【独占インタビュー】ロバート・バーネカー、ソナト・バーネカー夫妻<第2弾> – KOVAL
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- 蒸溜所(海外)
小樽の西、積丹半島の付根に位置する余市。
スコットランドによく似た冷涼な気候であり、水源に恵まれたこの北の地に、”日本のウイスキーの父” 、竹鶴政孝氏が建てたニッカウヰスキー初の蒸溜所があります。
今回は余市蒸溜所に直接伺い、その様子をお送りします!現地レポートとなる今回の記事では、2022年2月に重要文化財に登録された歴史ある余市蒸溜所の様子をお伝えします!
またインタビュー編では、余市蒸溜所の工場長岩武さんに取材させていただき、ウイスキー造りへの想いや日本のウイスキーへの想いについて伺いました!こちらも是非ご覧ください!
蒸溜所名 | ニッカウヰスキー株式会社余市蒸溜所 |
創業(生産開始) | 1934年(1936年) |
本社所在地 | 北海道余市郡余市町黒川町7丁目6 |
電話番号 | 0135-23-3131 |
蒸溜所見学 | 蒸溜所見学について |
「一人でも多くの日本人に、本物のウイスキーを飲んでもらいたい」。
そのような想いを胸に、スコットランドでウイスキー造りを学んだニッカウヰスキー創業者・竹鶴政孝氏。彼が初めて立ち上げた蒸溜所が、この余市蒸溜所です。
創業当時の社名は「大日本果汁株式会社」。
ウイスキー造りの資金を集めるため、初めはリンゴジュースを販売していたことに由来しています。
この「日」と「果」をとって、現在の「ニッカ」になりました。
さらに、伝統的な石炭直火蒸溜方式を守り続ける、余市蒸溜所のウイスキーは、世界にも認められています。
2001年には、「シングルカスク余市10年」が、日本のウイスキーとして初めてWhisky Magazineの「Best of the Best」総合第1位を獲得しました。
JR函館本線余市駅に降り立ち少し歩くと、すぐに重厚な石造りに鮮やかな赤の三角の屋根の建物が見えてきます。
美しいアーチが印象的で、城砦のようにも見える正門をくぐると、まるで異国の地のような景色が広がります。
建物だけでなく広々とした芝生と茂る木々は、竹鶴政孝氏がウイスキーを学んだ本場スコットランドを想起させます。
余市蒸溜所ガイドツアーはここ、ビジターセンターからスタートします。
余市蒸溜所紹介ムービーやウイスキーの製造工程の展示など、余市蒸溜所とウイスキーを知ることができる情報が盛り沢山でした!
ここからは早速、製造過程に入っていきます!!
正門をくぐるとまず見えてくるのがこの乾燥塔(キルン塔)。
発芽した大麦をピートでいぶしながら乾燥させ、ウイスキーの元となる麦芽をつくる施設です。
現在は使われていませんが、突き出した2棟の赤い塔は、余市蒸溜所のシンボルになっています。
麦芽を粉砕し、温水を加えて撹拌させ、マッシュタンと呼ばれる糖化槽で麦汁をつくる施設です。
酵素のはたらきによりでんぷんが糖分に変わり、甘い麦汁ができます。
出来上がった麦汁に酵母を加え、醗酵工程に入ります。
酵母が麦汁の糖分をアルコールと炭酸ガスに分解し、もろみができます。
もろみは地下のパイプを通って蒸溜棟の蒸溜器(ポットスチル)に送られます。
次に、ここ蒸溜棟で、もろみを2回蒸溜します。蒸溜する装置である、ポットスチルを見せていただきました!
余市蒸溜所では世界で唯一、伝統的な石炭直火蒸溜によってウイスキーを造ります。
職人が石炭を火にくべ続け、800〜1,200度の間で温度調節を行います。
この蒸溜方法を取ることにより、力強く重厚なウイスキーが造られます。
重い石炭をシャベルですくい、火に入れる様子を間近で見せていただきました!
蒸溜されたウイスキーの原酒はここで樽に詰められます!
また、熟成を終えたウイスキーを樽から取り出し、混ぜ合わせる作業もここで行われます。
この貯蔵庫でウイスキーを熟成し、貯蔵します。広々とした建物の中に、ずっしりとした大きな樽が並んでいます。
適度な湿度が保てるように床は土のままで、外壁は夏でも冷気が保てるよう、石づくりになっています。
また蒸溜所内には、ウイスキー造りのためだけではない、様々な建物がありました!
蒸溜所内をさらに進むと、竹鶴政孝氏の執務室として建てられた旧事務所も発見しました!
重要文化財の一つでもあるこの旧事務所は、余市蒸溜所の発展を示す文化的資産として今も大切に保存されています。
次に辿り着いたのが、緑の屋根が可愛らしいリタハウス。
創業前の1931年に建てられ、1984年までの約50年間、ウイスキー製造工程の研究・ブレンド・成分解析など、研究室として使用されていたそうです。
この「リタハウス」という名前は、竹鶴政孝氏の妻、リタ夫人の名前を取ってつけられました。
この旧竹鶴邸は、竹鶴政孝氏とリタ夫人の住居として工場内に建設されました。その後、郊外に移設されましたが、2002年に工場内に再び移築されたそうです!
和洋折衷である建築が特徴的です。
最後に、ニッカミュージアムを見学しました!
こちらはウイスキーの貯蔵庫を改装した博物館です。
ブレンダーに注目した「ブレンダーズ・ラボ」 、ニッカの歴史を知ることができる「ストーリー・オブ・ニッカウヰスキー」 、「ディスティラーズ・トーク」 など、様々な角度からニッカのウイスキーづくりに焦点が当てられています。
また、竹鶴氏の人生を紹介する「竹鶴イズム」では、スコットランドでの実習の記録、日本初の本格ウイスキー誕生への道、リタ夫人との思い出など、パネルや愛用品といった貴重な資料を展示しながら紹介しています。
有料で試飲できる 「テイスティング・バー」もあり、たくさんの貴重なウイスキーを楽しむことができます。
ここからは余市蒸溜所限定で販売されている貴重なボトルをご紹介します!
皆さんも蒸溜所に足を運ばれた際はぜひお試しください!
強烈なピートの香りの中に塩キャラメルのようなスイートさがあり、後半にかけて米麹感が生まれます。ピートと潮の風味がふわっと広がる味わいの中には、カラメルのコクや黒胡椒のスパイシーさもあります。余韻には潮味がアクセントになり甘さが長く口の中にとどまります。
樽由来のオークの香りとバニラの香りがうまくミックスされています。さらにフレッシュでメロンを思わせ、カカオ、ホワイトオークの香りがあります。味わいはクリーミーさやバーボンタイプのバニラと、渋みも感じられます。後にはバニラの甘さがウッディで微妙に香り、ピーティーな仕上がりに変わります。
ゴム感と硫黄感が感じられる後にブランデーのような甘い香りが漂います。味わいは煮込んだリンゴとブルーベリージャムの甘さとほんのり塩味があり、オークの苦味とコクが感じられます。最後にはゴム状で甘くスパイシーな香りが残ります。
余市蒸溜所限定のブレンデッドウイスキーは驚くほど滑らかでバランスの取れたブレンドとなっており、余市の特徴であるほのかなスモーキーさと塩水の風味が親しみやすい形で表現されています。蜂蜜を思わせる甘さが果樹園のフルーツの香りとバランスを取り、最後まで心地の良いほのかな甘さが残ります。
カフェ式蒸留により、一般的なグレーンウイスキーに比べて原料由来の甘さや軽快な伸びのある芳香が特徴です。香りではウッディなバニラ香とチョコレートを焦がしたような甘い香りがし、舌触りはクリーンで軽いです。ウッディさを伴うバニラや蜂蜜のような甘い味わいを持っており、軽快なボディ感とともにすっきりと消えていきます。
宮城峡蒸溜所のモルトをベースとしたブレンデットモルトウイスキーです。香りは軽く甘いバニラととシェリー樽由来のフルーティーな香りがあり、口に含むと蜂蜜の甘味とフルーツの甘酸っぱさが広がります。華やかでやわらかい味わいが特徴のウイスキーです。
余市蒸溜所のモルトをベースとしたブレンデットモルトウイスキーです。フルーティーな甘い香りとピート香のスモーキーさがバランスよく感じられ、ほんのりとピートを感じる甘さと麦の香ばしさが豊かな味わいを表現しています。
以上、余市蒸溜所の現地レポートでした!竹鶴政孝氏が情熱を注いだウイスキー造りの歴史について深く知れる大変貴重な機会でした!また、重要文化財にも登録された建物は、その歴史を感じさせるほど重厚な作りになっていて、見どころたっぷりです。皆様もぜひお立ち寄りください!
さて、次回の余市工場長岩武さんへのインタビュー編では、余市のウイスキーの特徴や伝統、重要文化財登録の裏話、そして工場長としての岩武さんの想いについて伺いました!
貴重なお話ばかりでしたので、こちらも合わせてご覧ください!