山崎 ノンエイジ/NV(ノンヴィンテージ)とは? 味わいとおすすめの飲み方を紹介
- ウイスキー銘柄
スキャパはスコットランドの北部オークニー諸島のメインランドというところで蒸留所をおいて生産されているシングルモルトウイスキーになります。
こちらの蒸留所はスコットランド最北端に位置することでも知られています。
スキャパ湾は第一次世界大戦時にはドイツの戦艦ヒンデンブルグとセドリックが沈められたり、スキャパ蒸溜所は英国海軍の兵舎として使用されていたり、戦争の印象を色濃く感じる場所でもありました。
しかし、現在シングルモルトウイスキー、スキャパは美しいボトルデザイン、そしてコアなファンによって支えられている印象です。
こちらはザ・スコッチ・バランタインのキーモルトとしても有名なウイスキーです。
本記事ではスキャパの種類と製法と歴史について解説し、おすすめの飲み方も紹介します。
この記事のポイント
画像引用:scapa-whisky.jp
創業は1885年、当時他の蒸留所では石炭を炊いて蒸留するのが一般的でしたが、スキャパ蒸留所ではすでに蒸気を熱源とした蒸留をしており、製麦→醗酵→蒸溜→貯蔵まで全ての工程を一貫して蒸留所内で完結するという完璧な仕事をする蒸留所としても有名でした。
創業者はハイランドパークのスチルマンとスコットランドラナークシャー出身の化学者です。
オークニー諸島は古くから農業が盛んで大麦栽培も盛んであり、仕込水は蒸溜所背後にあるリングロ・バーンの泉とその周辺の湧き水を使用できたので、ウイスキー造りには適していたといえます。
その後、数回オーナー変更があった後、一度蒸留所は閉鎖に追い込まれますが、2004年に設備を増強し創業を再開、現在はベルノリカール社の傘下に入り、販売は日本のサントリーが担っています。
画像引用:scapa-whisky.jp
スキャパの製法で特筆すべき点は世界でも珍しいローモンドスチルを使用しているという点です。
ストレートネック型のネックが特徴の蒸留器がスキャパ独特の風味を生み出すといわれております。
ローモンドスチルを初留釜に使い、2基だけポットスチルを使用しています。
そしてこちらの蒸留所、創業当初はピートを使用した麦芽を使用しておりましたが、現在はノンピートの麦芽を使用。
そして、熟成に使われるのはファーストフィルのバーボン樽のみになっております。
一般的にウイスキーの熟成樽は基本的には繰り返し何度も使用されますが、初めて熟成に使用される樽を使うことによって強いバニラ香、フルーティーさを原酒に残すことができるといわれています。
また、こちらの蒸留所は原酒の管理にコンピューターを一切使わず、職人の手作業によって行われることにも有名でして、スキャパのユニークな味わいはローモンドスチル、こだわりの樽、そして職人の手仕事によって生み出されているといっても過言ではないでしょう。
スキャパはノース語で『ボート』という意味としている説とスキャパ蒸留所付近の地形から『貝床』という説がありますが、どちらかは定かではありません。
色合いは濃くもなく薄くもなくきれいな琥珀色。
テクスチャはグラスにへばりつくこともなく割とさらっとしています。
まず、アロマはフローラル、風邪薬シロップ、焦がしたキャラメル、磯っぽさ、微妙にアルコールの刺激。
味わいは完成度が高く、バニラ、ドライフルーツのレーズンの酸味が効いており、それを追いかけるようにスパイシーさ、スモークがかった喉越しと磯っぽさ、潮っぽい味わいもあります。
味わいのボリュームを占めているのは磯っぽさとスモークがかった余韻。
スペイサイドモルトのような華やかさとアイランズモルトの潮っけ、スモークがかった余韻が楽しめるのがスキャパのユニークな味わいの魅力かと思われます。
また、スキャパの原酒はバランタイン17年のキーモルトにもなっており、スキャパの味や香りの特徴である口に含んだ瞬間に華やかに広がるフローラル感やフルーツの甘みの特徴を打ち出す重要な役割を担っています。
画像引用:scapa-whisky.jp
『スキレン』とは光り輝く空を意味します。
明るい空を意味し、オークニー諸島の美しい海や青い空をイメージしたものでもあります。
ファーストフィルバーボン樽での熟成はパイナップルの風味も加わっており、香り立つのは樽香と甘いバニラです。
少量の水で割り、ゆっくりと味わうのがおすすめです。
鼻に抜ける洋ナシの香り、残る甘い余韻は何とも言えません。
特筆すべきはレモンシャーベットのような味わい。
舌全体に広がる感覚はまさに絶品です。
画像引用:Amazon.co.jp
スキャパグランサはバーボン樽で熟成させた後、エクストラピーテッドウイスキーというピート香の強いウイスキー樽で追加で後熟してボトリングしたウイスキーです。
アロマはスキレンとは違い、洋ナシや甘草のような香りや、チーズっぽい酸味を微妙に帯びた感じがします。
味わいは花の蜜や柔らかな熟したフルーツ、キャラメルのような甘さはありますが、喉越しにはスモーキー感がどっと押し寄せる感じです。
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スキャパ12年はスキャパ14年の発売をきっかけに2004年頃に惜しまれつつも終売になったボトルです。
メインとなる原酒は1970年台後半から1980年代に蒸留されていました。
流通していたのは1990年代~2000年代初頭あたりです。
アロマはバニラ香、アップルジンジャー、まだ青い果実。
味わいは華やかでオイリーなナッツ、甘い麦のジュースを飲んでいるかのようです。
余韻に微かなスモーキー感が感じられます。
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こちらの14年熟成はオーナーのアライド社がベルノリカール社に変わる少し前の2004年に発表され、次の16年が発表される2008年までの約4年間のみ流通していた貴重なボトルです。
フルーティでフローラルな味わいが特徴のスキャパの中でも特にフルーティで柑橘・メロン・パイナップルが印象的です。
ボディはさっぱりとしていてライトな飲み口で飲みやすいです。
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16年熟成はかつてのスタンダードボトルでした。
現在は残念ながら終売になっていますが、ネットでは稀に購入できることもあります。
こちらは非常にクオリティが高く、アロマは琵琶や金木犀などの黄色い果実や花、ヘザーハニーの上品で華やかな香りを連想させる銘柄となっています。
味わいは若干ライトな印象で蜂蜜やオレンジ、カスタードクリーム、ナツメグなど甘すぎず、全体の調和がよく取れている印象です。
フィニッシュはドライでさらっとしています。
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こちらはオフィシャルのスキャパ1980で、25年熟成、2000本限定というリミテッドエディションです。
テクスチャーは粘性があり、アロマは熟したプラム、バラ、熟成による甘く華やかなエステリー香、柑橘類、オイル、ナッツの香ばしさ、麦の甘みなど。
味わいはオレンジジャムやバニラに濃い目のウッディネス。
余韻も濃厚で深い芳醇さがある味わいです。
現行品のスキレン・グランサのおススメはストレート、または水割りです。
加水して水割りで飲むと、香り立ちがつよくなります。
ストレートの時に感じた風邪薬シロップの香りが蜂蜜の香り変化し、全体的にフローラル系のフレーバーが強くなります。
加水してもバランスを崩さずとても美味しく飲めます。
非常にクオリティが高いウイスキーといえるでしょう。
ハイボールにすると磯っぽい潮っけ、スモーキーさが感じられます。
ストレートで飲んだ時のような甘さとスパイシーさのあるスキャパ本来の繊細さがハイボールにすると若干ぼやけてしまう印象があります。
グランサはソーダ割りでも美味しく飲めますが加水には若干弱い印象があるかもしれません。
グランサのハイボールはフルーツの爽快な香りがはじけて美味しくいただけます。
スキャパは一口含むと花が開くように味わいが口いっぱいに開きますが、それでいて上品なアロマを持つウイスキーです。
オークニーのヘザー感も感じられ、華やかなコクに包まれる魅力満載ですので、是非一度ご賞味ください。