性もあるため、ハイボールを作るといつもより力強い香りと風味のハイボールに仕上がります。
そのため、カスクストレングスのボトルもハイボールをはじめとする加水する飲み方を選ぶことで、いつものウイスキーでは味わえない風味を堪能できることがあります。
ウイスキーのカスクストレングスについて解説しましたが、アルコール度数が非常に高い状態にある銘柄のことを指し、本来の風味を楽しめる魅力があります。
おすすめ銘柄として一部のボトルを紹介しましたが、他にもカスクストレングスの銘柄はあるため、自分の好みの銘柄でカスクストレングスのボトルがあれば探して飲んでみましょう。
初心者向けの楽しみ方ではなく、あくまでウイスキーを飲み慣れている人の楽しみ方になりますが、まだウイスキーを飲み慣れていない場合もカスクストレングスについて理解しておくと楽しみ方の選択肢が広がります。