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ウイスキー山崎の種類ごとの特徴は?熟成年数によって変わる味わい

2021.08.28 / 最終更新日:2024.10.10

山崎は、日本のウイスキーが世界的に支持されるようになるきっかけを作ったウイスキーといっても過言ではありません。世界的なコンクールにおける数多くの受賞歴がその支持の高さを物語っています。

今やジャパニーズウイスキーは、アイリッシュ、スコッチ、アメリカン、カナディアンと並んで5大ウイスキーのひとつに数えられるまでになりました。

この記事では、日本のウイスキーの価値を高めた山崎のこだわりと種類、それぞれの味や香りの特長について紹介します。

この記事のポイント

  • 山崎の誕生から世界に評価されるまでの過程を解説
  • 熟成年数によって異なる山崎の種類を紹介

「山崎」は日本初の蒸留所由来の名前

「山崎」とは、日本で初めてウイスキーの蒸溜所が建てられた場所の名前です。日本で世界に通用するウイスキーを作りたいと考えていたサントリーの創業者・鳥井信治郎は、ウイスキーづくりに適した土地として、自然豊かな山崎の地を選びました。山崎蒸留所が誕生したのは1923年のことです。

1929年には、日本で初めての本格国産ウイスキー「白札」を発売しましたが、当時の日本人の舌には合わず、大失敗に終わりました。しかし、それで諦める鳥井ではありません。改良に改良を重ねて1937年には「角瓶」を生み出し、ヒットさせたのです。その後も鳥井はヒット商品を世に送り出しました。

鳥井の次男・佐治敬三が2代目マスターブレンダーとして就任すると、今度は「日本を代表するシングルモルトづくり」へと夢の内容が変化していきます。時は1980年代初め。高度成長の頂点を迎え、ひとりひとり異なる価値観を持つことが認められるようになってきた時期でした。「多様な価値観が認められ始めたのなら、ウイスキーも個性の強いものが求められるのではないか」と感じた佐治は、個性のはっきりしたシングルモルトで勝負に出ることを決断したのです。

数十万樽の中から選び抜いた原酒を掛け合わせ、最高の組み合わせができるまで、テイスティングを繰り返しました。スコッチの味に近づけるのではなく、日本独自のシングルモルトを誕生させるために、テイスティングに費やした時間は約2年です。ひとつの原酒が突出した個性を発揮するのではなく、多彩な個性がお互いを高めるように調和することを求めた結果、1984年3月に「山崎」は誕生しました

ちなみに、ラベルに書かれている山崎の筆文字は、誕生に心血を注いだ敬三の直筆によるものです。この「」の漢字をよく見ると、寿の文字が隠されていることに気付きます。これは、新たなシングルモルトの誕生を祝う意味と同時に、サントリーの前身である「寿屋」を表すものです。寿屋を立ち上げた頃と変わらぬ情熱を注いで国産ウイスキーをつくり続けているという意味も込められています

熟成年数によって味わいが変わる「山崎」


山崎のラインナップは、熟成年数の違いによる4種類のみです。いずれも山崎蒸留所でつくられているモルト原酒のみを使用しています。シェリー樽ワイン樽など、さまざまな樽に貯蔵された原酒を絶妙な配分でヴァッティングしている点が山崎の特長です。

とくに、山崎蒸留所では、伝統的にジャパニーズオークと呼ばれるミズナラでつくられた樽も使用されています。部分的に加えられているミズナラ樽原酒が、山崎独特の香りや味わいを生み出しているといっても過言ではありません。では、熟成年数によってどのような違いがあるのか、見ていきましょう。

また、山崎を含むミズナラ樽熟成のウイスキーが人気の理由を知りたい方はこちらの記事をチェックしてください。

ミズナラ樽熟成ウイスキーが人気な理由とは?おすすめの銘柄と特徴

山崎

基本の山崎は、熟成年数に関係なく、山崎蒸留所のさまざまなモルトを掛け合わせてつくられています。山崎蒸留所の伝統ともいえるミズナラ樽貯蔵のモルトはもちろん、ワイン樽貯蔵のモルトも使用している点が特徴的です。色は赤みがかった鮮やかな琥珀色です。

ミズナラ樽貯蔵のモルトは、広がりのある甘みと滑らかな口当たりをもたらします。イチゴサクランボのような甘くフレッシュな香りは、ワイン樽に由来するものです。バニラのような甘さ、シナモンのスパイス感が心地よい余韻として口の中に残ります。

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山崎 12年

繊細かつ複雑という言葉がぴったりなシングルモルトです。コクや深みのある味わいですが、しつこくなく上品さがあります。濃厚な甘さを感じるバニラ香など熟した果実のような香りはホワイトオーク樽で熟成した原酒に由来するものです。

その奥に、シェリー樽やミズナラ樽由来の香りが折り重なって感じられます。味わいも香りも何層にも重なり、繰り返し押し寄せてくるため飲み飽きません。程よい樽香やバニラ香が長く続きます。

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山崎18年

18年以上シェリー樽で熟成させた原酒を中心にヴァッティングしています。しっかり時間をかけて後熟させたフルボディタイプのシングルモルトです。ドライフルーツチョコレートを感じさせる甘く香ばしい香りは、シェリー酒樽に由来します。原酒をシェリー樽で長期熟成した証だといってよいでしょう。

赤みがかった琥珀色は更に濃さを増しています。蜂蜜のような濃厚な甘さと同時に、熟した果実のような甘酸っぱさスパイシーさも感じられ、余韻として長く続くのも18年物の特徴です。

山崎25年

年間に千数本しかつくられない、本数限定生産の貴重なシングルモルトです。山崎蒸留所伝統のミズナラ樽、スパニッシュオーク樽、アメリカンオーク樽などさまざまな樽で、25年以上の超長期熟成を施した原酒のみを集めてヴァッティングしています。年間の生産本数が少ないため、なかなか口にすることができない逸品です。

明るい赤道色と、伽羅香木のような濃厚な香り、よく熟した甘酸っぱい果実の香りが熟成期間の長さを感じさせます。口に含むと最初に感じるのは蜂蜜のような濃厚でコクのある甘味です。しかし、甘味の奥にはほろ苦さやほのかな薫香が感じられ、遅れて甘酸っぱさとスパイス感、香木の香りが現れ、余韻として残ります

世界が認める味と香り

世界には酒類の品質を審査するコンペティションがいくつかあります。中でも、ISC(インターナショナル・スピリッツ・チャレンジ)、IWSC(インターナショナル・ワイン・アンド・スピリッツ・コンペティション)、SWSC(サンフランシスコ・ワールド・スピリッツ・コンペティション)、WWA(ワールド・ウイスキー・アワード)の4つは、特に権威あるコンペティションです。

いずれも、ブラインド・テイスティングによる審査があるため、真の実力が試されます。山崎は、それらのコンペティションで、複数年にわたり何度も名誉ある賞を受賞してきました

山崎が世界的に認められるきっかけになったのは、2003年ISCの金賞受賞です。山崎12年が受賞の際に「noble」という言葉を添えて称えられたことにより、世界の見る目が変わりました。それまで、ワンランクもツーランクも下と見られていたジャパニーズウイスキーが、世界をうならせた瞬間です。それ以来、山崎は12年物、18年物を中心に、各コンペティションで最高ランクの賞を受賞する常連となっています。唯一無二の国産シングルモルトにこだわった成果といってよいでしょう。

今や山崎だけでなく、ジャパニーズウイスキーそのものが世界の5大ウイスキーの一角を担うほどになりました。原酒不足に陥るほどの高い人気は、テレビドラマやハイボールブームがきっかけといわれていますが、実は、そもそものきっかけを作ったのは山崎の金賞受賞だったのです

世界に認められた実力を味わってみよう

山崎は、世界の名だたる酒類コンペティションで何度も高い評価を受けている国産シングルモルトです。ブラインド・テイスティングで審査員をうならせているのですから、その実力は確かだといえます。

原酒不足で手に入りにくくなっていますが、口にできるチャンスがあれば逃さないようにしましょう。世界に認められたおいしさをしっかり味わっておくことをおすすめします。

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