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- ウイスキー基礎知識
ノンエイジウイスキーは、ウイスキーの熟成年数の表記がないウイスキーのことです。
ウイスキーには「マッカラン 12年」「グレンフィディック 15年」など、ウイスキーには熟成した年数が表記されるのが一般的です。
ウイスキーに使用される最も若い原酒の熟成期間が12年または15年であることを示しています。よって、20年物の原酒をブレンドに使用しても12年物の原酒を使用している場合は、12年と表記しなければなりません。
ウイスキーにおいて熟成期間は重要であるため表記する場合はブレンドに制限がかかりますが、熟成期間を表記しないことで自由なブレンドが可能になるのがノンエイジです。
この記事ではノンエイジウイスキーの魅力やおすすめの銘柄を解説します。
この記事のポイント
ノンエイジはNAS(Non Age Statement)と表記され、ノンヴィンテージとも呼ばれることもありますが、すべて熟成年数表記がないウイスキーのことを指します。
ウイスキーのラベルには製造場所、容量、アルコール度数などが明記されていますが、賞味期限の表記は義務付けられていません。
アルコール度数の高い蒸留酒は適切な保存状態にあれば、腐ることはなく品質を保てることが理由です。
熟成期間が50年以上のウイスキーであっても問題なく販売できます。
そして、熟成期間の表示も義務付けられているわけではありません。
ただし、ウイスキーの原酒をブレンドした場合は、熟成期間が最も若い原酒の熟成年数をボトルに表示する必要があります。
しかし、熟成年数を表記せずに販売することもできるので、このような形式で販売されるウイスキーのことをノンエイジウイスキーと呼びます。
ウイスキーを熟成させることをエイジングと呼びます。
エイジングに使用される容器はカスク(樽)であり、現代のウイスキーの熟成において欠かせないものです。
ウイスキーの製造においてエイジングは重要な工程であり、ウイスキーの味を複雑で深い味わいにするだけでなく、ウイスキー特有の琥珀色の綺麗な液体はカスクによって色付きます。
また、ノンエイジという言葉はエイジングしていないと解釈できるので、熟成していないウイスキーであるという勘違いもありました。
ノンエイジウイスキーは熟成をしたうえで、エイジング期間の表記がないウイスキーであることを理解しておきましょう。
ウイスキーの熟成に必要なカスクについて詳しく知りたい方はこちらの記事をチェックしてください。
ウイスキーの熟成期間による味の変化とカスク(樽)の役割について
ノンエイジウイスキーには主に3つの魅力があります。
それぞれ詳しく解説します。
年数表記をする場合は、最も熟成年数が若い原酒の年数を表記する必要があります。
表示する熟成期間が長いウイスキーを販売する場合は熟成年数が若い原酒を使用できないので、ブレンドの自由度は低いのが年数表記をするウイスキーのデメリットです。
しかし、ノンエイジウイスキーは熟成期間を表記する必要がないので、熟成年数の若い原酒と長期間熟成させた原酒をブレンドできます。
同じ蒸留所で製造された同じ銘柄の原酒であっても、熟成年数が変われば風味は異なるので、ブレンダーが原酒をブレンドする際の自由度が高まるということです。
美味しくなるかどうかはブレンダーの腕次第ではありますが、ブレンドの自由度が高まり、ウイスキーの可能性が広がる点はノンエイジの魅力といえるでしょう。
ウイスキーは必ずしも長期間熟成させることで味の完成度が高まるわけではありません。
蒸留所のスタンダードボトルはどのような風味や香りになるのか計算して製造しているため、人気のウイスキーのスタンダードボトルの完成度は高いです。
しかし、熟成期間が極端に長いウイスキーは熟成によって味がどのように変化するのか、研究対象が少ないため蒸留所も正確に把握していません。
よって、長期間熟成させたウイスキーの風味の質は保証されていないので、熟成期間の長い原酒のみをブレンドしたウイスキーの完成度が高いとは限らない点に注意が必要になります。
ノンエイジウイスキーは熟成期間に捉われず質のいい原酒を選択可能であるため、質を重視してブレンドできることがメリットです。
年代物の長期熟成ウイスキーは風味の質の保証はされていないにも関わらず価格は非常に高騰します。
理由としてはエイジング期間が長いウイスキーは希少性が高く、世界中の愛好家やウイスキーコレクターから需要があるため、年代物ウイスキーは時に定価の10倍や100倍の価格で売買されることがあります。
一方で、ノンエイジウイスキーは熟成期間の表記がないため、希少性が低いと判断されコレクターの収集の対象になることも少ないです。
よって、熟成期間の表記があるウイスキーよりも価格がリーズナブルになりやすい特徴があります。
年代物のウイスキーの特徴について詳しく知りたい方はこちらの記事をチェックしてください。
年代物のウイスキーの価値とは?実際に高額で取引された銘柄も紹介
ここからはおすすめのノンエイジウイスキーの銘柄を4つ紹介します。
それぞれ詳しく見ていきましょう。
山崎は日本の山崎蒸留所で製造し、サントリーで販売される代表的なジャパニーズウイスキーです。
サントリーが保有しているワイン樽貯蔵モルトを使用し、山崎特有のミズナラ樽貯蔵モルトと複数の原酒をブレンドしたノンエイジウイスキーになります。
さまざまな原酒の個性が重なり合いながらも、山崎の芳醇な香りは健在であり、甘くなめらかな味わいが特徴です。
また、ノンエイジウイスキーであるため現在高騰している山崎の中でも比較的リーズナブルで購入しやすいのもメリットになります。
響は山崎と同じくサントリーで販売されているノンエイジウイスキーです。
イギリスの酒類品評会であるISC(インターナショナル スピリッツ チャレンジ)で2019年~2021年まで連続で金賞を受賞し、米国の世界的な酒類コンペティションSWSC(サンフランシスコ・ワールド・スピリッツ・コンペティション)で2016年に最優秀金賞を受賞するなど実績を誇るウイスキーになります。
このようにノンエイジウイスキーの中には熟成年数の表記がなくても世界から評価を受ける銘柄もあるのです。
ローズのフローラルな香りに、オレンジピールチョコレートとハチミツのような甘い味わいが楽しめます。
白州は白州蒸留所が持つさまざまな原酒をブレンドしたノンエイジウイスキーであり、サントリーが販売しています。
ブレンダーが理想のモルト原酒のみを選び、スコッチウイスキー特有の燻製のような香りを備えていることも特徴です。
爽やかで酸味を感じるすっきりした味わいが特徴で、ほのかな薫香に加えて森の若葉を連想するみずみずしい香りが楽しめます。
余市蒸留所で製造され、ニッカウヰスキーが販売する余市も代表的なノンエイジウイスキーです。
おだやかなカスクによる熟成香とフルーティーな香りが調和しています。
また、力強いスモーキーな風味も特徴であり、麦芽の香ばしさとオレンジの甘い味わいを持っています。
上記の項目で紹介した銘柄はサントリーで販売されているウイスキーが3種類を占めており、すべてジャパニーズウイスキーであるという共通点があります。
ジャパニーズウイスキーがノンエイジを選択する背景には蒸留所の原酒不足があげられます。
ミズナラ樽による熟成されたジャパニーズウイスキーが世界から評価を受けたことにより需要が高まりましたが、ウイスキーは短期間で供給を増加するのが難しいお酒です。
なぜなら、熟成に10年以上の期間を要することが普通であるため、原酒をすぐに用意できないからです。
よって、供給が追い付かなくなった結果、ヴィンテージ物のジャパニーズウイスキーは高騰しており、ボトルの価値が10倍以上になったケースも珍しくはありません。
原酒不足を解決するために熟成年数の若い原酒もブレンドできるノンエイジが販売されるようになりました。
ノンエイジはウイスキーのブレンドの自由度が高まり、ウイスキーの可能性を広げるものではありますが、原酒不足を解決する手段として利用されている現実があります。
ウイスキーのノンエイジについて解説しました。
熟成期間に縛られずにウイスキーをブレンド可能で、価格がリーズナブルであるため、ウイスキー初心者も手が出しやすいウイスキーになります。
しかし、ノンエイジが販売されるようになった背景には原酒不足があるので、熟成期間の若い原酒が多く使用されることで評価が低いノンエイジウイスキーも存在するため、ヴィンテージ物と比較して必ずしもノンエイジウイスキーが優れていないことを理解しておきましょう。