ウイスキー投資の適切な保存方法は? 不安な人に最適な投資法も紹介
- ウイスキー投資
ウイスキーの味や価値を深く理解するには、熟成に必要となる樽(カスク)に関する知識が必要になります。
熟成に使用される樽はオークと呼ばれる木材によって作られますが、使用する木材にも様々な種類があります。
また、シェリー樽などの代表的なウイスキー樽は材料となるオークの種類が決まっているのが特徴です。
この記事ではウイスキー樽の材料であるオークの種類と代表的なウイスキー樽の特徴や作り方について解説します。
この記事のポイント
ウイスキーにおいて熟成に使用される樽は、ウイスキーの材料や、ウイスキーの一部とも呼ばれるほど重要な役割を果たします。
なぜなら、ウイスキーの熟成期間は長く、長い時を原酒は樽の中で過ごすからです。
熟成期間を表記しているウイスキーであれば10年以上の熟成が一般的であり、中には50年以上樽の中で熟成させたウイスキーも存在します。
ウイスキーはアルコール度数を高めた蒸留酒であるため、適切な保存状態の中では腐らせずに熟成可能です。ボトル詰めした後も開栓しない限りは保存を続けられます。
長い時を樽の中で過ごしたウイスキーの原酒は、蒸留時の透明な液体から樽の色が移って私たちがよく知る琥珀色の美しい色に変化します。
ウイスキーの液体の色や、バニラや果実のような甘い風味は熟成によって付与されたものであるため、樽はウイスキーを形作る上で重要な役割を持っているのです。
ウイスキー樽にはオークという木材が使用されており、日本ではナラの木と呼ばれます。
高級家具の材料や燻製用のスモークチップにも使用されるオークですが、全世界に300種類以上あると言われています。
基本的にウイスキー樽はこのオークによって作られますが、種類が非常に多いため代表的なオークの種類を見ていきましょう。
北米の東部で生育しているホワイトオークであり、ウイスキーも含めて現在の酒類の熟成の主流となっている木材です。
ウイスキー産業で使われている樽の90%がアメリカンホワイトオーク製となっています。
木理が通直であるため加工がしやすく、高い強度を持ち、湿気・虫害に対しても耐性がある木材であるため扱いやすいです。
ウイスキー樽の材料にするとバニラやハチミツなどの甘いフレーバーと、アーモンドのような香ばしさをウイスキーに与え、長期熟成をおこなった場合はココナッツミルクのような香味を与えるといわれています。
コモンオークはヨーロッパの代表的なオークの1つであり、スペインと関係が深い木材であることから日本の洋酒界の中ではスパニッシュオークとも呼ばれます。
基本的にはワインの熟成や、スペインで生まれたお酒であるシェリー酒の保管用の樽に使用される木材です。
ヨーロッパのオークは加工性が高い木材ではありますが、乾燥に時間がかかる点や、湿気のある場所では変色する点などのデメリットも目立つため、アメリカンホワイトオークよりも扱いにくい材料になります。
レーズンやドライフルーツなどのフルーティーな風味と、シナモンのようなフレーバーを与えることが特徴です。
セシルオークはコモンオーク並ぶヨーロッパの2大オークの1つであり、フランスのアリエ地区、トロンセ地区、ヌヴェール地区で多く生育していることからフレンチオークとも呼ばれます。
ワインやコニャックを熟成させるための樽として使用されるのが一般的ですが、スコッチウイスキーやジャパニーズウイスキーの熟成にも使用される木材です。
高級ワインの熟成に使用されることが多いので、アメリカンホワイトオークと比較すると非常に高価な木材になります。
タンニンの量が多く、ウイスキーにスパイシーな香りを与えるのが特徴です。
日本固有のナラの木であり、水分が多く燃えにくいことからミズナラと呼ばれます。
他のオークとは異なり、ミズナラを利用して作られた樽はミズナラ樽と呼ばれるほどブランド力の高い木材です。
樽の中の成分がにじみ出るまでに時間がかかるため、長期熟成によって真価を発揮します。
長期熟成させたミズナラによって熟成されたウイスキーは芳醇になるため、世界にも注目されている樽材です。
ウイスキー樽にも様々な種類があり、それぞれどのオークを材料にして作られるのかが異なります。
代表的なウイスキー樽がどのようにして熟成に使用されるのかを確認しましょう。
バーボン樽はアメリカンホワイトオークを使用し、主にバーボンウイスキーの製造に利用されますが、1度熟成させた樽を他のウイスキーの熟成に再利用しています。
樽を使用する前に内面を焼いて焦がすのも特徴であり、バーボンウイスキー特有の赤味を帯びた液体の色は樽を焦がすことで生まれる仕組みです。
また、バーボン樽は熟成に使用した回数によって味わいが変わり、熟成回数によってファーストフィル、セカンドフィル、サードフィルと呼ばれ、熟成させるウイスキーに対して香味の影響が減少していきます。
例えば、バーボンウイスキーの熟成に使用したバーボン樽を使用して他のウイスキーを熟成させることをファーストフィル、その樽を再利用することをセカンドフィルと呼び、新規の樽と比較すると香味への影響度は25%~30%程度といわれています。
バーボン樽はアメリカンホワイトオーク由来のバニラの甘い風味が特徴のウイスキー樽であり、ウイスキーの熟成において主流となっている樽です。
シェリー樽はウイスキーの熟成において伝統的なウイスキー樽であり、主にスパニッシュオークを材料にしてシェリー酒を保管した樽をウイスキーの熟成に再利用します。
シェリー酒を保管した樽を再利用する理由は、ウイスキーの歴史が関係しています。
ウイスキーは1800年代において酒税が大きく課されるため、密造時代を迎えていました。
当時は安価で入手がしやすいシェリー酒の輸送に使用されていたスパニッシュオーク製の樽をウイスキーの保管に再利用することで、密造したウイスキーの保管をおこなっていたのです。
シェリー樽で保管されたウイスキーは、シェリー酒の甘い風味がウイスキーに移り、飲みやすいものに変化したことから現在の熟成が始まったといわれています。
ウイスキーにフルーティーな風味を与える伝統的なシェリー樽は、現在では価値が上昇しており希少性が高い樽です。
名前の通り、日本固有のミズナラを利用して作られた樽のことであり、熟成に初めて利用したのは日本の代表的なウイスキーメーカーであるサントリーでした。
樽材としての加工が難しく、木の香りが強いため、当時は評価が高くありませんでしたが、日本でミズナラがオーク材として利用されるようになったのには理由があります。
第二次世界大戦に伴い、シェリー樽の輸入が困難になったため、代用品としてミズナラ樽が使用されたのです。
しかし、樽を繰り返し使用することでウイスキーに対する香味の影響を抑えることに成功し、手間暇をかけることで日本特有の香味をウイスキーに与えることができるようになりました。
戦後に海外から安価なオークが輸入できるようになると、ミズナラ樽による熟成はコストや手間がかかることから次第に数を減らしていきました。
近年ではミズナラ樽によって熟成されたウイスキーが世界に再評価されたことから、代用品であったはずのミズナラ樽の希少価値は大きく上昇する結果となったのです。
ミズナラ樽熟成のウイスキーが人気の理由について詳しく知りたい方はこちらの記事をチェックしてください。
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ウイスキー樽を自宅で簡単に保有できるミニ樽についてご存知でしょうか?
ミニ樽は市販のウイスキーを樽の中に注ぎ、自宅でウイスキーの熟成が楽しめるアイテムです。
ミニ樽に寝かせたウイスキーの風味や色合いは徐々に変化し、オリジナルのウイスキーを作ることが可能になります。
このミニ樽は販売もされていますが、水漏れなどに気をつければ自作できます。
興味がある方はウイスキー樽を自宅に保有することも検討してみてはいかがでしょうか。
ウイスキー樽は材質によって与える風味が異なり、さまざまな種類の樽材が存在しています。
樽の種類によって価値も変わってくるので、理解しておくと熟成に使用した樽からウイスキーの価値が分かるようになります。
ウイスキー樽について理解して、価値を判断できるウイスキー通を目指していきましょう。