ラフロイグ 10年とは? スモーキーな味わいとおすすめの飲み方を紹介
- ウイスキー銘柄
ジャパニーズウイスキーは世界から評価を受けるほど優秀な銘柄が多くありますが、供給が少ないため高騰しやすいウイスキーでもあります。
その中でも埼玉県の秩父蒸留所で生まれたイチローズモルトは、人気のウイスキーで生産量が少なく入手が困難です。
イチローズモルトという名前を聞くと野球選手のイチローこと鈴木一郎を連想する方もいるかもしれませんが、創業者の名前から付けられているので関係ありません。
この記事ではイチローズモルトについて解説し、種類や購入方法、おすすめの飲み方についても紹介していきます。
この記事のポイント
上記の写真はイチローズモルトが生まれた埼玉県秩父の風景になります。
2004年9月にメーカーであるベンチャーウイスキー社が誕生し、2007年に秩父蒸留所が設立された歴史を持つイチローズモルトはウイスキー業界では歴史の浅いウイスキーになりますが、これまで数多くの賞を受賞してきた人気のウイスキーです。
名前の由来は創業者の肥土 伊知郎(あくと いちろう)から付けられています。
イチローズモルトの誕生は創業者の祖父が経営する東亜酒造が大きく関わっており、東亜酒造が保有する羽生蒸溜所の原酒を福島県の笹の川酒造に預かったことがきっかけです。
2005年に羽生蒸溜所の原酒を利用して、笹の川酒造で製造されたウイスキーが最初のイチローズモルトでした。
イチローズモルトは2006年以降から世界から大きな評価を受け、現在の人気が確立されました。
イチローズモルトは数多くの賞を受賞しており、主な受賞歴は下記の通りになります。
年度 | 内容 |
2006年 | 『ウイスキーマガジン』でジャパニーズウイスキー部門のゴールドメダルを受賞 |
2007年 | ワールド・ウイスキー・アワードでジャパニーズ部門の世界最優秀賞を7年連続受賞 |
2012年 | 『ウイスキーアドボケート』でジャパニーズ・ウイスキー・オブ・ザ・イヤー受賞 |
2017年 | ワールド・ウイスキー・アワードで世界最高賞を5年連続で受賞 |
『ウイスキーマガジン』と『ウイスキーアドボケート』はウイスキー好きが愛読するウイスキー専門誌であり、2つの専門誌から高い評価を受けています。
ワールド・ウイスキー・アワード(WMA)はウイスキー業界の中でも権威のある組織であり、2007年~2013年まで7連続でジャパニーズ部門の世界最優秀賞を受賞してきました。
2017年にはシングルカスクシングルモルトウイスキー部門で世界最高賞を受賞、2021年まで5年連続で受賞を続けています。
秩父蒸留所は歴史も浅く、規模の小さい蒸留所ですが、この蒸留所で製造されたイチローズモルトは世界から認められるウイスキーとなっているのです。
イチローズモルトが世界から高評価を受ける理由は、職人の洗練された技術と手間暇をかけた製造方法にあります。
熟成には管理が難しく、手間とコストもかかるミズナラ樽を使用。
ミズナラ樽で熟成するとウイスキーに芳香な香りが加わり、この香りは多くのウイスキー愛好家を魅了しました。
イチローズモルトはミズナラ樽を使用するだけでなく、ミズナラは北海道から買い付けをおこない、自社で樽を製造するこだわりを持っています。
秩父蒸留所の規模で樽を一から製造する蒸留所は珍しいので、製法に対して一切の妥協がないことが伝わるのではないでしょうか。
また、秩父という土地は夏は高温高湿、冬は低温で乾燥しており、寒暖差が非常に激しい土地柄はウイスキーの製造に適しています。
秩父に流れる大血川渓谷の弱アルカリ性で高度99の軟水は、クセがなくまろやかな水として親しまれており、ウイスキーの製造にも貢献しています。
こだわりを持った製法と秩父という土地が生み出すイチローズモルトは、世界に評価されるにふさわしい職人の技術と郷土の魅力が合わさった日本特有のウイスキーなのです。
ミズナラ樽を含むウイスキーのカスク(樽)について詳しく知りたい方はこちらの記事をチェックしてください。
イチローズモルトにはさまざまな種類があり、カードシリーズと呼ばれるプレミア価値のある銘柄もあります。イチローズモルトの種類とカードシリーズについて紹介します。
イチローズモルトの中でも最も定番で入手しやすい商品になります。
秩父蒸留所の原酒をキーモルトにして、グレーン原酒をブレンドしたブレンデッドウイスキーです。
香りは柑橘系であり、口当たりがまろやかで飲みやすいので、イチローズモルトを初めて飲むならこちらの銘柄を探すのがおすすめになります。
熟成に用いられるミズナラ樽の名前が入ったイチローズモルトのリーフシリーズの1つです。
蒸留所で作られたミズナラ樽で多様なモルト原酒を再熟成。熟成前のモルト原酒が製造された蒸留所は非公開ですが、スモーキーな香りが強いためピート(泥炭)による乾燥をおこなった原酒であることが予想されます。
ドライフルーツやチョコレートのような甘い風味に、ミズナラ特有のオリエンタルなフレーバーも感じることができます。
赤ワインを熟成させた樽を再利用して後熟させたイチローズモルトのリーフシリーズの1つになります。
秩父蒸留所の原酒をブレンドした後に、フレンチオーク製の樽で熟成させる工程が他のイチローズモルトとの差別化になっています。
フルーティーで甘い味わいの中にビターチョコのような苦い風味を感じられる一品です。
2009年のワールド・ウイスキー・アワードで世界最優秀賞を受賞したのがこちらの銘柄です。
ダブルディスティラリーズは2つの蒸留所という意味であり、秩父蒸留所とイチローズモルトが誕生した羽生蒸留所のことを指します。
秩父蒸留所の原酒はミズナラ樽による熟成、羽生蒸留所の原酒はシェリー樽による熟成であり、この価値のある2つの樽で熟成された原酒を混ぜ合わせました。
ジンジャーのような刺激のある味わいにの中にハチミツのようなほのかな甘みを感じることができます。
2018年のワールド・ウイスキー・アワードで世界最高賞を受賞したのがこちらの銘柄です。
正式名称は『イチローズモルト&グレーン リミテッドエディション ワールドブレンデッドウイスキー』です。
ウッドの香りに酸味を感じる甘さが特徴のウイスキーであり、少し香ばしさを感じる後味となっています。
イチローズモルトの中でもプレミア価値を持つ銘柄がカードシリーズになります。
トランプカードをモチーフとしているので、その種類は54種類あり、それぞれが定価よりも高い価格で取引されています。
カードシリーズの54種類の内いくつかの銘柄をピックアップして下記にまとめました。
ウイスキー | 特徴 |
トゥー・オブ・スペーズ | スぺ―ドの2、定価は9,660円(税込) |
フォー・オブ・ダイヤモンズ | ダイヤの4、定価は6,270円(税込) |
キング・オブ・ダイヤモンズ | ダイヤのキング、『ウイスキーマガジン』でゴールドメダルを受賞した銘柄 |
エース・オブ・スぺーズ | スペードのエース、褐色がかかった色合いが美しく人気が高い |
ジョーカー・モノクローム | ジョーカー、2014年に販売されカードシリーズの中で最も価値が高い |
特にジョーカー モノクロームはモノクロで描かれたジョーカーの美しいラベルに、イチローズモルト特有のミズナラ樽で熟成された銘柄であるため最も高い価格で取引されます。
54種類すべてを集めたセットは、2019年8月16日に香港が開催したオークションで719万2,000香港ドルで取引されており、日本円に換算すると9,770万円で落札されました。
2015年には日本円で5,960万円で取引されたことがあるので、4年で約2倍の価値になったといえます。
54種類のセットが現状でいくつ存在しているのかは不明ですが、時間が経つほど入手が困難になるのが予想されるので、さらに価格が上がることが予想されます。
人気で品薄になりやすいイチローズモルトを購入する方法は主に2つあります。
1つめはイチローズモルトの地元である秩父の酒屋で購入する方法です。
また、秩父の飲食店の中にはイチローズモルトを取り扱っている店もあるので、外食をしながらウイスキーを楽しむこともできます。
西武秩父駅前にある祭の湯の酒匠屋台では、イチローズモルトの立ち飲みができるので、とにかく香りや風味を体験したい人にはおすすめです。
しかし、地元の酒屋であれば確実に買えると思うかもしれませんが、人気の商品は売り切れていることもあるのが現状になります。
インターネット通販を利用して、販売しているサイトを探すほうが効率もよく、お目当てのイチローズモルトを探せる可能性が高いといえるでしょう。
最後にイチローズモルトのおすすめの飲み方を2つ紹介します。
イチローズモルトは希少価値が高く人気のウイスキーです。
飲める機会も少ないので、その個性を最大限に楽しめるストレートで飲むことをおすすめします。
ただし、イチローズモルトは熟成期間が短いのでアルコールの刺激が強いため、必ずチェイサーを用意して飲むようにしましょう。
チェイサーは水を用意するのが一般的ですが、用意する水は秩父の源流水を用意するとイチローズモルトの風味がさらに際立ちます。
イチローズモルトは熟成期間が若いためアルコールの刺激が強く、弱い人は飲みにくいかもしれません。
アルコールの刺激が強いウイスキーはロックにすると飲みやすくなります。
氷によってウイスキーが冷えることで、アルコールの刺激が抑えられるからです。
できる限り氷は大きく溶けにくいものを使用し、ストレートと同様にチェイサーも用意しておきましょう。
ウイスキーの飲み方について詳しく知りたい方はこちらの記事をチェックしてください。
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ジャパニーズウイスキーの中でもイチローズモルトは製法に独自のこだわりを持っており、秩父という土地柄もウイスキーの製造に適していることから世界から高い評価を受けています。
人気の高いウイスキーであるため、プレミア価値のあるカードシリーズは今後も高騰していくことが予想されます。
イチローズモルトの価値が高い理由を理解し、ウイスキーへの知見を深めていきましょう。