ウイスキー投資の適切な保存方法は? 不安な人に最適な投資法も紹介
- ウイスキー投資
ウイスキーにおいてカスクはその価値を左右する重要な要素です。ウイスキー投資を始めるならカスクへの理解は必須といえるでしょう。
この記事ではウイスキーの価値を左右するカスクについて、その種類と関連する用語を解説していきます。
この記事のポイント
・カスクの違いによってウイスキーの価値がどのように変化するのか
・投資価値の高いウイスキーはどのように生成されるのか
カスクとはウイスキーの貯蔵と熟成する役割を持つタル(樽)のことを指します。バーボンの場合はバレルと呼ばれることもありますが、どちらも同じタルのことです。
カスクはウイスキー作りにおいて重要な役割を果たしています。ウイスキーの色は蒸留直後では無色透明であり、この状態のウイスキーのことをニューポットと呼びます。
このニューポット呼ばれる状態のウイスキーをカスクで貯蔵し、熟成させることで一般的な琥珀色の液体に変化します。また、熟成によってウイスキーらしい香りに仕上がっていくのです。
ニューポッドがそのまま商品化されるケースもありますが、一般的なウイスキーの製造にカスクは不可欠であり、ウイスキーの質を決めるのはカスクです。
つまり、良質なカスクで作られたウイスキーは価値が高いということになります。
ウイスキーにおけるカスクの重要性について理解していただけたと思いますが、カスクには様々な用語があります。投資において価値を見極めるためにカスクに関する基本的な用語を理解していきましょう。
カスクに関する用語は様々ありますが、以下の3つを紹介していきます。
1.シングルカスク(シングルバレル)
2.ダブルカスク・トリプルカスク
3.カスクストレングス
シングルカスクは単一のタルから生まれるウイスキーのことを指します。また、シングルバレルと呼ばれることがあります。
どちらも基本的には同じですが、シングルカスクはスコッチ、シングルバレルはバーボンに使用されることが多いです。
一つのタルのみを使用してウイスキーを生成した場合、ボトル一本が700ml程度であると仮定すると数百本しか生成できません。シングルカスクは大量生産には向いていないウイスキーの生成方法となります。
よって、プレミアムボトルといった希少価値の高い商品として限定販売されることが多く、シングルカスクで作られたウイスキーは希少価値の高い一品になりやすいです。
よって、その珍しさや、1つのカスクの純粋な個性を楽しめる一品を求めるためにウイスキーの愛好者の中でも人気が出やすく需要の高い生成方法となっています。
一方で、ダブルカスク・トリプルカスクは、どちらも複数のカスクを用いてウイスキーを生成する方法になります。
一般的なウイスキーの生成方法は複数のタルを掛け合わせることで、香りや風味を深いものにしていきます。
シングルカスクよりも複雑な風味となるため、ダブルカスクやトリプルカスクのほうが深い味わいを感じられると考えるウイスキー愛好者も多いです。
しかし、希少価値としては複数のカスクで生成されたウイスキーよりもシングルカスクで生成されたウイスキーのほうが高くなりやすいです。
ニューポッドの状態であるウイスキーをカスクで熟成させる前に加水という処理がおこなわれます。
蒸留直後のウイスキーに加水することでアルコール度数を調整する目的があるからです。しかし、カスクストレングスは加水によるアルコール度数の調整をおこないません。
そのため、アルコール度数が非常に高いウイスキーに仕上がります。
シングルカスクと混同されやすい用語ですが、シングルカスクは加水の有無は関係なく、カスクストレングスも単一のカスクで生成されない場合もあります。
カスクストレングスも一部の愛好家には需要のある生成方法であり、蒸留直後に加工をしない原酒を楽しみたい人から人気を集めています。
このように生成方法によって風味や、アルコール度数、ウイスキーの価値が変化します。それではカスクそのものによってウイスキーの価値がどのように変化するのかを見ていきましょう。
カスクの材料となるオーク(木)にも種類があり、材質によって熟成の結果が異なってきます。よって、ウイスキーの価値は生成方法だけでなく、カスクの種類によっても変化するのです。
代表的な2つのカスクについて解説していきます。
1.シェリー樽
2.バーボン樽
3.ミズナラ樽
シェリー樽のシェリーは、スペインのアンダルシア州のへレスという町で製造される伝統的なワインの一種であるシェリー酒のことを指します。
シェリー樽はシェリー酒に使用された貯蔵用のタルを再利用したカスクの種類のことです。
シェリー樽で生成されたウイスキーは希少価値が高く人気がありますが、なぜ新品のタルではなく再利用されたタルを使用するのでしょうか?
シェリー樽がウイスキーに利用されたのは偶然の出来事であり、スコットランドで重税に苦しめられたウイスキー生産者が苦肉の策としてシェリー樽を再利用した結果、シェリー樽で熟成したウイスキーにこれまでにない香りと味わいが生まれたことがきっかけでした。
しかし、この伝統的な製法も現在では珍しいものとなりました。シェリー樽の入手が困難になったため、シェリー樽で生成されたウイスキーの価値も高騰したのです。
シェリー樽と一言でいってもその種類は多種多様ですが、希少価値の高いシェリー樽で熟成されたウイスキーの価値は高まりやすい状況にあります。
バーボン樽はバーボンウイスキーを貯蔵するためのタルになりますが、シェリー樽が不足していることからバーボン樽がウイスキーの熟成に使用されることもあります。
バーボンウイスキーの生成法はアメリカのケンタッキー州の法律によって以下のルールが定められています。
重要なのは一度も使用していない新タルを使用することです。バーボンウイスキーの熟成においてバーボン樽を再利用できません。
よって、シェリー樽の不足から他のウイスキーの熟成に使用済みのバーボン樽を利用することが増えました。
バーボン特有の風味が他のウイスキーと調和し、クセを和らげてくれるので飲みやすくなります。
まろやかな口当たりになりやすいのでバーボン樽による熟成のほうが好みの人もいますが、バーボン樽は入手しやすいので希少価値という観点から考えると低いです。
ミズナラ樽は日本のウイスキーの熟成に使用されるタルのことで、日本に存在する落葉広葉樹のナラの木を使用します。
北海道から九州まで広く分布しているため、戦後に国内でシェリー樽の輸入が困難になった際に代替品として使用されるようになった経緯がありました。
ミズナラ樽は繰り返し使用することでウイスキーに独特な香りを与えるので、国内だけでなく世界にも愛好家が多くいます。
しかし、ミズナラ樽はナラの木を使用できるまで成長させるのに時間がかかる上に、加工が難しいので大量生産には向きません。
戦後はシェリー樽の代替として使用されていたミズナラ樽も海外から安価なオークを輸入することが多くなったため、日本におけるウイスキー生産の最前線から姿を消しました。
しかし、他のウイスキーにはない香りを持つミズナラ樽で作られたウイスキーは世界の愛好家に需要があり、近年では希少価値の高いウイスキーになってきています。
ウイスキーのカスクについて解説しましたが、生成方法やカスクの種類によってウイスキーの価値が変動することを理解していただけたかと思います。
また、ウイスキーの購入は瓶単位で購入するのではなく、タル単位で購入することも可能です。
ウイスキーをタル単位で購入する人のことをカスクオーナーと呼びます。日本は高温多湿の環境であるため、管理が難しくワインやウイスキーをダメにしてしまうケースもありますが、カスクの管理は業者に任せることも可能です。
購入した希少価値の高いカスクは、株式市場の変動に左右されない資産となり、長期保有によって高いリターンを獲得しやすいです。様々な投資家が安全資産を求めて投資価値の高いウイスキー樽への投資をおこなっています。
新たな資産防衛の手段としてカスクオーナーになることも検討してみましょう。