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- ウイスキー基礎知識
お酒を日常的に飲むのであれば痛風にならないか不安を抱えている方もいるかと思いますが、ウイスキーは痛風の原因になるのでしょうか。
痛風の原因は尿酸値の上昇にあり、お酒が痛風を引き起こすのはプリン体が原因といわれており、ウイスキーはプリン体が他のお酒と比較して少ないといわれています。
ただし、ウイスキーの飲み方や、生活習慣によっては痛風を引き起こす可能性は否定できないので、ウイスキーは痛風の原因にならず、ビールなどのお酒からウイスキーに変えることで予防になるという考え方は間違っているかもしれません。
この記事ではウイスキーと痛風の関係について詳しく解説した上で、痛風の原因になりやすいウイスキーの飲み方や、痛風のリスクを避けた楽しみ方についても解説します。
この記事のポイント
ウイスキーと痛風の関係について以下の内容に沿って解説していきます。
それぞれ詳しく見ていきましょう。
痛風とは、尿酸が体内に蓄積された状態のことであり、血液内で結晶化して関節などに溜まり、免疫細胞が反応して炎症を起こします。
手足の関節に激痛が伴うのは、尿酸が関節に溜まっている状態にあり、その痛みは風が吹くだけでも激痛を伴うことから痛風と呼ばれるようになりました。
しかし、古来の日本では痛風の報告例がほとんどないため、国内における痛風は近年から始まったものであり、欧米などの食文化の輸入により食生活が変わったことで引き起こされるようになったといわれています。
体内に尿酸を溜めやすく、尿酸値の上昇の原因になる成分がプリン体であり、尿酸を形成する働きもある成分で肉類などにも含まれますが、主にビールをはじめとするお酒に多く含まれています。
ビールと日本で飲まれてきた日本酒と比較してもプリン体はビールのほうが多いので、洋酒を飲むようになったことが原因ではないかといわれるようになりました。
現在の食生活は古来の日本と比較してプリン体が多く、加えてプリン体の多いお酒を飲むことで尿酸が体内に溜まりやすく痛風を発症しやすくなります。
お酒だけが原因ではないものの、プリン体を多く含むお酒を飲むことで尿酸が体内に蓄積し、発症しやすくなることから、痛風はお酒が原因で発症する病気であるという認識が強くなりました。
ここまで一般的なお酒が痛風を引き起こす仕組みを解説してきましたが、痛風の主な原因はプリン体であり、プリン体の多いお酒を飲むと発症しやすいですが、少ないお酒を飲めば発症しにくくなるのではないかと考えるのではないでしょうか。
日本で飲まれるお酒が日本酒からビールに変わったことも、痛風が増えた要因の一つといわれているので、プリン体の少ないお酒を飲めば痛風のリスクを減らせる可能性があります。
プリン体の少ないお酒はウイスキーが挙げられ、ビールよりもプリン体が少ないといわれる日本酒と比較しても圧倒的に少ないのです。
ウイスキー、ビール、日本酒を含めたお酒のプリン体を下記の表で比較しました。
種類 | プリン体含量(mg/100mL) |
ウイスキー | 0.1 |
ビール | 3.3~6.9 |
地ビール | 5.8~16.6 |
発泡酒 | 0.1~3.9 |
ワイン | 0.4 |
ブランデー | 0.4 |
日本酒 | 1.2 |
紹興酒 | 11.6 |
近年では発泡酒でもプリン体を抑えた商品が出ていますが、ウイスキーはプリン体を抑えた発泡酒と同等のプリン体しか含んでいません。
ビール、日本酒と比較しても圧倒的にプリン体が少ないことが分かります。
尿酸値が上昇する主な原因はプリン体であるため、飲酒においてプリン体を減らすことを意識するならウイスキーが最も効率的であるといえるでしょう。
ここまでの話から、ウイスキーはプリン体を含んでいないので、飲んでも痛風にならないという考え方は危険です。
お酒が痛風を引き起こす最大の原因はプリン体にありますが、尿酸値の上昇にはアルコールの分解も関係しています。
アルコールは分解の過程において尿酸を体内に生成し、尿酸を体外に排出することを阻害する働きもあります。
ウイスキーはプリン体をほとんど含まないお酒ではありますが、40度以上の高いアルコール度数を持つため、飲み過ぎると尿酸値を急激に上昇させる原因になることもあるのです。
ビールなどのお酒を飲み過ぎればプリン体もアルコールも大量に摂取するので痛風のリスクが非常に高いことが分かりますが、ウイスキーも大量に摂取すればアルコールによる尿酸値の上昇や、その他にも健康被害を起こすリスクがあります。
よって、プリン体の少ないウイスキーであればたくさん飲んでも痛風にならないという考え方は誤りです。
ウイスキーと尿酸値の関係についてはこちらの記事をチェックしてください。
ウイスキーと尿酸値の関係は? 痛風の原因やプリン体についても解説
それでは、具体的にどのようなウイスキーの飲み方が痛風の原因になるのかを考えていきましょう。
痛風の原因になるウイスキーの飲み方は以下の通りです。
それぞれ詳しく見ていきましょう。
ウイスキーの飲み過ぎはアルコールの分解が増えるので、痛風の原因になります。
ウイスキーに限りませんがお酒の飲み過ぎは、悪酔い・二日酔いの原因になり、アルコール依存症の発症につながり、さまざまな健康被害をもたらします。
また空腹時の飲酒は胃の粘膜にダメージを与えるので、避けるようにしましょう。
飲む量・飲むタイミングによっては痛風などの健康被害の原因になるので、正しい飲み方を心掛けることが重要です。
ウイスキーの飲み過ぎで起こる身体への影響について詳しく知りたい方はこちらの記事をチェックしてください。
ウイスキーを飲み過ぎるとどうなってしまう?適量を知って正しく飲もう
プリン体はお酒だけに含まれるものではなく肉類・魚類にも含まれています。
つまり、ウイスキー自体にプリン体はなくてもプリン体が含まれる食物をおつまみにすれば尿酸が体内に蓄積しやすくなるということです。
ウイスキーはアルコール度数が高いので、摂取したプリン体によって生成された尿酸の排出を阻害してしまいます。
もちろん、摂取するプリン体が適量であれば問題ありませんが、プリン体を多く摂取した場合はウイスキーの飲む量が適量であっても痛風を発症する可能性があります。
プリン体が蓄積しないようにウイスキーを飲む場合はおつまみの種類や量にも気をつけたほうがよいでしょう。
痛風の原因になるウイスキーの飲み方について踏まえた上で、リスクを避けてウイスキーを楽しむ方法を考えていきましょう。
それぞれ詳しく見ていきましょう。
ウイスキーを飲むことで痛風などの健康被害を避けるなら適量を把握することが重要ですが、適量について具体的に知りたい方もいることでしょう。
厚生労働省では生活習慣病のリスクが高まるアルコール量を40g、女性で20gとしています。
男性であればウイスキーの摂取量は約120mlに相当するので、1日に120ml以上のウイスキーを飲む方は男女問わず厚生労働省の基準では飲み過ぎに該当します。
男女でアルコール量に差があるのは女性は男性に比べてアルコールの分解速度が遅いからです。
厚生労働省における適切なアルコール摂取量は男性であれば20g、女性で10g~15gになります。
これはウイスキーに換算すると男性であればダブル(60ml)、女性はシングル(30ml~45ml)になります。
アルコール量から換算した適量を理解してウイスキーを飲めば、痛風を含む健康被害のリスクを大きく軽減できることでしょう。
ウイスキーの適量と毎日飲む場合の健康への影響について知りたい方はこちらの記事をチェックしてください。
痛風はお酒を飲むことで発症する病気ではなく生活習慣病の1つです。
食生活や、運動不足が原因で引き起こされることもあるため、現在進行形で尿酸値が気になっている方で痛風が心配な方は生活習慣から見直していきましょう。
ウイスキーは痛風の予防になるのではなく、他のお酒と比較してプリン体による尿酸が蓄積しにくいが正しいので、ウイスキー以外の原因で尿酸が溜まるのであれば痛風になります。
よって、生活習慣のなかで尿酸が溜まる原因があるなら取り除いた上で、ウイスキーを飲むのであればリスクなく楽しめるでしょう。
適量のウイスキーを体内に尿酸が蓄積しにくい状態で飲むのであれば、ウイスキーが原因で痛風になることは考えにくいです。
痛風には一歩手前の症状として高尿酸血症という状態があるので、すでに痛風のリスクがある方で不安がある場合は医療機関を受診して適切に症状を改善することをおすすめします。
また、万が一にも痛風を発症してしまった場合も医療機関を受診するようにしてください。
一方で、尿酸値が現在の時点で高尿酸血症でない方は普段飲んでいるお酒をビールからウイスキーに変えて、適量で飲むことを心掛ければ痛風のリスクを気にせずお酒を楽しめるようになりますよ。