
【現地レポート】斬新な発想とクラフトマンシップで魅せる琵琶湖蒸溜所
- 造り手
- 蒸溜所(日本)
山形県飽海郡に位置する、「湧水の里」として名高い遊佐町。
絵葉書のような美しい景色、自然が産んだクリアな湧き水、時に厳しい大自然はウイスキー造りの理想郷とも言われています。
今回の取材では、そんな遊佐町に位置する遊佐蒸溜所の社長である佐々木雅晴さんに、ご自身についてはもちろん、遊佐町の自然環境や遊佐蒸溜所のウイスキーの魅力、これからの遊佐蒸溜所の展望などについて伺いました!
「世界が憧れる酒を、ここ山形から。」を掲げ、ウイスキーの熟成の質をストレートに表現することができるシングルモルトウイスキーの蒸溜にこだわり抜いています。
遊佐蒸溜所初の商品である「YUZA First edition 2022」は、世界で権威と影響力のあるスピリッツコンテストの一つである「インターナショナル・スピリッツ・チャレンジ(ISC)2022」のテイスティングアワードにおいて「GOLD」を受賞するなど、今後ますます注目を集める蒸溜所です!
会社名 | 株式会社金龍 |
蒸溜所名 | 遊佐蒸溜所 |
所在地 | 山形県飽海郡遊佐町吉出カクジ田20番地 |
代表取締役社長 | 佐々木 雅晴 様 |
公式HP | 遊佐蒸溜所公式ホームページ |
遊佐蒸溜所の外観
Dear WHISKY:
佐々木さんはどのような学生時代を過ごされていたのですか?
佐々木さん:
私は東京農業大学の醸造学科に通い、そこは50人から70人ほどの非常に小さなクラスでした。想い出深いのは2年次に過ごした山形県の育英会学生寮です。方言は異なり思想も様々な多くの方と過ごしたのは良い思い出です。
Dear WHISKY:
学生寮で過ごされていたのですね!
佐々木さん:
当時理系の貧乏学生だったのにも関わらず、実験ばかりでアルバイトができませんでした。しかし、学生寮だと1日の食事のうち2食分を安く食べられることが出来たのでいい環境でしたね!
Dear WHISKY:
醸造学科ではどのようなことを行っていたのですか?
佐々木さん:
様々な経験がありましたが、当時都内にあった国税庁の醸造試験場に大学4年次に派遣され、「酵母の自己消化と火落」の研究をしていました。本当に実験や研究などで忙しかったですが、学生寮の仲間や同期も多くいたのでそういう意味では楽しかったですね!
Dear WHISKY:
忙しくも楽しい毎日を過ごされていたのですね!ちなみに、当時は仲間や同期とウイスキーなどを飲みに行かれていたのですか?
佐々木さん:
全く飲んでいませんでしたね。当時ウイスキーは値段が高くて高級品でしたので、ほとんど飲む機会はありませんでした。日本酒やビール、焼酎などが多かったですね。
Dear WHISKY:
学生時代に醸造について深く研究されたということですが、お酒に関係するお仕事に就かれたのですか?
佐々木さん:
そうですね!私は学校を卒業した後、酒田市内の清酒メーカーに入社しました。そこで59歳まで勤めて、最後6年ほど社長も務めさせていただきました。
Dear WHISKY:
最初は現在とは別の清酒メーカーにいらっしゃったのですね!それでは、なぜ株式会社金龍に入社したのでしょうか?
佐々木さん:
実は、前職で社長を務めた後は楽に余生を過ごそうかなと考えていました。
ただちょうどその時社長さんから電話があって、ぜひ一緒に仕事をして欲しいと言われました。このような経緯で、初めは常務という立場で金龍に入社しました。4年後には現在の役職である社長に就任して、ウイスキー事業はその時から始めました!
Dear WHISKY:
社長に就任した際にウイスキー事業を始めたとのことですが、そもそも新規事業を始めたきっかけは何ですか?
佐々木さん:
将来のために何かしなくてはならないという歴代社長さんの想いがきっかけでした。
もともと「爽やか金龍」は地域限定の単品の商品で、山形県内が95%で、仙台が残りの5%のシェア率でした。それ以外の場所ですと、大手との価格競争になってしまいますし、他にも大都市以外での人口減少などの問題がありました。
そのため、これからどれほど頑張っても20~30年後にはシェアが減ってしまうことが予想されるため、「将来のために何か別の新しい事業を立ち上げなければいけない」、それが歴代社長さんたちの想いでもありました。
Dear WHISKY:
新しい事業の中でもウイスキー事業に着眼したのは何故でしょうか?
佐々木さん:
当時は風力発電や高齢住宅サービス、焼酎会社の買収など様々なプランを考えていました。そのように模索している時、秩父のベンチャーウイスキーさんが世界一になったという話をお伺いしてすぐ実際に会いに向かいました。
そこで様々なお話を聞いていく中で、ウイスキー事業に魅力を感じるようになりました。
Dear WHISKY:
最初にウイスキーに携わろうと思ったきっかけは、ベンチャーウイスキーさんの話を聞いたことだったんですね!
佐々木さん:
ウイスキーが好きでやりたかったというよりは、話を聞いてみてウイスキー事業はこの会社のためにあるような事業だと思ったことが大きいです。この会社には長い蒸溜酒製造の歴史がありますし、免許や酒税法についても熟知しています。私たちの決断を皆さんからはよく驚かれますが、弊社にとってはハードルが比較的高くない世界でした。アルコール発酵やもろみ管理については、清酒や焼酎を造っていたためある程度勝手が分かっていました。ただ、熟成だけはウイスキー特有で未知の分野でしたね!
遊佐蒸溜所の社長である佐々木雅晴さん
Dear WHISKY:
遊佐町は、どういった雰囲気の町なんですか?
佐々木さん:
風光明媚な町で特に水が有名で、国土交通省が選出した名水百選にも入選しています。
降水量が多いので、降った雨は年月をかけて地面に浸透していきます。そのため冷たい湧き水が多く点在し、ある山の中には約10度の湧水だけで流れる滝もあるほどです。ミネラル分が多く含まれる湧き水が、海まで届いて豊富な漁業資源の源になっています。
Dear WHISKY:
名水百選にも選ばれているのですね!他にも特徴などはありますか?
佐々木さん:
遊佐はかなり古い土地ですから、古き良き日本が残っていますね!
春から秋にかけては非常に美しい絵葉書のような綺麗な場所なのですが、冬は厳しいです。風速10mから20mくらいの暴風雪がよくありホワイトアウトにもなります。
遊佐町を一言で言えば、絵葉書のように美しく時には厳しい町ですね。
Dear WHISKY:
なぜ遊佐町に蒸溜所を作ったのでしょうか?
佐々木さん:
一番の理由は水です。蒸溜工程だけでなく冷却水にもかなり使いますので、埋蔵量(水量)があり水質検査をクリアしている場所を探しました。水量については山から離れたところでないと確保できず、水質については山から近くなければなりません。
3~4年かけて実際に現地に足を運んで探す中で、遊佐町のこの辺りが地下水が豊富で、十分に道路の幅員があり、景観も良かったのでこの場所に決めました。
他には遊佐町の熱心な勧誘、企業誘致が大きかったですね!
Dear WHISKY:
水質についてですが、遊佐蒸溜所で使われている水質の特徴などはどのようなものでしょうか?
佐々木さん:
水質としては硬度46の軟水ですね。また実は遊佐町の水道水は全て湧き水です!弊社の仕込み水はこの湧き水を使っており、冷却水は弊社で井戸を150m掘ったものです。
Dear WHISKY:
名水百選にも選ばれる水質の良さは、遊佐町一体となって作りあげているのですね!
大自然に囲まれた遊佐蒸溜所
Dear WHISKY:
遊佐蒸溜所のキャッチフレーズである「世界が憧れる酒を、ここ山形から」にはどのような想いが込められていますか?
佐々木さん:
世界水準のものを目指していくしか道はなかったことが想いの発端です!
何年かかるのかは分かりませんが、品質を高め続けて世界中の皆様に憧れて頂けるようなウイスキーを造りたいということですね。
Dear WHISKY:
世界水準のものを目指すことが発端とのことですが、思い立ったきっかけはありましたか?
佐々木さん:
ウイスキー事業を始めると決めた時期がジャパニーズウイスキーのブームの時期でしたので、社内の意見として、ブームに乗って事業に参入するとブーム終了後に生き残れないのではないかという意見がありました。さらに、世の中に「遊佐のウイスキーは美味しい」と言えるのか、「世界水準のもの」が造れるのか、そのような議論が出ました。
このような意見に立ち向かうためにも、「世界水準のものを目指す」ことを決めました。
なにより世界水準のウイスキーを造って、ブームが終わっても生き残るという想いを込めています!
Dear WHISKY:
込められた言葉からも想いが伝わってきました!
Dear WHISKY:
遊佐町には鳥海山から流れる豊かなミネラルを含む湧き水は、ウイスキー造りにどのような影響を与えていますか?
佐々木さん:
鳥海山から流れる湧き水は軟水です。日本酒においてはお米を低温で長時間発酵させるので、軟水を使用すると良いものができます。しかし、一方でウイスキーは麦汁の中に様々な栄養素が含まれているので、軟水で仕込んだからといって味に対する影響は少ないです。
Dear WHISKY:
仕込む水による変化は日本酒ほど大きくないのですね!
佐々木さん:
そうですね。
しかし麦汁を造る過程では違いが生まれるかと思います。
スコットランド産の麦芽を粉砕したものに、4,900リットルのお湯をかけます。様々なものが混じっている水と純粋な水とでは麦芽が溶け込む量が異なりますので、その溶け具合が味に変化をもたらすかと思います。
実際に日本の軟水で造ったウイスキーが柔らかくて香りが高いと評価されていることもその裏付けだと思います。
Dear WHISKY:
ウイスキーには特徴的な熟成工程がありますが、熟成樽はウイスキーにどのような影響を与えていますか?
佐々木さん:
私は、ウイスキー樽は1年に1度大きく呼吸をしているのではないかと思っています。夏は気温が高くなってアルコールが膨張します。樽は密閉されているので、圧力が高くなって空気が外に出ていきます。反対に、冬は気温が下がって圧力も下がるので外から空気が入ってきます。
つまり、夏に吐き出して冬に吸い込んでいるのです。
空気が綺麗であればあるほど良いウイスキーが造れると思います。
Dear WHISKY:
ウイスキー樽は呼吸しているのですね!
ちなみに、樽の下は他のコンクリートの地面とは異なり土間にされていましたが、こだわりがあるのでしょうか?
佐々木さん:
弊社のウイスキー造りでは、熟成も伝統的な「ダンネージ方式」を使っています。ウイスキーの本場であるスコットランドでもこの方式は数少ないと思います。
遊佐蒸溜所の周辺は、周りが田んぼで地下水が非常に豊富な環境ですので、ダンネージ方式にすることで湿気(水分)の管理が比較的容易にできるようになります!
土間になっている熟成庫
Dear WHISKY:
自然豊かな遊佐蒸溜所で造られるシングルモルトウイスキーの魅力とは何でしょうか?
佐々木さん:
私は、ウイスキーの熟成を正直に表現できる、その質をストレートに反映できるのがシングルモルトウイスキーであると考えています。
つまり、最高品質であること、そして造り手の正直なウイスキーへの想いを表現できることが魅力ですね。
Dear WHISKY:
造り手の想いを表現できるのですね!その中で造り手としてどのような想いで取り組んでいますか?
佐々木さん:
弊社のウイスキー造りのコンセプトとして「TLAS(トラス)」を掲げています!
「TLAS」とは「Tiny」の「T」、「Lovely」の「L」、「Authentic」の「A」、「Supreme」の「S」を取ったものです。
Dear WHISKY:
「T」と「L」にはどのような想いが込められているのでしょうか?
佐々木さん:
「T」のTinyはただの小さいという意味だけでなく、”可愛らしい”といった意味があります。弊社は、比較的規模の小さい蒸溜所ですがそこを武器にしようと思いました。
つまり、希少価値で勝負し、量を追い求め過ぎないという意味を込めています。「L」のLovelyは、遊佐の地が素敵な場所という意味が込められています。
遊佐の地の自然環境、綺麗な水、綺麗な空気と、町全体がこの言葉を表しています。
建物だけではなく自然環境も含めて本当に素敵な場所にあるという意味ですね。
Dear WHISKY:
それでは「A」と「S」にはどのような意味が込められていますか?
佐々木さん:
「A」のAuthenticは、小さい規模でも造りは本格的で、クラフトウイスキーらしいクラフトウイスキーを造るという意味が込められています。品質のためにはいくらでもコストをつぎ込み、手間暇も惜しまず、効率をあまり考えないことがクラフトウイスキーらしさだと思います。弊社はコンテナで最高品質の原料を直接輸入してきていますし、品質の良い美味しいウイスキーを提供するという意識も含めています!
「S」のSupremeは、手間暇かけて、最高のものを提供し続けますという意味を込めました。
遊佐蒸溜所が誇るボトルの数々
Dear WHISKY:
2022年に見事「IWC」のゴールドを獲得したと思いますが、受賞した時の率直なお気持ちはいかがでしたか?
佐々木さん:
「嬉しかった」この一言に尽きますね。蒸溜所をスタートした時は女性2人と男性1人の3人でした。全てが手探り状態で、今自分たちがやっていることが合っているのか自信は正直ありませんでした。この度ゴールドという素晴らしい賞をいただいたことで、今までやって来た事は間違っていなかったのだと、ひとまず安心することができました。
Dear WHISKY:
率直な喜びとこれまでのウイスキー造りに対する自信が生まれたのですね。
佐々木さん:
製品化したウイスキーを皆様に買っていただいておりますが、それまでは果たしてその対価に見合った品質にできているか不安でした。その意味でも、お客様に損はかけてなかったという安堵感も大きかったです。
Dear WHISKY:
ゴールドを獲得した「YUZA First edition 2022」の魅力は何でしょうか?
佐々木さん:
遊佐蒸溜所には当初バーボン樽しかなかったため、徹底的に樽を選んでいました。一般的にウイスキーは、原酒に様々なものを混ぜて商品化することが多い中で、遊佐蒸溜所では1種類の樽でやっていました。
弊社としてはそれしかできなかったのですが、審査員の方々からはその新鮮さを評価していただきました。
Dear WHISKY:
「YUZA First edition 2022」がゴールドをいただくまで、どのような日々を過ごされていましたか?
佐々木さん:
1年目のころは真っ暗な部屋の中を手探りで進んでいく気持ちで、どこかに落とし穴があるのではないかと常に不安でした。そして半年を過ぎたころから仲間の蒸溜所の方々と様々な議論を重ねていく中で、夏の暗い部屋に急に照明がついた様に視界がひらけた様な気がしました。また改善点も明らかになり、それらを具現化するために2年目は苦しみ抜きました。3年目に自分のスタイルにあったやり方が見えてきたことで徐々に確信を持ち始め、4年目あたりからフル稼働での生産を始めました。そして、それを今もブラッシュアップしながら続けています。
今回受賞したウイスキーは、その1年目に造られたものになりますので、今は当時よりもさらに良いものができていると思います。
インターナショナル・スピリッツ・チャレンジ(ISC)2022などの盾
Dear WHISKY:
佐々木さんご自身はどのようなウイスキーを目指しているのでしょうか?
佐々木さん:
やはり世界最高水準のジャパニーズウイスキーを造りたいと考えています。
具体的には、エレガントでクールかつリッチアンドフルーティーなものです。
最初の1,2年はクリーンでフルーティーなウイスキーを造っていました。ただ今は、味わい深くてフルーティーなもの、つまりリッチアンドフルーティーなものを目指しています!
Dear WHISKY:
常により高い質や水準を求め続けているのですね!そのような佐々木さんの目指すウイスキー造りに最も適している自然環境とはどのようなものですか?
佐々木さん:
非常に難しい質問ですね。ウイスキーにとっては、自然環境よりも発酵の仕方や蒸溜の仕方のような技術的な部分が必要になってくるのではないかと思います。
それを踏まえた上で自然環境となるとやはり水ですね。酵母や乳酸菌の扱い方も重要だと思います。
Dear WHISKY:
技術面や自然環境面などウイスキー造りにおける重要な点は多いですね!
佐々木さん:
環境が良ければ質の高いウイスキーが造れるということであれば誰も苦労はしません。だからと言ってもちろん悪い環境では美味しいウイスキーは造れないと思います。
だからこそ実際に弊社では、7月の中旬から9月の中旬まで製造をしていません。なぜなら、当蒸溜所は木桶で発酵している関係上仕込み温度だけで調整をする必要があり、気温が30度を超えると良いものが出来ないためです。そのように自然環境はもちろんですが、ウイスキー造りに適した環境の整備も同様に大事です!
Dear WHISKY:
ウイスキー造りの工程において最も大切にしている工程はありますか?
佐々木さん:
私が1番力を注いでいるのは発酵過程です。仕込から蒸溜直前までの温度管理が最も重要だと思います。
実際にウイスキーに影響があるのは酵母と乳酸菌だと考えています。
弊社では「Authentic」にこだわり昔ながらの木桶を使っていますので、その点でも温度の影響は大きいですね。
Dear WHISKY:
佐々木さんは世界が憧れるウイスキー造りを目指していらっしゃいますが、ウイスキー造りに置いて最も大切にしていることは何ですか?
佐々木さん:
やはりクラフトウイスキーらしいクラフトウイスキーを造ることですね。
私のクラフトウイスキーの理想は、手間暇やコストに関係なく最高のものを目指していくというところにあります。
だからこそ、私は良いウイスキーを造ることができるのであれば、いくらでも資金を投入していきたいと思っています。
Dear WHISKY:
これからの遊佐蒸溜所としてはどのようなものを思い描いておりますか?
佐々木さん:
今のやり方でブラッシュアップして品質を高めていくことだと思っています。最高の原料を使って、最高の努力をして、常に良いものを求めるというのが私の性に合っているのだと思います。
そのため、今後の展望としては第2工場、第3工場と拡大をしていく予定はありません。本当に「TLAS(トラス)」のコンセプト通りです。
品質を追求していって、小さい蒸溜所ながらも「世界の憧れの商品」を生み出す場所にしていきたいですね。
「世界が憧れる酒を、ここ山形から。」
Dear WHISKY:
今年はジャパニーズウイスキー100周年の節目でもありますが、ジャパニーズウイスキーに対する佐々木さんの想いを教えてください。
佐々木さん:
100周年を迎えて、世界でジャパニーズウイスキーブームが来ています。弊社も「YUZA First edition 2022」を輸出していて、3割くらいは海外へ輸出しています。ただこのブームは私たちが作ったものではなく、先輩方の途方もない努力の上に今があります。
だからこそまずは、偉大な先輩方に大きな感謝をしなければなりません。だからこそ、我々はその水準を保っていくことが使命だと思っています。
今後のジャパニーズウイスキーの発展に最大限努めていくつもりです。
Dear WHISKY:
世界各国から注目を集めるジャパニーズウイスキーの魅力はどういったところにありますか?
佐々木さん:
品質的には非常にデリケートでソフト、そして香り高いと思います。
ガツンと強いスコッチウイスキーなどと比較して、ジャパニーズウイスキーは「ふくよか」かつ「華やか」で、日本女性を感じさせるような味わいですね。
Dear WHISKY:
味わいとしてはそのような違いがあるのですね!ジャパニーズウイスキーの造りとしてはどのような特徴になりますか?
佐々木さん:
造りにおいては、日本人の考え方が出てると思います。日本人は真面目で、人が見ていないところでも手を抜かない特徴があると思っています。
遊佐蒸溜所は毎朝朝礼が終わると、社内総出で蒸溜所内を掃除します。それは、意識的にも象徴的にも「人様の口に入るものを造っている」ということを植え付けるためにやっていることです。それが日本人の「ものづくり」ではないかと常々思います。
熟成庫で眠る樽
Dear WHISKY:
最後に、Dear WHISKYの読者に向けてメッセージをお願いします。
佐々木さん:
遊佐蒸溜所は第5シーズンが終了しました。一生懸命様々な商品を企画している中で、バーボンバレルやシェリー、ワイン樽などが熟成3年を超えてきました。長いものだと4年半になります。これからはこのような様々な商品をリリースしていきますので、どうぞご期待ください!
Dear WHISKY:
ありがとうございました!
遊佐蒸溜所の看板と社長の佐々木さん
今回は、遊佐蒸溜所の社長である佐々木さんに取材させていただきました!
周囲の応援もありながら、株式会社金龍で新しくウイスキー事業に取り組まれている佐々木さんのお話はとても興味深い内容ばかりでした。
鳥海山から流れる自然の恵みを吸収した湧水を、余すことなく使用しているウイスキーには今後も注目していきたいと思います!
ぜひ蒸溜所見学レポートも併せてお読みください!