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倉吉は山陰発信のウイスキー!味やおすすめの飲み方は?

2021.09.15 / 最終更新日:2021.09.15

ピュアモルトウイスキーというと、日本ではサントリーやニッカなど大手メーカーだけが手掛けているものだと思っている人がほとんどかもしれません。

しかし、実際は、地方の中小メーカーの中身も独自のやり方でウイスキーづくりをしているところがあります。

たとえば、鳥取県倉吉市にある松井酒造です。

同社のピュアモルトウイスキー倉吉は、空港の免税店などで外国人観光客のお土産として人気を博しています。この記事では、倉吉の味やおすすめの飲み方などを紹介します。

倉吉とはどのようなウイスキー?

倉吉は、松井酒造が製造・販売しているピュアモルトウイスキーです。

ピュアモルトウイスキーとはモルト100%のウイスキーという意味で、多くの場合は、シングルモルトと同じ意味で使われています。

しかし、松井酒造の場合は、倉吉以外に「シングルモルトウイスキー松井」というシリーズがあるため、別の意味で使われていることが明らかです。

実は、倉吉に関しては、松井酒造の蒸留所でつくられたモルトのみでつくられているわけではありません。

スコットランドの原酒も含め、複数蒸留所のモルトウイスキーをヴァッティングしてつくられています。

松井酒造は、明治43年創業の老舗酒造メーカーです。

しかし、ウイスキーに関する歴史はそれほど古くありません。

ウイスキーの製造免許を取得したのは、日本中で多くの酒造メーカーがウイスキーづくりに参入したのとほぼ同時期の平成27年4月1日です。

その翌年、倉吉のラベルに“made in japan”と「倉吉蒸留所」という記載がありながら、輸入原酒と他社生産原酒のブレンドであったことが発覚。

一時ネット上で多くの批判にさらされたこともありました。

しかし、更にその翌年の平成29年には、自社の第一工場に3基のポットスチルを導入し、ウイスキー原酒の蒸留を始めています。

このような経緯で一時的に大きな批判を受けてしまった倉吉ですが、味の評価は決して低くありません。

2020年のSWSCでは、倉吉8年が最優秀金賞を受賞しています。

同コンペティションでは、他にも倉吉12年が金賞を、ノンエイジとシェリーカスク、18年の3つが銀賞を受賞しました。

SWSCは、毎年アメリカで開催される最大の酒類コンペティションです。

予選を勝ち残った商品を審査員がブラインドテイスティングして、各部門の各賞を決めます。

最優秀金賞とは、各部門で金賞に選ばれた商品のうちでもっとも優れた商品1点に与えられる賞です。

世界的なコンペティションで最優秀金賞を受賞できるウイスキーである点は、もっと正しく評価されるべきでしょう。

ピュアモルトウイスキー倉吉の特徴は?

松井酒造の蒸留所が建てられている倉吉市は、鳥取県のほぼ中央に位置します。

自然が豊かで、昼夜の寒暖差が大きく、季節による気候の違いもはっきりしている地域です。

ウイスキーの製造は、周りの自然環境に大きく左右されるもので、このような倉吉市の気候は、ウイスキーの熟成期間を早める働きをします。

ピュアモルトウイスキー倉吉は、自社の倉吉蒸留所にこだわらず、複数の蒸留所から厳選したモルトを絶妙にヴァッティングしたウイスキーです。

大山の伏流水でまろやかな口当たりに仕上げています。

熟成年数によって、香りや味わいが変化しますが、いずれも甘み、苦み、酸味のバランスの良く、飲みやすく仕上がっている点が特徴です。

松井酒造では、倉吉の熟成に用いる樽は基本的にホワイトオークですが、多彩な樽が用意されています。

熟成に用いる樽の種類が豊富だと、必要に応じて使い分けることが可能です。

たとえば、シェリー樽で後熟させて独特の香りや風味を移してシェリーカスクとして販売することもできます。

ミズナラやサクラのような樽材の違い、ワイン樽、バーボン樽といった仕込んだ酒の違いを活用して、原酒にさまざまな味や香りを持たせるのです。

倉吉の種類とそれぞれの香りや味は?

ピュアモルトウイスキー倉吉は、ノンエイジ1種類とエイジドが5種類、シェリー樽で後熟させたものが1種類の計7種類です。

それ以外に、空港免税店でのみ購入可能な限定デザインボトルが5種類あります。

ピュアモルトウイスキー倉吉

倉吉のスタンダードボトルです。穏やかかつ爽やかな香ばしいモルトの香りが広がります。

熟成期間の異なる多彩な原酒が掛け合わさっていることもあり、口に組んだときに広がるのはバニラの甘味、ナッツの香ばしさ、レーズンの甘酸っぱさです。

甘味、苦味、酸味の調和が取れているので、複雑な味わいながらも比較的飲みやすいといえます。

ボトルサイズは200mlと700ml、アルコール度数は43度、熟成樽の種類はホワイトオークです。

ピュアモルトウイスキー倉吉 シェリーカスク

厳選したモルトをホワイトオーク樽で熟成させたのち、シェリー樽に移し、3年以上後熟してからボトル詰めしています。

シェリー樽独特の香りや味が程よく移り、華やかな香りと甘味を味わえるのが魅力です。

フルーティな甘い香りとチョコレートの香りがどちらも強く感じられます。

口に含むと、甘味がメインで現れますが、柑橘系の酸味もあり、爽やかな口当たりです。

どちらかというと甘めのウイスキーですが、甘味と酸味のバランスがよく、のど越しもスッキリとしているのでしつこく感じません。ボトルサイズは200mlと700mlアルコール度数は43度です。

ピュアモルトウイスキー倉吉 8年

最低8年熟成させたモルトを選び抜き、ヴァッティングしてボトル詰めしました。

やや酸味のある柑橘系のドライフルーツと香ばしい麦芽の香りがします。

口に含むと、バニラの甘さとナッツの香ばしさが際立ちますが、とても柔らかな口当たりです。

ボトルサイズは200mlと700mlの2種類。熟成樽はホワイトオークで、アルコール度数は43度です。

ピュアモルトウイスキー倉吉 12年

最低12年熟成させたモルトを厳選しボトル詰めしています。

香りは、ナッツやアーモンドのような香ばしい香りです。

しっかりとした麦芽香も感じられます。

口に含むと、ほどよいバニラの甘味とレーズンの甘酸っぱさ。

その奥にスモーキーフレーバーがほんのりと漂う、甘味、苦み、酸味のバランスがちょうどよい逸品です。

色にも香りにも味わいにも熟成期間の長さを感じます。

ボトルサイズは200mlと700ml

熟成樽の種類はホワイトオークで、アルコール度数は43度です。

ピュアモルトウイスキー倉吉 18年

最低18年熟成させたモルトを厳選してボトルに詰めています。

香りは深く豊かです。

口に含むと、蜂蜜のような濃厚な甘さとバニラのような深くまろやかな甘味に、ほどよくスモークとスパイスも感じます。芳醇な香りと口当たりの柔らかさは長期熟成ならではのものです。

さわやかなミントのような余韻が残ります。

熟成樽はホワイトオークボトルサイズは700mlで、アルコール度数は50度と高めです。

ピュアモルトウイスキー倉吉25年

25年以上の長期熟成モルトのみを厳選し、ボトル詰めしました。

バニラと蜂蜜の甘い香りに深さが感じられます。

その奥に現れるスモークとスパイスとのバランスが絶妙です。

口当たりは濃厚。2021年8月現在、メーカーでは既に生産、販売していないので、なかなか手に入りません。

ボトルサイズは700mlです。

ピュアモルトウイスキー倉吉33年

熟成期間33年以上のモルトだけをヴァッティングしたボトルです。

個性的なモルトを絶妙なバランスで掛け合わせました。

バニラ香や蜂蜜感、スモーキーフレーバー、スパイス感すべてが絶妙なバランスを保ちながらしっかり感じられます。

色も香りも、味わいも深みを増した、じっくり味わいたい1本です。

メーカーでは既に生産、販売を終了しているため、なかなか手に入らなくなっています。

ボトルサイズは700mlです。

免税店限定デザインボトル

ピュアモルトウイスキーの免税店限定デザインボトルは、5種類あります。

中身はそれぞれノンエイジの倉吉、シェリーカスク、8年、12年、18年と同じです。

空港の免税店で購入できます。いずれも、外国人観光客を意識したデザインです。

日本の美をあしらったボトルデザインになっています。

ノンエイジのラベルに描かれているのは日本の象徴である雄大な富士山の姿です。

梅の花を傍らにあしらいました。箱には鶴の姿が描かれています。

シェリーカスクはラベルにも箱にも描かれているのは美しい京の舞妓です。箱には背景に秋の紅葉が描かれています。8年物のラベルと箱に描かれているのは、力強い鎧兜の武者と日本の城です。モノトーンで描かれていて重厚感があります。

12年物の場合ラベルや箱の外見はシックですが、箱を開けると内側は蒔絵のような華やかさです。

赤富士や鶴といった日本の伝統模様と桜柄を組み合わせています。

18年物に描かれているのは富士山と桜です。

箱の外見は黒で落ち着いていますが、開けると中はまるで金屏風。ボトルの富士山と鶴は透過デザインになっています。

倉吉おすすめの飲み方は?

倉吉は全体的に甘味が強めで、香りが爽やかです。

ノンエイジやシェリーカスクを飲むなら、飲み方はハイボールを選ぶとよいでしょう。

さっぱりとした口当たりと爽やかな香りを飲めます。

8年、12年程度のエイジドは、加水して香りを引き立ててみるのがおすすめです。

常温の水と1:1で割るトワイスアップで持ち味を楽しんでみましょう。水の量を少しずつ変えていくと、香りや味が変化するのを感じられます。

熟成期間の長い18年、25年、33年物はなかなか手に入らないものなので、飲む機会があるならじっくり味わいたいところです。

まずは香りや味をしっかり堪能できるように、ストレートかロックで飲みましょう。

アルコール度数が高いので、ストレートで飲む場合は、チェイサーを用意し、交互に飲むことが大事です。

一口ごとに口の中をさっぱりさせれば、飲み進めていってもしっかり香りや味が感じられます。

ロックにする場合は、氷の大きさに注意が必要です。

大きめで表面がつるっとした純氷を選びましょう。

すぐに溶けてしまうと一気に加水が進み、ウイスキーの味がどんどん変化していってしまいます。

香りや味わいの変化をじっくりと楽しむためには、氷の溶けるスピードも重要です。

できるだけゆっくり溶ける氷を選ぶようにすると、最高のロックを味わえます。

バランスの良い味と香りを堪能しよう

倉吉はスコットランドを初め、さまざまな蒸留所でつくられたモルトを厳選してヴァッティングし、ホワイトオーク樽で熟成させた銘柄です。

単一の蒸留所にこだわらないからこそ生まれた香りや味わいがあります。

加水に使われている水は、豊かな自然の恵みを含んだ大山の伏流水です。

甘味、苦み、酸味のバランスの良さをしっかり味わってみましょう。

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