【イベントレポート】ザ・マッカラン 200周年記念エキシビション オープニングパーティー
- イベント(国内)
- 飲み手
2024年5月11日(土)、12日(日)の2日間にわたって開催された「Tokyo International BarShow 2024 / 東京 インターナショナル バーショー 2024」は、カクテル、ウイスキーなどを楽しみながら、バーやお酒への知識を深められる、酒類業界では最大級のイベントです。
第2弾では、当日行われた、ニッカウヰスキーのチーフブレンダー尾崎裕美さんによって行われた、ニッカウヰスキー90周年記念セミナーと、Dewar’s(デュワーズ)のマスターブレンダー であるステファニー・マクラウドさんのセミナーの様子をお届けします!
日本とスコットランドを代表するブレンダーならではのセミナーを、是非最後までお楽しみ下さい!
今年2024年はニッカウヰスキーが創業してから90年を迎える節目の年です。
今回のセミナーではニッカウヰスキーのチーフブレンダーである尾崎さん自ら、ニッカウヰスキーの創業者であり、日本のウイスキーの父と呼ばれる竹鶴政孝の生い立ちや、今もニッカウヰスキーに受け継がれる竹鶴政孝が思い描いたウイスキーづくりの理想を解説しました。
90周年に向けた取り組みのご紹介や6種類の異なるウイスキー原酒のテイスティングも行われ、ウイスキーLOVERには堪らない貴重なセミナーとなりました!
ニッカウヰスキー株式会社 チーフブレンダー 尾崎 裕美氏
ニッカウヰスキーに入社後は、生産技術研究所やアサヒビール株式会社の酒類研究所に配属され、様々なお酒づくりに関わった。2009年より栃木工場、仙台工場の品質管理部長を経て、2019年にウイスキーのブレンドを担当するブレンダー室長に就任。2021年からはニッカウヰスキーのチーフブレンダーを務める。 |
プログラム名 | アサヒビール株式会社「 ニッカ90年の原酒づくり」 |
出演者 | ニッカウヰスキー株式会社 チーフブレンダー 尾崎 裕美氏 |
日時 | 5/11(土)12:00-13:00 |
|
ステファニー・マクラウドさんは、最初はジョン・デュワー&サンズ社の品質管理チームに配属され、2006年からデュワーズの7代目マスターブレンダーに就任しました。1846年から続くデュワーズの歴史の中で初めてかつ、業界でも珍しい女性マスターブレンダーとして知られています。彼女のブレンディングスキルは、華やかでエレガントなテイストのウイスキーをつくることに長けているとの評価を受けており、International Whisky Competitionでは2019年から6年連続で最優秀マスターブレンダーオブザイヤーに選出されました。
ステファニー・マクラウドさんは、ブレンダーとしての確かな技術と独自のアプローチでデュワーズのブレンドを進化させ、世界中のウイスキー愛好家から絶賛されています。 |
プログラム名 | バカルディジャパン デュワーズのマスターブレンダー ステファニー・マクラウドがデュワーズの魅力について語る! |
出演者 | バカルディジャパン デュワーズマスターブレンダー ステファニー・マクラウド氏 |
日時 | 5/12(日)16:45-17:15 |
ステファニーさん:
皆様本日は、BarShowにお越しいただきありがとうございます。私はこのBarShowのために初めて日本に来ました。
まだ日本に着いてから2日しかたっていませんが、もう日本に恋をしています。
食事も美味しいですし、天気もいい。そしていい人ばかりのこの国が大好きです。今日はよろしくお願いします。
トムセン陽子さん:
BarShowの雰囲気はどう感じましたか?
ステファニーさん:
会場は多くの来場者で盛り上がっていて、皆さんのウイスキー、カクテルへの熱意にとても感銘を受けています。Dewar’sやバカルディの商品も楽しまれていて本当に感謝しかありません。
トムセン陽子さん:
先日、スコッチウイスキー業界最大の栄誉である、マスター・オブ・ザ・クエイヒに任命されたことへの思いを聞かせて下さい。
ステファニーさん:
任命されてとても光栄です。マスター・オブ・ザ・クエイヒに任命されるためには、キーパー・オブ・ザ・クエイヒという役職を10年間勤めなければ任命されないので、とても名誉ある役職だと思います。
トムセン陽子さん:
2006年にDewar’sの7代目マスターブレンダーに就任した経緯を教えて下さい。
ステファニーさん:
2003年にDewar’sのマスターブレンダーになるための修行を積まないかと、声をかけていただき二つ返事で「Yes!」と答えました(笑)そこから3年の修行を積みマスターブレンダーに就任しました。
トムセン陽子さん:
マスターブレンダーとして、普段はどんなお仕事を行っていますか?
ステファニーさん:
マスターブレンダーには様々な仕事があります。まずはスピリッツの開発をしていくこと、またブレンダーですから新たなブレンドの開発も行います。
どちらの仕事においても味を統一することを大切にしています。
また、マスターブレンダーは毎日多くの会議に参加します。新たなDewar’sのブレンドを決めるためのものであったり、新たなモルトウイスキーをつくるための会議であったりと、どの会議もDewar’sにおいて欠かせない会議です。
トムセン陽子さん:
マスターブレンダーの仕事のやりがいを教えて下さい。
ステファニーさん:
私の一番のやりがいは、Dewar’sの伝統あるブレンドを守っていくということです。これまでのDewar’sのマスターブレンダーたちが目指したものを受け継いでいくことは、大きなやりがいです。
私がブレンダーの仕事を行うにあたって、ある言葉を胸に持っています。オーストリアの音楽家グスタフ・マーラーの言葉です。
「伝統とは消えてしまった炎の灰を崇拝するのではなく、その時燃えていた炎を思い出しそれを今に生かしていくことだ」
この言葉を胸にブレンダーの仕事を行っています。
トムセン陽子さん:
マスターブレンダーの仕事で大変な事はなんでしょうか?
ステファニーさん:
これは私が一番大変な仕事だと思うと同時に、一番楽しい仕事の一つでもあるのですが、新しいブランド、新しい商品をつくることです。自分が作ったブレンドを消費者の方が楽しんでくださるのを見ることは、とても嬉しいです。
トムセン陽子さん:
ウイスキー業界における女性の活躍についてどう思っていますか?
ステファニーさん:
私はDewar’s初の女性マスターブレンダーとして就任しました。しかし私が最初で最後の女性のマスターブレンダーになって欲しくはないです。
現在、私のチームには女性が2人います。ゆくゆくは彼女たちにDewar’sを牽引する存在になってほしいと思います。
トムセン陽子さん:
Dewar’sはダブルエイジ製法などにみられるように、樽を大切にしていると思いますが、なぜ樽にこだわりをもっているのでしょうか?
ステファニーさん:
ウイスキーづくりにおいて樽は大きな役割を果たすため、樽にはこだわっています。
そもそもスコッチウイスキーの定義として、オーク樽で3年以上熟成させたウイスキーでなければなりません。それほどスコッチウイスキーにおいて樽が重要だと言えます。
これまで私は様々な樽を使ってきました。アメリカのバーボン樽、スペインのシェリー樽そして日本のミズナラ樽も使ってきました。最近はワイン樽の実験も始めており、フランス、イタリア、アメリカ、アルゼンチンのワイン樽の特徴の違いを検証しています。
トムセン陽子さん:
この樽へのこだわりがDewar’sの特徴の一つを担っているのですね
トムセン陽子さん:
ステファニーさんがブレンドされた、Dewar’sダブルダブル32年はどのような樽を使用しているのでしょう?
ステファニーさん:
Dewar’sダブルダブル32年はペドロヒメネスシェリー樽でフィニッシュをかけたことで、重厚感と高級感のある味わいに仕上げた商品です。
トムセン陽子さん:
Dewar’sダブルダブル32年の詳しい紹介をお願いします。
ステファニーさん:
まずは色についてです。とても美しいディープなアンバー色になっています。この色はペドロヒメネスシェリー樽で熟成させた原酒の特徴の一つです。
次に香り。とてもリッチで深みのある香りをしています。中でもスパイスの香りであったり、ブドウのような完熟の果実の香りやシナモンの香りが感じ取ることができます。
口に含むとその滑らかさに驚きます。これはダブルダブルシリーズでのみ採用している4段階熟成により生まれます。また、香りの際には気付かなかった、スモーキーさも感じ取ることができます。
トムセン陽子さん:
最後に今後のDewar’sブランドの展望、意気込みをお願いします。
ステファニーさん:
今後はDewar’sだけでなく、私たちが所有しているシングルモルトのウイスキーにも力をいれていきたいです。またブランド力の強化にも注力し、イベントや広告などでDewar’sブランドをより強固なものにしていきます。
現在Dewar’sでは、ホワイトラベルやDewar’s12年など手に入れやすい商品も多く展開しています。今後も皆さんに美味しいウイスキーを届けていきますので、どうぞよろしくお願いします。
またウイスキー業界により多くの女性が入るきっかけとなれるように、私自身もより一層頑張っていきます。
以上セミナー編でした!
ニッカウヰスキーのセミナーでは、竹鶴政孝から引き継いだ伝統を守りつつ、後世へより良いニッカウヰスキーのウイスキーを届けようとする情熱と未来へのエネルギーを感じました。
また、デュワーズのセミナーでは、デュワーズブランドをより強固なものにしていくという強い意志のもと、今以上に女性が輝けるウイスキー業界を目指すステファニーさんの姿が印象的でした。
どちらのセミナーでも、国や企業は異なってもブレンダーとしての役割と誇りには通ずるものがあるのだなと改めて感じました!
第3弾では、デュワーズのマスターブレンダー ステファニー・マクラウドさんと『東京 インターナショナル バーショー オフィシャル エグゼクティブ』を務めるデイブ・ブルームさん、さらにカクテル文化振興会 理事長の岸久さんへのインタビューの模様をお伝えします!ぜひお読みください!