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- ウイスキー基礎知識
ウイスキーといえばクセが強い味わいで、渋い印象を持っている方もいるかもしれませんが、実は果実の甘みが強く甘い物好きの人も楽しめるフルーティーなウイスキーもあり、近年ではこちらが人気を集めています。
渋い大人だけの飲み物という印象は古く、20代の若い世代から女性の方にもおすすめできるお酒として日本でも受け入れられてきているのです。
そのなかでもウイスキー初心者に人気の銘柄に共通した特徴にはフルーティーな風味を持っていることが挙げられます。
この記事では、なぜウイスキーの香りや味わいがフルーティーになるのかという疑問に答えた上で、フルーティーなウイスキーを選ぶ方法とおすすめの銘柄を紹介します。
この記事のポイント
ウイスキーの原材料は大麦などの穀物であり、大麦から作り上げた発酵させてアルコールを含んだウォート(麦汁)を蒸留して高いアルコール度数の液体を作り、樽のなかで熟成を続けて完成させます。
ここまでの過程のなかで穀物に果実を加える過程もなければ、フレーバードウイスキーと呼ばれる後から果実の風味を加えているウイスキーもありますが、普通のウイスキーは後から果実の風味を加えることはありません。
なぜ果実を使用していないにも関わらず、ウイスキーの香りや味わいがフルーティーになるのか疑問に思う方もいるでしょう。
その答えはウイスキーの製造過程のなかでも最も長い時間を費やす樽による熟成にあります。
ウイスキー樽は樽材となったオーク(木材)が持つフレーバーや、前に熟成させたお酒の風味が長い時間をかけてウイスキーに移っていきます。
つまり、ウイスキー樽のなかに果実の元となるフレーバーがあれば、長い時間をかけて熟成させることでウイスキーに果実の香りや味わいが付与されるのです。
ウイスキーの熟成は一度お酒を熟成させた樽を再利用して熟成されることが多く、シェリー酒と呼ばれるスペインの酒精強化ワインを熟成させた樽を再利用したシェリー樽はウイスキーの果実の風味を付与するウイスキー樽として知られています。
ウイスキーの香りや味わいは、人為的に果実の風味を加えるのではなく、熟成によって長い時間をかける時の魔法によってフルーティーなフレーバーを獲得する仕組みとなっているのです。
ウイスキーの味わいを変えるウイスキー樽の種類について詳しく知りたい方はこちらの記事をチェックしてください。
フルーティーなウイスキーが初心者に向いている理由は下記の通りです。
それぞれ詳しく見ていきましょう。
ウイスキーが苦手な人が思い浮かべるウイスキーの味わいは、スモークのような香りが鼻腔を一杯にして、アルコールの刺激が強く、個性的な味わいでキツイといった印象であることが多いです。
特にスコッチウイスキーは、スモーク香の強い銘柄も多く、愛好家からは飲み続けられている味わいではあるものの、ウイスキー初心者の方が飲むには飲みにくい感じるかもしれません。
スモーク香が強く個性的な味わいのウイスキーも飲みなれたら挑戦しみることをおすすめしますが、ウイスキー初心者が飲む銘柄を選ぶなら飲みやすいフルーティーなウイスキーを選ぶことをおすすめします。
フルーティーなウイスキーは果実の香りと味わいが強く、なめらかな口あたりの銘柄も多いので、苦手になりやすい特徴を持つウイスキーを飲んだことがある人ほど今まで抱いていたウイスキーへの苦手意識も変わり衝撃を受けることでしょう。
ウイスキーが苦手な人のためのおすすめ銘柄や飲み方についてはこちらの記事で紹介しています。
フルーティーな味わいを持つウイスキーは上質で高級な銘柄であるため、飲みにくいのではないかと思うことでしょう。
このような果実の風味を持つウイスキーに高級銘柄がいくつか存在していることは間違いありません。
しかし、フルーティーな味わいを持つから高級で購入しにくいという認識は誤りです。
高級な銘柄もあれば安く購入できる銘柄もあるので、フルーティーなウイスキーを購入する上で予算を気にする方は安く購入することも可能です。
ただし、フルーティーな銘柄に関わらずウイスキーを購入する上で最低レベルの予算である1,000円程度で700mlのボトルウイスキーを購入するとなると、良質なウイスキーを入手しにくく苦手意識を持つ原因になってしまいます。
もう少し予算を増やした上で選ぶか、50ml~100ml程度のミニボトルであれば予算が低くてもフルーティーで良質なウイスキーを購入しやすいです。
バーを利用するなら銘柄を覚えるか、マスターにフルーティーな味わいのウイスキーをおまかせで注文することでフルーティーなウイスキーが飲めます。
一言でフルーティーといっても果実にはさまざまな種類があり、りんごの香り、バナナの香り、レモンの香りなど好みもあるでしょう。
ウイスキーの果実のフレーバーは銘柄によってもその種類が異なり、さまざまな果実の香りや味わいを持つウイスキーが存在します。
ただし、特定の果実のフレーバーというより、柑橘系やベリー系といった複数の果実の風味が複合した甘い香りや風味を持っている場合が多いです。
評価の高い銘柄であるほどウイスキーの味わいは奥深く、一言で語り尽くせるものではないので、果実の風味を楽しみながらも深みのある味わいを堪能できます。
特定の果実の風味を楽しみたい場合は、ウイスキーの香りや味わいを示すテイスティングノートを参考に選ぶとお気に入りの銘柄が見つけやすいですよ。
ウイスキーにはさまざまな種類がありますが、そのなかでもフルーティーなウイスキーを選ぶ方法を紹介します。
それぞれ詳しく見ていきましょう。
ウイスキーは製造される地域によって、特色が似通っていることも多いので、地域で選ぶのがおすすめです。
例えば、スコットランドのスペイサイド地域は、フルーティーで甘いウイスキーが揃っていることで知られています。
スペイサイドウイスキーは、スコッチウイスキーのシングルモルトのなかでも最も人気が高く、ブレンデッドウイスキーよりも飲みやすい銘柄も揃っていることからウイスキー初心者にもおすすめといわれています。
このように地域ごとの特色を理解すれば、フルーティーなウイスキーを選ぶならスペイサイドウイスキーから選ぶのがおすすめということが分かるのです。
どこで作られたウイスキーであるかは販売ページにも表記されており、規模の大きい酒店では地域別に陳列することも多いので、初心者でも参考にしやすい選ぶ基準といえます。
スペイサイドウイスキーについて詳しく知りたい方はこちらの記事をチェックしてください。
「スペイサイドモルト」ウイスキーの特徴とは? おすすめ銘柄10選
ウイスキーに果実の風味を与えるのは熟成樽であるため、熟成樽で判断すれば果実の風味を持つウイスキーを選びやすいです。
果実の風味を与えるメジャーなウイスキー樽にはシェリー樽であり、この樽で熟成させたウイスキーは果実の風味を持っている可能性が非常に高いといえるでしょう。
しかし、販売ページでは熟成樽に関する情報が必ずしも載っているわけではなく、シェリー樽で熟成していなくても果実の風味を持つウイスキーはあるので、中級者向けの選び方になります。
特にシェリー樽で熟成させた果実の風味が好きということであれば、こちらの選び方でフルーティーなウイスキーを選ぶ人も多いです。
シェリー樽について詳しく知りたい方はこちらの記事をチェックしてください。
シェリーカスクの特徴とは? 種類と歴史とおすすめ銘柄を5つ紹介
ウイスキーの味わいは熟成年数が長くなるほどまろやかで甘い味わいになります。
理由は、樽や樽材が持つ甘い果実のフレーバーは、熟成年数が長いほどウイスキーに浸透しやすくなるからです。
熟成年数の若い銘柄はクセが強く果実の風味を感じにくくても、長期熟成銘柄になるとフルーティーになる銘柄も珍しくありません。
熟成年数の長いウイスキーは価格も張ることが多いので、上級者向けの選び方ではありますが、フルーティーな銘柄を求めるなら同じ銘柄でも熟成年数の長い銘柄を選ぶほうが適していることは理解しておきましょう。
それでは、フルーティーな香りや味わいを持つウイスキーのおすすめ銘柄を紹介します。
それぞれ詳しく見ていきましょう。
グレンフィディックは、世界で初めて販売されたシングルモルトであり、フルーティーな味わいを持つウイスキーの代表的な銘柄の1つです。
グレンフィディックのスタンダードな商品となっている12年物は、洋ナシとレモンの軽やかな果実香と口当たりなめらかで甘みのある味わいが特徴のフルーティーな銘柄になります。
ウイスキーが苦手な人が飲めば認識を変えてしまうほどの飲みやすさであるため、初心者がフルーティーで飲みやすいウイスキーを探すならグレンフィディックは最もおすすめです。
グレンフィディックウイスキーの種類やおすすめの飲み方についてご紹介
マッカランは、シングルモルトのロールスロイスとも呼ばれる高級ウイスキーであり、フルーティーなウイスキーが揃うスペイサイドを代表する銘柄でもあります。
12年物をはじめとするマッカランはシェリー樽で熟成されていることが特徴であり、ドライフルーツやレーズンなどの熟した果実の味わいが特徴的な上品な味わいです。
フルーティーなウイスキーを選ぶにあたって、品質にこだわるなら価格は張りますが、マッカランを選ぶのがよいでしょう。
ザ・マッカランは種類豊富なウイスキー!味とおすすめの飲み方は?
グレングラントはスペイサイドウイスキーの1つであり、マッカラン・グレンフィディックと比較すると日本での知名度は劣るものの、イタリアでは最も知名度の高いスコッチウイスキーです。
10年物は青りんごの香りに、バターフィナンシェはカラメルの味わいも感じられる甘いウイスキーとなっています。
アルボラリスという新たなスタンダードボトルもあり、ウイスキー初心者向けに作られたこちらの銘柄はシェリー樽のフルーティーな味わいとバーボン樽のバニラの風味が合わさっています。
フルーティーで甘い味わいを持つウイスキーはスコッチウイスキーだけではなく、日本で製造されるジャパニーズウイスキーでにも果実の味わいを持つ銘柄は存在します。
そのなかでも最も知名度が高く世界にも評価されている銘柄が山崎です。
山崎はミズナラ樽と呼ばれる日本で生まれたウイスキー樽で熟成されており、シェリー樽で熟成された原酒と混ぜることにより柿や桃の果実の香りにミズナラ樽特有のオリエンタルな香味が加わり、コクと深みのある味わいを堪能できます。
ボトルの入手は品薄状態にあるため難しいですが、比較的入手しやすいミニボトルの購入や、取り扱っているバーを探して飲んでみましょう。
ウイスキー山崎の種類ごとの特徴は?熟成年数によって変わる味わい
画像引用:https://www.asahibeer.co.jp/products/whisky_brandy/nikkamaltwhisky/miyagikyo/
宮城峡はニッカウヰスキーが販売するシングルモルトの1つであり、代表的な銘柄である余市が個性的でスモーキーなウイスキーであるのに対して、宮城峡はスペイサイドウイスキーのように果実の香りや味わいが特徴的で飲みやすい銘柄です。
イチゴや焼きリンゴの風味を持ち、熟成年数が長いほど杏のような熟した果実の香りや味わいが前面に出てきます。
期間限定販売ではありますが、宮城峡は過去にアップルブランデー樽や、マスカットの風味を持つシェリー酒であるモスカテル樽で追熟された銘柄も発売しており、ウイスキーに果実の味わいを付与することに積極的です。
フルーティーなウイスキーの選び方や、具体的な銘柄について紹介しましたが、果実の味わいが強く出ているウイスキーは共通して飲みやすいのでウイスキー初心者にもおすすめです。
好きな果物の味わいを持つウイスキーやおすすめ銘柄から甘くて飲みやすいウイスキーに挑戦してみましょう。
ウイスキーが苦手な人でも認識が変わるほど飲みやすい銘柄もあるので、苦手なウイスキーを飲んでいた場合も先入観を捨ててフルーティーなウイスキーを飲むと世界が広がりますよ。