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- ウイスキー基礎知識
ウイスキーの香りや風味をバニラのように甘い香りや味わいと表現することがあります。
大麦などの穀物を原料にするお酒であるウイスキーにバニラエッセンスなどの香料を加えていないにもかかわらず、バニラの香りを感じることに疑問を覚える方もいることでしょう。
一部の銘柄においては、ウイスキーの製造方法による影響で本当にバニラのような香味を感じることが可能です。
この記事では、なぜウイスキーにバニラ香があるのかを解説したうえで、バニラ香を感じるウイスキーの特徴を紹介し、具体的にバニラの香りや味わいが感じられるおすすめ銘柄を紹介します。
この記事のポイント
ウイスキーは、大麦、ライ麦、トウモロコシなどの穀物を糖化し、アルコールで発酵させて蒸溜したお酒です。
ここまでの製造過程でウイスキーにバニラ香が付与される要素はありませんが、独自の工程である樽による熟成がウイスキーの香りや味わいに影響を与えます。
ウイスキー樽による熟成は、さまざまな要素が長い時間をかけてウイスキーの風味に大きな影響をもたらします。
具体的に影響する要素の一例は以下のとおりです。
ウイスキー樽による熟成に影響される要素
ウイスキーの熟成のメカニズムは科学的にも完全には解明されておらず、熟成によってもたらされる香りや味わいは時間の魔法とも呼ばれるほどです。
このときウイスキーを熟成させた樽にバニラの香りをもたらす条件が整っていると、バニラの香りや味わいを感じることができます。
また、ウイスキーにもたらされるのはバニラの香りだけではありません。
果実を思わせるようなフルーティーな香りや、燻製や海鮮物を想起させるようなスモークや潮気など、熟成によってバニラ以外にもさまざまな風味がウイスキーに付与されます。
ウイスキーにバニラ香があるのは、蒸溜したウイスキーが樽のなかで長い時間熟成されることによる影響です。
ウイスキーの熟成樽について詳しく知りたい方はこちらの記事をチェックしてください。
ウイスキーを熟成させるオーク樽とは? 木材を含めた種類について
バニラ香を感じるウイスキーの特徴を3つ紹介します。
それぞれ詳しく見ていきましょう
バニリンとはバニラの香りの主成分となっている物質であり、私たちがバニラの香りと認識する香りはバニリンによるものです。
ウイスキー樽に使用される木材にタンニン(ポリフェノール)とリグニンが含まれていると、長い年月をかけてバニリンに変化します。
ウイスキーの熟成では、樽の成分がウイスキーに溶け出すため、バニリンがウイスキーに溶け出すことがバニラの香りがするメカニズムといえるでしょう。
つまり、ウイスキー樽にバニリンが含まれていれば、熟成させたウイスキーにはバニラの香りが付与されることになります。
バニリンが含まれている代表的なウイスキー樽には、バーボンウイスキーを熟成させた樽を再利用したバーボン樽で熟成させたウイスキーはバニラの香りが感じられる可能性が高いです。
バーボンウイスキーの熟成樽は、その独自の製造工程からバニラの香りや味わいのある代表的なウイスキーです。
バニラの香りの強弱には、バーボンウイスキーを熟成させるウイスキー樽の製造工程であるチャー(チャーリング)が大きく関係しています。
チャーとは、樽の内側を直火で焼き焦がす過程であり、バニリンがウイスキーに与える影響を高めます。
ウイスキー樽から成分が溶けだしやすくなるため、短い熟成期間でもバニリンなどの樽の成分がウイスキーに影響を及ぼしやすくなる仕組みです。
チャーには三段階の焼き加減があり、以下の特徴を持ちます。
焼き加減 | 特徴 |
ライト | 焼き加減が弱いため、樽の成分がウイスキーに溶け出す時間が長い |
ミディアム | 中間にあたる焼き加減、短い熟成年数でも樽の成分が溶けだしやすい |
アリゲーター | 樽の内側がワニの表皮に見えるほど強く焼く、成分の分解が非常に速い |
チャーの焼き加減が強いほどバニリンの溶け出しも早く、短い熟成年数でも樽の成分がウイスキーに与える影響が大きくなるため、強いバニラ香を持ちやすくなります。
ウイスキー樽の内面を焦がすチャーを詳しく知りたい方は、こちらの記事をチェックしてください。
ウイスキー樽の内面を焦がす「チャー」を行う理由と熟成の効果とは
バニラの風味が感じられるウイスキーを複数飲んでいると、同じバニラ系の香りや味わいであっても表現が変わる場合があります。
実際にバニラの風味を持つウイスキーは、ただバニラと表記するのではなく、テイスティングノートにおいて様々な表現がなされています。
バニラの風味がするウイスキーについての表現について一例を紹介します。
あくまで表現の一例ではありますが、ウイスキーの味わいを表現する際に使われることが多いです。
また、トフィーは砂糖・糖蜜・バターで作るイギリスの伝統的なお菓子です。
ウイスキーの本場がスコットランドであることからテイスティングノートにおいて、バニラとカラメルのような風味が絡み合うとこのように表現されることが多くなっています。
バニラ香・味わいを感じやすいバーボンウイスキーのおすすめ銘柄を紹介していきます。
画像引用:https://www.suntory.co.jp/whisky/products/0000000071/0000003190.html
アメリカンウイスキーを代表する銘柄であるジムビームは、知名度が高く、バーボンウイスキーの特徴のバニラの香りを感じやすい銘柄です。
バニラとともに感じられるフルーツのアロマ、甘味のある味わいとまろやかな口あたりはウイスキー初心者の方でも飲みやすいと感じられます。
ストレートやウイスキーを常温の水で1:1で割るトワイスアップにして、ウイスキーの香りを味わえばバニラの香りが含まれていることがわかることでしょう。
コンビニエンスストア、スーパーマーケットでも販売されており、入手難易度の低さからウイスキーを初めて飲む方にもおすすめできる銘柄です。
画像引用:https://products.suntory.co.jp/d/085246500576/
メーカーズマークは、絹のようになめらかな口あたりが魅力のバーボンであり、甘く繊細な味わいが魅力になります。
バニラとキャラメルを思わせる甘い風味に、柑橘系のフルーティーな味わいがあることが魅力です。
ジムビームと同様に日本で広く販売されているバーボンであることから、バニラの味わいのウイスキーを気軽に楽しみたい方におすすめになります。
画像引用:https://www.wildturkeybourbon.com/ja-jp/products/wild-turkey-standard/
ワイルドターキーは、バーボンの中でもバニラの風味とともに刺激のある味わいを求めている方に向いているウイスキーです。
濃厚な甘みとスパイシーでパンチのある味わいは、ワイルドターキーならではの個性的で魅力な風味となっています。
ワンランク上のバーボンを味わうなら8年もおすすめであり、こちらもバニラのフレーバーが特徴的です。
スコッチウイスキーにもバニラの風味が味わえる銘柄が多く存在しています。
その中でも2種類をピックアップして見ていきましょう。
画像引用:https://products.suntory.co.jp/d/5010106113127/
バランタイン ファイネストは、低価格で購入しやすいスコッチのブレンデッドであり、バランスの良いが魅力的です。
香りからバニラが強く感じられ、キャラメルやハチミツを思わせるような甘くなめらかな味わいです。
コストパフォーマンスの良さから低価格で気軽にバニラ香のするスコッチを味わいたいなら有力な候補になります。
画像引用:https://www.johnniewalker.com/ja-jp/our-whisky/
ウイスキーの本場とも呼ばれるスコッチウイスキーはバーボン樽による熟成が主流となっていることから、多くの銘柄からバニラの香りや風味を感じることが可能です。
そのなかでも知名度が高く入手しやすい銘柄がジョニーウォーカーであり、「ジョニーウォーカー ゴールドラベルリザーブ」は同銘柄のラインナップのなかでもバニラの風味が強いです。
バニラの香りだけでなく、スコッチウイスキーの特徴でもあるライトなスモークが感じられ、ハチミツのような甘さとなめらかな味わいが特徴になります。
スコッチウイスキーを代表する銘柄のひとつであるジョニーウォーカーのなかでもバニラの風味を重視するなら、ゴールドラベルがおすすめです。
日本のウイスキーでもバニラ香や味わいが感じられる銘柄が存在します。
2種類をピックアップして紹介していきます。
画像引用:https://products.suntory.co.jp/d/4901777188198/
ジャパニーズウイスキーはミズナラ樽熟成によるオリエンタルで華やかな香りが特徴であることが多いですが、バニラの香りが感じられる銘柄もあります。
サントリーから販売されている「サントリー スペシャルリザーブ」は、バニラの香りが広がる爽やかな味わいを持つウイスキーです。
バニラの香りにフレッシュな青リンゴのようなフルーティーな香りが加わり、すっきりとした味わいとクリーミーでまろやかな口当たりが特徴になります。
日本人の口にも合いやすく、食中酒にもなるようなすっきりとした味わいを持つバニラの香味を持つおすすめのジャパニーズウイスキーです。
サントリー スペシャルリザーブの種類と味わい、おすすめの飲み方
画像引用:https://www.suntory.co.jp/whisky/products/0000000038/0000005530.html
知多はサントリーから販売されるグレーンウイスキーであり、バニラのような甘さと爽やかさが同居した飲みやすいウイスキーです。
アメリカンホワイトオーク樽で熟成された原酒を使用していることから、果実の香りとともにバニラのウエハースのような風味が広がります。
近年では値上がりが進み、入手が困難になってきている銘柄ではありますが、軽やかな味わいが好きな方にはおすすめです。
「知多」はどんなウイスキー?種類や味、おすすめの飲み方を解説
最後に、バニラ香りや味わいが感じられるアイリッシュウイスキーとカナディアンウイスキーをそれぞれ紹介します。
画像引用:https://www.jamesonwhiskey.com/ja-jp/
近年人気が高まっているアイリッシュウイスキーは、カクテルにも使用される甘くて飲みやすい味わいのウイスキーを中心に製造されています。
入手しやすい代表的なアイリッシュウイスキーであり、香りや味わいの方向性でバニラの甘みが感じられる銘柄がジェムソン スタンダードです。
バニラの香りや風味とともに感じられる熟した果実の甘い味わいと、驚くほどスムースな口あたりが特徴になります。
バニラの風味が感じられて飲みやすいため、アイリッシュウイスキーの入門酒にもなるおすすめ銘柄といえるでしょう。
画像引用:https://www.suntory.co.jp/whisky/canadianclub/products/
5大ウイスキーのなかでも、クセが少なくライトな味わいが特徴といわれているカナディアンウイスキーは、アメリカンウイスキーと同様にバニラの風味が強い銘柄も多いです。
そのなかでもC.C.の愛称で親しまれるカナディアン クラブは、バニラ香のあるカナディアンウイスキーを代表する銘柄になります。
バニラとキャラメルのような甘い香りに、シロップのような甘みのある味わいと、ハーブによるスパイシーさがあります。
カナディアンウイスキーのなかでも購入しやすく、入門酒のひとつとなっているため、まだ飲んだことがない方は飲んでみましょう。
カナディアンクラブ(C.C.)の種類と味わい、おすすめの飲み方
ウイスキー自体からバニラの香りや味わいがする銘柄もありますが、ウイスキー一緒に食べるデザートとしてもバニラアイスは相性が良いです。
同じ香りや味わいを持つことから、ウイスキーの風味を損ねにくく、アルコールで火照った体を冷やす効果も期待できます。
別々に味わうのもおすすめですが、ウイスキーをバニラアイスにかけるウイスキーバニラアイスを試してもよいでしょう。
市販のバニラアイスにウイスキーを10~15ミリリットルかけるだけのシンプルで実践しやすい食べ方であり、アレンジ方法も無限にあります。
ウイスキーをハイボールで飲む方は、フロートソーダのようにバニラアイスをハイボールに添えるのもおすすめです。
バニラやフルーツの風味など、全体的に合いやすい甘い味わいを持つウイスキーとバニラアイスの組み合わせを堪能しましょう。
ウイスキーとバニラアイスの相性と、バニラアイスにかけるおすすめの銘柄を含めてこちらの記事で紹介しています。
ウイスキーとバニラアイスは合う? アイスにかけるおすすめの銘柄も紹介
ウイスキーでバニラ香を感じる理由は、ウイスキーの熟成過程にあり、熟成樽がウイスキーにバニラの甘い香りをもたらしてくれます。
多くの銘柄でバニラの風味を感じられるので、おすすめの銘柄を参考に自分に合ったバニラ香のあるウイスキーを見つけてください。
ウイスキーとバニラの組み合わせは相性が良いため、バニラアイスと一緒に食べる工夫や、カクテルなどにも利用することで楽しみの幅が広がります。