山崎 ノンエイジ/NV(ノンヴィンテージ)とは? 味わいとおすすめの飲み方を紹介
- ウイスキー銘柄
オクトモアはアイラ島のブルックラディ蒸留所で作られるウイスキーの1つであり、ピート香と呼ばれるスモーキーな香りが非常に強い銘柄として知られています。
ピート香の強さの1つの指標になる値としてフェノール値がありますが、オクトモアは最低でも80ppm、強いものでは300ppmの銘柄も販売されました。
これは同じアイラウイスキーのラフロイグが45ppm、アードベッグが60ppm程度であると考えるとその強烈さが伝わることでしょう。
この記事ではオクトモアの種類と味わいについて解説し、おすすめの飲み方を紹介します。
この記事のポイント
画像引用:https://vclvintners.london/
オクトモアは、アイラ島の西海岸沿いに設立されたブルックラディ蒸留所で製造されるウイスキー銘柄の一つです。
アイラウイスキーは、スモーキーで潮気のある風味に個性的でクセのある銘柄が多いのが特徴であり、オクトモアはピート香の強いアイラウイスキーの中でも群を抜いたスモーキーさを誇ります。
ピート香とは、大麦の乾燥に使用される燃料のピート(泥炭)から付与される香りのことを指し、乾燥に使用されるピートの量が多いほどフェノール値も高くなることが、フェノール値がピート香の目安として使用される理由です。
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ブルックラディ蒸留所ではオクトモアを含めた3種類のウイスキーが生産されているのが特徴です。
オクトモアの他には、ザ・クラシックラディ、ポートシャーロットというウイスキーが製造されています。
この3種類の違いは、フェノール値であり、ザ・クラシックラディはピートを使用しないノンピートウイスキー、ポートシャーロットはザ・クラシックラディとオクトモアの中間にあたる40ppmのフェノール値を持ちます。
ピート香が苦手な方はザ・クラシックラディ、スモーキーな香りは好きでもほどよいものがいい場合はポートシャーロット、強いピート香を求めるならオクトモア、同じ蒸留所でも多くのウイスキー好きの需要に対応できるようにしていることが分かります。
ブルックラディ蒸留所では、当初アイラウイスキーとしては珍しいノンピートウイスキーを製造していましたが、2002年に最高責任者のマーク・レイニエー氏がヘビリーピートウイスキーも製造したいと考えたのがオクトモアの始まりでした。
ブルックラディ蒸留所について詳しく知りたい方はこちらの記事をチェックしてください。
ブルックラディ蒸留所 - Bruichladdich DISTILLERY
オクトモアには「オクトモア 12.1 スコティッシュ・バーレイ」といったようにエディションナンバーが付いているのが特徴です。
12は12回目の発売を表し、小数点以下の1のナンバーに表記ルールが存在しています。
エディションナンバーのルールについて下記の表にまとめました。
番号 | 概要 |
X.1 | バーボン樽のみで熟成している |
X.2 | ワイン樽で熟成された原酒をブレンドしている |
X.3 | アイラ島のオクトモア農場で収穫した大麦を使用している |
X.4 | 新樽(ヴァージン・オーク)で熟成している |
また、オクトモアはエディションナンバーだけでなく商品紹介ページですべての銘柄のフェノール値を公開しているのも特徴的です。
今回の記事で紹介するオクトモアに絞って、フェノール値の例をまとめました。
銘柄 | フェノール値 |
オクトモア 12.1 スコティッシュ・バーレイ | 130.8ppm |
オクトモア 12.2 ソーテルヌ・カスク | 129.7ppm |
オクトモア 12.3 アイラ・バーレイ | 118.1ppm |
オクトモア マスタークラス 08.4 ヴァージン・オーク | 170ppm |
オクトモア 02.2 オルフェウス | 140ppm |
オクトモア10年 | 90.3ppm |
ほとんどのオクトモアが100以上のフェノール値を持っており、300以上のフェノール値を持つ銘柄も過去には販売されていました。
毎年新しく発売していくオクトモアにスタンダードボトルのような定番の商品は存在せず、フェノール値も異なる新たな銘柄が販売されているため今後も種類が増えていくことでしょう。
オクトモアの種類はエディションナンバー違いを含めれば非常に豊富ですが、その中でも厳選した銘柄を紹介していきます。
※ボトル画像はすべて公式サイトから引用
オクトモア 12.1 スコティッシュ・バーレイは、130.8PPMのフェノール値を持ち、アメリカンオークのバーボン樽で5年間熟成させ、59.9%という高いアルコール度数でボトル詰めしています。
力強いピート香の中にフルーティーかつフローラルな香味が感じられるバランスのいい香りであり、ピリッとした柑橘系のフレッシュな味わいにナッツの風味が感じられ、フィニッシュで感じるピートは不思議と穏やかになります。
オクトモアはウイスキーを飲み慣れている人におすすめできる銘柄であるため、万人に受けやすい銘柄は存在しませんが、スコティッシュ・バーレイはオクトモアの原点となるシリーズであるため、どの銘柄から飲むべきか悩むならこちらから飲み進めることをおすすめします。
オクトモア 12.2 ソーテルヌ・カスクは、129.7ppmのフェノール値で乾燥し、5年間熟成させたソーテルヌワイン樽の原酒とアメリカンオーク樽の原酒をブレンドした銘柄です。
ソーテルヌ樽由来の風味であるハチミツ漬けにしたフルーツの香味と味わいはオクトモア特有のヘビースモークとマッチし、バランスがよく完成度の高い仕上がりとなっています。
ブルックラディ蒸留所によればオクトモアの中でもソーテルヌ・カスクシリーズは人気が非常に高いようです。
オクトモア 12.3 アイラ・バーレイは、オクトモア農場で栽培されたコンチェルト大麦を100%使用し、75%のモルトをアメリカンオーク樽で熟成し、残りの25%をペドロヒメネス・シェリー樽で5年熟成させました。
オクトモアにシェリー樽由来のドライフルーツ、イチジク、レーズンなどの熟した果実の香味と味わいが付与され、ただスモーキーなだけではなく洗練された風味を感じられます。
62.1%という冷却処理や加水をしない高いアルコール度数でのボトル詰めにより、樽で熟成されたウイスキー本来の香りや味わいを余すことなく楽しめます。
ペドロヒメネスなどシェリー樽にもさまざまな種類があります。ウイスキー樽の種類について詳しく知りたい方はこちらの記事をチェックしてください。
現行のシリーズでは販売されていない「X.4」のエディションナンバーを持つ銘柄がオクトモア マスタークラス 08.4 ヴァージン・オークであり、その名の通りアメリカンオークの新樽で熟成されています。
170ppmという非常に高いフェノール値を持つため、ここまで紹介したオクトモアよりもスモーキーでありながら、オクトモア特有のフルーティーな風味は健在であり、香り、味わい、フィニッシュすべてにスモークが上手く絡み合っています。
初期に発売されたユニークなオクトモアには、オクトモア 02.2 オルフェウスがあり、ボルドー産のフレンチオーク樽で熟成させた原酒をブレンドしています。
ピートスモークとフルーティーさが両立しながら、黒コショウのようなスパイシーさも感じられる個性的な銘柄です。
個性的かつ力強い味わいですが、他のオクトモアと同様にスモーク香に他の風味が負けてしまわないようにバランスがとられています。
ここまで紹介したオクトモアは共通して5年熟成でしたが、こちらは10年間熟成させたオクトモアであり、3,500本限定で蒸留所のオンラインサイトで販売されました。
アメリカンオーク樽で5年、そしてスペインのリベラ・デル・ドゥエロのワイン樽で残りの5年間を熟成させる製法を取っています。
ワイン樽によるフレーバーと10年の熟成により時の魔法がかけられたオクトモアはスモーク香がより洗練され、ブラックチェリーとヘザーハニーの味わいを邪魔することなく共存することで深みが生まれています。
それでは、オクトモアのおすすめの飲み方を紹介します。
オクトモアはどれも限定生産であるため非常に高価であり、加えて個性を味わいつくす意味でもストレートで飲むのが基本です。
ラフロイグやアードベッグよりも強いフェノール値を持つスモーク香と聞くと敬遠してしまうかもしれませんが、ここまで解説した通りオクトモアはピート香と風味のバランスが整っています。
飲む前は強烈なピート香を感じるかもしれませんが、実際に飲めばフルーティーな香りと味わいが目立つため、他のアイラウイスキーと比較しても煙臭い印象を感じないかもしれません。
フェノール値はあくまでピート香の強さの目安であるため、敬遠せずに最初からストレートで挑戦してみるのがよいでしょう。
オクトモアの炭酸水割りは、ウイスキーを多く使用することから非常に贅沢な飲み方といえます。
煙臭さがどうしても受け入れられなかった方や、度数の高さが気になる方にもおすすめであり、ハイボールにしてもオクトモアらしいスモーキーさは緩和されますが甘みは消えません。
ウイスキーは1本のボトルでさまざまな飲み方が試せるので、もったいないと感じる方でも1度はハイボールにして飲むのもいいでしょう。
オクトモアは強いスモーク香りに入手難易度の高さからウイスキー初心者向けではなく、ある程度飲みなれた人におすすめしたい銘柄となっています。
ウイスキー初心者の方は、ザ・クラシックラディなどのノンピートウイスキーからチャレンジするとよいでしょう。
今回紹介したオクトモアの中から自分に合った銘柄を見つけてくださいね。