
【Exclusive Interview】Rare Find by Gleann Mòr Spirits- Greg Urquhart
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- ボトラーズ
アイルランドの中心に位置する、現在人口1万3000人のタラモアという町にあるタラモアD.E.W.蒸溜所。蒸溜所は58エーカーの広々とした敷地で、毎年1,100万リットルのウイスキーを製造しています。
1829年に設立された蒸溜所は、世界初の3回蒸留やカスクフィニッシュを行ったことで知られています。
今回、Dear WHISKYはタラモアD.E.W.蒸溜所のウイスキーツアーに参加し、ツアーガイドのブライアンさんに独占インタビューを行いました。
ツアーでは蒸溜所の施設をご案内いただきながら歴史などを伺い、ウイスキーのテイスティングも体験しました。インタビューではブライアンさんが働き始めるきっかけやおすすめのウイスキーも教えていただきました。ぜひ最後までご覧ください!
首都ダブリンから最寄りのタラモア駅まではアイルランド国鉄で1時間、更にタラモア駅から車で10分ほどでタラモアD.E.W.蒸溜所に到着します。
ツアーの概要は下記の通りです。
日時 | 月曜日~土曜日:10:00〜18:00 日曜日:11:00〜17:00 |
会場・主催 | タラモアD.E.W蒸溜所 |
公式サイト | https://www.tullamoredew.com/en-gb/ |
費用・所要時間 | €39/105分
最新鋭の蒸溜所を見学する「舞台裏」ガイドツアー |
ツアーの初めには、アイリッシュウイスキーでアレンジされたカクテル「アイリッシュ・コーヒー」が提供され、カクテルの誕生ストーリーを伺いました。ウイスキーとコーヒー、そしてクリームがなんとも絶妙なバランスで、とても美味しかったです!
アイリッシュ・コーヒーのレシピは公式ウェブサイトに掲載されています。冬の寒い時期にぴったりのアイリッシュ・コーヒーをぜひ作ってみてください!
コーヒー×アイリッシュ・ウイスキーのアレンジカクテル
1940年代初頭、シェフのジョー・シェリダン氏はアメリカの外交官たちと空港のバーに座っていました。その夜、大西洋上空に嵐が吹き荒れ、シェリダン氏らの飛行機は欠航になってしまいました。そこで待ち時間の間、乗客に体を温めて貰いたいという想いから、アイリッシュ・ウイスキーをベースとしたこのカクテルが考案されたそうです。
1829年、マイケル・モロイ氏がタラモアで蒸溜所を創設しました。
そして1862年にタラモアD.E.W.蒸溜所の名前の由来になった人物、ダニエル・エドモンド・ウィリアムズ氏が蒸溜所で働きはじめました。ウィリアムズ氏はアイルランドで教育を受け、14歳の若さで蒸溜所に入社しました。
ウィリアムズ氏が住んでいた場所から蒸溜所までは自転車で往復6時間もかかっていたため、月曜日の朝に蒸溜所に来て、平日は馬小屋裏の藁のなかで寝泊りし、金曜日の夕方に家に帰る生活をしていたそうです。大変な環境にあっても、努力と献身によってウィリアムズ氏は蒸溜所のマネージャーになりました。
創業者であるモロイ氏の死後、蒸溜所は甥のバーナード・デイリーやその息子へ継承されました。最終的に、デイリー氏の2代後で、ウィリアムズ氏が蒸溜所長となって経営を行いました。
ウィリアムズ氏が経営権を握ってから最初の改革は、ウイスキーの品質を向上させることでした。
ウィリアムズ氏は当時蒸溜所で製造していたウイスキーに満足しておらず、自身の好みのウイスキーづくりを始めました。
そして満足のいくウイスキーができあがると、彼はそのウイスキーに自身のイニシャルである”D.E.W.”という名前をつけました。この名前は英語の”dew”(露)と同じ綴りであることから、フレッシュで爽やかな朝というイメージも含まれているようです。
蒸溜所にはウイスキーが出来上がるまでの全工程をわかりやすく図に示したパネルが壁に掛けてあり、パネルをもとにツアーガイドさんによる解説が行われます。
タラモアD.E.W.蒸溜所のウイスキー製造における一番の工夫は、大麦が発芽するタイミングです。
大麦を発芽させる際に急速に乾燥させ、発芽プロセスを止めています。次に穀物を粉砕機にかけ、グリストと呼ばれる小さな格子状、または鋭利な破片に砕きます。
大麦を細かくすることで、その後の工程がスピードアップするとのことです。
ウイスキー製造の紹介パネル
ウイスキー製造の紹介パネルが掛けてあった壁は扉になっており、扉を全て開けるとその奥は発酵と蒸留の工場を眺められるガラス張りになっています。
この場所は2階にあるため、ウイスキー造りの全工程を上から眺めることができます。
ツアーでは蒸留の過程をガイドさんの説明を受けながら見学できます。また、蒸溜所の全工程を管理するコンピューターが置かれている、フロア奥の管理室の様子もガラス越しに見ることができます。
大迫力の工場
熟成中のウイスキーが何段にも積み上げられている熟成庫の中で、樽から直接汲んだウイスキーをその場で飲むことができる「ディップ・ザ・ドッグ」の体験が行われました。
倉庫内でウイスキーをいただくというシチュエーションは格別でスペシャルな体験になること間違いなしです!
Tullamore D.E.W. ROUGE 13 Years Old Single Malt Irish WhiskeyとTullamore D.E.W. Honeyは一部の売り場でしか手に入らない限定ウイスキーです。
タラモアD.E.W.蒸溜所を訪問の際は、ぜひショップでの購入をご検討されてはいかがでしょうか。
アイルランドのダブリン空港とタラモアD.E.W.蒸溜所のショップでしか手に入らない珍しいウイスキーです。
熟成にはバーボン樽とオロロソ・シェリー樽が使用され、蒸溜所にとって初の試みである、ボトリングの前にボルドーワイン樽での最終仕上げが行われているウイスキーです。
Tullamore D.E.W. ROUGE 13 Years Old Single Malt Irish Whiskey
Tullamore D.E.W. HoneyはチェコとタラモアD.E.W.蒸溜所内のショップのみでしか手に入りません。こちらもぜひ飲んでいただきたいウイスキーです。
滑らかなアイリッシュウイスキーとナチュラルボヘミアンハニーが組み合わせられて造られています。
リッチなハニーフレーバーのウイスキーはタラモアD.E.W.オリジナルの深みと個性を全て備えています。
Tullamore D.E.W. Honey
3種類のタラモアウイスキーを、他の参加者やガイドさんとお話ししながらテイスティングし、とても楽しい体験となりました。
今回テイスティング体験で試飲したウイスキーを紹介いたします。
テイスティンググラスでそれぞれの個性を感じる体験
チョコレート風味のアイリッシュ・ウイスキーで、ドライフルーツとナッツが入っており、まさにプラリネのような香りがします。
バーボン樽とシェリー樽を組み合わせたトリプルカスク熟成で、深みがありバランスの良い仕上がりとなっています。
Tullamore D.E.W. 12 Year Old
Tullamore D.E.W.は蒸溜所オリジナルのトリプルブレンド・アイリッシュウイスキーで、そのスムースさとマイルドながら複雑な風味で世界中の人に親しまれています。
3つのスピリッツがブレンドされ、他にはない風味のバランスが生まれています。
さらに、リフィル樽・バーボン樽・シェリー樽でトリプルカスク熟成され、深みがありバランスの取れた1本となっています。
Tullamore D.E.W.
デメララ・ラム樽で熟成され、キャラメル・デーツ・レーズン・バナナの香りにより、このスムースでフルーティーなトロピカルウイスキーに独特の風味がもたらされています。
ストレートでも、フルーティーなカクテルに使っても美味しく召し上がっていただけます。
Tullamore D.E.W. XO Caribbean Rum Cask Finish
Dear WHISKY:
タラモアD.E.W.蒸溜所ではどのような方がツアーガイドを行っているのですか?
ブライアンさん:
蒸溜所では様々なバックグラウンドを持つ人たちがツアーガイドを務めています。
私は大学で天体物理学を学ぶ傍ら、蒸溜所で働いています。
ツアーガイドには私のような学生や、普段はウイスキーとは関わりのない仕事をしている人がいる一方で、逆にタラモアD.E.W.蒸溜所で20年以上のキャリアを持つ人もいます。
Dear WHISKY:
様々なバックグラウンドを持つ方がツアーガイドをされているのですね!
普段ウイスキーに関わっていない方がガイドを行うのは大変ではありませんか?
ブライアンさん:
私たちはお客様の前でガイドを始める前にトレーニングを行っています。毎回説明する内容はスラスラと言えるように練習をしていました。またウイスキーについて知識を深めるために、他の蒸溜所のツアーに参加して勉強しました。
最終的にどのようにお伝えするのかは各ガイドたちの自由なので、それぞれの個性を活かしたスタイルでガイドを行います。
そのためどのガイドに案内してもらうかによって、ツアーの雰囲気が異なります。
Dear WHISKY:
ガイドさんによって雰囲気が変わるのは、何度参加しても楽しむことができそうです!
タラモアD.E.W.蒸溜所でウイスキーツアーを始めたきっかけは何ですか?
ブライアンさん:
それは蒸溜所の認知度を高めるためです。
多くの人たちにタラモアのウイスキーを飲んでいただいていますが、タラモアという町で造られていることをもっと知って欲しいと思っています。
Dear WHISKY:
蒸溜所がある場所も知っていただきたいということなんですね!
タラモアD.E.W.蒸溜所の環境的な特徴はどのような場所だと思いますか?
ブライアンさん:
なんと言っても、タラモアD.E.W.蒸溜所を囲むこの豊かな自然が特徴です。敷地内ではキツネやウサギ、キジなどたくさんの野生動物を見かけることがあります。
さらにこの蒸溜所から見える山から水を引いて、ウイスキー造りに使用しています。
Dear WHISKY:
タラモアD.E.W.蒸溜所が造っているウイスキーの中でブライアンさんのおすすめは何ですか?
ブライアンさん:
お客様によってオススメできるウイスキーは異なりますが、基本的にウイスキーは熟成期間が長ければ長いほどより滑らかになります。
そのため、私の好みはTullamore D.E.W. 12 Year Oldですが、Tullamore D.E.W. 18 Year Oldのほうが飲みやすいと感じられる方が多いので、2つともおすすめしております!
ツアーガイドのブライアンさん
以上、タラモアD.E.W.蒸溜所のウイスキーツアーと独占インタビューでした!
アイルランドの大自然に囲まれたタラモアD.E.W.蒸溜所で、ウイスキーが造られるプロセスをたっぷりと楽しめる105分間でした。ツアー内では蒸溜所の歴史や、ウイスキーづくりにおける工夫を伺うことができました。
また、テイスティングや蒸溜所内のショップでは、アイリッシュウイスキーの魅力を存分に感じることができました。
アイルランドを訪れた際にはぜひタラモアD.E.W.蒸溜所へ足を運ばれ、ツアーガイドさんのオリジナリティ溢れる解説を聞きながら、ウェルカムカクテルやティスティングを楽しんでみてはいかがでしょうか?