【独占インタビュー】湘南初のウイスキー蒸留所!湘南蒸留所 ウイスキー製造責任者 筒井貴史さん
- 造り手
- 蒸溜所(日本)
100年以上前からウイスキー製造にかかわり続けている江井ヶ嶋蒸留所。
スコットランドから輸入した大麦や地下水脈から生産された水を使用し、商品を造り続けている江井ヶ嶋蒸留所に独占インタビューを行ってきました。
第1弾では江井ヶ嶋蒸留所のウイスキー製造についてお話を伺いました。
第2弾では蒸留所の方から見た現在の日本のウイスキー業界と今後の江井ヶ嶋蒸留所に焦点を当てていきます。
長年ウイスキー製造に携わっていた江井ヶ嶋蒸留所だからこその想いを知ることができる記事です。ぜひ最後までご覧ください!
江井ヶ嶋蒸留所は1919年にウイスキー製造免許取得し、1961年に蒸留開始しました。
長い歴史を持つ江井ヶ嶋蒸留所は、瀬戸内海付近に位置しているので、瀬戸内海の気候や特徴を活かしたウイスキー製造などを行っています。
詳しくはこれからご紹介していきます。
会社名 | 江井ヶ嶋酒造株式会社 |
取締役社長 | 平石 幹郎様 |
本社所在地 | 兵庫県明石市大久保町西島919番地 |
電話番号 | 078-946-1001 |
蔵見学 | 要事前予約(ご予約はこちらから) |
Dear WHISKY:
日本のウイスキー業界は1980年代から2000年代にかけて冬の時代だったといわれています。
そのような時代から、現在のようなジャパニーズウイスキーの人気が高まったことの要因について、どのようにお考えですか?
大川さん:
大きく要因は2つだと考えます。
1つはサントリーさんが興したハイボールブーム、もう1つは世界的な賞をジャパニーズウイスキーが獲得したことだと思っています。
2007年か2008年にサントリーさんがハイボールを発売されそれが普及したこと、それに加えニッカウヰスキーさんとサントリーさんが海外で賞を獲得したことがきっかけで、ジャパニーズウイスキーに対する品質の高さが世界中から集まったことがジャパニーズウイスキーの人気上昇につながったのではないかと思います。
Dear WHISKY:
長年ウイスキー製造をしている江井ヶ嶋蒸留所さんにとって、冬の時代をこえて現在では人気を博しているウイスキーについてどのように感じていらっしゃいますか?
中村さん:
当初から清酒造りとウイスキー造りの2つを主軸としていますが、冬の時代になる10年くらい前から清酒もウイスキーも売り上げが落ちてしまい、正直会社として利益はほぼなかったと思います。現在はウイスキーブームということもあり、会社の利益も上がっているようです。
Dear WHISKY:
今までの先人があきらめずにウイスキーを造ってきたからこそ、今のジャパニーズウイスキーや江井ヶ嶋蒸留所さんがあるってことですね。
大川さん:
本当にその通りですね。途切れることもなく長年ウイスキー製造を行ってきました。
しかし生産量が少ないときは1ヶ月くらいしか造っていないことも多かったようです。
Dear WHISKY:
2023年にジャパニーズウイスキー100周年を迎えましたが、江井ヶ嶋蒸留所さんとしてのお気持ちはいかがですか?
大川さん:
ウイスキーはもともと海外でのみ造られており、日本人には飲まれていなかったものなので100年続き発展していることがすごくうれしく、また喜ばしく感じています。
Dear WHISKY:
50年、100年先のジャパニーズウイスキーに向けての想いを教えてください。
大川さん:
我々、製造者は1年1年大事に良いものを造って次の世代に残していくのが仕事だと思い造っています。
50年たったときに「こういう想いで造っていたんだな」と思い出し、次の世代が飲んでくれたらうれしいと思います。
中村さん:
50年後というのはわからないけれど、20年後や30年後くらいは私はまだお酒が飲める年齢だと思います。
そのため少なくとも30年後、会社として今と同様、あるいはそれ以上に発展しておいしいウイスキーを造りつづけてほしいです。そのために、次の世代を育てていきたいと思っています。
個人的なことですが、息子は今小学生ですが、成人になるころには自分が造ったウイスキーを飲ませてあげたいので、それまで頑張って元気に造れたらいいなと思います。
今年で100周年続いてきたジャパニーズウイスキーも1つの伝統産業だと思っているので、50年後の我々が飲めない江井ヶ嶋蒸留所のウイスキーを若い世代には飲んでほしいとも思います。
Dear WHISKY:
Dear WHISKYのサイトの読者の方は、ウイスキーを飲み始めて間もない方からウイスキー愛飲家の方までいらっしゃいます。
ウイスキーを飲み始めて間もない方へオススメな飲み方などあれば教えていただきたいです。
大川さん:
全くウイスキーを飲んだことがない方やあまり飲んだことのない方には、手が届きやすい銘柄から試してみても良いとも思うのですが、本当は1番いいものから飲んでほしいです。
江井ヶ嶋蒸留所のシングルモルトのボトルは強烈なインパクトがあるため、飲み初めのタイミングで飲んでいただいてウイスキーのおいしさや魅力を痛感していただいてもいいかもしれません。
ただ、シングルモルトのような高価なウイスキーは手が届きにくいかと思われるので、安価なブレンデッドでハイボールやロックにして楽しんでいただくのもいいかなと思います。
私たちはブレンデッドからシングルモルトまで製造しているので、両方の飲み方で楽しんでいただけると思います。
Dear WHISKY:
シングルモルトで飲む際はどのようなところに注目して頂きたいですか?
大川さん:
お酒を純粋に楽しんでもらいたいという想いがあるので、ご自身で好きなように飲むことをお勧めします。
ただブレンダーとしては、テイスティンググラスなど使って香りを嗅ぎ分けてもらえると大変うれしい限りです。
中村さん:
本当に楽しんで飲んで頂けるのが1番だと思っております。
ただ同じハイボールを造るとしても柑橘系が入っている炭酸水を使うのではなく、ただの炭酸水だったりとトワイスアップと普通の水だったりを冷やして飲んでいただくのがおすすめです。
正直なところ、造り手としてどんな商品でも想いを込めてブレンドしているので楽しく飲んでくださいという結論になります。
高いウイスキーで楽しんでもらうってのもいいですし、安いウイスキーをハイボールにしてみんなでワイワイ楽しんでもらうのもいいと思っています。
Dear WHISKY:
実際にシングルモルト江井ヶ嶋SEXTETを造った時にどういうものをイメージして造られたのでしょうか?
大川さん:
1番意識したのは江井ヶ嶋蒸留所でしか造れないものをという部分です。
やはりどこかで飲んだことのある味を造っても意味がないと考えていたので、江井ヶ嶋蒸留所の味を出したいなという想いから、珍しい6種類のブレンドをという形になりました。
Dear WHISKY:
ちなみにどのような経緯から6種類のものを選ばれたのですか?
大川さん:
ブレンドする樽の数を多くしすぎるとそれぞれの特徴がわからなくなります。それぞれの個性を感じられるベストが6種類だと考えました。
その他の樽については熟成年数やイメージから選択しました。
Dear WHISKY:
今後江井ヶ嶋蒸留所をどのような蒸留所にしていきたいとお考えですか?
中村さん:
所長の立場としてウイスキーとともに後世も育てていきたいと考えています。それと個人的には自分がワクワク楽しいものをやっていきたいという感じです。自分の案を大川たちと意見を交わしながら作っていきたいです。2023年には発酵槽で木桶を使います。
こういう案も各々が単純に面白いという考えのもとお客様にも楽しんでいただけるようなお酒を造っています。
我々が働ける間は楽しんで進めていきたいですし、我々が引退したあとも後世が樽を見守ってちゃんとした商品を造れるように育てていきたいと思っています。
大川さん:
私も同じで現状より品質を上げていきたいです。
造り手として常に今よりもレベルアップしていきたい、いいものを造っていきたいという想いを持っています。
そのためには自分だけでなく周りの従業員もレベルアップしていかないといけないので人を育てるのは大事だなと思います。
Dear WHISKY:
Dear WHISKYの読者に向けてメッセージをお願いします!
大川さん:
今世界的にウイスキーブームで、スコッチウイスキーも増えていますし、ジャパニーズウイスキーも新しいもの、おいしいもの、高品質なものがどんどん出てきて、お客様もどれを買ったらいいかわからなくなるほど多くの種類にあふれていると思います。
その中で江井ヶ嶋蒸留所のものを手に取っていただけたら嬉しいなと思います。
中村さん:
今ウイスキーブームだと思うのですが、これが終わらずにずっとウイスキーを愛していただけたらと思います。
頑張っていいお酒を造るのは当たり前のことで、 ” お客様の心に残るようなお酒を造りたい ” という想いをもって造っています。
皆さんの思い出と一緒になれるようなお酒にできたらいいなと思いますので江井ヶ嶋蒸留所を今後ともよろしくお願いします。
2部にわたり江井ヶ嶋蒸留所についてご紹介してきました。
第1弾では、江井ヶ嶋蒸留所のウイスキー製造などについて詳しく伺いました。長い歴史や広大な敷地を持つ江井ヶ嶋蒸留所だからこその製造ポイントを知ることができました。
また第2弾では、蒸留所から見たジャパニーズウイスキー業界やこれからの江井ヶ嶋蒸留所についてお話を伺いました。
造り手の方の想いを深く知ることができ、さらに江井ヶ嶋蒸留所の魅力を知っていただくことができたのではないでしょうか?
これからの江井ヶ嶋蒸留所がより一層、楽しみですね。
今回の取材にご協力いただいた中村さん、大川さん、ありがとうございました。