山崎 ノンエイジ/NV(ノンヴィンテージ)とは? 味わいとおすすめの飲み方を紹介
- ウイスキー銘柄
フェッターケアンはスコットランドのハイランド地方のシングルモルトウイスキーです。
フェッターケアンはハイランドの中でも東ハイランドで、エディンバラやクラスゴーなどの大都市に次ぐアバディーンという場所に位置しています。
アバディーンは石油採掘の場所として知られており、『ヨーロッパの石油の首都』とも呼ばれています。
蒸留所は海沿いに集中しており、有名どころも多くあります。
アードモア、グレンギリー、ザ・グレンドロナック、ロイヤルロッホナガーなど。
その中にフェッターケアンもあります。
東ハイランドのウイスキーと言えば、ピート香は穏やかですが、ドライな味わいが印象的な銘柄が多いのもよくしられています。
さて、フェッターケアンはどうなのでしょうか。
本記事ではフェッターケアンの種類と製法と歴史について解説し、おすすめの飲み方も紹介します。
この記事のポイント
1824年に創立したフェッターケアン蒸留所は認可された蒸留所でも最も古い蒸留所の一つで、場所は東ハイランドのアバディーンから南西40㎞下ったところにあるケアンゴルム山脈の麓にあるフェッターケアン村に位置しています。
フェッターケアンとはゲール語で「茂みの斜面」という意味です。
創業者は蒸留所の土地一帯の領主であるサー・アレクサンダーラムゼイという人物です。
蒸留所は元はネザーミルという名前でしたが、蒸留所が創業を開始した工場の建物を改築したことにちなんで改築したことにちなんで村の名前を蒸留所の名前にしました。
1823年に酒税法改正が制定される前まではウイスキーの密造が頻繁に行われており、隠れ密造者を雇って本格的な設備を投資していましたが、1823年に酒税法改正が制定されてから蒸留所の稼働を決意したということです。
政府の認可がおりたのはザ・グレンリヴェットに次いで2番目の早さでした。
19世紀の終り頃にはフェッターケアン蒸留所のオーナーはサー・ジョン・グラッドストンという人物になりましたが、彼は英国首相を4度も務めたウィリアム・ユワート・グラッドストンの父親でした。
蒸留所は今でもグラッドストン家の敷地内にあります。
1887年には蒸留所が火事になる等して3年間の閉鎖を伴いましたが、その後再開して運営は安定していました。
しかし、買収とともに1926年には蒸留所が閉鎖されます。
それから蒸留所は1939年にAssociated Scottish DistillersLtdに買収されてから稼働にいたりましたが、買収が繰り返され、数度オーナーが変わることになります。
そのさ中で1960年代にウイスキーブームが訪れ、ポットスチルを2基から4基に増やすなど設備投資にも余念がなく、生産能力をあげていきました。
その後、現在はホワイト&マッカイ社の傘下に落ち着いています。
ウイスキーフェッターケアンは原料にこだわりを持っています。
フェッターケアン蒸溜所の仕込み水は、グランピアン山脈の一部であるケアンゴルム山地の透き通った湧水を使用しています。
この水は仕込み水だけではなく、ポットスチルの冷却用にも使用されているとのことです。
大麦を大麦麦芽にする過程をモルティングと言いますが、フェッターケアンでは1960年代までは伝統的なフロアモルティングを行っていたそうです。
現在はコストや品質の面からも大麦麦芽は専門の業者から購入しているそうです。
この大麦麦芽はピートを一切使用していないのでスモーキーな香りはないノンピートのものです。
発酵はフェッターケアン蒸溜所ではオレゴンパインの木製発酵槽11基で56時間をかけて行い、最終的にはビールにも似ている味わいの8%のもろみを作っています。
そして、この蒸留所でオリジナルの変わった製法といえば、冷水器が取り付けられており、それがシャワーのようにポットスチルの再留釜の上部から振りかけられるという点です。
この工程を踏むことで軽い成分だけが蒸気として上昇し、銅とアルコールの接触を増やすことでフェッターケアン独特の味わいをだしているのです。
また、熟成庫は、伝統的なダンネージ式の熟成庫を使用しており、樽は最高でも3段までしか積まれません。
熟成に使用する樽は、ホワイト&マッカイ社経由で最高級シェリー樽とアメリカンオークのバーボン樽を厳選して使用しています。
フェッターケアンの味わいはどちらかというと正統派。
麦芽の甘い香り立ちに香ばしいナッツのようなフレーバーが特徴。
ホワイト&マッカイのキーモルトとしてもしられています。
非常にクリーミィできれいなイメージがあります。
そして日本酒、清酒、甘酒、炊いたお米、フルーティさもあり、シトラス、シトラス味クリームや青りんご、焼く前のクッキーの生地や食パンの白い部分、バニラ、弱くシナモンなど洋菓子感があります。
味わいは香り以上に感じるのはミルクチョコレートや砂糖の入った甘いコーヒー、滑らかで飲みやすい感じで香りのボリュームも高いです。
まったり柔らかみがあり清涼感とは少し違う感じです。
フェッターケアンは最近リリースされたボトルで原料の大麦のチョコレートモルトを使っています。
チョコレートモルトは実際にカカオを使うわけではなく、大麦をチョコレート色になるまで焦がすということです。
実はグレンモーレンディでも使われていおり、シグネットという銘柄でもチョコレートモルトが原料になっています。
16年はチョコレートモルトで作ったウイスキーをファーストフィルバーボン樽で熟成し、最後の2年間のみシェリー樽とポートワイン樽でカスクフィニッシュしています。
味わいはスムースで飲みやすいですが、複雑な味わいはありません。
スルスルとのど越し良く入っていくウイスキーといえるでしょう。
アメリカのバーボン樽で熟成、色は琥珀がかかったゴールドです。
味わいはバナナ、柑橘系の果物とプラム、レーズン、イチジク、ジンジャーブレッドと組み合わせた感じ。
フィニッシュにかけて洋ナシ、スパイス、カラメルをかけたオレンジなど。
アメリカンホワイトオークのバーボン樽で熟成した28年はテクスチャはきらめく美しい黄金色で味わいはパイナップルとメロン、温かい生姜と甘草からトリークル、バナナへとうつります。
フィニッシュにかけてクルミ、バニラ、スパイスで和らげたオレンジピールと黒胡椒。
コーヒー、アプリコット、そしてほんのり甘いバルサミコ酢がきいています。
画像引用:Amazon.co.jp
アロマはヨード、洋ナシ、青りんごの皮、こもったレモングラス、パプリカパウダー。
味わいはアロマのイメージより甘く、フルーティでバニリンな洋ナシ、奥にはしっかりしたヨード、フィニッシュにはジンジャーの余韻が長く続きます。
画像引用:Amazon.co.jp
こちらは1977年12月23日に蒸留され、ヴィンテージのバーボンカスク熟成原酒をゴンザレス・ビアス社の”アポストレス”パロ・コルタド・シェリーカスクでフィニッシュしたものになります。
色は暗めの琥珀色をしており、味わいは最初は蜂蜜、糖蜜、生姜、タフィーアップルなど。
フィニッシュにかけて甘草とバルサミコ酢、柑橘類とレーズンからソフトスパイスとトロピカルフルーツの見事なフィニッシュでバランスが取れています。
画像引用:Amazon.co.jp
フェッターケアン 46年は、現在オフィシャルでは終売しており、入手困難なボトルといえるでしょう。
味わいは、レーズンやビターチョコレート、イチジクや熟したバナナを感じさせます。
フィニッシュは、スパイスをきかした洋ナシやベイクドオレンジになります。
50年は1966年6月11日に蒸留され、アメリカンホワイトオークバーボン樽で熟成され、タウニーポートパイプでカスクフィニッシュしました。
味わいはジンジャーやスパイスのドライ感、オレンジピール、リンゴから始まり、チェリーやプラムなどへ変わっていきます。
フィニッシュにかけてスパイスの効いた柑橘類、コーヒー、キャラメルをかけたリンゴなどへ変化していき、ポートワインや香ばしいアーモンド、焦げたカラメル、甘草にたどりつきます。
画像引用:Amazon.co.jp
フィオールとはゲール語で「純粋」、「真実」の意味を表します。
フェッターケアン・フィオールは年数表記がなく世界で9000本の限定品となっており、
中々、貴重でお目にかかるのは難しいかもしれません。
味わいはビターチョコレートやイチジク、熟したバナナなどが代表的な感じです。
シェリー樽とファースト・フィルのバーボン樽で熟成させた15年熟成原酒60%、14年熟成原酒25%と、ヘビー・ピートの5年熟成原酒15%をブレンドしたボトルとなっています。
おすすめの飲み方はストレートです。
熟成年数の若い銘柄はハイボールにしても美味しいですが、長熟ものはストレートでじっくりと香りをたのしみましょう。
フェッターケアンはホワイト&マッカイのキーモルトとして使われ、ともすれば個性の強いダルモアの影に隠れがちではありますが、シングルモルトは自己主張の強い濃厚で魅惑的なフレーバーを放ちます。
是非、ご興味のある方はご賞味ください。