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- ウイスキー基礎知識
グレーンウイスキーはモルトウイスキーと対になるおだやかでクセが少なく、初心者でも飲みやすいウイスキーです。
ブレンデッドウイスキーに使用されることが多く、単体で飲まれることは少ないですが、実はグレーンウイスキーも魅力的なウイスキーです。
この記事ではグレーンウイスキーについて製造方法・歴史・飲み方も含めて解説し、グレーンウイスキーの魅力を紹介していきます。
この記事のポイント
・グレーンウイスキーの特徴について他のウイスキーとの違いも含めて紹介
・代表的なグレーンウイスキーや製法・歴史・飲み方を解説し、グレーンウイスキーの魅力を知る
グレーンウイスキーはトウモロコシ、ライ麦、小麦などの穀類を原料にしたウイスキーのことを指します。
ウイスキーの中でもクセが少なく飲みやすいため、サイレントウイスキーと呼ばれることも。
風味の個性が強いモルトウイスキーはグレーンウイスキーとは反対にラウドウイスキーと呼ばれ、多くのウイスキー愛好家から親しまれています。
ウイスキー初心者が初めて飲むウイスキーを選ぶなら、クセの強いウイスキーよりもクセが少なく万人受けしやすい風味を持つグレーンウイスキーのほうが入門酒として適しているといえるでしょう。
グレーンウイスキーはクセが少なく、万人向けであると紹介しましたが、他のウイスキーとの明確な違いについても解説していきます。
・モルトウイスキーとの違い
・バーボンウイスキーとの違い
・ブレンデッドウイスキーとの違い
まずは、グレーンウイスキーの対の存在として語られることが多いモルトウイスキーとの違いについてです。
モルトウイスキーは、穀類ではなく大麦麦芽(モルト)を原料にして作られるウイスキーになります。
その他にも蒸留方法がグレーンウイスキーは連続式蒸留器を用いるのに対して、モルトウイスキーは単式蒸留器を用いて2回蒸留するといった製法の違いもあります。
まとめると、原料と製法の違いによって、モルトウイスキーはグレーンウイスキーよりも風味が強くクセのある個性的な味わいに仕上がっているといえるでしょう。
バーボンウイスキーはアメリカのケンタッキー州で製造されるアメリカンウイスキーの種類の1つです。
共通点としては穀類であるトウモロコシを使用していることが挙げられます。
しかし、原料の穀物の配合率に違いがあり、バーボンウイスキーではトウモロコシを51%以上配合しなければならないと法律で定められています。
また、バーボンウイスキーは熟成に使用するタルにこだわりを持っており、内面を焦がしたホワイトオークの新タルを使用し、再利用は認められていません。
バーボンウイスキーはホワイトオークのタルから発生するバニラの香りが特徴のウイスキーであり、使用されたタルはバーボンウイスキーの熟成には使用されませんが、他のウイスキーの熟成に使用されることがあります。
原料は同じ穀類であっても製法に大きな違いがあるため、まったく別のウイスキーといえるでしょう。
ブレンデッドウイスキーはスコットランドにおいて、クセの強いグレーンウイスキーとクセが少ないモルトウイスキーをブレンドして作ったウイスキーです。
互いの長所を引き立てることで、風味が豊かで味わい深いウイスキーに仕上がります。
モルトウイスキーもグレーンウイスキーもシングルで飲まれることは少なく、ブレンデッドウイスキーの原酒となるのが一般的です。
ブレンデッドウイスキーにはモルトウイスキーが原酒として含まれているので、グレーンウイスキーよりも個性が強い味わいとなることが多くなります。
ブレンデッドウイスキーを作る場合は最初に元となるグレーンウイスキーを選んでから、モルトウイスキーを組み合わせて作ることが多いので、グレーンウイスキーはブレンデッドウイスキーのベースとなる存在といえるでしょう。
他のウイスキーとの違いについて解説しましたが、気になるのは「ブレンデッドウイスキーではないグレーンウイスキーにはどのような種類があるのか?」ではないでしょうか。
グレーンウイスキーは基本的にはスコットランドで製造されるスコッチウイスキーに分類されますが、実は日本でもグレーンウイスキーが製造されているのです。
ここからはグレーンウイスキーの代表的な種類について解説していきます。
・キャメロンブリッジ(キャメロンブリッジ)
・知多(サントリー)
・カフェグレーン(ニッカ)
キャメロンブリッジは1824年にスコットランドに設立されたキャメロンブリッジ蒸留所で製造される伝統のあるグレーンウイスキーです。
キャメロンブリッジ蒸留所は最初にグレーンウイスキーを製造した蒸留所として知られており、世界で初めて作られたグレーンウイスキーといわれています。
1824年から続けられてきた伝統的な製法で製造されたキャメロンブリッジは、グレーンウイスキーを語る上で欠かせないグレーンウイスキーといえるでしょう。
キャメロンブリッジとは?種類や味わい、おすすめの飲み方
知多(ちった)はサントリーが持つ蒸留所の一つである知多半島の知多蒸留所で製造されるウイスキーです。
サントリーは日本のウイスキーブランドの中でも非常にメジャーであり、2010年まではウイスキーをタルごと購入できるオーナーズカスクをおこなっていたこともあります。
グレーンウイスキーはクセが少ないので、奥行きのある深い味わいを生み出すのが難しいです。
しかし、知多はバニラのように甘い風味を持つホワイトオーク樽、フルーティーなスパニッシュオーク樽、滑らかな口当たりが特徴のワイン樽で熟成した3つのグレーン原酒をブレンドすることで、グレーンウイスキーに豊かな風味を生み出すことを可能にしています。
カフェグレーンはアサヒグループの子会社であるニッカウヰスキーで製造される日本のグレーンウイスキーになります。
カフェグレーンの特徴は現在は効率の観点から本場のスコットランドでも使用されていないカフェ式連続蒸留器を利用して製造していることがあげられます。
カフェ式の蒸留方法をおこなうと穀物由来の香りや、成分が残るため、通常のグレーンウイスキーとは異なる味わいになるためカフェグレーンと名付けられたのです。
しかし、2019年3月末日をもって休売となってしまったため入手が困難となり、カフェ式の珍しい蒸留方法で生成されたグレーンウイスキーであることから希少価値が高く、その価値は上昇しています。
カフェグレーンとは?種類や味わい、おすすめの飲み方
グレーンウイスキーの製造のポイントは連続式蒸留器にあります。
連続式蒸留器には単式蒸留器が複数内蔵されており、内部で単式蒸留器を複数回使用できるので、モルトウイスキーのように単式蒸留器で2度蒸留するよりも、効率的にアルコール度数が高いウイスキーを製造することが可能です。
グレーンウイスキーのその他の製法の特徴としては、ウイスキーの製造過程の始めには糖化がありますが、麦芽ではなくトウモロコシなどの穀類を使用する場合は原料に温水を加えます。
連続式蒸留器は蒸留の効率を求めた結果であるため、先ほど説明したカフェ式連続蒸留器は歴史の流れと共に使用されなくなりました。
次はグレーンウイスキーの歴史について解説していきます。
年度 | 出来事 |
1725年 | スコットランドで麦芽への課税を開始 |
1824年 | キャメロンブリッジ蒸溜所設立 |
1831年 | 連続式蒸留機の開発 |
グレーンウイスキーの始まりは、スコットランドにおける麦芽に課せられた高額の酒税であったと考えられています。
北部のハイランド地方では密造が増えましたが、南部のローランド地方ではトウモロコシなどの穀物を使用することで生産コストを減少させようと考えました。
ローランド地方では原料に麦芽を使用しないグレーンウイスキーを製造することで酒税から逃れようとしたのです。
グレーンウイスキーが初めて製造されたのは、1824年にジョン・ヘイグによって設立されたローランド地方のファイフにあるキャメロンブリッジ蒸溜所です。
1831年にはイギリスで連続式蒸留器が開発されたことで、グレーンウイスキーはより安価で大量生産されることとなります。
グレーンウイスキーはウイスキー特有のクセが少ないことから、ウイスキーとは認めないという意見も過去にはありましたが、モルト原酒とブレンドしたブレンデッドウイスキーの誕生によって時代と共に認められていきました。
ウイスキー全体の歴史について知りたい方はこちらの記事をチェックしてください。
ウイスキーと蒸留酒の歴史について!発酵酒(醸造酒)との違いとは
グレーンウイスキーはアルコール度数が高めなので、ハイボールや水で割って飲むのがおすすめです。
ハイボール割りは、初心者の方でも飲みやすくウイスキー全般においておすすめの飲み方になります。
グレーンウイスキーの本来の味を楽しむのならストレートで飲むのもよいでしょう。
グレーンウイスキーは酒税を免れるために製造されるようになった特殊な背景があり、現在ではブレンデッドウイスキーの原酒として用いられることが一般的ですが、日本も含めて様々なグレーンウイスキーが現在でも製造されています。
また、ブレンデッドウイスキーやシングルモルトにも様々な種類がありますが、試しに飲んでみたところ個性が強くて合わなかった経験がある方もいるかもしれません。
グレーンウイスキーはそのような方でも楽しみやすいクセの少ないウイスキーの入門酒となりますので、初心者の方はグレーンウイスキーを選んでみてはいかがでしょうか。