【イベントレポート】「ザ・セクストン」2024年11月12日発売の新アイリッシュウイスキーの魅力は世界観?
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清らかな水を育む浅間山麓にて、北国街道の宿場町として発達した、長野県の小諸市。そして、ウイスキー造りに最適な気候・水質・自然環境を兼ね備えるこの場所で、小諸蒸留所は設立されました。
小諸蒸留所は、軽井沢蒸留酒製造株式会社の代表である起業家の島岡高志さんと、世界的に有名な元カバランのマスターブレンダーである共同創業者イアン・チャンさんがタッグを組んで生まれました。
第2弾となる今回の記事ではビジターセンターにあるBar、ショップ、そしてウイスキーアカデミー中・上級者向けコースの様子をご紹介します!
第1弾では小諸蒸留所、またウイスキーアカデミーの基本情報と、初級者向けのコースに加えて、蒸留所と熟成庫の見学についても紹介していますので、こちらもぜひお読みください!
小諸蒸留所のBarは、ビジターセンター1階にありチェリーの木を使用したバーカウンターになっています!こちらのBarでは、様々な種類のウイスキーベースのカクテルや、ウイスキーに合うようなオリジナルフード]を楽しむことが出来ます。
また、ウイスキーの製造工程の様子をガラス越しに見ながら楽しむことができるのも蒸留所のBarならではの特徴です!
Barでは、ウイスキーアカデミーで講師をしている冨士原さんにカクテルを作っていただきました!実は講師の冨士原さんは、普段からもこのBarでバーテンダーとしてカクテルを振る舞っているのです。
冨士原さんは、日本ソムリエ協会のソムリエでもあり、ウイスキー文化研究所認定のウイスキープロフェッショナルという資格を保有しています。その知識を活かして数々の都内有名店やホテルバーで活躍されてきました。
Barにはウイスキーが使われた豊富な種類のカクテルが用意されていました。詳しいメニューはぜひ現地でご覧いただきたいので、ここではその内の一部をお届けします!
中でも注目したいのは、小諸蒸留所でしか飲めない2種類のシグネチャーカクテル!
1種類目は、「カクテル KOMORO」。リンゴやシナモンに加え、柑橘系の香りを使用し、さっぱりした甘味を味わうことができます。
2種類目は、「KOMORO スパークル」というハイボール。
ラベンダーの香りが使われているため芳醇な香りと共に楽しむことが出来ます。ラベンダー好きにはたまらない一品です。
実はこのオリジナルカクテルには、小諸蒸留所の樽熟成前の原酒ニューメイクが吹きかけられているため小諸蒸留所ならではのフレッシュな香りを楽しむことができます!
未発売の小諸蒸留所の樽熟成前原酒を体験できるのは、このBarでオリジナルカクテルを頼んだときのみです!
現在はカクテル以外でもニューメイクとオリジナルのペアリングを楽しめるメニューの提供も行われているようです。皆様もぜひ、オリジナルカクテルと共にニューメイクのウイスキーを堪能してください!
他にも季節に合わせた様々なカクテルが用意されていました!
今回その中でも、クレイジーバノックバーという、小諸蒸留所ならではのアレンジが加わったバノックバーンをオーダーしました。
ピートが効いたスモーキーなウイスキーを使用しており、ハーブや塩、胡椒などが混ざられたクレイジーソルト (Krazy Salt) がグラスの淵の半分につけられていました。もしかしたら皆様お気づきかもしれませんが、実はこのカクテルの名前の由来は「クレイジーソルト」です。
バノックバーンといえばトマトジュースですが、そのトマトジュースも軽井沢の柳沢農園で作られたものを使用しているなど、小諸蒸留所ならではの味を楽しめます。他のカクテルにも地元由来の材料がたくさん使われています!
カクテルの他に目を引いたのが、ひと口サイズのフードメニューとストレートウイスキーのセットメニューです。こちらのぺアリングメニューを頼むと、3種類のペアリングセットのうち、2種類のセットを1オーダーとして頼むことができます。
この3種類は、もちろんフードで選ぶこともできますが、ピートが効いているものと効いていないものがあり、また違う種類の樽の影響などで、ウイスキーの味が3種類とも大幅に違います!そのため、ウイスキーの味の種類を知るための初級者コース、「Tasting 101 基礎を知る」を受けて自分の好みを知ってからなど、その好みに合わせて頼んでみるのもいいと思います!
使われているウイスキーの種類、そして組み合わされているフードはどれもとても美味しかったです。その中の1つは、ピートが効いているウイスキーにオイル漬けのオイスターのセットです。
長野県にある小諸蒸留所ですが、海から遠い地域ならではの海鮮保存食文化からヒントを得て国産牡蠣をオイル漬けにして提供しているそうです。
ペアリングメニューのほかにも様々なフードメニューがあり、なかでもオススメは、「KOMORO スライダー」です!スライダーとは、西欧の国ではよくある小さめの軽食のためのバーガーです。
KOMORO スライダーには、サイドのサラダも含め、地元で採れた食材がふんだんに使われています。
以上がBarの紹介でした!地元の食材がフードにもドリンクにも使われていて、小諸蒸留所が地域に密着していることが伝わってくるメニューとなっていました。
ぜひ皆さんも実際に訪問したときには、経験豊富な一流のバーテンダーたちにより考案されたドリンクとフードをお楽しみください!
小諸蒸留所のビジターセンターでは、Barの他にもショップがあります!メープルの木で作られたテーブルには、様々な種類のオリジナル商品が飾ってありました。
まず目を引いたのが、独特な形をしたグラスでした!
ウイスキーは、シェリー樽やバーボン樽などの樽の違いや、ピートの有無によって味わいに違いが生まれます。そのそれぞれの味を堪能できるようにイアンさんによってデザインされたテイスティンググラスです!
先ほど紹介したバーで、このグラスを使った体験ができるそうなので、バーテンダーの方にお声がけしてみては?
その他にもイアンさんが考案したテイスティンググラスとマッチするように作られたハイボールグラスや、小諸蒸留所のロゴ入りスキットル、そしてウイスキーに合うスナックなどが販売されていました!そして、蒸留所のショップでは珍しくピアスなどのアクセサリーも売られており、意外性のあるラインナップとなっていました。機能性だけではなく女性の目線からも魅力的なデザインの商品が並んでいました!
「The Art of Maturation 熟成の謎を知る」はウイスキー中級者向けで、熟成の仕組みを詳しく知ることができます。
今回のコースは、冨士原さんに教えていただきました!
まず最初に、木樽での熟成を始めたきっかけ、ニューメイクと呼ばれる熟成されていないウイスキー原酒について、そして熟成する理由や熟成に関する基礎知識を教えていただきました。
そして、このコースでは樽の種類や熟成年数が違うウイスキーを5種類飲み比べることができます!
ウイスキーアカデミー監修者のエディー・ラドローさんの、「最後まで情報を知らずに試飲をすることでより深くウイスキーを感じることができる」という想いから、銘柄はコースの最後にお聞きすることができます!
実は、ウイスキーは長い間、熟成せずに飲まれていました。そのような中で熟成が始まったきっかけは、税金から逃れるためでした。
ウイスキーの造り手は、税金から逃れるために樽の中にウイスキーを隠していましたが、樽から取り出した際にお酒に色がついて味も良くなっているのを発見し、ウイスキーを樽に入れて「熟成」させることが始まりました。
熟成を行っていないウイスキー原酒のことを「ニューメイク」といいます。
ニューメイクは、アルコール特有の味わいがある一方で、発酵や蒸留方法の違いによる蒸留所の特徴が強く現れます。
熟成をすることによって出る樽由来のフレーバーとニューメイクを作る蒸留所の個性的なフレーバーの調度よいバランスで、ウイスキーを造ります。ちなみに、天候や気候などの条件から、スコットランドでは18年程度の熟成がバランスが良いと言われることが多いそうです!
ウイスキーを熟成する樽は木材でできているため、その特性上空気が出入りします。その仕組みと樽の中で何が起きているのかを知ることができました。
伝統的な樽の種類や、小諸蒸留所で使用する予定の樽の種類について伺いました。
樽の大きさを表す表(下記画像)は実際にエディーさんが選ばれたそうです!
樽サイズの名称の起源なども、冨士原さんのユーモアも混ぜながら教えていただいたので、ぜひコースをお楽しみにしてください!
続いて、使っているオークの種類、樽を作る工程、熟成によって出る味の違いなどを伺いましたが、こちらはコースを受講してからのお楽しみに!
樽の製造工程についての動画を見ることができますので、そちらと合わせてお楽しみください!樽を炎で熱する過程では、樽の種類や求める味わいによって異なる方法で熱するそうです!
バーボン樽にはアメリカンホワイトオークという木が使われていて、炎で樽の内側を炭化させるChar(チャー)という工程を行います。
チャーを行った樽の特徴としては、ココナッツやフルーツ、バニラのような香りになるそうです。
また、とても興味深いのがSTR樽の説明でした!
STR樽はカバラン蒸溜所でイアンさんとスワン博士によって開発されたものです!
Sは「Shaved(削りだし)」、Tは「Toasted(炙り)」、Rは「Re-Charred(再炭化)」を指しており、それぞれの工程にこだわりがあるようです。ぜひコースを受講して知識を深めてください!
エンジェルズシェア(天使の分け前)とは、ウイスキーが樽の中で熟成していく際に、蒸発して失われてしまったウイスキーのことを指す用語です。
スコットランドでは全体的に毎年2-3%の量が減るので比較的少ないですが、その理由として冷涼な天候の影響で熟成が遅いからだそうです。小諸蒸留所のエンジェルズシェアを予想するのも面白そうです!
以上が「The Art of Maturation 熟成の謎を知る」でした!樽の違いや熟成の仕組み、そして熟成年数により生じる味の違いなどを学ぶことができました!
「The Story of Peat ピートを極める」は、ウイスキーの愛飲家の方など上級者向けのコースで、ピートとは何かということを学べるコースです。
このコースは、ウイスキーアカデミーの監修者であるエディー・ラドローさんに教えていただきました!
このコースでは、全部で7種類もの試飲が用意されていました!
ウイスキーアカデミーでは、自分のペースで飲めるように水やクラッカーなども用意されており、異なる種類のウイスキーを楽しめるように設計されています。
そして、エディーさんが試飲において大切にしていることは加水です。
試飲は、ストレートで飲むことが大切だと思われがちですが、加水を数滴することによってウイスキーの持つ香りをより感じやすくなり、それによってのみわかる良さもあるそうです。
ピートとは、海中生物や植物、藻などが長い年月を果て蓄積され、層のようになった泥炭のことを指します。
どのようにピートが生まれるか、もっと詳しいことはコースを受けてからのお楽しみです!
スコットランドでこのピートは手軽に取れるため、昔から燃料として家庭などで使われてきました。
そして、家庭のみならずウイスキー造りにも使われました。
ピートを燃やすと、スモーキーな香りが生まれます。
大麦を乾燥させ麦芽をつくる際にピートを用いると、その香りが麦芽に付着し、ウイスキーもスモーキーなものになります。
ピーテッドの麦芽とノンピーテッドの麦芽の香りを実際に楽しむことができました!
また、スコットランド産の本物のピート(燃やされる前)も用意されていましたので、ぜひ現地でご覧ください!
フェノール値とは、ピートがどれくらい効いているかを測定するための数値です。
フェノール値はPPM(Phenol Parts per Million=100万分率)で測定されます。
ライトピート、軽めのピートは1から10PPM、ミディアムピートは11から25PPM、そしてヘビーピート、1番重くピートが効いている物は26PPM以上と分けられているそうです!
このコースを通じて、7種類のウイスキーを飲み比べします!
様々なフェノール値のウイスキーが用意されております。
その中には同じフェノール値のものもいくつか用意されていて、同じフェノール値なのに違う味があることが体験できます!
これは、先ほど触れたようなピートの部位や、熟成のための樽の種類によって変わってくるそうです。
ピート好きにはたまらない、ピートに対する情報が詰まった内容となっていました!
ピーテッドウイスキーを7種類も飲む機会はあまりありませんが、ピートの中でも多くの違いがあることに気付くことのできる良い体験でした!
小諸蒸留所のピーテッドウイスキーについての予定など、皆様の受講する楽しみを奪わないようにここでは明かしていない情報もたくさんあるので、ぜひ実際にその情報を入手しに行ってみてください!
以上、小諸蒸留所訪問、そしてウイスキーアカデミー受講のレポートでした!
とても豪華な洗練されたBarや、蒸留所とは思えないようなショップなど、小諸蒸留所ならではの良さが詰まった楽しみどころ満載の蒸留所でした!
改めまして、島岡さん、エディーさん、冨士原さん、そして蒸留所のスタッフの皆様、本当にありがとうございました!