ラフロイグ 10年とは? スモーキーな味わいとおすすめの飲み方を紹介
- ウイスキー銘柄
ザ・マッカランは、高級ウイスキーの代表的銘柄のひとつで、世界中のファンから長年にわたり愛され続けています。その味や香りは、「シングルモルトのロールスロイス」と表現されるほど、華やかかつ上品なものです。
多くのウイスキーがある中で、特別の存在になり得た裏には、蒸留所が持ち続けた強いこだわりがあります。優れた味や香りの奥にはどのようなこだわりが隠されているのでしょうか。
この記事では、ザ・マッカランがここまで愛されるウイスキーになった理由とともに、味や香りの特長、種類、おいしい飲み方などについて解説します。
この記事のポイント
ザ・マッカランの特長的な味わいは、スペイザイドで最も小さい蒸留釜から生まれます。ザ・マッカラン蒸留所にある24基の銅製蒸留釜はそれぞれ形が異なりますが、いずれも3,900リットルと容量が小さいものです。
昔ながらの製法で手づくりされる蒸留釜は、蒸留所が新しく建てられるときも、形状やサイズ、ラインアームの向きなどが旧蒸留所と同じになるよう特注されました。そこまでこだわるのは、小さな蒸留釜で蒸留するほど、ニューメイクスピリッツが高密度で濃厚な味わいに仕上がるからです。
ザ・マッカラン蒸留所では、地域最小の蒸留釜で抽出した高密度のニューメイクスピリッツを更に選別します。アルコール度数70%以下に精選した最高品質のものだけを製品に使用するのです。こだわりぬいたベストオブベストのニューメイクスピリッツは、全体のわずか16%ほどの量にしかなりません。これがザ・マッカラン特有の奥深いコクを生むこだわりです。
熟成に用いる樽は、味わい、香り、色など、ウイスキーの持ち味を生み出すうえでとても重要な役割を果たします。ザ・マッカラン蒸留所では、長い年月をかけて樽の製造プロセスをも独自に開発してきました。樽の原材料をどこから調達するか、どのように加工し、乾燥させるかといったすべての工程に、独自のこだわりがあるのです。
たとえば、樽の原材料となるオーク材は、アメリカとヨーロッパ2つの大陸で採取されたものを併用してきました。同じオーク材でもアメリカ産とヨーロッパ産では樽として使用する際には大きな違いがあるからです。そのため、早い時期から、樽用木材への投資を始めていました。
アメリカ産のオーク材はヨーロッパ産のものと比べると密度が高いため、貯蔵用の樽としては使いやすいといえます。それに対して、ヨーロッパ産のオーク材は多孔質でタンニンの含有量も多めです。樽にすると、熟成に時間がかかるという欠点がありますが、ウイスキー特有の色合いや香りを醸し出すのには大いに役立ちます。2つの樽材それぞれの個性をしっかりと見極め、安定的に供給できる体制を整えていたのです。
ただし、育てた樹木を伐採すればすぐに樽にできるというわけではありません。樹木には油分が含まれており、その油分にはかなり強い渋みがあります。ウイスキーの味を損ねないためには、十分な乾燥が必要です。樽板の乾燥方法には、人工的なキルン乾燥と自然な空気乾燥の2種類があります。そのうち、ザ・マッカラン蒸留所で採用しているのは、空気乾燥のみです。
手間と時間がかかる方法ですが、その分、ウイスキーの熟成に欠かせない樽材の持ち味を引き出すことができます。木材を伐採地で最低1年間乾燥させてから、樽板用に加工するというのが、ザ・マッカランのこだわりです。
アメリカ産のオーク材の場合は、一旦スペインに輸送し、自然光のもとで更に1年寝かしてから使います。アメリカ産、ヨーロッパ産のいずれも、木に含まれる水分量が12~16%まで下がるのを待って、専門の職人が樽に加工するのです。
ウイスキー用の樽づくりで、もうひとつ欠かせない工程が火入れです。シェリー酒やワイン用の樽の場合は、低温で長時間あぶって仕上げますが、バーボン用の樽は、高温で短時間、表面が炭化するまで焦がします。焦げた部分は、独特の風味を与えるだけでなく、雑味を取り除くフィルターの役割をするので、ウイスキーの樽づくりとしては重要な工程です。
ザ・マッカランの場合、両方の加工を上手に組み合わせ、使い分けています。というのも、火入れの仕方によって、フレーバーや色合いが変化するからです。
あぶり加工を施すと木がカラメル化し、トースト香が生まれます。これは、ウイスキーに甘みやトースト、綿菓子のようなフレーバーをまとわせるうえで大事な要素です。ザ・マッカランでは、アメリカ産、ヨーロッパ産いずれのオーク樽にも、内部全体に均等なあぶり加工を行います。
それに対して、焦がし加工は、トフィーやバニラ香を発生させるため、ザ・マッカランではバーボン樽にのみ施します。こうして作り上げた樽にシェリー酒やバーボンを入れ、倉庫で18カ月間寝かせたら、ザ・マッカランを熟成させるための樽の完成です。木の伐採から原酒の樽入れまでに約6年間かかります。このこだわりが、ザ・マッカラン独特の味わいと香りを生み出しているのです。
ザ・マッカランは期間限定販売のものや免税店専用のものあり、とても種類が豊富です。ここでは2021年8月現在、通常の販売ルートで購入できる7種類を紹介します。
シェリーオークシリーズは、シェリー樽で熟成した原酒のみを使用しているシリーズです。シェリー樽にする原木選びから樽づくり、管理までを自社で行っています。ザ・マッカランといえばこの味わいといえる代表的なシリーズです。
12年物は金色に近い明るい色で、シェリーやバニラ香の奥からかすかにジンジャーやドライフルーツの甘い香りがします。口に含むとまずドライフルーツやシェリーの風味が感じられるのが特徴です。遅れてトフィーの甘さやスパイス感が現れ、ウッドスモーキーな余韻が漂います。
こだわりのシェリー樽で18年熟成した原酒をボトル詰めしたものです。鮮やかなマホガニー色で、12年物と並べると色に深みが増していることがわかります。香りは12年物で感じられたシェリーやバニラ香よりも、ドライフルーツのような香りが強いという印象です。その奥にジンジャーやスパイスの香りも感じられます。
味にもドライフルーツ感がありますが、ただ甘いだけではありません。スパイスとオレンジにウッドスモークもプラスされた奥行きのある味わいです。遅れてよく熟した南国フルーツやトフィーの甘味が強く長く感じられ、ジンジャーやウッドスモークの余韻がかすかに漂います。
原木から選び抜き専用に作り上げたシェリー樽で25年熟成させた原酒のみを瓶詰めしました。色は18年物よりも濃く深いマホガニー色です。香りは樽由来のシェリーとウッドスモークが強く、その奥から柑橘類やシナモンの香りがほどよく感じられます。
ドライフルーツとウッドスモークが前面に押し出されたコク深く濃厚な味わいです。余韻にもドライフルーツとウッドスモークが残り、スパイス感も長く続きます。
原木からこだわって自社製造したシェリー樽で30年熟成させた原酒のみを瓶詰した逸品です。長い熟成期間を感じさせるマホガニー色の濃さは、25年物と並べてみるとより一層はっきりします。樽由来のシェリーに負けない力強いオレンジとウッドスモークの香りが特徴的です。
濃厚かつ滑らかなドライフルーツとシェリーの甘味にオレンジ、ウッドスモークの味わいがうまく調和しています。オレンジとスパイスの効いたリッチな余韻が長く続くのも魅力です。
ヨーロピアンオークのシェリー樽とアメリカンオークのシェリー樽それぞれで最低12年以上熟成させた原酒を、匠の技でヴァッティングしました。深みのある金色が美しく、ザ・マッカランの神髄である芳醇な香りや滑らか甘みがうまく引き出されています。
バニラカスタードやバタースコッチを彷彿とさせる甘い香りです。蜂蜜に近い甘みに、シトラス系の果実とほのかなスパイスを感じる味わいです。甘さが余韻として口の中に長くとどまります。
名前が表す通り、3種類の異なる樽で最低12年熟成させた原酒をヴァッティングしています。ヨーロッパ産オークのシェリー樽、アメリカ産オークのシェリー樽、そしてバーボン樽のそれぞれよい部分を掛け合わせ、絶妙なバランスでヴァッティングしました。滑らかな舌触りとヴァッティングの妙を堪能できる1本です。
色は明るい麦わら色で、バニラやメロンの甘い香りの奥にかすかにレモンピールの存在が見え隠れします。シトラス系のさわやかさとバニラの甘さに、ほんのりと焦がしたオークの風味やナツメグのスパイス感が加わった、実に調和のとれた味わいです。メロンやパパイヤのフルーツ感にフレッシュオークとスパイスの効いた余韻が長く感じられます。
ヴァッティングの技が光る逸品です。30年以上かけて熟成させた原酒も含む16種類のシェリー樽原酒を厳選しヴァッティングしています。「レアカスク」というネーミングは、希少な樽原酒を多数集めて使用している贅沢さを表したものです。長期熟成の原酒も含んでいるだけあって、マホガニー色にも奥行きが感じられます。
レーズンやチョコレートの深く複雑な香りとバニラの甘く優しい香りが同時に感じられるのも特長です。口に含み舌の上で転がすと品のよい旨味が感じられます。ドライフルーツと程よくスパイスの効いた後味が長く続くのもレアカスクの持ち味のひとつです。
最初にザ・マッカランの味を確かめるなら、シェリーオーク12年をストレートかロックで味わってみましょう。ウイスキー本来の味が直接舌に感じられるため、銘柄ごとの持ち味を知りたいときにはおすすめ飲み方です。普段ウイスキーを飲みなれていない人でも比較的飲みやすいうえに、「ザ・マッカランといえばこの味」といった基準も置きやすくなります。
ザ・マッカラン特有の香りを楽しむなら、トワイスアップにしてもよいでしょう。俗にいう水割りですが、トワイスアップに使用する水は常温です。ウイスキーの香りが最も引き立つのは、アルコール度数が20~30度のときだといわれています。ウイスキーと同量の水で割ってみましょう。ザ・マッカランのアルコール度数は43度なので、トワイスアップにすることで、持ち味の甘く芳醇な香りを楽しめます。
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ザ・マッカランは、ウイスキーの原材料だけでなく、蒸留釜や樽にも作り手のこだわりが込められているウイスキーです。そのこだわりは、色、香り、味わい、余韻のすべてに表れています。
蒸留所のこだわりをしっかり感じながら味わいましょう。シングルモルトのロールスロイスという異名を持つことも、世界中に多くのファンがいることも納得できるはずです。