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ウイスキーの特級とは? 廃止となった 級別制度について解説!

2024.02.29 / 最終更新日:2024.02.29

古くに販売されているウイスキーに興味を持つと特級という表示について、気になる方もいるかもしれません。

特級の表示はかつての日本の酒税法によって記載されていたものであり、原酒含有率によって課税率が分けられていた時代特有の表記となっています。

現行の酒税法ではお酒の級別制度は廃止されており、ウイスキーにおける特級の表記はすでに過去のものとなっていますが、ウイスキーの古酒に興味があるなら知っておきたいところです。

この記事では、ウイスキーの特級について廃止となった級別制度について解説します。

この記事のポイント

  • ウイスキーの特級について級別制度から解説
  • 特級と表示されるウイスキーの入手方法を紹介

ウイスキーの特級とは

ウイスキーの特級とは、1989年に廃止された酒税法における級別制度の区分の一つであり、その中でも最高の段階にあるウイスキーに付けられる等級です。

特級のウイスキーと規定される基準はいくつかありましたが、その中でも重要視されていたのが原酒混和率になります。

これは原酒を水で薄めて、香料や着色料などを使用した商品を昔の日本ではウイスキーとして販売してきたことに由来します。

原酒混和率が高いほど高い税金が課せられることから、特級のウイスキーは非常に高価であり、級別制度が施行されている当時の日本では特級ウイスキーは高嶺の花であったり、憧れの対象として見られていました

日本固有の酒税法による課税が生み出した当時における高級なお酒が、特級と表記されたウイスキーでした。

1970年代から1980年代を生きた人々にとって特級ウイスキーは憧れの存在であるため、父・母、祖父・祖母などでウイスキーが好きな人であれば、当時の状況を詳しく聞けるかもしれません。

ウイスキーと税金の話はこちらの記事でも詳しく紹介しています。

ウイスキーの税率は?度数による計算方法と酒税法の基礎知識

ウイスキーの級別制度

ウイスキーの級別制度は二級、一級、特級の三等級に分類され、1940年の酒税法の級別制度の施行開始時には三級、四級、五級の分類もあったようです。

しかし、制度の正式な開始とともに、実質的に二級、一級、特級の三段階の分類にのみ落ち着いており、主に原酒混和率とアルコール度数によって等級が指定されました。

1953年の当時の基準では級別制度の基準は以下のとおりになります。

概要 二級 一級 特級
原酒混和率 それ以外 5%以上 30%以上
アルコール度数 40%未満 40%以上 43%以上

二級

二級ウイスキーは、原酒混和率が時代によっては5%以下、制度の変更によって7%、10%と原酒混和率が高められてきました。

1968年に7%以上の原酒混和率が指定されるまで、二級ウイスキーはウイスキーの原酒を含んでいなくても級別制度の基準だけを考えればウイスキーとして販売できた商品でした。

混ぜ物をするウイスキーを現在ではウイスキーと呼ぶのか賛否が分かれるところではありますが、二級ウイスキーは現在から考えればそれ以前の問題であったといえるでしょう

一級

一級ウイスキーは、二級ウイスキーとは異なり、少なくとも一貫して5%以上のウイスキー原酒が使用されている商品であったといえます。

原酒混和率も時代を経るごとに上昇しており、最終的には20%近い混和率で認められるようになりました。

特級のように高嶺の花や高級ウイスキーほどではないものの、日本のウイスキーでも一定の品質を持った印象となっていたことでしょう

特級

特級ウイスキーは、一般的に原酒混和率30%以上で、最も厳しい基準に置かれた当時としては価格的にも高嶺の花とも呼ばれたウイスキーです。

一時的に原酒混和率が変更されたこともありましたが、当時の基準において比較すると高い比率を誇っていたことは間違いありません。

今でもウイスキーというお酒に高級感のある印象を持つ人が多いのは、特級ウイスキーの印象が残っていることも理由として考えられます

ウイスキーの特級はいつまで続いた?

ウイスキーの級別制度は、1940年の施行開始から1989年まで続いており、この年を境に特級と表記されたウイスキーが市場から姿を消します。

ウイスキーは熟成などの過程から製造に時間がかかるお酒であることから、1989年までに販売されたウイスキーであれば、製造されたのはそれよりも前といえるでしょう。

級別制度の廃止はウイスキーの税負担を軽減する形となり、混ぜ物をしないウイスキーを当たり前のように購入できる現代にはそぐわないものであるため、時代の流れとして納得のできるものです

また、特級ウイスキーは、高い課税によって高額化したことから、ウイスキーに高級な印象を与えるようになった影響もあります。

当時の級別制度の施行自体に賛否はあると考えられますが、現在のウイスキー業界の現状を考えるなら必要がなく、マイナスになる制度といえるでしょう。

実際に多くの日本のウイスキーメーカーが級別制度に悩まされ、それでも創意工夫をして前に進んできた歴史があります。

特級ウイスキーという言葉だけを聞くと魅力的に聞こえるかもしれませんが、酒税法の級別制度は多くの人にとって歓迎されていたものではなかったことを理解しておきましょう。

特級と表示されるウイスキーは古酒を販売する場所で入手できる

特級と表示されるウイスキーは具体的に以下のような古酒を販売する場所で入手できます。

  • 酒店
  • オンラインショップ
  • オークションサイト

古酒を扱う酒店では、1989年以前に販売されていたウイスキーを取り扱うお店もあるかもしれません。

オンラインショップやオークションサイトなど、インターネットを利用するほうが特定の特級ウイスキーを購入しやすいです。

ただし、オークションサイトで落札する場合は、出品者の信頼性や偽物などにも注意して、慎重に取引するようにしましょう。

ウイスキーは保存状態が良ければ長期的に保管できるお酒であるため、今から数十年前のお酒であっても飲んで問題ありません

しかし、ボトル詰めの方法や保管方法などを理由に劣化が始まっている場合もあるため、理解して飲むようにしましょう。

すでに終売しているウイスキーであるため、プレミアが付くことが考えられ、現行で販売されている普通のウイスキーを購入するよりも値が張ります。

そして、特級であっても混ぜ物が入っている銘柄もあることから、必ずしも今のウイスキーよりも美味しいとはいえないかもしれません。

あくまで、美味しさを求めるのではなく興味本位で飲み、人によってはコレクションにすることから、愛好家向けの趣味といえます。

また、古いウイスキーを取り扱うバーであれば、特級表示のあるウイスキーを置いている場合もあるため、飲む方法であればバーに頼ることも考えられます

バーでウイスキーを楽しむために知っておきたいことをこちらの記事にまとめました。

バーでウイスキーを楽しむための頼み方は? 初心者にもわかりやすく解説

まとめ

ウイスキーの特級表示について紹介しましたが、あくまで酒税法における階級であり、現在のウイスキーと比較して特級ウイスキーが美味しいという保証を持っているわけではありません。

そのため、味わいを重視してウイスキーを選びたい方には縁のない表記かもしれませんが、1900年代のウイスキーを飲んでみたい方や、日本の高度経済成長期に思いを馳せたい方には向いています。

現在では愛好家向けの商品として古酒市場で流通している特級ウイスキーは、ウイスキーが保存期間の長いお酒であることから、今でも飲めるウイスキーとなっています。

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