山崎 ノンエイジ/NV(ノンヴィンテージ)とは? 味わいとおすすめの飲み方を紹介
- ウイスキー銘柄
キルケランは、かつてはウイスキーの主要な生産地であったキャンベルタウンで製造されているスコッチウイスキーです。
グレンガイル蒸留所で製造されていますが、この蒸留所は他のキャンベルタウンの蒸留所とともに閉鎖されており、2004年に再開されることとなりました。
スコッチ全体ではメジャーではないと考えられますが、多くの愛好家がウイスキー初心者におすすめしたいシングルモルトと評価しているので、初心者にこそ知ってもらいたい銘柄になります。
この記事では、キルケランの種類と味わい、おすすめの飲み方を解説します。
この記事のポイント
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キルケランとは、キャンベルタウンのグレンガイル蒸留所で造られているシングルモルトウイスキーです。
グレンガイル蒸留所で造られているのにもかかわらず、シングルモルトの名がグレンガイルでないことに疑問を持つ方もいるかもしれませんが、商標権の問題があり、グレンガイルの名でウイスキーを販売できないことが理由として挙げられます。
キルケランの魅力は風味のバランスの良さであり、甘味・酸味・辛味の絶妙なバランスとスコッチの特徴であるスモーキーな香りが調和していることから完成度が高いと評価されているのです。
キルケランの歴史と製造方法について紹介します。
キャンベルタウンのウイスキーや蒸留所について知りたい方はこちらの記事をチェックしてください。
キャンベルタウンの3つの蒸留所を紹介! 町の歴史についても解説
グレンガイル蒸留所は、1872年にスプリングバンク蒸留所のオーナーの弟であるウィリアム・ミッチェル氏によって設立されています。
キャンベルタウンの全盛期でもあったこの時代は、蒸留所を作れば作るほどウイスキーが売れるという考え方であり、実際にその考え方で成果が出ていたウイスキーバブルでした。
そのため、ウィリアム氏も自分の蒸留所を始めたいと考えれば、すぐに始められる状況にあったのです。
しかし、このような考え方で乱立したキャンベルタウンの多くの蒸留所は時代とともに淘汰され、グレンガイルも例外ではありませんでした。
1925年にグレンガイル蒸留所は閉鎖、この時代を乗り越えてウイスキーを作り続けたのは30以上の蒸留所が1つの街にあったにもかかわらず、スプリングバンク蒸留所とグレンスコシア蒸留所の2つの蒸留所だけでした。
グレンガイルのシングルモルトは、グレンスコシアを買収したブレンダーがブランドと商標を獲得することとなりました。
グレンガイルの歴史は一度幕を閉じますが、再び歴史が動くのは2000年のことであり、当時のスプリングバンク蒸留所のオーナーであったヘドラー・ライト氏が、農業組合の事務所とライフル射撃場となっていた工場を買収して、グレンガイルの再建を目指します。
2004年にグレンガイルは再開され、蒸留が始まることになりますが、グレンスコシアがブランドと商標を持っていたため、グレンガイルの名でシングルモルトを発売することはできませんでした。
そこで、キャンベルタウンの旧名であるキンロッホキルケランから、キルケランと名付けたのがグレンガイル蒸留所のシングルモルトであるキルケランが誕生した経緯であるといわれています。
グレンガイル蒸留所についてはこちらのページにまとめています。
グレンガイル蒸留所 - Glengyle DISTILLERY
グレンガイル蒸留所で使用されているモルトは、すべてスプリングバンク蒸留所のフロアモルティングで造られています。
スプリングバンクは、スコットランドの蒸留所のなかでも珍しい、昔のモルティング方法であるフロアモルティングを採用している蒸留所になります。
スプリングバンクによって再建されたこともあり、ウイスキーのスモーキーな香りといわれるピート香の強さを計る指標として使われるフェノール値がキルケランとスプリングバンクでは一致しているなど共通点も多いです。
ただし、蒸留回数に違いがあり、スプリングバンクは2.5回に対して、キルケランは2回と決まっています。
スプリングバンクについて知りたい方はこちらの記事をチェックしてください。
キルケランの種類と味わいについて紹介します。
画像引用:https://www.shinanoya-tokyo.jp/view/item/000000007028
バーボン樽70%、シェリー樽30%の構成で原酒をブレンドした12年物のキルケランであり、スタンダードボトル立ち位置になりますが、少量生産のボトルになります。
キャンベルタウンモルトらしい海風を伴ったピート香に、甘いアロマとスパイシーな味わいが広がるバランスのいい味わいです。
初めてキルケランを飲む方はこちらのボトルを探すようにしましょう。
画像引用:https://www.shinanoya-tokyo.jp/view/item/000000012366
こちらのキルケランは熟成年数は12年と比較して少なくなっていますが、オロロソシェリー樽の原酒のみを使用し、カスクストレングスでボトル詰めをした特別なキルケランです。
フルーティーな香りとスモーキーさが調和しており、香ばしいスパイス感が魅力となっています。
カスクストレングスであることから、キルケランのシェリー樽原酒の味わいをストレートなどで最大限に楽しみやすい銘柄です。
画像引用:https://www.saketry.com/112444.html
キルケランにはスペイサイドモルトとは異なり、スコッチ特有のスモークを伴っていますが、より強いピート香を持っているのがこちらの銘柄です。
12年物よりも強力なスモーク香のなかに甘いアロマが感じられ、酸味のある味わいに仕上がっています。
12年物ではスモーク香が物足りなかった方や、最初から強いスモークを味わいたい方におすすめです。
画像引用:https://e-singlemalt.co.jp/?pid=158122434
グレンガイル蒸留所は、2004年の蒸溜再開から2020年に16周年を迎えたことから、その記念に販売されたのが16年物のキルケランになります。
オレンジやパイナップルなど酸味のある果実の香りにキルケランの潮風を伴うスモーク香が広がり、バニラのシンプルな甘みとブラックペッパーのスパイシーさが感じられます。
創業当時の熟成年数が長い限定ボトルを飲んでみたい方は、こちらのボトルを探してみましょう。
キルケランのおすすめの飲み方を紹介します。
それぞれ詳しく解説します。
キルケランはカスクストレングスを含めてストレートで飲むことで旨味が理解できる銘柄が多くなっています。
チェイサーを挟みながらキルケランをゆっくり飲むことで、キルケランが持つ風味の絶妙なバランスを理解することができるでしょう。
ストレート美味しいウイスキーの条件についてはこちらの記事をチェックしてください。
ストレートで美味しいウイスキーの条件とは?おすすめの銘柄4選
キルケランはハイボールで味わうことで、スモーク香が弱まり、酸味と爽快感のある味わいに変化します。
ウイスキー初心者の方におすすめの飲み方であり、ウイスキーを飲みなれていない方は無理をしてストレートを飲むのではなく、気軽に飲めるハイボールから試してみるとよいでしょう。
キルケランはシングルモルトで少量生産であることから、ある程度値は張りますが、シングルモルトをハイボールで飲むのはもったいないかどうかはこちらの記事で紹介しています。
シングルモルトをハイボールで飲むのはもったいない? その理由とは
キルケランは、現在も販売されている数少ないキャンベルタウンモルトのひとつであり、ウイスキー愛好家から高く評価されています。
スコッチ好きでまだキルケランを飲んでいない方はもちろん、ウイスキー初心者の方にこそ挑戦して欲しい銘柄となっています。
銘柄の選択肢はいくつかありますが、スタンダードなキルケランを味わいたい方は、熟成年数は低いですが、特殊なカスクストレングスの8年物ではなく、まずは12年物から探してみるとよいでしょう。