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【海外マーケット】英印貿易協定締結へ ウイスキーへの関税引き下げ見込み

2022.08.10 / 最終更新日:2024.02.10

英印両政府は2022年4月、共同声明で自由貿易協定(Free Trade Agreement 以下:FTA)の交渉開始を発表しました。
FTA内では関税や法制度による英国企業への貿易障壁を取り払うための交渉が行われています。

インド国内ウイスキーマーケットの現状

FTAによって、インド国内におけるスコッチウイスキー市場の拡大、更なる健全化が期待されています。現状、インドは世界最大のウイスキー市場を有し、スコッチウイスキーの取引量では世界2位、2019年には1億3100万本以上の取引実績をもちます。さらに2011年から2019年までに輸出量が200%増加しており、今後の成長が見込まれています。

インドへのスコッチウイスキー直接輸出量の年別推移

しかし、現在インドでは、スコッチウイスキーに対して150%の関税がかけられています。このような高関税はインド国内でのスコッチウイスキー価格の高騰を招き、販売の障壁となっています。同国内において、粗悪なフェイクスコッチの流通の原因にもなっているため、スコッチウイスキーの評判を貶める事態にまで発展しています。
また、複雑な貿易手続きもインド市場参入を妨げており、同国のスコッチの市場内シェアを2%にとどめている状態です。

交渉の行く末

今後FTAの締結により、関税や事務手続きなどの貿易障壁が取り払われることになります。それにより今まで参入の機会を失っていた小規模生産者にも市場が解放され、より多くの消費者へのアクセスが可能です。
また、関税の引き下げにより、販売価格への直接的な好影響が期待できます。インド市場内において、スコッチウイスキーはまだまだ高価であるため、プレミアム商品として扱われることに変わりありませんが、以前より手頃な価格でより多くの消費者が手にできるようになると考えられます。

SWA(Scotch Whisky Association)はFTAの正式な締結に伴い、今後5年間で10億ポンドの輸出額増加、インド市場内のシェア6%へのアップを見込んでおり、インド市場への大きな期待が感じられます。
実際、英政府もインド市場内でのスコッチシェア拡大には大きな関心を寄せており、FTA締結後には、英国内ウイスキー産業での雇用拡大、投資促進が予想され、経済効果は60億ポンドにまで登ると言われています。
インド政府もFTAによる経済への好影響を見込んでおり、関税を150%から引き下げたとしても、売上総本数が上がることによる、税収の大幅増を見込んでいます。また、スコッチウイスキーとインディアンウイスキーの公正な価格競争により市場が健全化されることが期待されます。

英=印間のFTAは、現在も交渉が続けられています。交渉の大部分は2022年10月末までに完了する見込みです。

※自由貿易協定:関税、輸出割り当てなどの貿易制限を一定期間、撤廃または緩和する取り決め
※SWA(Scotch Whisky Association) スコッチウイスキー産業の発展のために、各国政府などに働きかけ、法整備や税制に関する 意見表明などを行う組合

出展
Scotch Whisky Association
https://www.scotch-whisky.org.uk/insights/international-trade/uk-india-trade-talks/
https://www.scotch-whisky.org.uk/insights/international-trade/uk-india-trade-talks/

日本貿易振興機構
https://www.jetro.go.jp/biznews/2022/04/a332ea16e3c852e1.html

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