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- ウイスキー基礎知識
ウイスキーは凍結温度が水よりも低いので、家庭用の冷凍庫に入れても凍らないことをご存じでしょうか?
ウイスキーは冷暗所で保管することが基本であり、冷蔵庫に入れることは品質を悪くする原因になるので試したことはない方がほとんどではないかと考えます。
冷蔵庫に入れることはタブーとされているウイスキーですが、冷凍するととろみが出るなどの独自の魅力があるので、あえてルールを破ることで新たな味わいを開拓できるかもしれません。
この記事では、ウイスキー冷凍したときの魅力と冷凍庫に入れるときの注意点について解説します。
この記事のポイント
家庭用の冷凍庫は基本的に-18℃程度に設定されていますが、この条件でウイスキーを冷凍した場合、理論上はウイスキーは冷凍しても凍りません。
ウイスキーが凍らない理由は、アルコール度数が高く、凍結温度が低いことが挙げられます。
アルコール度数が15度程度であれば凍結温度は-7℃であるため、ビールやワインなどを冷凍庫で冷やすと凍ってしまうことが分かります。
一方でウイスキーは40度であれば-31℃、60度以上のアルコール度数を持つカスクストレングスの場合は-44.5℃となるので、家庭用の冷凍庫の-18℃の設定では凍らない可能性が非常に高いといえるでしょう。
個々の冷凍庫の性能や置く場所により、計らずも凍結温度に達してしまうケースも考えられるので、念を入れるなら直接冷気が当たる場所を避ければ、家庭用の冷凍庫でまずウイスキーが凍ることはありません。
ウイスキーを実際に冷凍した方は少ないと考えられますが、ウイスキーはアルコール度数が高いことから簡単には凍らないお酒なのです。
ウイスキーを冷凍庫に入れることはもちろん、冷蔵庫に入れること自体もウイスキーの品質を守るためにはタブーとされている行為です。
保管は日光が当たらず、涼しい場所で常温の場所を選ぶのがウイスキーの品質を下げないための基本になります。
ここから紹介するウイスキーの冷凍はウイスキーの品質を劣化させることを前提に、新たな魅力を開拓する飲み方であるため、試す場合は理解した上で行なってください。
ウイスキーを冷凍したときの魅力は3つあります。
それぞれ詳しく見ていきましょう。
ウイスキーの品質を守る上で冷蔵庫で保存してはいけない理由はこちらの記事をチェックしてください。
ウイスキーの保存に冷蔵庫は向かない!理由と正しい保管方法は?
冷凍したウイスキーを飲んで風味を表すときには「トロトロになる」といわれることが多いです。
ウイスキーを冷凍させるととろみが出て、独特の味わいになります。
とろみが出る理由について科学的に開設すると、水などの液体が凍る場合は、低温により分子の結合が起こる状態を指します。
ウイスキーを冷凍すると分子が結合することはありませんが、低温により分子の活動が鈍るため、流動性が低くなっている状態がとろみとして感じられるのです。
また、冷凍庫でスピリッツなどのアルコール度数の高いお酒を冷やして飲むことをパーシャルショットと呼んでおり、ウォッカやジンをはじめ共通してトロトロの飲みごたえになることで知られています。
ウイスキーとウォッカの違いについて知りたい方はこちらの記事をチェックしてください。
ウイスキーとウォッカの違いは? 製造方法・度数・カロリーを徹底比較
ウイスキーは銘柄によってクセの強い香りや、個性の強い味わいを持つので、そのままでは飲みにくいという方も多いのではないでしょうか。
冷凍するとウイスキーの香りと味わいは弱まるので、クセが強く飲みにくいウイスキーは冷凍することで飲みやすくなります。
ウイスキーの強いクセや味わいを緩和する飲み方は他にもいくつかありますが、すべて試した上でしっくり来ないのであれば、冷凍させてみるのも選択肢です。
ウイスキーを炭酸水で割り氷で冷やす飲み方にはハイボールがありますが、低温と炭酸の相性はよいため、冷凍させたウイスキーを使用するのも選択肢の一つです。
冷凍させたウイスキーはすでに販売されており、フリージングハイボール(氷点下ハイボール)があります。
一部のお店でしか提供されない商品になりますが、自宅の冷凍庫でウイスキーを凍らせる以外にも凍らせたウイスキーを試す方法が存在します。
自宅で作ることもできるので、ウイスキーを冷凍させて楽しむならフリージングハイボールも試してみるとよいでしょう。
ウイスキーと炭酸水の比率はウイスキー1:炭酸水3でも強い炭酸を味わえるので、1:4にするとウイスキーの風味をほとんど感じにくくなってしまう可能性もあるため、ウイスキー1:炭酸水3が理想です。
フリージングハイボールを自宅で作るときのポイントを下記にまとめます。
フリージングハイボールを作るポイント
基本的なハイボールの作り方に関する注意点はこちらの記事で紹介しています。
ハイボールにおすすめのスコッチウイスキーの選び方と注意点を解説
一方で、ウイスキーを冷凍庫に入れる場合は3つの注意点があります。
それぞれ詳しく解説します。
冷凍させたウイスキーの瓶が割れてしまうリスクはウイスキー自体が凍った場合に発生するので、一般的な家庭用の冷凍庫で凍らせる場合はリスクが低いです。
ただし、家庭用の冷凍庫ではなく、より強力な業務用の冷凍庫を使用する場合は、ウイスキーが凍ることが十分に考えられます。
ウイスキーが凍ってしまった場合は、体積が増えて膨張してしまい瓶が割れることがあります。
ウイスキーを冷凍する場合は、庫内の温度に気をつけて、直接冷気が当たる場所を避けるようにしましょう。
ウイスキーを冷凍させたときに、元のウイスキーと変化して色合いが変化する場合や、にごってしまうことがあります。
これは冷却濾過を行っていないウイスキーで発生しやすい事象です。
商品として販売される多くのウイスキーは冷却濾過をすることで、熟成の際に樽から溶け出した成分を取り除いています。
見た目や品質に影響することからこの工程を行いますが、カスクストレングスのウイスキーなどの一部の商品は冷却濾過を行わないノンチルフィルタード(ノンチル)と記載されていることもあります。
ノンチルであるウイスキーは、冷凍させたときに白くにごるなどの見た目が悪くなる変化が生じる可能性が高いです。
最後に、一度ウイスキーを冷凍させて品質か劣化するともう元には戻りません。
そのため、冷凍させる以外の楽しみ方ができなくなります。
ウイスキーを正しい状態で保存しなかった場合や、正しい状態で保管しても開封から半年以上経った場合も劣化が始まるので、一度劣化したウイスキーの品質が戻ることはないことを頭に入れておきましょう。
最初から冷凍させる目的でウイスキーを購入するか、品質が戻らないことを理解した上で冷凍させるようにしましょう。
ウイスキーの正しい保管方法はこちらの記事をチェックしてください。
ウイスキーは保管の仕方で味わいが変わる!注意したいポイントは?
ウイスキーを家庭用の冷凍庫で凍らせるとトロトロになるなどの変化が生じ、低温の強炭酸ハイボールであるフリージングハイボールを楽しめるようになります。
ただし、銘柄によっては見た目に悪い変化をもたらすこともあるので気をつけましょう。
やり方を間違えれば瓶が割れることもあり、ウイスキーの品質を劣化させることが前提であるため、試すのであれば自己責任で行うようにしてください。