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- ウイスキー基礎知識
山崎は、日本を代表するシングルモルトウイスキーです。ジャパニーズウイスキーのおいしさを世界に知らしめ、世界の五大ウイスキーの一角にまで引き上げた一番の立役者といっても過言ではありません。
あまりの人気の高さに原酒不足となり、出荷が一時ストップしたことは、ウイスキーファンならずとも耳にしたことがあるのではないでしょうか。この記事では、世界中のファンを魅了する山崎とはどのようなウイスキーなのか、味の特長やおいしい飲み方も含めて解説します。
この記事のポイント
山崎とは、日本初のウイスキー蒸留所が建設された場所の地名です。京都府にほど近い大阪府三島郡島本町山崎に山崎を生み出した蒸留所があります。日本人の手で国産の本格ウイスキーをつくりたいと考えていた、サントリーの創業者・鳥井信治郎氏は、蒸留所にふさわしい土地を大阪近郊に探していました。
そして、おいしい水が沸く自然豊かな山崎を最もふさわしい土地として選んだのです。山崎蒸留所が完成したのは1923年、初めての国産本格ウイスキー「白札」が発売されたのは、その6年後の1929年でした。ただし、最初の挑戦は、独特のスモーキーフレーバーが受け入れられず、大失敗に終わります。
しかし、一度の失敗であきらめる信治郎氏ではありませんでした。試行錯誤の末、1937年には「角瓶」を売り出し、ヒットさせたのです。その後も、国産ウイスキーの改良に情熱を燃やし続けた信治郎氏は、「オールド」や「ローヤル」などのヒット作を世に送り出し続けました。創業当時から積み上げられた十分な土台があったからこそ、敬三氏は夢を叶えることができたといっても過言ではありません。
日本ならではのシングルモルトをつくりたいと思ったとき、山崎蒸留所には既に多種多様な個性を持った原酒が何十万樽も出番を待っていたからです。いくら優れたブレンド技術があっても、組み合わせに適した原酒がなければ理想のシングルモルトはできなかったでしょう。クセを補い合える原酒を好きなだけ選べる環境があったからこそ、究極のヴァッティングが可能になったことだけは間違いないでしょう。
山崎は、世界の権威ある酒類のコンペティションで最高位の賞を複数回受賞しています。世界の4大酒類コンペティションは、ISC(インターナショナル・スピリッツ・チャレンジ)、IWSC(インターナショナル・ワイン・アンド・スピリッツ・コンペティション)、SWSC(サンフランシスコ・ワールド・スピリッツ・コンペティション)、WWA(ワールド・ウイスキー・アワード)の4つです。それらのいずれにおいても、高い評価を受けてきました。
山崎が世界にその名を知らしめたのは、最初にISCで金賞を受賞した2003年です。授所の際に、山崎12年は「noble」という言葉を添えて絶賛されました。それまで、世界には通用しないとされていたジャパニーズウイスキーに対する目が変わった瞬間です。
ブラインド・テイスティング審査における評価なので、香りも味もその実力が認められたといってよいでしょう。それ以降は、毎年のように、いずれかの種類が何らかの名誉ある賞を受賞し続けてきました。ジャパニーズウイスキーの存在を世界中に知らしめ、実力を見せつけたのが山崎だったのです。
山崎の種類は、熟成年数が違う4つです。同じ蒸留所で生まれ熟成されたシングルモルトですが、それぞれ香りも味わいも異なります。原酒をシェリー樽やバーボン樽、ワイン樽などに詰め替えて寝かせるため、その間にさまざまな香りや味わいが生まれます。樽ごとに異なる個性を絶妙にヴァッティングしているので、奥深さや広がりを楽しむ飲み方をしましょう。縦飲みして、熟成が進につれてどのように味が変化するかを楽しんでみるのもおすすめです。
基本の山崎はノンエイジなので、熟成年数に関係なく、山崎蒸留所の樽全体からお互いに高め合う原酒を選び抜いて組み合わせています。熟成年数が浅い原酒の持ち味も、熟成が進んだ原酒の持ち味も両方兼ね備えているので、それがはっきり感じられる飲み方がよいでしょう。
スモーキーな香りも口に含んだときの苦みも、スコッチウイスキーに比べると柔らかいので、ストレートでまずは楽しみたいところです。コクのある甘さとシナモンのスパイス感、イチゴの甘酸っぱいフルーツ感がダイレクトに感じられます。
香りを引き立てるなら、常温の水を小さじ一杯加えてみましょう。華やいだ香りが広がります。ほんの少し水を足しただけでも、香りや味わいが変化します。水を加えるときは、あくまでも少しずつです。自分好みの濃さで止めて最後まで余韻も楽しみましょう。水で割る際には、水の温度も重要です。ウイスキーはキンキンに氷で冷やすよりも、常温に近い温度で飲む方が味も香りもつよく感じられます。
冷やして飲むならロックもおすすめです。ロックに使う氷は純氷を選びましょう。コンビニやスーパーなどで売っている透明な氷です。自宅の製氷機で作った氷は割れやすく、直ぐに溶けてしまいます。氷が解けるということは加水したのと同じ状態です。飲んでいる最中にも香りや味が変化していってしまうため、溶けにくい氷を使う必要があります。純氷で冷やすとゆっくり溶けるので、山崎ならでは甘くコクのある香りや味を長く感じられます。
熟成の進んだ18年や25年はなかなか手に入りませんが、もし12年、18年、25年と異な熟成年数の山崎が手に入った場合には、ぜひ縦飲みをしてみましょう。同じ蒸留所の同じ銘柄であることをつい忘れてしまうほど、まったく別のキャラクターの顔になっています。口に含んで、共通点を探しながら、味わいや余韻の違いを楽しみましょう。
山崎の種類について詳しく知りたい方はこちらの記事をチェックしてください。
ウイスキー山崎の種類ごとの特徴は?熟成年数によって変わる味わい
さまざまな飲み方を楽しめる山崎ですが、ヴァッティングの妙を味わうなら、ストレートから少しずつ加水して変化を楽しんでみるのがおすすめです。
また、貴重な18年、25年物が手に入ったときには、12年物と飲み比べてみてもよいでしょう。少しずつ表情が変わっていく様子を楽しめるのが、究極のジャパニーズシングルモルト山崎の魅力です。