【海外マーケット】WWA2024受賞ボトルを一挙ご紹介!
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国土の約70%が森林、約10%が水域(湖・河川)という「森と湖の国」フィンランド。2022年の世界幸福度ランキングでは1位に輝き、幸せな国というイメージを持つ人も多いのではないでしょうか。そんな自然豊かで幸せに溢れるフィンランドに Kyrö Distilleryという蒸溜所があります。Kyrö Distilleryとライウイスキーにはとても深いかかわりがあるようです。
この記事では、ライ麦について、ライウイスキーについて、そして「Kyrö Distillery」が造るライウイスキー「Kyrö Malt Rye Whisky」についてご紹介します。
ぜひ最後までご覧ください!
ジンが有名なKyrö Distilleryは元々、ライウイスキーを造るための蒸溜所でした。
創設者である5人の若者がライウイスキーを飲みながらサウナに入っていたとき、「ライ麦を多く生産しているフィンランドに何故ウイスキーの蒸溜所がないのか」という疑問を抱きました。その結果たどり着いたのが、蒸溜所を設立するということです。
紀元前3000年頃、ヨーロッパに麦の農耕文化が定着しました。しかし、フィンランドの位置する北欧のような寒冷地では、小麦の栽培が困難でした。そこで、小麦よりも低温で発芽させることができ、干ばつにも強いライ麦が盛んに栽培されるようになりました。当初、ライ麦は小麦の雑草だと考えられていましたが、寒冷地での作物、また冬に栽培できる作物として北・東ヨーロッパを中心に広まりました。
そのような歴史的背景もあり、フィンランドでは昔からライ麦パンが食されてきました。ライ麦パンは、今では最もフィンランドを代表する料理・食品として知られています。
原料の51%以上がライ麦で造られるウイスキーをライウイスキーと言います。ライ麦由来のかすかな苦みがあり、ピリッとしたスパイシーな風味が特徴的です。一般的に、ライウイスキーには未発芽のライ麦が使用されますが、発芽させたライ麦麦芽を使用すると、ライモルトウイスキーと呼ばれます。
17世紀頃からヨーロッパ系の移民が北アメリカ大陸に渡るようになり、ライ麦を栽培し始めたことで、アメリカ・カナダでライウイスキーの生産が盛んになりました。実際に19世紀のアメリカのウイスキーは、ライウイスキーが主流だったそうです。
その後ライ麦の価格高騰に伴って、生産が減少していきましたが、近年ではライ麦の健康食品としての価値が高まり、ライウイスキーに再び注目が集まっています。
「KYRÖ MALT」はフィンランド初のシングルバッチライウイスキーです。フィンランド産のライ麦を100%使用して造られています。こちらのライ麦は発芽したものが使用されており、「Kyrö Distillery」は発芽の酵素もライ麦由来で行っています。そのため「KYRÖ MALT」は通常のライウイスキーではなく、ライモルトウイスキーに分類されます。また、蒸留は2回行い、熟成はアメリカンホワイトオークの新樽をメインに使用しています。
このように、フィンランド産全粒大麦麦芽を100%使用して丁寧に蒸留され、輪郭がはっきりとした樽による熟成を経る過程が、独特の香ばしさとスパイシーさを生み出しています。また、ユニークな味の中にドライフルーツのような甘さ、どこか穀物の優しい香りも感じます。
この「Kyrö Distillery」が造るライウイスキー「KYRÖ MALT」は、2021年3月1日より初回240本が日本に割り当てて発売されました。「KYRÖ MALT」のユニークな風味は日本のウイスキーファンにも高く評価されています。
かつては小麦粉の代替品として栽培されていたライ麦ですが、小麦の生産が盛んになるにつれ、生産量が激減しました。また、ライ麦は国内で消費されることが多く、世界市場の小さい穀物でもあります。ライウイスキーはアメリカ・カナダのイメージが強いかもしれませんが、フィンランドのウイスキーでは、それらとは違った独特な香り・味わいを楽しめるかもしれません。
これからの活躍に目が離せません!