【イベントレポート】ワールド・ウイスキー・フォーラム2024<第3弾>
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Dear WHISKYに掲載されている西新宿の「BAR FIVE Arrows」にて、愛媛県松山市でミクソロジーBar「LE CLUB」のバーテンダーを務める村田英則さんがゲストインしました!
今回はイベントレポート番外編として、当日のゲストインで披露したカクテルやイベントの様子をお届けします!
そして今回、カクテルの新しい楽しみ方を体現し、世界各国の飲み手の方やバーテンダーの方に「自由なカクテル」を届ける村田さんに独占インタビューを行いました!
イベントとカクテル、そして村田さんの想いまで、今回の記事をぜひお楽しみください!
都会の喧騒を忘れるための秘密基地のような場所をコンセプトに掲げ、店内にはレアウイスキーと現代アート作品が並べられたディスプレイ、豪華な大理石のカウンターが設けられ、贅沢な雰囲気を楽しむことができます。料理は五感で楽しむ「BFAスタイル」を提供し、高品質の食材を使用するだけでなく、視覚や嗅覚など五感で楽しむことのできる料理とカクテルをお楽しみいただけます。
幼い頃、バーホッパーだった祖母の影響でカクテルに興味を持ちバーテンダーの道に進みました。地元群馬のオーセンティックバーやパブ、上京してから銀座、渋谷、新宿、三軒茶屋、恵比寿などラウンジやレストランバーなどを経験。その際に経験したレストランバーにて、カクテルやサービスだけではない、幅広いお客様の来店ニーズに対応できるスタイルの必要性を実感し、BAR FIVE Arrowsの支配人となりました。水と空気を大切に扱い、カクテルに含ませる『柔み』に着目したカクテルと旬と産地にこだわったフレッシュフルーツカクテルを得意としています。
Barの名前 | バーファイブアローズ |
Bar紹介ページ | https://dearwhisky.com/bar/bar-five-arrows/ |
HP | BAR FIVE Arrows HP |
SNS | Instagram : bar_five_arrows |
愛媛県松山市にお店を構え、「愛媛から世界へ」を体現している、ミクソロジーカクテルを提供しているBarです。ミクソロジーカクテルとは、リキュールやフレーバーシロップを使う従来のクラシックカクテルとは違い、フルーツや野菜などのフレッシュな素材を用いて作られるカクテルのことです。LE CLUBの村田さんによって作られるミクソロジーカクテルは他に類を見ない素材を使っており、訪れる人に新しいカクテルの楽しみ方を提供しています。
学生時代友人と初めて行ったバーで衝撃を受け、その時よりバーテンダーの道を志しました。そのような中で海外のバーに行った際にミクソロジーカクテルに触れ、その魅力に気づきミクソロジーカクテルを作るようになりました。以来ヨーロッパなどの海外から「ゲストバーテンダー」として招かれ、現地のBARでカクテルを提供するなど世界のカクテルマニアに知られています。1994年から愛媛県松山市にて、「愛媛から世界へ」を掲げLE CLUBをオープンし、ミクソロジーカクテルの魅力を日本各地でつたえています。
Barの名前 | ルクラブ |
住所 | 愛媛県松山市二番町1-9-20 キーホールビル B1F |
電話番号 | 089-931-1995 |
SNS | LE CLUB公式Instagram |
日時 | 2023年9月10日(日)19時~23時 |
会場 | BAR FIVE Arrows (〒160-0023 東京都新宿区西新宿1-13-1 今佐ビル6F) |
い草ジン+トニックウォーター
おばあちゃんの家を思い出す懐かしい味です。
バナナフスティーノ+ほうじ茶+しいたけ蒸溜水+ビター+竹炭
チョコレートを一切使わずにチョコレートを再現したカクテルです。
キーマカレージン+トニックウォーター
村田さんを代表するシグネクチャーカクテルです。
辛子明太子ジン+クラリファイドいちご+ライムソリューション
魚卵とイチゴの組み合わせをカクテルに落とし込みました。
スモークサーモンジン+ラズベリー+ライムソリューション
北欧料理の定番野組み合わせにヒントを得て制作したカクテルです。
スピリッツ化したジファール・ローズ+マラスキーノ+レモンジュース
スミレの代わりにバラを使って上位互換を狙ったアヴィエーションです。
アマレット+青のり+醤油+バルサミコ酢
アマレットのオンザロックを飲む感覚に磯辺揚げ感を加えました。
ジン+カンパリ+ベルモット+ほうじ茶+お香+ヒノキ
まるで古いお寺にいるような感覚になるネグローニです。
どん兵衛ジン+サケ・ヴェルムース
カップうどんの王様とカクテルの王様の融合です。
Dear WHISKY:
今回ゲストバーを開催したきっかけなどはありますか?
村上さん:
きっかけとしては、BAR FIVE Arrowsが2年目のバーでまだ新しいため、様々な方にゲストとしてきていただくことで、話題やバーに来てもらえればという気持ちでした。
また、ゲストバーというイベントは、バーテンダー同士の繋がりもあり良く行うイベントなので企画しました!
Dear WHISKY:
なるほど!そのような中で、村田さんをご招待した理由などはあるのですか?
村上さん:
実は村田さんは僕の師匠のような存在の方です。SNSでも非常に有名な方で面白いバーテンダーでもあり素晴らしい人間性の持ち主です。村田さんご自身の技術なども隠さずに教えてくださったりしてくれますね。
Dear WHISKY:
師匠のような存在の方なのですね!
村上さん:
村田さんの目指しているものから、私も非常にインスピレーションを受けています。バーテンダー業界の底上げを体現している方なのでいつか一緒に仕事をしたいなと思っていました。だからこそ、今回願いが叶ってとっても嬉しいですし、楽しいですね。
Dear WHISKY:
初めて今回のメニューを見られた時の感想を教えてください。
村上さん:
最初は頭が追い付かないカクテルなんですよ。
例えばジントニックを例にとりますね。村田さんは元々クラシックカクテルを扱っていた方なので、もちろんジントニックの味はしっかりします。ただ、村田さんはそのジントニックに食事が加わります。そのため頭が追いつかないのですが、非常に美味しいです。
カクテルの楽しみ方を体現しているからこそ、頭が追いつかない体験と美味しさを両立出来ているのだと感じます。
Dear WHISKY:
なるほど!ありがとうございます。
村上さんご自身も、ミクソロジーカクテルに挑戦したことなどはありますか?
村上さん:
BAR FIVE Arrowsでは、食事もしっかりと作っているので、ミクソロジーといっても出来ることは限られますが、浸漬(食材をつけ込むこと)とか簡単な蒸溜とかは村田さんから着想を得ています!
Dear WHISKY:
Barの雰囲気に合わせて取り入れているのですね!他にもありますか?
村上さん:
カクテルの自由度という価値観も村田さんにインスピレーションを受けました!合わせるのがタブーだと思われていたものを合わせるというように、新しい世界への扉を空けてくださった感覚です。私がカクテルを自由に作るきっかけになりました。実際に、日々カクテルを検討する際には村田さんのメニューを参考にさせていただいてます。村田さんはカクテルの作り方や材料などオープンにして下さっているので教科書のような存在です。だからこそ、私のカクテルには村田さんのエッセンスも入っていますね!
Dear WHISKY:
最後に、今回のメニューの中で村上さんのお気に入りのメニューを教えてください!
村上さん
そうですね、やっぱりニンジャオールドファッションドですね。これには感動しました。チョコにしいたけが入っているような雰囲気なんですけど。海外とかだとポルチーニにチョコをあわせたりするんですけどそれと同じ要領で和を感じます。
これは料理に精通している人しか作れないものだなって思って飲んでて、バーテンダー全員が飲んでほしいし、カクテルというものが もっと楽しくなると思うので多くの人に飲んでもらいたいです。
Dear WHISKY
今回のBAR FIVE Arrowsでのゲストインのきっかけなどは何かあるのですか?
村田さん:
実は村上さんのことを昔から知っていました!そのような中で日本に最近流入してきた海外の文化であるゲストバーテンダーという話がありました。お店同士の交流や新しい価値観の提供などを目的として今回のイベント開催を決めましたね!
Dear WHISKY:
交流ということで、村田さん自身も愛媛県のLE CLUBでバーテンダーをなされていますが、どのようなバーですか?
村田さん:
LE CLUBは、ミクソロジーカクテルという新しい価値観を伝えたいという想いで愛媛県の松山市でお店をはじめ、今年30周年になります。お客様に、新しい経験や価値観、そして経験などをバーを通して提供したいと思いながらバーを運営しています。
Dear WHISKY:
村田さんがバーテンダーになることを決めたきっかけは何ですか?
村田さん:
広島の大学に通っていた時、初めて友達にバーに連れて行ってもらったときに衝撃を受けたことがきっかけです。それまでネオン街とかあまり得意ではなかったんですが、バーという扉を一つ開けると広がる別空間と、そこにいるバーテンダーが特有の雰囲気を作っていて感動しました。その瞬間に「私の仕事はこれしかない」と感じましたね。学校通いながら、夜はアルバイトでバーテンダーとして働き始めてからずっとバーテンダーとして生きています!
Dear WHISKY:
バーテンダーとして長年活躍なさっていますが、何故ミクソロジーカクテルを作っていきたいと考えたのでしょうか?
村田さん:
バーテンダーを始めた当初は、ミクソロジーという概念が日本にはなく、教科書通りに見て作ることが一般的でした。しかし海外のバーに行ったときに、多くのバーテンダーが自由な発想でカクテルを作っているのを目の当たりにしました。そこで、教科書通りに作るのではなく、自分の想いに従ってカクテルを作ることが自分の道なのではないかと感じたことがきっかけですね。
Dear WHISKY:
村田さんの作るカクテルは独創的で個性的だと感じますが、どのようにアイデアの着想を得ているのですか?
村田さん:
私はカクテルを飲む際に料理や食材と合わせることが多く、その全てがクラシックカクテルのベースになっています。面白い食材でもクラシックカクテルと合わせられることがあり、私は料理も好きなので、その2つを混ぜ合わせたいと思うことからアイデアが生まれます。
Dear WHISKY:
そのようなアイデアはどのようなタイミングで生まれるのですか?
村田さん:
タイミングは常にです。食事に行く際や馴染みのある食材に触れる際でも、普段からカクテルを作ることしか考えていません。自分が起きてから寝るまでに目や耳に入る全てのものがカクテルに結びつくと考え、ずっと考えていますね。
Dear WHISKY:
畳ジントニックの「イグサジン」とは何ですか?
村田さん:
畳の原料であるイグサですね。普通食べるものではないのですが、熊本のある地方でイグサを食べる文化があると耳にし合わせようと思ったのことが始まりです。イグサの青い香りとジンを合わせたいと思いこの畳ジントニックを作りました。
Dear WHISKY:
実際にイグサとジンを合わせる際にはどの工程で合わせるのですか?
村田さん:
イグサを煮たときの蒸気を蒸溜することでイグサのエキスを抽出します。その工程の際にこのエキスとジンを混ぜ合わせます
Dear WHISKY:
イグサとジンのバランスはどのように見極めているのですか?
村田さん:
数々の失敗から学んでいます。最初はやはりイグサの風味が出にくく、濃厚なイグサのエキスの抽出が難しかったです。全てのカクテル作りに共通ですが、何回も研究し失敗を重ねていきながらバランスや正解を模索しています!
Dear WHISKY:
村田さんがこれまで作ってきたミクソロジーカクテルで思い入れのあるカクテルは何ですか?
村田さん:
やはりニンジャオールドファッションドです。このカクテルは海外でゲストシフトをした際に考案したカクテルです。このカクテルが一番最初に売り切れて、評判も良かったです。チョコレートを使わずにチョコレートの味を再現するというウイスキーでお客さんに対するいい裏切り、サプライズになったのかなと思います。
特に海外の人は自分を驚かせるようなカクテルを好きな人が多くて、「一般的なカクテルは自分で作れるから、あなたのカクテルを飲みたい」という形でいらっしゃいます。驚かせるという意味において、このカクテルは思い入れがありますね。
Dear WHISKY:
このニンジャオールドファッションド、チョコを使わずにチョコの風味を再現する、このカクテルができた経緯を教えてください。
村田さん:
最初にバナナのお酒とほうじ茶を混ぜたらチョコレートの味がしたので作ってみようと考えました。しかし、バナナとほうじ茶だけではチョコの風味を再現しきれませんでした。そのとき偶然シイタケを煮ていて、その煮汁を合わせてみたところ納得のいく、チョコの風味を再現したカクテルが出来上がりました。
Dear WHISKY:
なるほど!ではミクソロジーカクテルを作る際は、様々なものを合わせて、完成形に近づけていくのですか?
村田さん:
カクテルの作り方にも様々な方法があります。今回のようにに合わせていくうちに徐々に出来上がっていくもの、「こういうテーマで作ろう」と考えてテーマから先につくるもの、あと名前から先に決めて作るものなど、カクテルを作り始めるときには様々な着想の得方があります。
Dear WHISKY:
先ほど、「一般的なカクテルは自分で作れるから、あなたのカクテルが飲みたい」と海外の方は考える人が多いと伺いました。
日本では「よく飲んでいるものを飲む」という感じだと思いますが、海外ではそのような考えではないのですか?
村田さん:
日本と海外で全く異なりますね!日本ではジントニックがよく飲まれていると思うのですが、僕の感覚では海外の人はあまり飲みません。海外の人は、家では飲めないカクテルの需要が高く、新しい経験が欲しいというのが強いです。
日本では「いつもの良く知っている味」が好まれます。しかし海外では「これまで飲んだことのない味」を好むので、日本と海外ではカクテルの楽しみ方が異なりますね!
Dear WHISKY:
カクテル作りおいて大切にしていることは何ですか?
村田さん:
普段自分が食べているようなものを使うことを大切にしています。普段自分が食べているものが飲み物になったらわかりやすく面白いですし、飲んだ時にくすっと笑えるようなカクテルを作りたいです。皆様がリラックスして楽しんで、そして笑顔になれるカクテルを作りたいと思っています!
Dear WHISKY:
最後にDear WHISKYの読者へメッセージをお願いします!
村田さん:
カクテルの答えは1つではなく色々あって良いと思います。もっと日本にもカクテルという文化を広めたいと思っていて、今回のようなゲストインはカクテルを日本に広げるチャンスだと思っています。このようなイベントを沢山行い様々な人にカクテルの魅力や楽しさをお届けすることで、「カクテルは楽しい」と思っていただけるようにこれからもカクテル作りに励んでいきたいと思います。
皆様もぜひバーに足を運んでいただき、カクテルの楽しさを感じてください!お待ちしております。
以上、愛媛県松山市でミクソロジーBar「LE CLUB」のバーテンダー村田英則さんが西新宿の「BAR FIVE Arrows」にゲストインされた様子とインタビューの様子をお届けしました!
「ミクソロジーカクテル」というカクテルの自由で新しい楽しみ方を提供してくださる村田さんと、フレッシュさや水と空気を大切に扱い、カクテルに含ませる『柔み』に着目したカクテルを提供してくださる村上さんのお二人が作る雰囲気に、お客さんは魅了されていました!
皆様もぜひ愛媛県に足を運んだ際には、ミクソロジーBar「LE CLUB」へ、西新宿に足を運んだ際には「BAR FIVE Arrows」へ、お二人の作る世界観を堪能してください!