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- ウイスキー基礎知識
スコッチウイスキーは、世界5大ウイスキーの1つです。ジャパニーズウイスキーもその一角を占めますが、最初はスコットランドから製造方法を学んでいます。
そのため、日本ではスコットランドがウイスキーの本場、スコッチが本格ウイスキーというイメージを持っている人が多いようです。では、スコッチウイスキーの持ち味をしっかり味わうためには、どのような飲み方をすればよいのでしょうか。この記事では、スコッチウイスキーの飲み方について解説します。
この記事のポイント
スコッチウイスキーとは、スコットランドで生産されるウイスキー全般を指す言葉です。世界の5大ウイスキー産地のひとつとして数えられるスコットランドには、ウイスキー製造にまつわる最古の文書が残っています。
最初にウイスキーがつくられ始めたのはアイルランドだという説がありながらも、スコットランドが「ウイスキーの発祥地」、「ウイスキーの本場」だと言われるのは、スコットランドが先に商品としてのウイスキーを製造するようになったからでしょう。
蒸留所のある地域ごとに香りや味わいが異なるのもスコッチウイスキーの特徴です。スコッチウイスキーの産地は大きく6つに分けられます。ハイランド、スペイサイド、キャンベルタウン、ローランド、アイラ、アイランズの6つです。
それぞれどのように違うのかを語れるほど、各産地が異なる気候や風土を持ち、ウイスキーの香りや味に反映しています。どの産地のものを選ぶかによって、まったく異なる味わいになる点が、スコッチウイスキーの醍醐味といえるかもしれません。
スコットランド北部がハイランドで、スコットランドの蒸留所の約3分の1がある地域です。世界的に名前を知られているグレンモーレンジやダルモアなどの蒸留所もこの地域にあります。地域が広すぎるため、ハイランドだからこのような味、香りといえる明確な傾向がありません。
蒸留所や銘柄別に述べられることが多い地域です。強いて言うなら、落ち着いたまろやかな口当たりのウイスキーが多い地域だといえます。
スコットランドの北東部にあたる地域です。スペイ川周辺の地域なので、スペイサイドと呼ばれます。ごく狭い地域でありながらはマッカランやグレンフィディックといった有名蒸留所が集中している地域なので、スコッチウイスキーを語るうえで重要な地域です。
スペイサイド産のウイスキーは、初心者でも飲みやすい香りが華やかでフルーティーなものが多いといえます。甘味、苦み、酸味、スパイスなどバランスがよく取れた銘柄をつくり出している地域です。
人口5000人ほどの小さな港町ですが、かつては30以上の蒸留所が集まる、スコットランドでも有数のウイスキー産地でした。ところが、現存し操業を続けている蒸留所はわずか3カ所だけです。
それでもスプリングバンクやロングロウ、グレンスコシアといった根強いファンを持つ銘柄がつくられ続けています。地理的にも味わい的にもハイランドとアイラの中間に当たり、甘味と塩味が混じり合った風味が特徴的です。
スコットランドの南部に当たる広い地域です。エディンバラやグラスゴーといった大都市もローランドにあります。地域の広さのわりには稼働中の蒸留所はわずか6つと少ない地域です。
ただし、ブレンデッドウイスキーには欠かせないグレーンウイスキーのほとんどがこの地域でつくられています。モルトウイスキーは他の地域よりも蒸留回数が多い軽い味わいのものが多い地域です。オーヘントッシャンやグレンキンチーといった銘柄がこの地域でつくられています。
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スコットランドの西側に位置するアイラ島は、日本の淡路島を一回り大きくした程度の小さな島です。しかし、その狭い島の中に8つの蒸留所があり、スコッチの聖地とまで呼ばれています。ピートの使用が多いため、他の地域とは比べ物にならないほど個性が強いウイスキーがつくられている地域です。
正露丸のような薬や消毒液と表現される強い香りがあるもの、燻製のような香りが強いもの、潮の香りが強いものなど、好き嫌いが分かれます。ボウモア、アードベッグ、ラフロイグなどがこの地域の銘柄です。
アイラ島を除くスコットランドの島々がアイランズに当たります。アイランズに含まれる島はそれぞれ距離が離れているため、ひとくくりにされているわりには、これがアイランズの香り、味わいですといえるものがありません。
どちらかというと、地域ではなく、それぞれの蒸留所や銘柄別に香りや味わいを語られることが多い地域です。スカイ島でつくられるタリスカーは、スパイシーで海を感じるような塩味が際立っています。一方、オークニー諸島でつくられるハイランドパークは口当たりがまろやかでほんのりとした甘味が特徴です。
スコッチウイスキーの持ち味は、スコッチウイスキー特有の製造工程が生み出しているといっても過言ではありません。1つは麦芽を乾燥させる工程、もう1つは樽に移して熟成させる工程です。
スコッチウイスキーは大麦麦芽を使用したモルトウイスキーが中心なので、麦芽に水を含ませ発芽させた後に乾燥させる工程があります。その際ピートを使用するかしないかによって大きく味わいに差が出ます。
また、熟成もウイスキーの味わいに大きな影響を与える重要な工程です。熟成期間が長いほど、まろやかな口当たりになり、味わいも深みが増していきます。しかし、それ熟成期間の以上にウイスキーの味わいに大きな影響を与えるのが、熟成させる樽の種類です。
スコッチウイスキーには、他のお酒を熟成させた後の古樽を用いて熟成させるという特徴があります。とりわけ多く用いられるのが、バーボン樽とシェリー樽です。どの樽を用いて熟成させるかによって、風味がまったく違ってきます。自分好みのウイスキーを探す際には、樽の種類を確認してみることも必要です。
ウイスキー樽の種類について詳しく知りたい方はこちらの記事をチェックしてください。
ピートとは植物などが堆積してできた泥炭のことです。スコットランドは、国土の多くがピート層で覆われているため、どこでも手軽に手に入れられる燃料として、昔から自然に使われていました。スコッチウイスキーの蒸留所周辺でも当然ピートが採れます。
大量の大麦を発芽させ、乾燥させなければならないため、近くで採掘されるピートを燃料として使用することになりました。スコットランドでは、ピートを使用する蒸留所が多いのはそのためです。
ピートは採掘される場所の気候や風土によって含まれる成分が異なります。どこのピートを燃料にするかによって、麦芽につく風味に差が出て、ウイスキーの強い個性やクセになるのです。とくにアイラ島とアイランズは海に近い場所で採れたピートを使います。海藻のような香りや塩味は、ピート由来のものなのです。
麦芽の乾燥時にピートを燃やすと、フェノール化合物が麦芽に付着します。燻製や焦げ、消毒薬、タールなど香りの差は、フェノール化合物の含有量の違いによるものです。もちろん、スコットランドにも、ピートを燃料として使用していない蒸留所はあります。
その蒸留所でつくられたウイスキーには、当たり前ですが、フェノール化合物由来の香りは付きません。ですから、フルーティーでクセのない飲みやすいウイスキーになります。
ピートを燃やしたことにより、麦芽にどれだけフェノール化合物が付いたかを示すのが、フェノール値です。フェノール値は、蒸留所ごとにほぼ決まっています。クセが強いことで知られているアードベッグは60なのに対して、高級ウイスキーとして知られるボウモアは25という具合です。気になる銘柄があったら、どれくらいクセが強いものなのかを、フェノール値で確認しておくとよいでしょう。
バーボン樽は、バーボンウイスキーの熟成に用いた樽で、材質はアメリカンホワイトオークです。ウイスキーをバーボン樽に移して熟成すると、ウイスキーにバニラや蜂蜜の甘味、青リンゴのフレッシュなフルーティーさなどが付きます。
バーボン樽を初めてスコッチウイスキーの熟成に使用したのはグレンモーレンジで、1949年のことでした。それ以降、他の蒸留所でもバーボン樽を使うようになり、今やスコッチウイスキーの約9割がバーボン樽熟成です。バーボンウイスキーは、熟成に新樽を使うことが法律で決められています。
生産のたびに必ず使用済みの樽が出ることから、古樽が大量に手に入りやすかったことが、スコッチウイスキーの熟成に転用されるようになった理由です。
一方シェリー樽は、シェリー酒を熟成させた樽で、アメリカンオークやヨーロピアンオークなど、さまざまな材質のものがあります。シェリー樽でウイスキーを熟成すると、メープルシロップや黒糖、レーズン、ドライフルーツなど重めの甘い香りや深い味わいになるのが特徴です。
ただし、シェリー酒はウイスキーよりも消費量が少ないという問題があります。そのため、シェリー酒の熟成に用いた古樽という条件では供給が追い付きません。ウイスキー熟成用に樽を流用するためだけにシェリー酒をつくるケースも多くなっています。
スコッチウイスキーの場合、モルトウイスキーもブレンデッドウイスキーも、シングルカスクというケースは少なく、複数の樽からヴァッティングして味や香りのバランスを取っています。
スコッチウイスキーだからこのような香り、味と明確にいうのは難しく、自分好みのボトルを見つけるためには、蒸留所や銘柄ごとに味や香りを確認することが必要です。ピートを使用しているかどうか、使用しているなら強めか弱めか、シェリー樽とバーボン樽の割合がどうかという点でチャートをつくって、自分の好みに近いものを探すとよいでしょう。
スコッチウイスキーに限らず、ウイスキーは独特の風味を味わうお酒です。とくにスコッチウイスキーは、麦芽の乾燥にピートを使用しているか、していないか、熟成にどのような樽を使っているかによって味わいが大きく変わります。複数の樽から原酒をどのような割合でヴァッティング、ブレンドするかによっても味わいに違いが出るので、その違いをしっかり味わえる飲み方をするのがおすすめです。
スコッチらしさを味わうなら、まずはストレートで味わってみましょう。とくにピート由来のスモーキーフレーバーをじっくり味わうなら、ダイレクトに感じられるのはストレートです。ストレートで飲むときは、小さめのグラスを用意しましょう。テイスティンググラスなら、ほどよく香りを楽しめます。
チェイサーを用意することも忘れないようにしましょう。チェイサーとは、アルコール度数の高いお酒を飲むとき、合間に飲む飲み物のことです。水が一般的ですが、お茶や炭酸水をチェイサーにすることもあります。ウイスキーの香りを楽しむなら、水をチェイサーに選ぶのが無難です。チェイサーには酔いにくくする働きもありますが、一口ごとに口の中をさっぱりさせることで、余韻の強いウイスキーでも最後まで持ち味の香りや味わいを楽しむことができます。
ストレートではアルコールが強すぎて飲みづらいというのであれば、トワイスアップで飲んでみましょう。ウイスキーと常温の水を1:1で割る飲み方です。ウイスキーの香りがもっとも引き立つ温度は20~30度です。氷などを入れて冷やして飲むときよりも、特有の香りがしっかり感じられます。
また、氷を使わない飲み方なので、時間が経っても水っぽくなることがありません。水の量の微妙な差によって香りも味わいも変化します。少量のウイスキーと水で一度香りを楽しんでから、水を加えて好みの濃さにしてから味わうという飲み方をしてもよいでしょう。
スコッチウイスキーの場合は、同じ銘柄で熟成期間の異なるものや、産地の異なるものを複数用意して飲み比べるというのもよい飲み方です。その際は、グラスの大きさや温度などの条件は揃えて、ストレートかトワイスアップで味わってみましょう。
スコッチウイスキーだから水割りやハイボールで飲んではいけないというわけではありません。クセが強すぎるものは、ハイボールや日本独特の氷を入れた水割りにすることで飲みやすくなることもあります。
しかし、スコッチウイスキーに適した飲み方はストレートかトワイスアップです。一度それらで味わってから、自分好みの飲み方を探してみるとよいでしょう。