山崎 ノンエイジ/NV(ノンヴィンテージ)とは? 味わいとおすすめの飲み方を紹介
- ウイスキー銘柄
アンノックはスコットランドのハイランド地方の中でも、小さい蒸留所、ノックドゥー蒸留所で製造されているシングルモルトウイスキーです。
ハイランドエリアとは広大な敷地に比例して、スコットランドの蒸留所のうち約4割の蒸留所がハイランドに集まっており、東西南北4つの地域に分類されています。
アンノックを製造しているノックドゥー蒸留所はハイランドエリアで一番小さく、場所は北ハイランドに位置しています。
しかし、ノックドゥー蒸留所は小さいながらも120年もの歴史を誇り、最も魅惑的な蒸留所の一つで、味には世界各国から高い評価を得ており、世界のワイン、スピリッツ、ウイスキーなどを対象に審査するインターナショナル・ワイン・アンド・スピリッツ・コンペティションでの受賞の他、過去にいくつもの賞を受賞しました。
この記事では、アンノックの種類と味わい、おすすめの飲み方を紹介します。
アンノックを含むハイランドモルトウイスキーの種類はこちらの記事で紹介しています。
ハイランドモルトウイスキーのおすすめ銘柄は?味や特徴の違いについて
この記事のポイント
北ハイランドは観光地に恵まれており、美しい湖畔や岩山などが数多く存在します。
蒸留所は海岸沿いに存在している箇所が多いため、香味にも潮の香りを感じるようなユニークさがあります。
北ハイランドで有名なウイスキー蒸留所といえばグレンモーレンジィ蒸留所やオールド・プルトニー蒸留所がありますが、こちらはビジターセンターなどもあり、観光スポットとしても楽しめます。
しかし、ノックデュー蒸留所はノービジターで山の中、バスなども通っていないので観光するのは厳しいところです。
スコットランドでも指折りのシングルモルトウイスキーをつくっている場所でありながら、残念なことですね。
ハントリーの北にあるノック村に建てられていて、すぐそばには標高420メートルのノックヒルの丘が迫っています。
蒸留所名のノックドゥー(KNOCKDHU)はゲール語で「黒い丘」の意味を持ち、銘柄名のアンノックは「小さい丘」という意味を持ちます。
1993年以前は蒸留所の名前でもある「 ノックドゥー」という商品名でしたが、ノックドゥーというブランド銘が、ノッカンドオやカードゥなどと紛らわしく誤解が起こりやすいことから、1993年に新しくアンノックというブランド名で販売されるようになりました。
古くからの伝統を現在まで継承しており、その伝統的な製法とは、気化したアルコールを凝縮するために、100年以上伝統的な銅製のポットスチルで蒸留していることです。
ハイランド地方で一番小さい蒸留所でポットスチル(蒸留器)も1対だけ所有しています。(例:グレンモーレンジイは12対)
しかし、サイズは決して小さくありません。
ウイスキーの発酵液に含まれる硫黄はウイスキーの風味を損なう原因ともいわれる物質ですが、ポットスチルで蒸留するとポットスチルの銅と硫黄が結びつきます。
この工程がウイスキーの風味を損なうことを阻止してくれるのです。
熟成については、バーボンカスクとシェリーカスクの原酒を使用して熟成されています。
熟成樽は、火成岩で覆われた安定した温度が保たれている貯蔵庫でゆっくりと長い期間をかけて熟成されます。
伝統的なポットスチルを使用していながら、現代の人にも好まれる味わいを作り出す蒸留所というのは非常に少数派で貴重です。
これが、ウイスキーにバランスの良い万人に好まれる味わいをうみだすポイントとなっています。
アンノックはテクスチャにまろやかなソフトさがあり、アロマはハチミツ、青りんご、生クリームの甘さから柑橘系、レモンやオレンジといった爽やかさがあります。
味わいはシェリー樽原酒とバーボン樽原酒の絶妙なブレンドが丸みのある味わいに仕上げており、甘味が飲みやすく、後味の酸味もありマーマレードジャムを想起させます。
ノックドゥーは、1892年にジョン・モリソン氏がハイランド地方西部にあるノックに土地を購入したことから生まれます。
蒸留所の建設を決めたのは、ノックヒルの麓で発見された泉の水が非常に良質だったためだといわれています。
発見後すぐに地主と契約が交わされ、当時としてはモダンで巨大な蒸留所の建設が始まりました。
当時はこの事業がどれだけ大きいものであったかは新たに鉄道駅が設けられ、蒸留所に引込線がひかれたことからも明らかです。
ところが、その後は不況と戦時中の大麦供給の制限により、2度の蒸留所閉鎖を経験しましたが、1982年世界中でウィスキーの需要が減少したため、再び閉鎖され、合計3度の蒸留所閉鎖を余儀なくされます。
1988年にインヴァーハウス社に買収されたことを経て、やっと蒸留所再開に持ち直しました。
アンノックの主要ラインナップをご紹介します。
バーボン樽とシェリー樽の原酒を使用しており、のテクスチャはやや黄色がかった優しく淡い琥珀色をしています。
薄い柑橘系の中に麦芽の香りを感じられるアロマです。
青りんご、ハチミツ、生クリーム、レモン、オレンジ、麦芽のほのかな香り。
味わいはライトで滑らかさがあり、後味の酸味もありマーマレードジャムを想定させます。
インターナショナルスピリッツ・チャレンジ2010(ISC)/銀賞とビバレッジテイスティングインスティチュート2010 /銀賞受賞の獲得歴があります。
アンノック16年はノックドゥー蒸留所の125周年と、創設者であるジョン・モリソンの理念を記念してリリースされました。
アルコール度数は56.3%と高めですが、アルコール特有のきつい香りは抑えられています。
色は淡い金色が美しく、アロマはクリーミィーなアーモンドやバニラ、キャラメルのようなとろりとした甘い表情です。
味わいは深みのある甘さで柑橘系のフルーツの中に微かにスパイシーさを感じます。
青りんごや甘いシャルロットケーキなどの味わいもあり、非常に複雑ですが、様々な味わいがバランスよく調和しています。
アンノック18年はスペイン産オークの元シェリー樽とアメリカンオークの元バーボン樽で熟成され、冷却濾過(チルフィルター)をしていません。
通常のウイスキーの工程では樽から出したままの状態だと温度が低くなった時に、溶け込んでいたうま味成分を含む沈殿物がでます。
そのため、チルフィルタード(冷却ろ過)を行うのですが、アンノック18年は冷却ろ過をしないノンチルフィルタードです。
常温の状態でフィルタリングを行うので、ウイスキーの味がダイレクトに味わえるという利点があります。
テクスチャはオレンジ色で、香りは柔らかくスパイシーがかっており、ドライフルーツの甘さが強烈なアロマを醸し出し、チョコレートオレンジにオイリーさも調和されています。
味わいは濃厚で芳醇なフルボディであり、スパイス、フルーツローフ、レモンピールからバニラ、ハチミツ、キャラメルといった濃厚な甘みが押し寄せます。
フィニッシュはペッパーのドライな感じから滑らかな甘みにゆっくりと変化をとげていきます。
アンノック12年はロックにすると甘みが少し抑えられてシャープな印象になります。
甘みが抑えられてスモーキーさが際立ち後から来る甘みと酸味が調和しておススメです。
加水すると少しぼやけた印象になり、甘みばかりが強調されるので、出来ればロックをおすすめします。
16年や18年はストレートがおすすめです。
長い不遇の時代を経てウイスキー業界がテクノロジー頼みになる中で、手作業での伝統的なウイスキー造りを守り続けるノックデュー蒸留所は職員全員が楽しく仕事をこなしています。
職場の楽しい雰囲気がウイスキーの品質に伝わって豊かな味わいを感じられるのかもしれませんね。