アルマニャックのおすすめ銘柄は? コニャックとの違い、美味しい飲み方を解説
- ウイスキー基礎知識
ウイスキーの香りを表現するとき、消毒液やヨード香など薬品のような香りであると表現されることもありますが、日本では正露丸のような香りがするウイスキーと表現される銘柄もあります。
具体的には、ラフロイグ、ボウモアが有名であり、正露丸の香りの強さは異なりますが、実際に香りを味わってみると薬品のような香りを感じ取れることでしょう。
正露丸のような香りといわれても、良い印象を持たない方が多いかもしれませんが、実はウイスキー愛好家からすればこの正露丸の香りがクセになっています。
慣れれば慣れるほどラフロイグやボウモアなどの正露丸の香りがするウイスキーは魅力的な銘柄です。
この記事では、ウイスキーから正露丸の香りがする理由と、正露丸の香りがするウイスキーのおすすめ銘柄とおすすめの飲み方を紹介します。
この記事のポイント
正露丸とは、大幸薬品が販売する胃腸薬のことであり、ご家庭でも常備していたり、胃のトラブルに見舞われた際にはお世話になっている方も多いことでしょう。
そして、その独特な香りはマイナスな印象を抱いている方も多く、大幸薬品が実施したアンケートでは約半数の人が正露丸の香りが嫌いであると答えており、好きと答えた人はわずか1割でした。
一方でその特徴的な香りは、匂いを嗅いだだけで腹痛が治ったような気分になるなどのプラシーボ効果が生むこともあり、良くも悪くも一度嗅いでしまえば忘れられない香りであることは間違いないでしょう。
日本人であれば多くの人が知っている正露丸の香りですが、一部のウイスキーには香りを味わったとき、正露丸のような香りがするウイスキーが存在します。
それが、スコッチウイスキー特有の燻製のようなスモークのような香りがある一部の銘柄です。
このスモークは、薬品臭やヨード香を伴いますが、日本人からすれば正露丸のようであると表現されることがあります。
正露丸の香りは、スコッチウイスキーの一部の銘柄をさして使用されることがあるウイスキーのテイストに関する表現です。
ウイスキーから正露丸の香りがする理由は2つあります。
それぞれ詳しく見ていきましょう。
正露丸の香りと表現されるウイスキーは製造工程において製麦(モルティング)という作業で、大麦を乾燥させる際にピート(泥炭)で焚くという共通点があります。
ピート(泥炭)は、野草や、水生植物が自然に炭化した物であり、低温多湿なスコットランドはピートが多く発生しやすい地域でもありました。
燃料として最適であったことから、現在ではピート以外の燃料を使用して製造されるウイスキーも増えてきましたが、かつては大麦を乾燥させる際の燃料はピートでした
ピートで大麦を焚くことによって、ウイスキーにスモークを感じさせるような独特な香りが生まれ、この香りに条件が加わるとまるで正露丸のような香りを感じられます。
ピートに加えて、正露丸のような香りがするウイスキーは、海に近い場所で熟成されているという共通点があります。
ウイスキーは熟成させた場所の影響を受けやすく、海の近くで熟成させれば潮気のある香りや風味になることがあります。
さらに、海に近い場所で取れるピートは、海藻などを含んでいることからピートによる乾燥にも海の影響が出やすいです。
ピートと海に近い場所で製造・熟成されるなどの条件が揃うと、ウイスキーに正露丸のような香りを感じ取りやすくなるのです。
実際に正露丸の香りがするウイスキーの多くは海に囲まれた小さな島で製造されています。
正露丸の香りがするウイスキーのおすすめ銘柄を4つ紹介します。
それぞれ詳しく見ていきましょう。
正露丸の香りがする代表的なウイスキーはラフロイグであり、初めて香りを嗅いだ瞬間に感じられる強烈な薬品臭が特徴的です。
ラフロイグはアイラモルトの王と呼ばれる、アイラ島で製造されるウイスキーのなかでも高い知名度を持つ有名銘柄であり、世界中にファンがいます。
イギリス王室のチャールズ3世もラフロイグの大ファンであり、シングルモルトとしては初めて王室御用達(ロイヤル・ワラント)に認められました。
好きになるか嫌いになるかの強烈なキャッチコピーを持っている銘柄であるため、好みが大きく分かれることは間違いありません。
ラフロイグの魅力は正露丸のような強烈なスモーク香のなかに、バニラのような甘い香りなど豊かな風味が感じられることです。
最初は正露丸のような香りに抵抗感を感じながらも、そのなかにある複雑な風味を味わえるようになると、いつの間にか正露丸のような香りもクセになるような印象です。
アイラウイスキーのラフロイグとは? 種類や風味の特徴を解説!
ボウモアの香りも正露丸のようであると表現されることもありますが、ラフロイグと比較すると優しく、初心者向けの銘柄といわれることがあります。
そのため、ラフロイグがアイラモルトの王であるなら、ボウモアはアイラモルトの女王と呼ばれることがある人気銘柄です。
正露丸の香りを含めてバランスのいい風味が特徴であり、ハチミツの甘さやダークチョコレートの苦さなど複雑なフレーバーを感じやすいです。
ウイスキーを飲みなれていない方が正露丸のような香りがするウイスキーを試すのであれば、ラフロイグではなくボウモアから試すほうがよいかもしれません。
ボウモアは潮風感じる島のウイスキー!種類とおいしい飲み方は?
タリスカーは、ラフロイグやボウモアとは異なり、スカイ島で製造されているシングルモルトウイスキーです。
しかし、同じ海に囲まれた小さな島で製造されており、ピートを焚いていることから、アイラウイスキーと同じ特徴を持っています。
そのため、タリスカーにも正露丸のような香りが確認できます。
タリスカーの特徴は黒コショウを思わせるようなスパイシーさであり、海風を感じる潮気と正露丸のような香りは、ウイスキーを炭酸水で割るハイボールととても相性がよいです。
「タリスカー・スパイシー・ハイボール」と呼ばれる、ハイボールに黒コショウをかける飲み方も推奨されており、肉料理や魚料理などの味わいを引き立てる理想の食中酒になります。
スコッチウイスキー『タリスカー』の種類とおすすめの飲み方をご紹介
アードベッグは、ここまで紹介した銘柄のなかでもトップクラスに正露丸の香りが強いウイスキーです。
非常に強烈な正露丸のスモークな香りの後から、フルーティーで甘い味わいが感じられるのが魅力です。
2008年に「ワールド・ウイスキー・オブ・ザ・イヤー」を獲得した銘柄であり、実績も確かなウイスキーであることは間違いありません。
しかし、その強すぎるクセからウイスキー初心者がいきなり飲む銘柄としてはハードルが高いため、ある程度ウイスキーを飲みなれており、正露丸の香りにも慣れてきている方におすすめの銘柄といえるでしょう。
正露丸の香りがするウイスキーを初めて飲むなら、まずは一口でもストレートで香りと味わいを楽しんでみましょう。
少量であっても、正露丸の強烈な香味を感じられるはずです。
ある程度飲みなれたのであれば、ストレートやロックで飲み進めるのも問題ありませんが、最初はハイボールから楽しむのがおすすめです。
正露丸とスモーク香は炭酸の爽快感と相性がよく、クセのある香りを軽減してくれるため飲みやすくなります。
ウイスキー初心者の方は無理してストレートで味わうのではなく、ハイボールのように自分が飲みやすい飲み方で正露丸の香りがするウイスキーを味わっていくことがおすすめです。
シングルモルトをハイボールで飲むのはもったいないといわれることもありますが、必ずしもそうではありません。
その理由は以下の記事で紹介しています。
シングルモルトをハイボールで飲むのはもったいない? その理由とは
ウイスキーにおける正露丸の香りは、ウイスキーの製造地や製造方法によって生まれます。
クセがあり、好き嫌いが分かれやすい香りではありますが、ウイスキーの魅力は正露丸の香りとともに感られる複雑な香味であり、この香味を味わうなかで正露丸の香りがクセになっていく人もいます。
ウイスキー愛好家が絶賛する正露丸の香りがするウイスキーのおすすめ銘柄を参考に、これまでに味わったことがない銘柄を試してみましょう。