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- ウイスキー基礎知識
ウイスキーは製造の方法や、適切な保存状態にあれば腐らないことから、長期間の保有で希少価値が高まりやすいお酒です。
価値が上昇するかどうかは銘柄の人気や、熟成年数に大きく左右されますが、定価の10倍や100倍の価格になることも珍しくありません。
知識のある富裕層はスポーツカーや、美術品などの証券市場の下落に影響されない希少価値が高い実物資産を保有することで全体の資産が減少するリスクを軽減していますが、ウイスキーもその性質から実物資産の候補になります。
この記事ではウイスキーの希少価値が高くなる理由と値上がりするウイスキーを見きわめるポイントを解説し、希少価値が高い銘柄も紹介します。
この記事のポイント
ウイスキーの希少価値が高まりやすい理由は3つあります。
それぞれ詳しく解説します。
ウイスキーは「〇〇 12年」といったように銘柄の名前に熟成年数が表記されます。
この熟成年数はウイスキーの製造に使用した原酒の中でも最も若い熟成期間を表記するのが原則です。
よって、30年物のウイスキーであれば熟成期間が30年未満の原酒は使用されていないことになります。
熟成期間が30年のウイスキーの原酒を1から用意するためには30年以上かかるので、ヴィンテージ物の原酒を用意するのは難しいです。
また、近年のウイスキーブームにより、原酒不足に陥っている蒸留所もあります。
10年物のウイスキーでも原酒を製造するためには10年かかるので、突然の需要の増加には対応できません。
ウイスキーはその製造方法から需要と供給のバランスが崩れやすく、需要が増加すれば現存するウイスキーの希少価値も高まりやすくなります。
現在の需要に合わせて長期的に供給量を増やせば、需要と供給のバランスが崩れて将来的には価値が下がると考えるかもしれません。
しかし、需要が増加しているにも関わらず大量生産するのが難しい実情があり、ウイスキーの熟成に使用するカスクの調達が困難であることが挙げられます。
人気のウイスキー銘柄はシェリー樽やミズナラ樽によって熟成されたものが多いですが、どちらのカスクも現在では調達が困難であるため、新しく熟成を始めるための樽が不足しているのが現状です。
よって、大量生産をするならバーボン樽など比較的入手しやすい樽を利用して熟成させることになります。
カスクの調達が困難である現状では、伝統的な製法で製造する人気銘柄の生産量が需要を上回るほど増えることは考えられません。
カスクもウイスキーの材料の一部と考えるなら、材料不足で供給が増やせないといえるでしょう。
ウイスキーのカスクについて詳しく知りたい方はこちらの記事をチェックしてください。
このような現状でウイスキーの需要増加に対応するためには、伝統的な製法を守るよりも生産量を重視した形態に切り替える必要があります。
熟成に使用する樽を変更するのも1つの取り組みではありますが、熟成期間の若い原酒を使用したウイスキーが増えています。
ウイスキーにおいて熟成期間は必ずしも表記する義務はありません。
熟成期間を表記していないウイスキーのことをノンエイジウイスキーと呼びます。
年代を表記するウイスキーでは熟成期間の若いウイスキーは使用しにくいですが、ノンエイジウイスキーは熟成期間の若い原酒を含むさまざまな原酒が使用できます。
原酒不足の解決につながり生産量は上昇しますが、若い原酒を使ったウイスキーは愛好家から評価されないことも。
ノンエイジウイスキーが増えるほど、熟成を経たヴィンテージ物のウイスキーの価値が上昇することにもつながります。
しかし、ノンエイジウイスキーはウイスキーの可能性を広げる取り組みでもあります。ノンエイジウイスキーについて詳しく知りたい方はこちらの記事をチェックしてください。
年数表記がない「ノンエイジウイスキー」の魅力とおすすめの銘柄とは
ウイスキーの希少価値は高まりやすい理由を説明しましたが、今後すべてのウイスキーの価値が高まるわけではありません。
値上がりするレアなウイスキーには特徴があり、見きわめるポイントが存在しますので、希少価値が高まりやすいウイスキーの特徴を確認しましょう。
ウイスキーの価格は需要が高まるほど上がりやすいので、銘柄の知名度や人気が重要です。
特にウイスキーの発祥地とも呼ばれる本場のスコットランドで製造されるスコッチウイスキーの有名な銘柄や、近年、世界中から注目されているジャパニーズウイスキーの代表的な銘柄が挙げられます。
後ほど詳しく解説しますがスコッチウイスキーであればマッカラン、ジャパニーズウイスキーであれば山崎が希少価値の高いウイスキーとして有名です。
もちろん、マッカランや山崎以外にも人気のウイスキーは存在するので、知名度の高い人気のウイスキーから銘柄を選べば需要の増加によって希少価値が高まりやすくなります。
人気の銘柄であってもノンエイジウイスキーや、熟成期間の若いウイスキーでは希少価値は高まりにくいです。
ウイスキーの希少価値は熟成年数によって大きく左右されます。
なぜなら熟成にはコストや手間もかかるので長期熟成のウイスキーは限定的に製造されることが多いです。
よって、熟成年数が高いほど現存するウイスキーの本数も少なくなり、希少価値が高まりやすくなります。
熟成年数の長い年代物のウイスキーはコレクションを目的に集める愛好家もいるので、希少性が高く人気のウイスキーはオークションにおいて億単位で取引されることもあります。
年代物のウイスキーの価値や味について詳しく知りたい方はこちらの記事をチェックしてください。
年代物のウイスキーの価値とは?実際に高額で取引された銘柄も紹介
ウイスキーは適切な保管状態であれば腐らせずに保存ができます。
しかし、開封している場合や保存状態が悪い場合はウイスキーの品質が大きく低下し、価値が大きく下がる場合や買取不可能になります。
保存状態に気をつけていても、災害によって保管していたウイスキーがダメになってしまうことも。
開栓して飲まれるケースも含めて本数が減ることを考えると、限定生産されたボトルは時間が経つほど希少性が増すといえるでしょう。
また、箱などのウイスキーの付属品が付いていないことが大幅な減額要素になることもあります。
ウイスキーは世界中に愛好家がいるので、価値がまったくなくなることは考えにくいですが、減額要素によっては価値が0になることもあるので気をつけましょう。
それでは、具体的に希少価値が高いウイスキーの銘柄を紹介します。
それぞれ詳しく解説します。
ウイスキーを知らなくても銘柄の名前を聞いたことがある人も多いほど知名度が高いマッカランは人気のスコッチウイスキーです。
シェリー樽による熟成も含めて伝統的かつこだわりのある製法で製造されるマッカランはウイスキー初心者向けの銘柄であり、世界中の愛好家から愛されてきました。
定番の商品で一番若い熟成期間を持つ12年物の入手は難しくありません。
しかし、25年物になると価格が大きく上昇し、50年物以上の熟成期間を経たボトルの価格は100万円を超えることがあります。
また、世界で24本しか生産されていない60年物のボトルがオークションに出されたときは、日本円で約1億2,500万円で落札されました。
長期熟成のマッカランは人気の高い銘柄であるため希少価値が高まりやすいです。
ジャパニーズウイスキーの中で知名度が高い銘柄は山崎になります。
現行で販売されているボトルも品切れが続出しており、限定品や長期熟成でない場合でも供給が追い付かないことから価値が上昇している人気のウイスキーです。
山崎35年は定価50万円で販売されたにも関わらず、約4倍の200万円以上の価格が付けられました。
山崎55年は定価330万円で販売された後に、香港のオークションで日本円に換算して約8515万円の値が付いています。
ジャパニーズウイスキー全体の需要が増加していることから、代表的な銘柄である山崎は特に高い価格で取引されやすい銘柄です。
イチローズモルトは秩父蒸留所で製造されるジャパニーズウイスキーで、ワールド・ウイスキー・アワードを連続受賞しており、世界から高い評価を受けています。
秩父蒸留所は非常に小さい蒸留所であるため、生産量は少なく供給が追い付いていない状態です。
日本の職人がこだわりを持って作り出す完成度の高いウイスキーであり、生産量よりも質を重視しているからこそ希少価値は高まっています。
イチローズモルトの中でも希少価値の高いシリーズが「イチローズモルト カードシリーズ」であり、トランプの54種類のカードの数だけウイスキーの種類があります。
54種類すべてを集めたセットがオークションに出品されたときは、日本円で約9,770万円で落札されました。
トランプの数だけウイスキーを製造するというこだわりは、コレクターの意欲を刺激する限定品だったといえるでしょう。
イチローズモルトについて詳しく知りたい方はこちらの記事をチェックしてください。
秩父で生まれたウイスキー『イチローズモルト』とは?製法や種類をご紹介
グレンフィディックはシングルモルトウイスキーの中でも世界一の売り上げを誇った人気のウイスキーです。
シングルモルトの中でもクセが少なく飲みやすく、12年物であれば数千円程度で簡単に入手できるので、初心者におすすめされる銘柄になります。
しかし、歴史のある蒸留所で製造されていることから希少価値の高い長期熟成の銘柄も存在します。
それが、グレンフィディック 50年です。世界で500本しか販売されていない希少品であり、90年代にボトル詰めされたものですが約300万円の値が付けられています。
生産本数が少ないことと人気銘柄であることから、さらなる価値の上昇も予想できるでしょう。
グレンフィディックについて詳しく知りたい方はこちらの記事をチェックしてください。
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ベンネヴィスはスコットランドのハイランド地方で古くから製造されているスコッチウイスキーです。
甘くてまろやかな口当たりが特徴で、ハイランド地方でも人気のウイスキーになります。
ベンネヴィスで希少価値の高い銘柄は熟成期間が非常に長く、世界最古のウイスキーとも呼ばれるベンネヴィス 1926 63年です。
熟成期間の長さとボトル詰めが1926年であることから、レア度が非常に高く80万円の値が付きました。
同じスコッチウイスキーでもマッカランやグレンフィディックより知名度が低いこともあり、価格は控えめですが熟成期間とボトル詰めをおこなった年数を考えれば非常に希少性の高い銘柄です。
余市はテレビドラマ「マッサン」の影響もあり、ジャパニーズウイスキーの中でも高い人気と知名度を持つウイスキーです。
原酒不足に陥ったため現在では終売となっており、余市の名前を継承したノンエイジウイスキーのシングルモルト余市が販売されています。
よって、熟成期間が表記されている余市は熟成年数を問わずプレミア価格です。
ウイスキーは原酒を用意するのに時間がかかるので、供給することが長期的に難しい終売銘柄は希少価値が高まりやすいといえます。
ウイスキーの希少性について解説しましたが、今回紹介した具体的な銘柄の価値も年が経つほど上昇していくことが予想されます。
また、ウイスキーを投資対象として見る場合は、希少性を見きわめる必要があるので今回紹介したポイントや具体的な事例は価値の判断に役立つので覚えておきましょう。
ウイスキーの希少性を理解し、価値を判断できるようになればウイスキーの楽しみ方も広がります。