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なぜ山崎を含む国産ウイスキーが販売中止となるのか?理由を解説

2022.05.19 / 最終更新日:2022.05.19

山崎をはじめとする国産ウイスキーは現在、品薄状態にあり、すでに販売中止となった銘柄もありますが、なぜこのような状況となっているのか疑問を抱く人も多いかと思います。

長く続く品薄と販売中止となった銘柄が多いことから、オンラインショッピングでは価格が高騰し、人気の国産ウイスキーは入手しづらい状況が続いています。

山崎をデパートや酒店で販売されているのを見かけたという人も少なくなってきているのではないでしょうか?

この記事では、国産ウイスキーが品薄となった経緯を解説し、入手困難なジャパニーズウイスキーの具体的な銘柄も紹介。国産ウイスキーを代表する銘柄山崎を今入手する方法も解説します。

この記事のポイント

  • 山崎を含む国産ウイスキーが販売中止・品薄となった理由を紹介
  • 各地で販売中止となっている山崎を今購入する方法を解説

なぜ山崎を含む国産ウイスキーが販売中止・品薄となったのか

それでは、山崎を含む国産ウイスキーが販売中止・品薄となって経緯を3つの理由に分けて解説します。

  • ①1980年代の国産ウイスキーは冬の時代であった
  • ②国産ウイスキーの消費量の増加
  • ③世界的なジャパニーズウイスキーブーム

それぞれ詳しく見ていきましょう。

①1980年代の国産ウイスキーは冬の時代であった

国産ウイスキーが品薄となった経緯は、1980年代~1990年代に遡ります。

現在のジャパニーズウイスキーは世界的に人気も需要もあるため、考えられないかもしれませんが、当時の国産ウイスキーの消費量は低迷しており、冬の時代と称されるほど苦しい時代でした。

ウイスキーの消費量が減れば、生産量を減らす必要が出てきます。

この年代から熟成させる原酒の量が減少しますが、結果的に生産量を落としたことが現在の品薄を招く一因となってしまいました

消費量が低迷した以上、生産量を減らすという選択はけっして間違っておらず、当時から国産ウイスキーブームを予測できたはずがないので、国内蒸留所の判断にミスはありません。

しかし、ウイスキーは熟成に数年から数十年以上かかるため、急な需要の増加には対応できず、供給量は数年前の熟成状況に依存するため、結果だけを見れば過去に生産量を落としたことが致命的となりました。

②国産ウイスキーの消費量の増加

2010年頃サントリーは、国産ウイスキーの消費量を増やすためにウイスキーと炭酸水を混ぜる飲み方であるハイボールを軸にマーケティングを開始します。

ハイボールという飲み方は日本人に受け入れられ、現在でもウイスキーの代表的な飲み方としてハイボールが広く認知されることとなりました。

しかし、ハイボールはストレートや、ロックよりもウイスキーを消費する飲み方であるため、想定以上にウイスキーの消費が増加し始めたのです。

2014年には、ニッカウイスキー創設者の竹鶴政孝とその妻リタをモデルにした連続テレビ小説「マッサン」が大ヒットし、日本にウイスキーブームが到来したことで消費はより加速しました。

国内でのウイスキー消費の増加の理由を分析すると、ハイボールの流行とマッサンの大ヒットが大きな原因と考えられています

③世界的なジャパニーズウイスキーブーム

ジャパニーズウイスキーの流行は日本のみに止まらず、日本でウイスキーブームが始まった同時期から世界的にジャパニーズウイスキーが評価されはじめていました。

日本特有のオークであるミズナラ樽で熟成させたジャパニーズウイスキーは、ウイスキーの本場スコッチウイスキーにもない香りと風味があり、オリエンタルで華やかな香りが世界中のウイスキー愛好家の心を掴んだのです。

自分たちの国にはない新たなウイスキーを手に入れるために、世界中の人々がジャパニーズウイスキーを求めました。

国内でも需要が高まっている状態で、海外でも需要が高まれば供給がまったく足りない状況となってしまいます。

加えて、過去に生産量を落としていることから蒸留所に熟成させた原酒のストックがほとんどありません。

山崎を含む国産ウイスキーが販売中止・品薄となった経緯は、3つの原因が複合的に絡んだことで、他の国でも見られないほどの供給不足を引き起こしたのです

ジャパニーズウイスキー特有のミズナラ樽熟成のウイスキーが評価されている理由を知りたい方はこちらの記事をチェックしてください。

ミズナラ樽熟成ウイスキーが人気な理由とは?おすすめの銘柄と特徴

品薄・販売中止により入手困難な国産ウイスキーの銘柄

品薄・販売中止により入手困難な代表的な国産ウイスキーの銘柄を紹介します。

  • 山崎12年
  • 山崎18年
  • 山崎25年
  • 白州
  • 余市
  • 竹鶴

それぞれ詳しく見ていきましょう。

山崎12年

画像引用:https://www.suntory.co.jp/whisky/products/0000000038/0000000099.html

12年物という基本的なヴィンテージでありながら、現在は入手困難となっているのが山崎12年です。

ミズナラ樽熟成の芳香な香りが特徴の代表的な国産ウイスキーであり、国内国外問わず圧倒的な人気を誇ります

ただし、数は少ないですが酒店などで販売していることもあるので、品薄ではありますが、現在でも飲めるウイスキーといえるでしょう。

国内最高級のウイスキー山崎12年とは? 特徴と現状について解説

山崎18年

画像引用:https://www.suntory.co.jp/whisky/products/0000000038/0000000099.html

12年物よりも深みとレア度が増し、現在では高級銘柄として知られている山崎18年は、ごく稀に酒店などで販売されることもあるようです。

しかし、世界的に品薄の状態にあるため、販売されたとしてもすぐ売り切れてしまうことでしょう

18年物になると、価格も非常に高騰しているため、バーなどで取り扱いのある店を探して飲むのが現実的です。

日本の代表的なウイスキー山崎18年とは? 買取価格や定価について

山崎25年

画像引用:https://www.suntory.co.jp/whisky/products/0000000038/0000000099.html

山崎の長期熟成銘柄であり、通常の酒店ではまず見ることのできない現在では幻の銘柄です。

年間生産本数も非常に少なく、2022年に入って希望小売価格も28%上昇しました。

このレベルになると現在の高騰・品薄の状態が改善されない限りは、1口飲むことも難しい銘柄となってきます。

白州

画像引用:https://www.suntory.co.jp/whisky/products/0000000038/0000000100.html

白州は山崎と同様にサントリーから販売されているシングルモルトであり、高い人気を誇る銘柄です。

柔らかいスモーク香に新緑を感じさせるスムースな口あたりから高評価を受けています

山崎よりは入手しやすいかもしれませんが、品薄であることには変わりありません。

白州は森が育んだウイスキー!種類と味の特徴を活かす飲み方を紹介

画像引用:https://www.suntory.co.jp/whisky/products/0000000038/0000000114.html

響は、日本の四季をテーマに日本人の感性に合わせた職人の技巧の結晶ともいえるブレンデッドウイスキーです。

華やかで奥深い香りと味わいが特徴であり、ブレンデッドウイスキーでありながら品薄となっています。

ボトルを24面カットしたオシャレなデザインはプレゼント用のウイスキーとしても人気があります

響はブレンデッドウイスキーの最高峰!種類や味とおいしい飲み方は?

余市

画像引用:https://www.asahibeer.co.jp/products/whisky_brandy/nikkamaltwhisky/taketsuru/

余市は日本のウイスキーの礎を作った竹鶴氏のニッカウイスキーから販売されているシングルモルトですが、現在はノンエイジ物を除いてすべて休売しています。

そのため、ヴィンテージ物の余市はどれも入手困難です。

スコッチウイスキーを思わせるスモーク香と複雑で深みのある甘い味わいが国内外を問わず評価されています

ウイスキー余市の特徴と種類!味わいを堪能するおすすめの飲み方は?

竹鶴

画像引用:https://www.asahibeer.co.jp/products/whisky_brandy/nikkamaltwhisky/yoichi/

竹鶴は余市宮城峡、2つのモルトウイスキーをブレンドしたピュアモルトウイスキーであり、2つのシングルモルトと同様にヴィンテージ物は休売しています

モルトウイスキーらしい余市とグレーンウイスキーのような味わいを持つ宮城峡をブレンドすることで、香り豊かで飲みやすいウイスキーに仕上がっています。

ニッカウイスキーは、サントリーとは異なり、ヴィンテージ物がすべて販売中止となりました

竹鶴の種類や味わい,おすすめの飲み方について徹底解説!

山崎を含むジャパニーズウイスキーの高騰・品薄はいつまでつづく?

現在、ジャパニーズウイスキーは品薄の状態が続いていますが、日本の蒸留所も多くの人にウイスキーが届けられるように努力しています。

業界全体で生産量を増やすことで、将来的に品薄の状態を解消しようとしているのです。

しかし、ウイスキーの熟成には時間がかかるため、現在の品薄・高騰の状態はしばらく続くことが予測されます

山崎であれば18年、25年物の供給を上げるのは難しいかもしれませんが、基本的なヴィンテージである12年物の供給は将来的に改善されるかもしれません。

ウイスキーの熟成には10年以上かかるので、日本のウイスキー業界の努力の成果が表れるのは2030年頃であると考えられます。

各地で販売中止となっている山崎はどこで買える?

各地で販売中止となっている代表的な国産ウイスキー山崎ですが、今購入して飲むためにはどうすればよいのでしょうか?

先ほども説明した通り、現在の品薄状況はしばらく続くことが予測されるため、供給が安定するまで待てないという方が多いと思います

山崎を手に入れる方法は主に下記の3つです。

  • オンラインショッピング・ネットオークション
  • 酒店
  • ふるさと納税

オンラインショッピング・ネットオークション

多少割高でも山崎を含めた国産ウイスキーを手に入れたいと考える方は、オンラインショッピングやネットオークションを利用するのが現実的です。

プレミア価格での購入になりますが、今すぐ山崎を手に入れるなら有効な方法になります。

特に山崎は品薄となっているだけで販売中止にはなっていないので、定価で購入できる銘柄ですが、多くの人ができる限り安い価格で山崎を手に入れようとしています。

安い価格で販売されている山崎を探すにも労力が必要であるため、お金に糸目はつけないということであれば、プレミア価格でも購入してしまうのも手です

酒店

山崎のなかでもノンエイジ・12年物、ごくまれに18年物のボトルは酒店で販売されていることがあります。

酒店で探すとなれば何十軒もの店を回ることが予測されるので困難であり、銘柄によってはプレミア価格以上に労力を消費してしまう可能性もあります。

しかし、国内旅行で偶然寄った酒店で見つかるといったサプライズはあるかもしれません。

都心から離れた場所に住んでいるなら、近くの酒店に山崎が売られている可能性もあるため、自分にとって入店しやすい酒店を探してから、オンラインショッピングに頼るのもよいでいしょう。

もちろん、酒店巡り自体を楽しみたいという方は、あえて店で探してみるのもいいかもしれません

ふるさと納税

山崎は大阪府島本町におけるふるさと納税の返礼品となっています。

つまり、島本町にふるさと納税すれば、節税をしながら山崎を手に入れることができます。

もちろん、大人気のふるさと納税となっているため、競争率は非常に高いです

まとめ

山崎を含む国産ウイスキーは、低迷期における生産量の減少、国内外問わず需要が増加したことで販売中止・品薄状態となりました。

ウイスキーは熟成に時間がかかるお酒であるため、将来的に品薄が改善されることはあっても、今すぐこの状況が終わることは考えにくいです。

よって、山崎を含む国産ウイスキーをどうしても飲みたい方は、プレミア価格であっても購入するか、バーなどで取り扱っている店を探して飲みに行くのが現実的な方法といえるでしょう。

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