山崎 ノンエイジ/NV(ノンヴィンテージ)とは? 味わいとおすすめの飲み方を紹介
- ウイスキー銘柄
グレングラントは、スコットランドのスペイサイドで作られるスコッチウイスキーの1つであり、イタリアではウイスキーといえばグレングラントといわれるほど人気と知名度が高いです。
ブラックバーンと呼ばれる黒色の仕込み水によって造られたこちらのウイスキーは、これまで数多くの賞を受賞してきました。
また、グレングラントは「Simplicity(飾り気がない)」をモットーにしており、その言葉通りシンプルでありながらも完成度の高いウイスキーです。
この記事ではグレングラントの種類と味わいを紹介し、おすすめの飲み方についても解説します。
この記事のポイント
グレングラントはスコットランドのスペイサイドでもローゼス町のはずれで作られるウイスキーであり、マッカランやグレンリベットと同じスペイサイドで作られています。
他のスペイサイドウイスキーと同様にフルーティーで甘い味わいを持っていますが、知名度や人気は世界でも最高水準の評価を受けるマッカランやグレンリベットと比較すると劣ります。
しかし、イタリアではスコッチウイスキーのシングルモルトの中でも最も知名度が高く人気のウイスキーです。
グレングラントの種類や味わいを紹介する前にグレングラントの基本的な情報について見ていきましょう。
グレングラント蒸留所の近くにはグレングラント川が流れており、この川の水をウイスキーの仕込み水として使用しています。
この川の水は黒色であり、ブラックバーンと呼ばれることもあります。
なぜ川の水が黒に変化するのかといえば、川の水がウイスキーの乾燥にも使用される燃料のピート(泥炭)を潜り抜けることでピートの色が水に移るからです。
グレングラント川の水はスコットランド高地の地層でろ過された良質な天然水であるため、ウイスキーの仕込み水としては最高レベルの品質を持った水になります。
高品質な水がピートと交わる自然の摂理を利用した仕込み水は、グレングラントのスコットランドの自然に従ったウイスキー作りを体現しているといえるでしょう。
ウイスキーのピートについて詳しく知りたい方はこちらの記事をチェックしてください。
ウイスキーのピートとは? ピート香の強いウイスキーの飲み方も解説!
グレングラントはイタリアで最も身近で知名度が高く、人気のウイスキーとなっています。
グレングラントがスコットランドだけでなく、イタリアで国民的なウイスキーになった理由は創業者のグラント兄弟が輸出に積極的であったことが挙げられます。
鉄道を敷いて自分たちのウイスキーを大量に輸出することを計画し、ウイスキーを初めてスコットランド以外に売り出したのもグラント兄弟でした。
このことから現在のイタリアでも最初に入ってきたグレングラントが親しまれている理由となっています。
グレングラント蒸留所の現在のオーナーは、イタリアのカンパリ・グループ社です。
イタリアの大手酒造メーカーであり、イタリアで生産される苦味のあるリキュールであるカンパリ(カンパーリ)を製造したことで有名です。
グレングラントはスコッチウイスキーでありながらイタリア人に愛されているウイスキーになります。
グレングラントはウイスキーに関する数多くの賞を受賞してきた実績のあるウイスキーです。
ジム・マーレ―氏によって発行されるウイスキー雑誌であるウイスキー・バイブルのベスト・シングルモルト賞を5年連続受賞し、その年のシングルモルトNO.1の称号であるシングル・モルト・オブ・イヤーとスコッチウイスキーの中でも1番評価されたウイスキーに贈られるスコッチ・オブ・ザ・イヤーを受賞しています。
他にもサンフランシスコ・ワールドスピリッツ・コンペティション2021においてダブルゴールド賞、日本でも東京ウイスキー&スピリッツコンペティション2021洋酒部門で金賞を受賞した実績があります。
上記の受賞歴は一例に過ぎず、グレングラントはさまざまな品評会で高い評価を受けてきました。
100年以上販売されたきた伝統あるウイスキーということもあり、実績は申し分ないといえるでしょう。
それでは、グレングラントの種類を紹介し、その味わいについても解説します。
それぞれ詳しく解説します。
※ボトル画像はすべて「https://www.glengrant.com/」から引用。
グレングラントが新たにスタンダードボトルとして売り出したウイスキーがグレングラント アルボラリスになります。
アルボラリスは木漏れ日という意味であり、なめらかな口当たりで飲みやすいことから木漏れ日のような穏やかさと優しさが感じられることでしょう。
シェリー樽とバーボン樽で熟成させた2つの原酒をバッティングさせたこちらのウイスキーは、シェリー樽由来のフルーティーな味わいとバーボン樽由来のバニラの風味が調和し、スペイサイドらしい甘いウイスキーに仕上がっています。
ウイスキーを飲んだことがない人にもウイスキーを知って欲しいという思いをこめて作られたこちらの商品は、ウイスキー初心者やグレングラントを飲んだことがない方におすすめしたい銘柄になります。
10年以上熟成させた原酒のみを使用したグレングラントであり、ボトルがリニューアルされてデザインも味わいも一新されました。
青りんご、洋ナシの香りに、バターフィナンシェやカラメルの味わいが感じられます。
口当たりなめらかで飲みやすいだけでなく、熟成年数が表記されたグレングラントは口に含んだときにボディの厚みを感じられます。
酒齢12年以上の原酒のみをヴァッティングしたグレングラント12年もグレングラントの中ではお求めやすい価格で販売されています。
10年物と比較するとハチミツや、アーモンドの風味を感じられ、より複雑で味わい深いウイスキーに変化しています。
アルボラリス、10年は価格から普段飲みしやすいウイスキーではありますが、ワンランク上のグレングラントを飲むならこちらのウイスキーになるでしょう。
これまで一部の免税店でしか販売されていなかったグレングラントですが、サンフランシスコ・ワールドスピリッツ・コンペティション2021などで賞を受賞したことから需要が高まり、一般市場で販売されるようになったウイスキーです。
フルーティーかつナッティでありながら、フローラルな香りとスパイシーなフィニッシュが楽しめます。
複雑な味わいを持つことから飲み方次第でさまざまな一面を見ることができるので、ストレートだけでなく色々な飲み方を試したいウイスキーです。
18年以上熟成させたグレングラントを使用した長期熟成銘柄であり、ウイスキー・バイブルでスコッチ・オブ・ザ・イヤーを受賞したのがグレングラント18年です。
一般的に販売されているグレングラントの中でも完成度が最も高く、フローラルかつフルーティーな香りに熟したリンゴとレーズンの甘い味わいから高級感が感じられます。
価格が高いため普段飲みするのは難しいですが、記念日などに購入して飲んだり、取り扱いのあるバーなどで飲むことをおすすめします。
ここから紹介するグレングラントは一般販売されているものではなく、限定で販売された商品となり、その一つが800本限定で販売されたグレングラント25年です。
ヘザーハニーの香りに、柔らかくフルーティーなレーズンの味わいにフィニッシュにはわずかなピート香が感じられるとグレングラントの公式サイトに記載があります。
オリジナルの入手は非常に困難ですが、ゴードン&マクファイル社などのボトラーズ(独立瓶詰業者)などでは独自にヴァッティングしたグレングラント25年を販売しているようです。
特徴的なボトルに詰められ、2015年に全世界で150本、日本で20本限定で販売されたこちらのウイスキーがグレングラント50年です。
50年以上シェリー樽で熟成させた原酒のみを使用したこちらのグレングラントは、当時の参考小売価格は150万円(税別)でニッカウイスキーの親会社であるアサヒビールから販売されました。
アプリコットの香りにかすかなタフィーとキャラメルが感じられ、オレンジと焼きリンゴの甘みが感じられ、複雑な味わいでありながらも完璧なフレーバーと評されています。
こちらもオリジナルだけでなく、ボトラーズによる販売もあり、50年以上熟成させたグレングラントを飲みたいということであればボトラーズで試す選択肢もあります。
グレングラントだけでなくすべてのウイスキーの中でもトップクラスの熟成期間を持つのがグレングラント60年です。
オロロソシェリー樽で60年間熟成した原酒を、加水などの加工を一切行わずにボトル詰めにしています。
一つの樽から取れた原酒のみを使用しており、全世界で360本、日本では18本限定で330万円の販売価格で2022年に申し込み受付を開始しました。
セビリアオレンジとその奥からアプリコットとシガースモークが感じられ、フルーツケーキの濃厚で甘い味わいが楽しめるようです。
販売本数が極端に少ないため、実際に味わった人を探すことが難しい幻のウイスキーとなることが予想されます。
画像引用:https://www.whisky.com/
グレングラント蒸留所は、ジェームズとジョンのグラント兄弟によって創業された蒸留所です。
スペイサイドでは知らない人はいないといわれた有名人であるグラント兄弟は、兄のジェームズが政治家的なコネクション、弟のジョンはウイスキー作りのノウハウを持っており、2人は最高のタッグでした。
弟の作り上げた最高のウイスキーを兄がコネクションを用いて、多くの人の手元に届ける体制を整えることができたからです。
ジョンはアベラワー蒸留所で修業をして新たなウイスキーを作り出し、ジェームズは鉄道を敷いてスコットランドでも初めてスコッチウイスキーを他国に輸出しました。
グラント兄弟の死後、しばらくの間はジェームズの子孫による家族経営が続きましたが、グレンリベット蒸留所と合併し、2000年代にはカンパリ社の傘下に入ります。
また、グレングラント蒸留所には第2蒸留所があり、しばらくの間はグレングラントNO.2と呼ばれていましたが、キャパドニック蒸留所に改名され、現在はペルノリカール社が所有しています。
グレングラントはウイスキーに関する事業を進める上で最高の能力を持つ兄弟で創業したからこそ、イタリアでは国民的ウイスキーとなり、現在でも高い評価を受け続けているのです。
グレングラント蒸留所について詳しく知りたい方はこちらの記事をチェックしてください。
グレングラント蒸留所 - Glen Grant DISTILLERY
グレングラントのおすすめの飲み方は3つあります。
それぞれ詳しく見ていきましょう。
グレングラントはクセが少なく飲みやすいウイスキーであるため、ストレートで飲むのに適しています。
グレングラントの味わいの特徴である果物の酸味、バニラの甘み、ナッティなフィニッシュを強く感じることができるでしょう。
シングルモルトはクセの強いウイスキーも多いので、ストレートで飲むのに抵抗がある方もいるかもしれません。
グレングラントはブレンデッドウイスキーにも勝るほどなめらかでお酒が進む口当たりであるため、まずはストレートから飲んでみましょう。
グレングラントはロックでの飲みやすいウイスキーですが、特にロックにするのがおすすめなのは12年物になります。
味わいが爽やかになるだけでなく、香りと風味に深みが出ることからロックとの相性がよいです。
グレングラントのロックは魚料理などと合わせて食中酒にするのもおすすめです。
グレングラントはイタリアで国民的ウイスキーとなっていますが、気になるのはイタリア料理との相性です。
イタリア料理に合いやすい飲み方は爽快感のあるハイボールで、マルゲリータやペペロンチーノなどのメインディッシュと共に楽しむのがおすすめになります。
爽快感を求めている方や、アルコールに弱い方は食事に合わせることを意識しなくても、普段からハイボールで飲むのもよいでしょう。
イタリアで圧倒的な人気を誇るスコッチウイスキー、グレングラントについて紹介しました。
日本での知名度は高くありませんが、マッカラン、グレンリベットにも劣らない初心者にもおすすめのウイスキーです。
今回の記事では長期熟成銘柄を含む多くの種類を紹介しましたが、なにを飲むか迷っている方はまずはアルボラリスから飲むことをおすすめします。