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世界の五大ウイスキー!産地によって香りや味に違いが出る理由とは?

2021.09.13 / 最終更新日:2021.09.13

ウイスキーは産地によって香りや味に違いが出ます。それは気候や風土、伝統などさまざまなものが、原材料の選び方や製法に影響を与えるからです。

世界的に評価の高いウイスキーの産地は5つあります。アイルランド、スコットランド、アメリカ、カナダ、日本の5カ国です。これらの国々は、それぞれの風土に合うように製法を工夫し、個性的なウイスキーを生み出してきました。この記事では、ウイスキーの五大産地の特徴や違いについて解説します。

この記事のポイント

  • 産地ごとのウイスキーの特徴を解説
  • 五大ウイスキーの定義を紹介

五大ウイスキー産地その1:アイルランド

アイルランドでつくられるウイスキーをアイリッシュウイスキーといいます。アイルランドはウイスキー誕生の地といわれており、アイリッシュウイスキーがウイスキーの元祖というのが通説です。アイルランドはスコットランドの隣国です。アイリッシュウイスキーの歴史は古く、地理的にも近いことから、スコットランドのウイスキーづくりに大きな影響を与えたと言われています。

アイリッシュウイスキーの特徴は、穀物の香りが豊かで、口当たりが軽く爽やかな余韻が感じられる点です。銘柄はあまり多くなく、日本ではあまりメジャーな存在ではありませんが、世界的なウイスキーブームに乗って注目を集めています。カクテルのベースに使われることもあり、温かいコーヒーでつくるカクテル「アイリッシュ・コーヒー」が有名です。

<アイリッシュウイスキーの定義>

  • 原料に穀物類を使用している
  • 糖化には麦芽に含まれる酵素を使用し、酵母の働きによって発酵させる。
  • アルコール度数94.8%以下で蒸留する。
  • 木製樽に詰めて貯蔵する。
  • 熟成場所はアイルランド共和国内または北アイルランドの倉庫で、熟成期間は3年以上。

五大ウイスキー産地その2:スコットランド

スコットランドはシングルモルトウイスキーの本場で、そこでつくられるウイスキーはスコッチウイスキーと呼ばれます。ウイスキーの代表格なので、ウイスキーに関心のない人でもスコッチの名は耳にしたことがあるかもしれません。麦芽を乾燥させる工程でピートを燃やすため、その際に独特なスモーキーフレーバーがつきます。ピート由来のスモーキーフレーバーがスコッチウイスキー最大の特徴です

スコットランドには100以上の蒸留所があり、それぞれが個性的なウイスキーを生み出しています。蒸留所のある地域の気候や風土によって傾向に違いが見られるため、スコッチウイスキーの産地は更に6つに分けて説明されることが少なくありません。スペイサイド、ハイランド、キャンベルタウン、ローランド、アイランズ、アイラの6つです。それだけ細かく地域を分けて特徴を述べられるほど、ウイスキーづくりが盛んにおこなわれてきました。

スコッチウイスキーといえばシングルモルトが有名で、熟成の樽を使い分けるなどして多彩な原酒を作っています。それらを掛け合わせてつくるブレンデッドウイスキーにも、ジョニーウォーカーバランタインなど有名なものがあります。銘柄ごとの個性が強いシングルモルトに対して、ブレンデッドウイスキーは、ほんのりと甘く、穏やかです。

<スコッチウイスキーの定義>

  • スコッチウイスキーと呼ぶための定義は法律で細かく決められています。
  • 糖化、発酵、蒸留の工程をスコットランドの蒸留所で行っている。
  • 原料として使用できるのは、大麦麦芽などの穀物と水、酵母のみ。
  • アルコール度数94.8%以下で蒸溜する。
  • 容量700L以下のオーク樽を使用して最低3年以上熟成させる
  • 瓶詰時の最低アルコール度数は40%
  • 添加物としてしようできるのは水とカラメルのみ。

五大ウイスキー産地その3:アメリカ

アメリカでつくられるウイスキーはアメリカンウイスキーと呼びます。アメリカンウイスキーの代表格はバーボンウイスキーです。原料にはトウモロコシや大麦、小麦、ライ麦などが使われます。バーボンの主な産地はケンタッキー州で、夏の暑さも冬の寒さも厳しい地域です。

ケンタッキー州では、バーボンの主原料はトウモロコシと決められており、熟成に使用する樽も内側を焦がした新しいものでなければならないという決まりがあります。そのため、バーボンの最大の特徴は、樽由来の香ばしい香りとバニラの甘味が同時に現れる点です

ちなみに、アメリカンウイスキーの代表的な銘柄のジャックダニエルは、厳密にいえばバーボンウイスキーではありません。テネシーウイスキーという種類になります。テネシー州は、バーボンの産地ケンタッキー州のすぐ南側に位置し、テネシーウイスキーはバーボンとほぼ作り方が同じです。

そこにテネシー州内でつくられている、チャコール・メローイング製法でつくられているという2つの条件が加わるとテネシーウイスキーになります。チャコール・メローイング製法とは、テネシー産のサトウカエデの炭でろ過する方法です。これによって独特の味わいが生まれます。

<アメリカンウイスキーの定義>

  • 原料は穀物。
  • アルコール度数95度以下で蒸溜する。
  • 熟成にはオーク樽を使用。ただしコーンウイスキーは熟成不要。
  • 瓶詰時の最低アルコール度数は40%。

なお、ウイスキーの種類ごとに、生産地や原材料として使用できる穀物の種類、配合割合、使用する樽の種類、蒸留時と瓶詰時のアルコール度数などが細かく決められています。

五大ウイスキー産地その4:カナダ

カナダでつくられるウイスキーはカナディアンウイスキーといいます。五大産地でつくられるウイスキーの中では比較的口当たりが軽く、香りも味わいも爽やかで強いクセもありません

マイルドなものが多いので初心者でも飲みやすいといえます。また、主張が強すぎないため、カクテルベースとして活躍することが多いのもカナディアンウイスキーの特徴です。ウイスキーのカクテルとして有名なマンハッタンにも、よくカナディアンウイスキーが使われます。

<カナディアンウイスキーの定義>

  • 原料は穀物。
  • 麦芽等で糖化し、酵母を用いて発酵、蒸留している。
  • 糖化、酵母、発酵、蒸留、熟成をカナダ国内でしているもの。
  • 熟成に使用する木製樽の容量700L以下。熟成期間は3年以上。
  • 瓶詰時の最低アルコール度数は40%。

五大ウイスキー産地その5:日本

日本でつくられているウイスキーはジャパニーズウイスキーと呼ばれます。製法などは、スコッチウイスキーの流れを汲むものです。しかし、日本人の味覚に合わせて、スモーキーフレーバーが抑えられた結果、繊細かつ複雑な独自の味わいに発展しました。

日本は四季の移り変わりがはっきりしていて、季節ごとに異なる自然の恵みを受けられる環境です樽の種類を細かく変えるなど、繊細に作り分けられる原酒の多彩さは他の産地とは比べ物になりません。ジャパニーズウイスキーは世界の主要な酒類のコンペティションでも評価が高く、WWAやISCなどでは何度も世界一となっています。五大ウイスキーの中でもっとも繊細で複雑な味わいです。

<ジャパニーズウイスキーの定義>

  • 原料として使用するものは発芽させた穀類と水。
  • 原料を糖化、発酵させてできたアルコール含有物を蒸留。
  • アルコール度数95%未満で蒸留。
  • アルコールやスピリッツ、香味料、色素、水を添加しても構わない。

製法はスコッチウイスキーの流れを汲んでいるものの、定義としてはスコッチウイスキーほど厳しくありません。

五大産地の違いを知って好みのウイスキーを選ぼう

ウイスキーは、産地ごとに気候風土だけでなく、原材料の選び方や作り方にも違いがあり、それらが微妙な香りや味の違いにつながっています。

スコッチウイスキーの強いスモーキーさが苦手でも、ジャパニーズウイスキーくらい抑えてあれば魅力と感じるかもしれません。複数の産地のものを飲み比べて、自分好みの味わいを見つけてみましょう。

世界五大ウイスキーの詳しい特徴が知りたい方はこちらの記事をチェックしてください。

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