【独占インタビュー】長期熟成酒の第一人者である上野伸弘さんに海底熟成の魅力についてインタビュー!
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Little Red Door(リトルレッドドア)は、パリ3区に位置しており、味覚に呼びかけるようなカクテルを作っています。Little Red Doorは、アート、味覚、人類学、社会科学などに触発されたメニューを通じて、マレ地区を思わせるような創造性を取り込んでおり、2012年の開業以来9回も世界トップ50のバーのリストに名を連ねています。
今回Dear WHISKYはオーナーのティモシー・ブランジェさんへインタビューを行いました!遊び心あふれるメニューの秘密や、「Farm to Glass」という「持続可能性と地域支援を重視したプロジェクト」について語っていただきました!ぜひお楽しみください!
住所 | 60 Rue Charlot 75003 Paris, France |
電話番号 | +33 1 42711932 |
営業時間 | 16時から2時まで(16−18時まで予約制、18時から予約不要) |
HP | LITTLE RED DOOR |
Little Red Door | |
@littlereddoorparis |
Dear WHISKY:
まず、Little Red Doorのコンセプトはなんですか?
ティモシーさん:
開店当初は、「お客様を歓迎すること」をコンセプトとしていました。パリはおもてなしを大切にする場所ですが、毎年多くの観光客が訪れるため、ホールメンバーの中にはお客様1人1人にあまり注意を払わないことがありました。
Dear WHISKY:
観光客が非常に多いパリだからこそ、1人1人のお客様を大切にしていきたいということですね!
ティモシーさん:
そうですね!ただ「お客様を歓迎すること」だけでは不十分ではないかと感じ、開店2年後からは毎年メニューのテーマを変え、異なるメニューを提供していくことに決めました!
Dear WHISKY:
Little Red Doorの名前の由来はなんですか?
ティモシーさん:
私たちのBarの入口にある小さな赤いドアが名前の由来です!このドアが由来になったきっかけは、実は『不思議の国のアリス』にも登場する、「不思議の国へ行くためのドア」です。このドアの先からは日常を忘れて、遊び心あふれるカクテルを楽しんでほしいという想いが込められています。
Dear WHISKY:
毎年変えているというメニューは、当初どのようなメニューでしたか?
ティモシーさん:
最初は、「Evocative Menu」というメニューでした。カクテルのレシピを言葉で表しても、実際の味が分かりにくいのではないかと思い、お客様の感情に直接訴えるようなメニューを採用しました。ミュージシャン、写真家、画家など、様々な10人のアーティストにカクテルの感想を絵やグラフィックで表現してもらいました。こうしてできたメニューはアートブックのようでしたね。
Dear WHISKY:
アートを見ながらカクテルを選ぶというのは、とても楽しそうですね!
ティモシーさん:
このメニューは、お客様の特別な時間や体験を楽しむことができ、そして私たちバーテンダーとのコミュニケーションも非常に活発になるきっかけになりましたね!
Dear WHISKY:
他にはどのようなメニューを考案されたのでしょうか?
ティモシーさん:
6年間にわたりいくつかの異なるメニューを試した後、最初のメニューに少し戻ることにしました。メニューの名前は「Don’t Judge a Door by its Color」。「私たちのカクテルを見かけや先入観だけで簡単に決めつけないでください。そのカクテルの味は脳を騙すことができる。」という意味を込めています。
Dear WHISKY:
脳を騙すというのは具体的にどのようなことでしょうか?
ティモシーさん:
例えば、キノコの味を出さずに旨味を感じるカクテルや、逆にキノコの味がするけれど旨味のないカクテルがあります。このアイデアを通じて、お客様はカクテルの名前やメニューブックからの情報だけでなく、実際の味を評価し、私たちとの議論や質問を通じてカクテルを楽しむことができるのです。
このような取り組みによって、お客様が「歓迎されている」と感じる空間を作り、私たちの当初からのコンセプトを体現することができました。
Dear WHISKY:
今年のメニューのテーマのきっかけである、「Farm to Glass」プロジェクトとは何ですか?
ティモシーさん:
コロナウイルスの蔓延によるロックダウン期間中にこのプロジェクトについて考え始めました。
まず、私たちがどうなりたいのか、お客様に何を提供したいのかを改めて考えてみました。私たちは小さなバーであり、世の中に小さな影響しか与えられませんが、地球の変化と未来に貢献したいと感じました。次に、自分たちの業界が誰に支えられているのかを考え、農家の存在が不可欠であることに気付いたのです。
Dear WHISKY:
確かに、農家が作る野菜や果物が無ければスピリッツやジュースを製造することはできませんね。
ティモシーさん:
その通りです。農家の努力と仕事は素晴らしいものであり、その重要性を認識しました。そして、農家をサポートすることに意義を感じるようになりました。私たちが農家の方々をサポートすることによって、農家は保護されるだけでなく、大企業にも負けずに経営を続けることができます。この想いこそ「Farm to Glass」の発想の核心で、昨年のメニューは「Flourish(栄える)」をテーマに、今年は「Evergreen(常緑)」をテーマに掲げています。
Dear WHISKY:
素晴らしいプロジェクトですね!それでは、このFarm to Glassは、皆様にとってどのようなプロジェクトですか?
ティモシーさん:
私たちバーテンダーは家族のような存在ですが、その輪を離れて外に出ることも大切だと思います。「Farm to Glassプロジェクト」を通じて、私たちは自然のある場所に足を運び、新たな経験をすることができます。さらに、農家の方々と交流する機会も得られます。農家の皆さんとの出会いは非常に楽しく嬉しいものですね。
Dear WHISKY:
2023年のメニューの中で、ティモシーさんのお気に入りのカクテルは何ですか ?
ティモシーさん:
「Olive」というカクテルですね。このカクテルは私たちのコンセプトを感じるのに最適で、飲んだ瞬間に「これはオリーブだ!」と感じられるのではないかと思います。もう一つのお気に入りは「Tomato」というカクテルです。この2つのカクテルは食材の風味が鮮明に伝わってきます!
Dear WHISKY:
食材の個性を引き出しているカクテルはとても魅力的ですね!ちなみに、ウイスキーを使ったカクテルはありますか?
ティモシーさん:
PepperというカクテルでStauning(スタウニング)というデンマークのウイスキーを使います。このStauning蒸溜所は、持続可能性と地域社会の発展を重視しており、それはEvergreenの価値観とも合致しています。
Dear WHISKY:
価値観を非常に大切にしているのですね!ちなみに他に使用するウイスキーなどの蒸溜所はどのように選んでいるのですか?
ティモシーさん:
できるだけヨーロッパ産の材料を使用するようにしています。その上でスピリッツを選ぶ際は製造元の蒸溜所が持続可能性を尊重しているかどうかを確認します。私たちは環境への配慮を大切にしています。
Dear WHISKY:
環境への配慮も重視しているのですね!
ティモシーさん:
もちろんです!私たちは小さな蒸溜所のスピリッツを選ぶことが多く、その際には5リットルから15リットル毎の納品をお願いしています。これは、できるだけ多くのグラスやプラスチックを使用せずに済むようにするための取り組みです。そしてやはり、美味しいと感じるものを選んでいます。
Dear WHISKY:
最後に、Dear WHISKYの読者に向けて、メッセージをください!
ティモシーさん:
私たちは、自分たちの考えや想いを広めるために、様々な場所に足を運び、変化を起こすことは、実際にはそれほど難しいことではないと信じています。私たち自身の旅の中で、すでに変化を起こそうとしている人々にも出会うことができました。例えば、世界トップ50のバーに選ばれた日本のBar BenFiddichのスタッフの方々です。私たちのように大規模なプロジェクトを実行する必要は決してありません。皆さんも少しずつ小さなことから始めることが重要だと知っていただければ嬉しいです!
以上、Little Red Doorのティモシーさんへのインタビューでした!
このインタビューを通じて、Little Red Doorの哲学とバーコンセプトに深い洞察を得ることができました。こだわりの詰まったメニューや環境へ配慮したお店の経営は非常に革新的で、フランスへ行った際にはぜひ訪れてみたいですね。これからのLittle Red Doorの取り組みにも注目していきたいです!
Little Red Door Bar紹介ページ(近日公開予定)