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アードベッグとは?種類や味わい、おすすめの飲み方

2022.04.21 / 最終更新日:2024.11.13

アードベックはスコットランドの南の小さな島、アイラ島で作られているシングルモルトです。
アイラ島はビギナーの方は聞きなれないかもしれませんが、ウイスキー通なら誰もが知っているウイスキーで名産地として有名です。

多くの種類のウイスキーが出荷されているアイラ島ですが、中でも個性的で人気があるのが今回ご紹介する『アードベック』です。アードベックは非常に個性的な味わいでアイラモルトの中で随一といっての魅力があるといってもいいでしょう。
小さな島で海沿いということもあり、潮の風味がありますが、世界で最もピーティー(泥炭)でスモーキーと言われる味わいが一番の特徴であり熱狂的なファンがいるほど注目を集めているといってもいいでしょう。

ピートの味わいはかなり強く、磯の香りも好みも出ますが、はまれば虜になってしまう美味しさです。特にこのアードベックはウイスキー愛好家の方でもすぐに虜になってしまう美味しさが詰まっています。この記事ではアードベックの魅力やおすすめの飲み方をご紹介します!
ぜひ最後までご覧ください!

併せてお読みください!

アードベックの特徴や味わい

蒸溜所外観の様子

アイラ島には9つの蒸溜所が稼働していますが、特に1815年に創業したアードベック蒸溜所は長い歴史を持っています。

アードベッグとはゲール語で「小さな岬」もしくは「小さな丘」という意味で、蒸溜所が建てられた場所に由来しています。仕込み水にはウーガダール湖から採水しています。ウーガダールとは「暗くて神秘的な場所」という意味で、この水はピート層を通ってきたため黒っぽい色をしています。

この水を使用しているのもスモーキーさの理由の1つです。

アイラ島は『ウイスキーの聖地』と呼ばれるほどウイスキー造りが盛んですが、中でもアードベックは『究極のアイラモルト』といわれるほどで『アードベギャン』というアードベックの熱狂的なファンも存在します。
そこまで万人を虜にする理由として、アードベックの美味しさの秘密にはピーティで潮の香りが強いだけではなく、調和された甘みがあるという部分にあります。

アードベックならではの製法1

スモーキーさとバランスのとれたフルーティーな甘みは蒸留器に取り付けられているピューリファイアー(精留器)によるものです。
ピューリファイアーが蒸留器についているのはアイラ島でアードベッグ蒸溜所だけです。

ピューリファイアーは非常に希少なもので蒸発したアルコール分が集まる蒸留器上部に直角に折れ曲がった細い管がついており、重い成分がこの部分に落ちて釜に戻ります。巨大な蒸留釜の上部沸点の違いを利用するのですが、高いアルコール分を取り出す蒸留はウイスキー造りでも重要な工程です。
フルーティで濃度の低いアルコール成分を取り出すことでスモーキーかつ甘みのあるスピリッツを作り出します。

アードベックならではの製法2

また、スモーキー通常ピートを使用する際はピートの煙で麦芽を乾燥させて、麦芽にいぶした香りをつけますが、アードベックは麦芽を乾燥させる際の燃料としてピートを使うことで、麦芽にピートの香りをふきこみます。
これによってアードベッグならではの独特なスモーキーな味わいが生まれるのです。

アードベックならではの製法3

アードベッグの製法で特徴的なのが「ノンチルフィルタード」を利用していることです。これは、冷却ろ過の工程をしていないということ。

通常のウイスキーの工程では樽から出したそのままの状態だと温度が低くなった時に、溶け込んでいたうま味成分を含む沈殿物がでます。そのため、チルフィルタード(冷却ろ過)を行うのですが、アードベックは冷却ろ過をしません。
常温の状態でフィルタリングを行うので、ウイスキーの味がダイレクトに味わえるのです。

アードベックの歴史

アードベック蒸溜所は1815年、創業者のジョン・マクドーガルによって、創業しました。創業後はオーナーの変更が相次ぎ、波乱含みの年月が続きますす。特に1980年代~1990年代にかけて、アードベッグ蒸溜所の生産はかなり不安定なもので、蒸溜所自体も事実上停止していました。
しかし、1997年にグレンモーレンジィによって買収されたのを機に工場は再建し、生産性も上がるようになりました。
2004年にはグレンモーレンジ社がLVMHに買収され、LVMHがアードベッグの実質的オーナーとなります。LVMHといえば、世界的に人気の高級ブランドバッグでおなじみの知る人ぞ知るルイヴィトンです。
実はLVMHはラグジュアリーなファッションブランド以外にもワインやシャンパン、スピリッツなども所有する企業でもあるのです。

幾度となく、窮地に立たされたアードベッグでしたが、現在はこの小さな規模の蒸溜所に世界中の熱狂的ファンを抱えて順調に稼働しています。

アードベックの種類

アードベッグの代表的な銘柄をご紹介します。

アードベッグ10年

 

画像引用:アードベックオフィシャルサイト

こちらはアードベックのスタンダードボトルです。

香りは強いスモーキーさとピーティさが感じられますが微かにフルーツの甘いかおりで、柑橘系のフルーティさと表現する人もいます。
味わいはアイラモルト特有のヨード・ピートとともにシガレットのような味わいも強くはいってきます。しかし、その後に青りんご、桃、レモンピールなどのフルーティな甘さとバニラのクリーミィな味わいが続いてやってきます。
フィニッシュはピートや麦芽の甘みがほんのりと感じられ、もはや一曲の音楽を奏でるように様々テイストが次々と駆け巡ります。

はじめは中々強いスモーキー感に圧倒されますが、最後の余韻は甘く飲みやすいテイストに仕上がっており、複雑で未体験の美味しさを堪能できます。
2008年シングルモルトウイスキーとして初めて「ワールド・ウイスキー・オブ・ザ・イヤー」を獲得しました。
スタンダードボトルの中では1番飲みやすい一品です。

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アードベッグ ウーガダール

画像引用:アードベックオフィシャルサイト

ウーダガールとは前述でもご紹介した、ウイスキーの仕込み水に使用している湖の名前になります。
アルコール度数は54.2度とかなり高くなっていますが、シェリー樽を使用アードベックのスモーキーなテイストに果実味の爽やかさがふんだんにプラスされている印象です。

果実味の爽やかさとスモーキーテイストが1番調和された銘柄といえます。

香りはまず、ケーキのような甘さから始まり、ナッツ類から革のあたたかみへうつり、アードベック特有のスモーキーさの中からレーズンチョコレート、そしてコーヒーの香りを感じます。
味わいは甘さとスパイシーさが調和されて舌にのり、そこから、甘いケーキを思わせます。
その後にスモーキーさと甘い蜜が出会い、最後は芳醇なシガレットがゆっくりと続いていきます。

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アードベッグ コリーヴレッカン

画像引用:アードベックオフィシャルサイト

『コリーヴレッカン』とはアイラ島の近くのジュラ島とスカバ島の間にある海峡の名前で、アイラ島付近にある世界で2番目に大きい渦潮があらわれることで知られています。

その大きな渦潮をウイスキーの強いスパイシーさに例えて名付けられたと言われており、実際にペッパーのひりつくような強い衝撃が舌の上でスパークします。
その後、ブラックコーヒーの苦みに移りベリー系の濃い喉が焼けるような甘味へと変化します

2010年にWorld’s Best Single Malt Whiskyを受賞しています。

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アードベッグ アン・オー

画像引用:アードベックオフィシャルサイト

3種の樽(バーボン樽、PXシェリー樽、新樽)の原酒をじっくりと時間をかけてなじませたウイスキーです。時間をかけた分、テクスチャーには丸みがあります。

スモーキーでピーティな強烈なアードベックの中では唯一まろやかなテイストが特徴的な一品となっています。

香りは桃やバナナといった甘い果実です。
味わいはクリーミィで甘く、チョコレート、キャラメル、オレンジの感じもあります。
後からスモーキーなシガレットの煙のような風味が追いかけてきて、フィニッシュに麦芽の甘みが楽しめます。

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アードベッグのおすすめの飲み方

アードベッグは、スモーキーでヨード香りが強く、それでいてフルーティといった調和が素晴らしいウイスキーです。そのため、1番のおすすめはその香りや味わいがダイレクトに感じられるストレートで飲むことがおすすめです。
ただ、種類によっては加水することで、香りが開いてアードベック特有の表情を見られるのも楽しいです。

例えば、アードベッグ ウーガダールは加水すると、香りにスモーキーさが強調され、プディングのキャラメリゼした部分のように焦がした砂糖のような甘さに変化します。
アードベッグ アン・オーも加水すると、香りが変化し、爽やかで人工的な香り、石鹸や森林、そして柑橘系になり、アードベッグ独特の香りが現れ、続いて燻製したハーブや磯の香りが最後に現れます。

まとめ

ピートが非常に強くスモーキーであるにも関わらず、繊細な甘さと高い品質で人を魅了してやまないその風味は、『ピーティーパラドックス』との愛称もあります。
この小さな蒸溜所は紆余曲折ありましたが、わずか30人程度の蒸溜所の職人達の巧みな技と努力で現在奇跡のウイスキー『アードベック』が飲めることを忘れてはいけませんね。
アードベッグは人気漫画の『刃牙』にも登場している銘柄です。ぜひ気になる方は漫画も読んで、ともにアードベッグを楽しんでいただきたいです。

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