山崎 ノンエイジ/NV(ノンヴィンテージ)とは? 味わいとおすすめの飲み方を紹介
- ウイスキー銘柄
ダルモアの味わいはスコッチウイスキーのなかではクセが控えめで初心者の方にもおすすめしたいウイスキーです。
とはいえ、日本ではどちらかというとあまりよく知られておらず、ウイスキー通の人が知る人ぞ知るといったところもあります。 少々不安な方、ご安心ください。今回詳しくご紹介しますが、ダルモア蒸留所は1839年創業という100年以上続いている由緒ある蒸留所でスコットランド北ハイランドのシングルモルトです。
100年以上の間に紆余曲折があり、蒸留所の現在の所有者は東南アジアの会社ですが、東南アジアでも非常に高い人気を誇っています。
また、1960年代からダルモアのシングルモルトはブレンデッドスコッチウイスキー「ホワイトマッカイ」のキーモルトとしても使われています。
ホワイトマッカイスペシャルは2013年と2014年にIWSC(インターナショナル・ワイン・アンド・スピリッツ・コンペティション)で金賞を受賞しています。
こちらも実績と歴史のある蒸留所のウイスキーなのでおススメのウイスキーです。
では、種類やおすすめの飲み方などについてご紹介いたしましょう。
IWSCについては以下の記事中盤に詳細にご説明しています。
トバモリーとは?種類と味わいとおすすめの飲み方を解説
ハイランド地方の北海に通じるクロマティー湾の入り江沿い、アルネスという町にあるダルモア蒸留所に位置しています。 ダルモアはゲール語で「川辺の広大な草地」を意味します。
地図上で確認すると名前そのままといったところですね。
この土地はクロマティー湾とブラックアイルを見渡す、大麦の豊かな土壌で、古くから周辺の山は鹿撃ちの名所として知られており、ダルモアのシンボルにも使われています。
ウイスキーボトルに雄鹿のレリーフが貼り付けられているのも鹿撃ちの名所ならではといったところでしょうか。
このレリーフは創業者のマッケンジー氏の祖先が、狩猟中に雄鹿の角で怪我をしたスコットランド国王のアレクサンダー3世を救ったことで、その御礼として雄鹿を模した紋章を与えたことが由来だそうです。
ダルモアが伝統的な製法に真摯的に取り組んでおり、麦芽やピート乾燥から独自の製法をとっています。
蒸留工程では、再溜釜にウォータージャケット(冷却装置)を取り付けて、雑味やオイリー成分を多く含む重たい蒸気を還流させ、釜に戻しまた蒸溜するという工程を繰り返し、不純物を取り除いています。
雑味の少ないクリアな味わいで飲みやすいのはこの工程ならではです。
また、現在はノンピートで造られているので更にのど越しがいいかと思います。
ピートのスモーキーな香りは好みが分かれるところもありますね。
ウイスキーのピートとは? ピート香の強いウイスキーの飲み方も解説!水は蒸留所の近くを流れるアルネス川の水を利用しています。 熟成工程もこだわっており、シェリー樽を中心に使用していますが、その他にも様々なワイン樽を使用してスピリッツにダルモア特有の風味をもたせています。
樽はシェリー酒の名門「ゴンザレス・ビアス社」から提供を受けています。
熟成は潮風にさらして長期熟成させることで、フルーティな味わいになるようにとの工夫もされています。
ダルモアの創業は1839年でその後1867年にマッケンジー兄弟が運営するようになりました。
経営は順調に進み、1867年にマッケンジー兄弟が譲り受けると同時に彼らと懇意であったジェームス・ホワイトとチャールズ・マッカイが設立したホワイト&マッカイ社のキーモルトとして使われるようになりました。
しかし、その後1917年には戦争で連合軍にウイスキーをすべて運び出され、蒸留所は閉鎖に追い込まれます。
蒸留所は地雷の組立工場として使われました。1960年代にはホワイト&マッカイ社と合併しましたが、マッケンジー一族が経営に携わっていました。
この合併でダルモアは設備投資の資本も得て、生産量を大きく伸ばし成長を遂げます。
しかし、2007年にUBグループに買収され、さらに2014年にフィリピンのエンペラドール社に買収されています。
所有者は変わりましたが伝統的な製法は変えず、多くの人に親しまれるシングルモルトとして人気があります。
日本でも手に入れやすいオフィシャルボトルを中心にダルモアの味わいをご紹介します。 他にも免税店用ボトルやシガーボトルなどの商品もあります。
引用画像:ダルモアオフィシャルサイトより
ダルモア12年はアルコール度数40度のオフィシャルボトルになります。
アルコール度はウイスキーの中では低めでもあり、アルコール特有の香りや下に乗せた時のピリっとした印象もないのでまるみがあり非常に飲みやすいウイスキーです。
鼻を抜けるのは柑橘系、オレンジピールのような酸味が印象的で、加えてレーズンチョコのような甘さのあるアロマ感があります。
かすかにシナモンの香りも漂います。
味わいはバランスが良く、フルーティでオレンジマーマレードのようにほのかにビターな感じが味わえます。
マイルドで飲みやすく、フィニッシュには潮の香りが感じられます。 非常に美味しく、喉の通りがよく飲みすぎに注意したいところですね。
引用画像:ダルモアオフィシャルサイトより
ダルモア15年はバーボン樽85%、シェリー樽15%の比率でヴァッティングして造られており、リッチで大人の味わいが楽しめる一品です。
アロマはレーズン・柑橘系のフルーティな香りに黒蜜などの濃い甘さが加わっている感じです。
味わいはレモンやライムなどの柑橘系にビターチョコレートの甘みと苦み、そこへシナモンやハーブのような爽やかさを持った味わいが乗ってくる印象です。
引用画像:ダルモアオフィシャルサイトより
ダルモア18年はバーボン樽で14年間熟成させ、後熟でシェリー樽で4年間熟成させて造られており、熟成が長い分、樽の木材の個性が存分に染み渡り、あたかもコーヒーの香りのような心地よさを感じることができます。
サンフランシスコ・ワールド・スピリッツ・コンペティションの2011年、2012年の2年連続でダブルゴールド賞を受賞しており、世界が認めているのも一品です。
深い森林を想像させるオーキーな香りに癒され、様々なスパイスとともに、チョコレートやカフェオレのような甘味が感じられ、それらが三位一体となって非常に複雑かつリッチな味わいを演出しています。
ダルモアは甘口でピート香もないので万人に飲みやすく、美味しいウイスキーでストレートのんびりと味と香りを楽しめますが、他の飲み方で味わいも変わりユニークさがあります。
流通量が多いダルモア12年を例に各種の味方の味わいの違いをご紹介しましょう。
水割りにすると、アロマは柑橘系が際立ちますがストレートのときと比較して大きな変化は見られません。しかし、味わいにヨード香(潮を感じる)が強めな印象になります。 おすすめの割合は、水1:原液1のトワイスアップです。
ハイボールにすると非常に爽やかな味わいとのど越しになります。
元々飲みやすいウイスキーですが、潮っぽさがわずかに感じられる程度に変化し、初心者の方にはさらに飲みやすくなるでしょう。
飲みやすく爽やかになりますが、ストレートの時に感じたビターな感じはなりをひそめ、フルーティなハイボールになります。
ダルモアは非常に飲みやすく、日本人には評判のいいウイスキーです。
どちらかというと強いコクやピート感が強いパンチの効いたウイスキーを好む海外ユーザーやウイスキー通の人には物足りない部分があるかもしれません。
ダルモア18年の味わいはニッカの宮城峡にもどこか味わいが似ているともいわれるのでジャニーズウイスキーが好きな方も是非一度試してみてください。