山崎 ノンエイジ/NV(ノンヴィンテージ)とは? 味わいとおすすめの飲み方を紹介
- ウイスキー銘柄
ロングロウはキャンベルタウンで製造されているスコッチウイスキーです。
かつてはロングロウと呼ばれる蒸溜所があり、そこで同名のウイスキーが製造されていましたが、現在はスプリングバンク蒸溜所が製造しています。
キャンベルタウンモルトは潮風を感じるスモークが特徴的ですが、ロングロウはそのなかでもヘビーピートスタイルでスモークの強いウイスキーが好きな方におすすめです。
この記事では、ロングロウの種類と味わい、おすすめの飲み方を紹介します。
この記事のポイント
Springbank DISTILLERY - http://springbank.scot/
ロングロウはスコットランドのキャンベルタウン地域で製造され、現在はスプリングバンク蒸溜所で製造されるスコッチウイスキーです。
すでにロングロウを製造していたロングロウ蒸溜所は閉鎖していますが、かつては隣り合う蒸溜所であったスプリングバンク蒸溜所が今もロングロウが製造する理由は複雑なものがあります。
キャンベルタウンモルトのなかでもヘビーピートスタイルで、オイリーな味わいですが、スプリングバンクらしいフローラルなアロマがあるのも特徴です。
ロングロウの歴史と製造方法について見ていきましょう。
スプリングバンクについて知りたい方はこちらの記事をチェックしてください。
1824年、キャンベルタウンにロングロウ蒸溜所が設立されました。
全盛期のキャンベルタウンには、30以上の蒸留所が存在しており、世界でも有数のウイスキー首都でした。
キャンベルタウンのウイスキーが栄えた理由は、原料となる大麦と燃料として使用されるピート(泥炭)が入手しやすく、水源も良質であったため、ウイスキー作りに必要な環境が整っていることが挙げられます。
また、当時の物流は海路であったため、海に面する寄港地であったキャンベルタウンは非常に高い優位性を持ち、アメリカへの輸出も盛んでした。
全盛期のキャンベルタウンは蒸溜所を建てれば建てるほど儲かるというバブルのような状況であったため、キャンベルタウンにさまざまな蒸溜所が乱立しました。
ロングロウとスプリングバンクは隣り合う蒸溜所として稼働が続きましたが、1896年にロングロウは閉鎖し、その後も次々と衰退によってキャンベルタウンの蒸溜所は閉鎖することとなります。
結果的にスプリングバンクは現代まで生き残った貴重なキャンベルタウンの蒸溜所になりましたが、歴史の歯車が異なればスプリングバンクが閉鎖していたことや、ロングロウが生き残った可能性もあったかもしれません。
実際に2度も閉鎖の危機に直面していたスプリングバンクは、自社で実験的に製造していたピーテッド原酒の酒質が良かったことを理由に、かつては隣り合う蒸溜所であり、ピーテッド原酒を製造していたロングロウの名をつけることにしました。
こうして1985年に誕生したのがスプリングバンク蒸溜所で製造される新しいロングロウです。
キャンベルタウンの蒸溜所の歴史についてはこちらの記事で詳しく紹介しています。
キャンベルタウンの3つの蒸留所を紹介! 町の歴史についても解説
ロングロウ蒸溜所はすでに100年以上前に失われており、ピーテッド原酒を製造している以外の情報がないため、現在のロングロウと当時製造されていたロングロウは同一のものとはいえません。
当時のレシピが残っていて、それを再現したというのであれば話は異なりますが、あくまでスプリングバンク蒸溜所が製造・販売している新しいヘビリーピートタイプのシングルモルトになります。
スプリングバンクは伝統的なフロアモルティングを行っており、モルトのフェノール値は50~55ppmとなっています。
このフェノール値はラフロイグよりも高く、アードベッグなどのヘビリーピートのアイラウイスキーに匹敵するほどです。
スプリングバンク蒸溜所は、スプリングバンクの他に同じキャンベルタウンにあった蒸溜所の名を冠するノンピートのヘーゼルバーンの3種類のラインナップを販売しています。
それぞれ個性の異なる3種類のシングルモルトを販売することで、愛好家の好みに合わせてウイスキーを販売しているのです。
ロングロウの種類と味わいについて紹介します。
画像引用:Amazon.co.jp
ロングロウのスタンダードボトルであり、フェノール値は50~55ppmのヘビリーピートなキャンベルタウンモルトです。
アロマをまとった甘いピートスモークが特徴的であり、バニラやレモンなどの風味を持つオイリーな口当たりになります。
スプリングバンクよりも強いピートスモークのウイスキーが好きな方におすすめであり、最初に飲むならこちらのスタンダードボトルから飲み進めましょう。
画像引用:https://item.rakuten.co.jp/kawachi/0610854004699/
ロングロウ レッドは毎年異なるワイン樽でロングロウを熟成させるシリーズであり、こちらは第8弾のカベルネ・ソーヴィニヨン樽で追熟させた合計で13年以上の熟成期間を経た銘柄になります。
ワイン樽由来のベリー系の果実の風味が強く出ていますが、フィニッシュにはロングロウらしい強いスモークと磯の香りが感じられます。
毎年販売されているシリーズであり、年によって味わいが異なるため安定しませんが、複数の種類を飲み比べる楽しさがあるのも魅力です。
画像引用:Amazon.co.jp
ロングロウを18年以上熟成させた銘柄である、シェリー樽とバーボン樽の2種類の原酒をヴァッティングさせています。
ヘビリーピートがコンセプトですが、熟成年数を経るとスモークは落ち着いた傾向になり、口当たりもオイリーからクリーミーに変化した複雑な風味を持つ銘柄です。
このロングロウ18年も1年に1度リリースされる限定品であり、年ごとに味わいが変化します。
画像引用:https://item.rakuten.co.jp/kawachi/0610854004699/
ロングロウ 21年は、ロングロウの長期熟成銘柄であり、世界でも数千本程度しか販売されない数量限定のウイスキーです。
そのスモークは肉のような風味を持ち、メロンのようなジューシーな甘みが広がり、ビスケット・ココナッツ・スパイスの風味が複雑に絡み合います。
長期熟成のロングロウが飲みたい方は、21年物のロングロウを探してみましょう。
ロングロウのおすすめの飲み方を解説します。
それぞれ詳しく紹介します。
ロングロウはロックでゆっくりと味わうのがおすすめであり、氷が溶けることによる味わいの変化が楽しめます。
最初はロングロウの強いスモークを感じられますが、時間が経つほど香りや風味が落ち着いていきます。
長期熟成物であれば、さまざまな風味を味わえるので、基本的にはロックまたはストレートで飲みたい銘柄です。
ロックの作り方とおすすめ銘柄についてはこちらの記事で紹介しています。
ウイスキーのロックのおすすめの飲み方は? おいしく飲むための作り方もご紹介
ピートスモークが強いので、人によっては合わない方もいるかもしれませんが、ハイボールにすることでロングロウは飲みやすくなります。
シェリー樽熟成の銘柄もあるので、苦みが強調されてしまうこともありますが、ピートスモークの強い銘柄とハイボールは基本的に相性が良いです。
ウイスキー初心者を中心にスモークがキツいと感じた場合や、カジュアルに飲みたいと思った場合はハイボールを試してみましょう。
シングルモルトをハイボールにするのはもったいないかどうかはこちらの記事で紹介しています。
シングルモルトをハイボールで飲むのはもったいない? その理由とは
ロングロウは、スプリングバンク蒸溜所で製造されるヘビリーピートタイプのシングルモルトであり、スコッチ特有の強いスモークが好きでスプリングバンクよりも強烈な香りを求めている方におすすめです。
スプリングバンクと同様に高級かつ限定品も多いシリーズとなっていますが、ロングロウの代わりになるような風味を持つシングルモルトはほとんど存在しないことから、特定のウイスキー愛好家を中心に人気が広がっています。
オリジナリティのあるロングロウを試してみたい方は、スタンダードなロングロウから購入してみましょう。