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- ウイスキー基礎知識
スコットランドではさまざまなシングルモルトウイスキーが製造されており地域ごとに特徴があります。
スコッチウイスキーはスペイサイド、ハイランド、ローランド、アイラ、キャンベルタウン、アイランズの6つ地域に分類されます。
スペイサイドは最も蒸留所の数が多いため種類が多く、アイラはピート香とよばれるスモーキーな香りが強いウイスキーを生産していることが特徴です。
この記事ではスコッチウイスキーのシングルモルトが生産される地域を紹介し、シングルモルトで人気のあるおすすめ銘柄を紹介します。
この記事のポイント
モルトとは大麦麦芽のことを指し、大麦を原料とするウイスキーのことをモルトウイスキーと呼びます。
ウイスキーにはトウモロコシなどの穀物を原料にしたウイスキーも存在しますがこちらはグレーンウイスキーであり、モルトウイスキーとグレーンウイスキーをブレンドしたウイスキーはブレンデッドウイスキーです。
モルトウイスキーの条件は国によっても異なりますが、スコッチウイスキーにおいては原料に大麦を100%使用していることが条件になります。
モルトウイスキーの中でシングルモルトを名乗るためには、単一の蒸留所で製造されたモルト原酒のみを使用してボトル詰めする必要があります。
シングルモルトは複数の異なる原酒をブレンドしたウイスキーとは異なり、蒸留所ごとの特徴を理解しやすいウイスキーです。
中にはブレンデッドウイスキー用の原酒のみを生産している蒸留所もありますが、蒸留所ごとに特徴が異なるシングルモルトが存在します。
ウイスキーのモルトについて詳しく知りたい方はこちらの記事をチェックしてください。
ウイスキーのモルトとは?モルトウイスキーの種類と飲み方を紹介!
上記の地図はスコットランドにおけるウイスキーの製造地域を示したものです。
地図にある6つの製造地域の特徴について解説します。
スぺイサイトはスコットランド北東部のスぺイ川を囲む地域のことであり、非常に多くの蒸留所が存在しています。
ハイランド地域の中に存在していますが、スペイサイドという独自の地域として分類されるのが一般的です。
この地域で生産されるウイスキーがスコットランドの生産量の60%を占めており、人気のウイスキーが豊富にあります。
また、世界的に見てもシングルモルト市場の3分の1はスペイサイド地域で製造されます。
シェリー樽熟成によるフルーティーな香りと風味を持つ万人受けしやすい銘柄が多いことが特徴です。
スペイサイド地域の魅力と代表的な蒸留所について知りたい方はこちらの記事をチェックしてください。
スコッチウイスキーの本場スペイサイドの魅力と代表的な蒸留所のご紹介
ハイランドは製造地域の中でも最も面積が大きく、スペイサイド地域を除く北部の大部分を占めています。
蒸留所の数は40あり、スコットランドで生産されるウイスキーの25%を占めているため、スペイサイドを含めればスコットランドの北部で8割以上のウイスキー生産されていることになります。
面積が非常に広いため、ハイランドウイスキー全体に共通する特徴は少ないです。
そのためハイランド地方の中でも東西南北に分類されることが多く、北部は甘くて濃厚なウイスキーが多く、東部と南部はフルーティーな風味、西部は海岸の影響を受けた潮気のあるウイスキーが生産されています。
ハイランドウイスキーの特徴について詳しく知りたい方はこちらの記事をチェックしてください。
ハイランドウイスキーのおすすめ銘柄8選と地域ごとの特徴について
ローランドはスコットランドでも2番目に面積が大きいウイスキーの製造地域ですが、蒸留所の数は4つしかありません。
歴史的な背景からシングルモルトよりもブレンデッドウイスキーのブレンド用に生産されるグレーンウイスキーがローランドで生産されています。
1800年代頃、酒税が上昇し大麦麦芽に対する高い関税から逃れるために南部のローランドでは大麦を原料としないグレーンウイスキーの製造が盛んになったことが理由です。
後ほど詳しく紹介しますがローランドの数少ないシングルモルトの中で知名度の高い銘柄はオーヘントッシャンとグレンキンチーになります。
アイラ地域はスコットランド本土は西海岸に浮かぶ島のことであり、ウイスキーの製造に特化していることから世界的にも有名なウイスキーの聖地です。
ウイスキーの製造地域の中でも最も小さい地域ではありますが、8つの蒸留所が存在する上に製造されるウイスキーはスコッチウイスキーの中でも個性が強く特徴的な銘柄が多く存在します。
スコッチウイスキーは乾燥にピートを使用することで燃料由来のスモーキーな香りがすることが特徴ですが、アイラ島のウイスキーはピートを多く製造に使用することでこの香りがより強烈なものになります。
このスモーキーな香りは好き嫌いが分かれやすいですが、最初は拒絶するものの段々とクセになり愛好家になる方も珍しくはありません。
また、蒸留所はすべて海辺に建てられており、アイラ島の自然の象徴である潮の香りがウイスキーで味わえることも特徴です。
キャンベルタウンはスコットランド南部のキンタイア山地の麓の町のことを指します。
以前は34の蒸留所を持つウイスキーの産地でしたが、現在まで残る蒸留所は3つのみです。
海岸沿いの街であるため潮の香りを持っており、潮気と甘みが混じる独特な味わいのウイスキーが生産されています。
ウイスキーの特徴と地理的な関係からハイランド地域とアイラ島の中間にあたるウイスキーの生産所と呼ばれることがあります。
アイランズ地域はアイラ島とスコットランド本土を除くすべての島が分類されます。
具体的にはオークニー島、スカイ島、マル島、ジュラ島、アイル島、アラン島の6つの島が該当し、それぞれ特徴的なウイスキーが生産されています。
アイランズはアイラ島を除くすべての島を分類したものであるため、地理的に位置が分散しているためアイランズを一括りにしたウイスキーの特徴は存在しません。
スコッチウイスキー特有のピート香と、小さな島で海岸に囲まれていることから塩分を含むことが共通点としてあげられます。
上記で紹介したスコットランドの製造地域の中でシングルモルトで人気の銘柄を2つずつ選び、合計で12のおすすめ銘柄を紹介します。
地域 | 銘柄 |
スペイサイド | マッカラン |
グレンフィディック | |
ハイランド | グレンモーレンジィ |
トマーティン | |
ローランド | オーヘントッシャン |
グレンキンチー | |
アイラ | ボウモア |
ラフロイグ | |
キャンベルタウン | スプリングバンク |
グレンスコシア | |
アイランズ |
ハイランドパーク |
タリスカー |
マッカランはスペイサイドを代表するスコッチウイスキーであり、日本への輸入量はスコッチウイスキーの中でも1位である日本人にも人気のウイスキーになります。
世界的な評価も高く「シングルモルトのロールスロイス」と呼ばれるほどです。
風味はスペイサイドらしいフルーティーな甘さがあり、その奥にスパイシーな後味を感じることができます。
高価ではありますが、スペイサイドの特徴が感じられるウイスキーを堪能したいならマッカランから飲み始めるのが一番です。
マッカランについて詳しく知りたい方はこちらの記事をチェックしてください。
ザ・マッカランは種類豊富なウイスキー!味とおすすめの飲み方は?
グレンフィディックは1963年に初めて発売されたシングルモルトウイスキーであり、ウイスキー市場の中で販売数量は世界1位です。
グレンフィディックはゲール語で「シカの谷」であり、ラベルや箱にはシカが印刷されているのが特徴になります。
フルーツの爽やかな香りと上品な甘みが感じられる、マッカランよりも価格が安いのでウイスキー初心者にも手を出しやすく飲みやすいウイスキーです。
スペイサイドのシングルモルトはグレンフィディックに限らず飲みやすいものが多いですが、手ごろな価格で購入するならこちらがおすすめになります。
グレンフィディックについて詳しく知りたい方はこちらの記事をチェックしてください。
グレンフィディックウイスキーの種類やおすすめの飲み方についてご紹介
グレンモーレンジィはハイランド地域を代表するウイスキーであり、その製造方法や味わいから「完璧すぎるウイスキー」と呼ばれています。
口当たりがよく飲みやすいため、女性を中心に人気が高いです。
さわやかなシトラスとフローラルな香りが特徴で、ハチミツやシロップのような甘みにバニラと白桃を合わせたような後味が楽しめます。
完成度は非常に高いですが、高級な銘柄ではなく手ごろな価格で購入できます。
グレンモーレンジィについて詳しく知りたい方はこちらの記事をチェックしてください。
グレンモーレンジィは稀有なウイスキー!種類や味おすすめの飲み方は?
トマーティンはハイランド地方で製造されるスコッチウイスキーであり、トマーティン蒸溜所のオーナーは日本の宝酒造になります。
また、トマーティンはゲール語で「ネズの木の茂る丘」という意味です。
スコッチウイスキー特有のピート香に加えてレーズンやプラムのフルーティーな甘みを堪能できます。
モナリス山の豊かな伏流水と良質なピートを乾燥に使用することで、飲む人をとりこにする味わいに仕上げています。
オーヘントッシャンはローランド地域の名門モルトであり、現在も伝統的な製法である3回蒸留をおこなっている数少ない蒸留所です。
ゲール語で「野原の片隅」という意味を持ちます。
チョコレートやドライフルーツの香りに複雑な甘みを持つウイスキーです。
シングルモルトでありながらクセがなく飲みやすいため、カクテルに使用されることもあります。
グレンキンチーはローランド地方で作られる数少ないシングルモルトではありますが、現在はディアジオ社の傘下で「クラシックモルトシリーズ」の1つとして生産されているのが現状です。
フローラルな芳香にスイートでクリーミーな味わいが特徴になります。
口に入れてすぐに甘さと華やかさが感じられる良質なウイスキーです。
ボウモアはアイラ島の中心に存在するボウモア蒸留所で製造されるウイスキーです。
アイラ島で製造されるアイラモルトはクセが強く力強い味わいが特徴ですが、ボウモアは女性的な優しい味わいであることから「アイラモルトの女王」と呼ばれます。
アイラモルト特有のスモーキーな香りの中にハチミツの甘さが感じられ、ビターチョコの後味が特徴的です。
アイラ島のウイスキーの中では香りと味わいのバランスがよく完成度の高いウイスキーとして知られています。
ボウモアについて詳しく知りたい方はこちらの記事をチェックしてください。
ボウモアは潮風感じる島のウイスキー!種類とおいしい飲み方は?
ラフロイグはアイラ島の南部に位置する蒸留所で製造されるシングルモルトです。
ボウモアとは反対にキング・オブ・アイラと呼ばれており、強い個性に力強い味わいが特徴のアイラモルトらしいウイスキーです。
ピート香は薬品を思わせるような独特な香りであり、オイリーで濃厚な味わいの中にアイラモルト特有の潮気を感じられます。
個性の強いアイラモルトとして知られており、好き嫌いが非常に別れやすいウイスキーですが、世界中の熱狂的なファンに支えられ長年愛され続けています。
ラフロイグについて詳しく知りたい方はこちらの記事をチェックしてください。
アイラウイスキーのラフロイグとは? 種類や風味の特徴を解説!
スプリングバンクはいくつもの蒸留所が失われたキャンベルタウンで現在も製造されているシングルモルトウイスキーです。
そのエレガントで芳香な香りから「モルトの香水」と呼ばれることがあります。
アロマの香りに加えてアルコールの味わいが強く、スパイシーでクセのある味が特徴です。
香りが豊かなおかげで多くの人が抵抗なく飲めるウイスキーになります。
グレンスコシアはスプリングバンクと同様に数少ないキャンベルタウンのシングルモルトになります。
ピート由来のスモーキーな香りに塩辛い風味を持っており、アイラ島とハイランド地方の味わいの中間にあたるキャンベルタウンらしいウイスキーです。
香り豊かであり、オイリーで塩っぽい風味を持つことがキャンベルタウンモルトの特徴になります。
ハイランドパークはスコットランドでも最北端のオークニー諸島で製造されるアイランズモルトです。
独自の基準で選んだピートを乾燥に使用し、伝統的な製法であるフロアモルティングを現在も守り続けているウイスキーの1つです。
スモーキーなフレーバーにまろやかでありながら複雑な味わいを持ち、長い後味が続くため充実感があります。
アメリカのウイスキー専門誌Spirit Journalのベスト・スピリッツ・イン・ザ・ワールドを2回受賞した実績を持つウイスキーです。
タリスカーはスカイ島に現存する唯一の蒸留所であるタリスカー蒸留所で製造されるシングルモルトです。
スコットランド全体でもタリスカー蒸留所は最大の規模になります。
スモーキーな香りに黒コショウが効いたスパイシーな味わいが特徴です。
飲み方はさまざまありますが、ハイボールで飲むのが有名であり「タリスカー スパイシー ハイボール」は炭酸水でタリスカーを割った後に黒コショウをかけることでタリスカーがより爽やかでスパイシーな味わいになります。
タリスカーについて詳しく知りたい方はこちらの記事をチェックしてください。
スコッチウイスキー『タリスカー』の種類とおすすめの飲み方をご紹介
スコッチウイスキーのシングルモルトは主に6つの地域で製造されており、生産地ごとに特徴があります。
シングルモルトを地域ごとに飲み比べてみると、よりそれぞれの地域の特色を理解できるでしょう。
初心者向けの銘柄から通好みの銘柄までさまざまな銘柄を紹介したので、興味のあるスコッチウイスキーがあれば一度飲んでみることをおすすめします。