山崎 ノンエイジ/NV(ノンヴィンテージ)とは? 味わいとおすすめの飲み方を紹介
- ウイスキー銘柄
カフェグレーンのウイスキーを耳にした方はコーヒー風味のウイスキーではないかという印象を持たれる方が多いでしょう。
しかし、そうではなく世界でも稀少な“カフェ式連続式蒸溜機”で製造されたグレーンウイスキーの種類であり、コーヒーは関係ありません。
世界で一番初めにグレーンウイスキーを作ったキャメロンブリッジ蒸留所の創始者のいとこであったロバート・スタインが1826年に連続式蒸留機を発明しましたが、その後、1832年にイーニアス・カフェがカフェ式連続式蒸留機をつくりだしました。
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カフェ式連続蒸留機の名前の由来は、発明した人の名前からとったものです。
カフェグレーンという銘柄はニッカウヰスキー宮城峡蒸溜所でカフェ式蒸留機で作られています。
今回はなぜ、カフェ式連続蒸留機が希少であり、ニッカはこだわりをもつのか、ひもといてみます。
この記事のポイント
現在ではスコットランドで生み出されたカフェ式蒸留機もほとんどみかけなくなりましたが、ニッカウヰスキー宮城峡蒸溜所では、世界でも希少価値の高いカフェ式蒸留機を使用しています。
グレーンウイスキーはクセは少ないが個性が少なくつまらない、というウイスキー通の方もいらっしゃり、「サイレントスピッツ」と揶揄されることもありますが、カフェグレーンは一般的なグレーンウイスキーに比べ、原料由来の甘さがしっかりと残っています。
それは、カフェ式蒸留機を使用しているからこそ生み出せる味わいなのです。
グレーンウイスキーの原料は、トウモロシ、ライ麦、小麦などの穀物です。
大麦麦芽を使用して発酵させた原料を連続式蒸溜機で蒸留することで、グレーンウイスキーが造られます。
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モルト・ウイスキーとグレーン・ウイスキーでは原材料や蒸留方法が違い、グレーンでは連続式蒸留機にはカフェ式蒸留機が複数内蔵されており、内部で単式蒸留器を複数回使用できるので、縦型の蒸溜塔を何段にも仕切り、もろみが上段から下段に流れながら分溜を繰り返すことによって、アルコール度数を高めていき、効率的にアルコール度数が高いウイスキーを製造することが可能です。
しかし、現在主流となっている連続式蒸溜機はアルコール精製度を高められる反面、香味成分までも除去してしまいます。
カフェ式連続蒸留機は初期に作られた連続式蒸留機であり、現在の連続式蒸留機は低コストで大量生産できることに特化するように改良されたためです。
現在の連続式蒸留機は手間がかからない分、ウイスキー産業に大きく貢献しているといえるでしょう。
一方、旧式で蒸溜効率は劣りますが、「カフェ式連続式蒸溜機」の蒸溜液には原料由来の香りや成分がしっかりと残ります。
ちなみにモルトウイスキーは単式蒸留器によって作られます。
単式蒸留器は「器」であり、連続式蒸留機は「機械」です。
これは、家内手工業から工場制機械工業に移り変わった産業革命の時代(19世紀)に発明されたためです。
単式蒸留器で作られる酒
連続式蒸留機作られる酒
※1. 単式蒸留を使用する場合もあります。
※2. ニュートラル・スピリッツとはジンやリキュールなどのベースとなるお酒。
画像引用元:ニッカウヰスキーオフィシャルサイト
ニッカ ブレンデッドウイスキーは、ノンピートモルト、ライトピートモルトを使用したモルトウイスキーと、「カフェ式連続式蒸溜器」で製造したカフェグレーンをブレンドしたブレンデッドウイスキーです。
ノンピートモルトとは、原料の大麦を乾燥させて大麦麦芽にする工程の際に、ピート(泥炭)を使わず、熱風で乾燥させるため、ピート由来のスモーキーフレーバーのない大麦麦芽のことをいいます。
ライトピートモルトはスモーキーフレーバーを少しつけた大麦麦芽です。
この2タイプのモルトウイスキーを使用することにより、ほんのわずかにピートの薫る、クセがなくやわらかい口あたりの味わいとなります。
カフェ式連続式蒸溜器は旧式で蒸溜効率が劣り、手間がかかりますが、蒸溜液には穀物由来の香りや成分がわずかに残ります。
それを熟成した後、モルトとブレンドすると、貯蔵後にモルトの個性を引き出しながら新たな香りと味わいを生み出します。
テクスチャは柔らかく丸みがあり、アロマは樽由来のウッディーなバニラ、ビスケットの香ばしさ、チョコレートやハチミツの甘さがあります。
味わいはライトなボディ、爽やかなウッディーとバニラ、メープルシロップが三位一体となる甘みでフィニッシュはライトで爽やかさがあります。
グレーンウイスキーはブレンドのベースとなる控えめなウイスキー。
しかし、無個性ではない複雑で芳醇な味わいを持つのがニッカの持つこだわりなのです。
製品情報 | |
アルコール度数 | 45度 |
内容量 | 700ml |
熟成期間 | 不明(5年~10年の間?) |
希望小売価格 | 6600円程度 |
ニッカウヰスキーの創業者である竹鶴政孝は、この蒸溜機を1962年に導入を決め、1963年に導入、1964年から本格操業を開始しました。
当時としても、あえて旧式のカフェ式蒸留器を採用したのは味への追究を極めようとした政孝の強いこだわりからでした。
カフェグレーン原酒が生まれるまで、ジャパニーズウイスキーは、モルトウイスキーと中性アルコールをブレンドして作られていました。
そして、ニッカカフェグレーンが欧州で先駆けて発売されたのが2012年で、発売まで長い期間をたどりました。
欧州で先行販売された、「ニッカカフェグレーン500ml」は、洗練されたウイス高品質なウイスキーを、バラエティー豊かな商品ラインナップや、洗練されたラベルデザインやパッケージなどで訴求し、「ワールド・ウイスキー・デザイン・アワード2013ベスト・グレーンウイスキー」を受賞しています。
欧州での販売が成功したニッカカフェグレーンは、2014年に日本でも発売が始まり世界的に好評価を得ています。
その証拠に、イギリスのスピリッツ専門誌「THE SPIRITS BUSINESS」においては、2014年に「THE MOST INNOVATIVE SPIRITS LAUNCH OF 2014」に選ばれています。
また、2017年にはインターナショナル・スピリッツ・チャレンジでは、ウイスキー部門カテゴリーの最高賞であるトロフィー賞を受賞しています。
ニッカカフェグレーンはストレートで飲むことを一押しいたします。
ニッカカフェグレーンのもつ最大の魅力である甘さ。
ほのかな甘さでありながら他のグレーンにはない厚みのあるしっかりとした味わいが口いっぱいに広がります。
樽熟成をされていない中性アルコールはアルコール特有の刺激があるので、ブレンデッドするにも柔らかい香味特性を持ち樽熟成されたカフェグレーンは「ソフト」な印象で味わいふかいものとして受け止められています。
現在は、カフェグレーンを用いた柔らかく飲みやすいウイスキーは「ソフトウイスキー」という新しいジャンルを生み出し、品質もより高いものとなっています。
カフェグレーンとお好みのシングルモルトで自家製ウイスキーをつくるのも最高においしそうですね!