【独占インタビュー】ロバート・バーネカー、ソナト・バーネカー夫妻<第2弾> – KOVAL
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- 蒸溜所(海外)
最先端のテクノロジーと伝統的なウイスキーづくりが融合した近代的な縦型蒸留設備の見学を通して、新たなウイスキーの誕生を初まりの一滴から追うことができる蒸溜所を想像してみてください。
近代のスコッチウイスキー市場の先駆者であるポート・オブ・リース蒸溜所は、ウイスキーの未来を味わうだけでなく、その進化を目の当たりにする特別な旅へと誘ってくれます。
この革新的な蒸溜所が、世界中のウイスキーファンを魅了するだけでなく、ユニークで忘れられない体験で観光客や地元の人々を魅了している理由に迫ります。
(取材日:2024年3月8日)
【独占インタビュー】第1弾:イアン・スターリングさん ー ポート・オブ・リース蒸溜所
【Exclusive Interview】Part 2: Ian Stirling – Port of Leith Distillery (和訳版は近日公開予定!)
ポート・オブ・リース蒸溜所は、スコットランドのエディンバラのベンチャー企業で、細部にまでこだわった独自なウイスキーづくりを行っています。2021年にイアン・スターリングさんとパトリック・フレッチャー(パディ)さんによって親会社であるMuckle Brig社の下に設立されたこの蒸溜所は、エキサイティングな蒸溜所ツアーだけでなく、魅力的なモダンな建物と美しい景色を望むおしゃれなダイニングバーにより、エディンバラ市内の観光スポットの1つとして急速に人気を集めています。エディンバラの端に位置し、海を見渡すこの蒸溜所は、現代のテクノロジーと伝統的な製法を融合し、ウイスキー愛好家にいままでにない体験を提案しています。
パディさんとイアンさんが縦型蒸溜所を選んだ理由は主に2つあります。1つ目は建設スペースが限られていたことです。現在蒸溜所が建っている土地を見つけた時、お二人はその利便性と景色に感激したそうです。
しかし、土地面積の制限により、伝統的な「横型」の蒸溜所を建設することはできませんでした。そのため、蒸溜所と製造ラインを垂直に構築するしかなかったのです。
その結果、蒸溜所の新しさを象徴する「モダンな建築物」を持つという彼らの2つ目の願いが叶いました。
蒸溜所名 | ポート・オブ・リース蒸溜所 |
所有者 | Muckle Brig社 (イアンさんとパディさんが所有する会社) |
住所 |
11 Whisky Quay, Edinburgh, EH6 6FH.
|
創設年 | 2021 |
公式サイト | Port of Leith Distillery |
リース港はエディンバラの角、ロイヤル・ヨット・ブリタニア号のすぐ隣にあります。便利な場所にあるため、蒸溜所へは市内中心部からトラムやバス、電車、車などで簡単にアクセスできます。市内中心部から30分もかからずアクセスできるので、蒸溜所ツアーに参加したい方だけでなく、最上階のバーで一杯飲みたい方にも最適です。
ポート・オブ・リース蒸溜所は設立からまだ2年しか経っていないため、正式にウイスキーとして発売できる商品はまだありません。
代わりに、彼らはサブスクリプション・システムを考案し、ポート・オブ・リースのウイスキーが時間の経過とともに進化し、8年かけてウイスキーの本来の姿に到達する過程を共に見届けられるサービスを販売しています。これは蒸溜所のファウンダーズ・クラブのようなもので、加入者は8年間にわたり毎年2つのサンプルを受け取り、樽の中でウイスキーが熟成していく過程を体験できます。
「実際に蒸溜所で働かなくても、蒸溜所で働く楽しさを体験できる」という彼らの言葉通り、サブスク加入者はウイスキーづくりの「最もエキサイティングな部分」だけを楽しめるのです。
詳細はこちらをご覧ください。
ポート・オブ・リースのディスティラリーショップは建物の3階にあります。自社ブランドのスピリッツから蒸溜所グッズまで、さまざまな商品を販売しています。このショップには他蒸溜所のスコッチウイスキーを取り扱っているコーナーもあります。このコーナーは、ポート・オブ・リースの他の造り手とのつながりや助け合いの様子を象徴する場所となっており、新しく設立された小規模蒸溜所のウイスキーや小規模ボトラーズのウイスキーを見つけることができます。蒸溜所ツアーの受付はこのディスティラリーショップ内にあります。
概要 | 90分間にわたるこのツアーでは、特別なウイスキーをつくりたいと願った幼馴染2人のストーリーに始まり、モダンな建物と縦型蒸溜所を見学し、ニューメイク・スピリッツをご自身でボトリングし、製造工程を体験できるテイスティングを通じて、これまでにない角度からウイスキー蒸溜所を体験していただけます。 |
所要時間 | 90分 |
料金 | £26 / 子供 (7-17歳) £10 |
開催日時 | 毎日:午前11時から午後7時まで |
予約 | 事前予約はこちらから |
概要 | 90分も割ける時間がない?ご安心を!ディスティラリー・ダッシュは時間がない方に向けて駆け足で我々の魅力をお伝えします。一般的な蒸溜所ツアーの要素は全て詰め込まれており、蒸溜所のバックストーリーを聞き、ユニークな縦型蒸留プロセスを見学し、自分だけのニュー・メイク・スピリッツをボトリング、最後にはちょっとした試飲もお楽しみいただけます! |
所要時間 | 60分 |
料金 | £20 / 子供 (7-17歳) £8 |
開催日時 | 毎週土曜日 13:20 – 16:40 |
予約 | 事前予約はこちらから |
ポート・オブ・リースのウイスキーづくりは、2人がパディさんの庭でウイスキーをつくっていたところから始まりました。
ポート・オブ・リース蒸溜所の創設者である2人は、ウイスキーに対する情熱を共有してきた仲の良い幼馴染みです。 パディさんの専門分野は金融で、イアンさんの専門知識はワイン製造でした。2人は互いの強みを組み合わせて、協力してウイスキー蒸溜所を設立することにしたのです。
【独占インタビュー】第1弾:イアン・スターリングさん ー ポート・オブ・リース蒸溜所
【Exclusive Interview】Part 2: Ian Stirling – Port of Leith Distillery (和訳版は近日公開予定!)
ポート・オブ・リーズ蒸溜所の地下には142メートルの深さまで続くボーリング孔があります。これらのボーリング孔は蒸溜所の建設プロセスにとって極めて重要でした。というのも、風の強い海のすぐそばで、内部では大量の液体が流れ、人々が歩き回るような大きな建物を作らなければならなかったからです。イアンさんは以前、インタビューで、「多くの不安定要因に対処するこのような建物の設計は複雑でした」と、建設がどれほど大変だったか語ってくださいました。しかし、この過程で彼らは水源を見つけ、幸か不幸か、ポート・オブ・リース蒸溜所がウイスキー製造に使用する水の多くはこのボーリング孔から来ています。
水だけでなく、ポート・オブ・リース蒸溜所のウイスキー製造の原料のほとんどが地元で調達されています。大麦も15マイル離れた農場から収穫され、できるだけ新鮮な状態で届くよう近場でモルティングされています。
これら原料の新鮮さや、シェリーワイナリーやポートワイナリーから直接に仕入れている樽は、ポート・オブ・リースの細部へのこだわりを象徴しています。
まず、大麦はすべて蒸溜所の4階に運ばれ、粉砕(ミリング)を行います。縦型蒸溜所を効率的に運用するには、まずすべての材料を上部に送り、生産プロセスに沿って徐々に降ろしていく必要があります。送る材料はモルトだけでなく水も含まれており、すべて重力に沿って処理されていきます。
ポート・オブ・リース蒸溜所は、1.5トンのセミローターマッシュタンを使用しています。セミローター型は、麦汁から液体と固体を効率的に分離することに長けています。この工程は、クリーンで風味豊かなマッシュを実現するためにとても重要です。このプロセスにより、大麦麦芽から抽出された糖が効率的に発酵可能な糖に変換され、発酵の準備が整えられます。
ポート・オブ・リースの発酵工程への強いこだわりの準備のためにも、完璧なマッシュを作ることが最も重要とも言えるでしょう。
ポート・オブ・リース蒸溜所には、蒸溜所の2階と3階の間に、それぞれ7,500リットルの容量を持つ7つのステンレス製ウォッシュバックが設置されています。伝統的な木製のウォッシュバックとは異なり、ステンレス製を使用するとバッチ間の徹底的な洗浄が可能になり、各バッチの発酵プロセスをまっさらな状態から始められます。これにより、ウォッシュの純度が維持されるだけでなく、新たな酵母を求めて実験を繰り返すことができます。ポート・オブ・リースはさまざまな酵母を実験し、一貫して高い生産量を確保しつつ、独自のフレーバープロファイルに合わせて各バッチを最適化しています。
イアンさんはワイン業界出身であるため、ポート・オブ・リースではウイスキーの風味づくりの中核として発酵プロセスを重視しています。
彼らのウイスキーづくりの哲学と、ヘリオット・ワット大学との協力により現在の発酵方法をどのように開発したかについて詳しく知りたい方は、イアンさんのインタビュー記事をご覧ください!
【独占インタビュー】第1弾:イアン・スターリングさん ー ポート・オブ・リース蒸溜所
【Exclusive Interview】Part 2: Ian Stirling – Port of Leith Distillery (和訳版は近日公開予定!)
ポート・オブ・リース蒸溜所の1階にはポットスチルがあり、その背後には広大な海の景色が広がっています。ウォッシュスチルはリフラックスを最小限に抑えるために短く幅広に設計されており、ウォッシュからの個性的な味わいなどを直接蒸留することができます。このデザインは、ウォッシュの独特の風味とキャラクターを活かすためのものです。対照的に、スピリットスチルには、より多くのリフラックスを誘発するボイラーボールが備わっており、ニューメイクに複雑性とダイナミックさを与えています。
ポート・オブ・リースでは、「スチルにあった蒸留を行う」という哲学が貫かれており、蒸留プロセスによってウイスキーの特徴が自然に形成されます。
ポート・オブ・リース蒸溜所のスピリット・セーフは、伝統を重んじる傾向にあるスコッチ蒸溜所には珍しいステンレス製のモダンな外観をしています。彼らはこの工業製品のような見た目を活かして、蒸溜所により工場のような雰囲気を与えたかったそうです。
ポート・オブ・リース蒸溜所には、ウイスキーを熟成させるための倉庫が敷地内にありません。
代わりに、ニューメイクを大型タンクに入れてファイフ地方にある倉庫に輸送してます。
ポート・オブ・リースは、ワインの輸入販売を通じて築いたシェリー酒やポートワインのメーカーとのつながりを有効活用し、ウイスキーの熟成に必要なワイン樽を豊富に入手しています。
蒸溜所の2階には、ニューメイクを自分でボトリングできるコーナーがあります。訪問者はポート・オブ・リース・ウイスキーの進化の過程を思い出にしつつ、素敵なお土産を持ち帰るができます。将来彼らがニューメイクを飲んだ際、再訪したくなることでしょう。
ツアーの最後には、2種類のニューメイクとポート・オブ・リースが輸入するシェリーやポートワインを楽しむテイスティング・セッションがあります。
また、自社のウイスキーが完成するのを待っていた期間は、ポート・オブ・リースが目指す理想の味わいを持っていたブルックラディのウイスキーをテイスティングの一環として提供していたそうです。
現在では、その代わりに自社でブレンドした「テーブル・ウイスキー」をサーブしています。このテーブルウイスキーとは、レストランなどにあるハウス・ワイン(そのレストランで一番ベーシックなワイン)をイメージして作られた、迷ったらとりあえず頼むべきウイスキーだそうです。
ポート・オブ・リース蒸溜所の最上階にあるこのバーでは、海とエディンバラの街の美しい景色を眺めながら、豪華な食事やカクテルを楽しむことができます。このバーは、蒸溜所ツアーに訪れた人だけでなく、単にディナーのために訪れた人やバーとして飲みに来た人など、どなたでも歓迎しています。
ポート・オブ・リース蒸溜所は、伝統と革新をシームレスに融合させた格別なウイスキーと体験ツアーを提供しています。最先端の縦型蒸留設備と製造のあらゆる部分への細心の注意により、訪問者はウイスキーの進化過程と未来を直接目の当たりにすることができます。
近代的な蒸留施設を探索したり、テイスティング・セッションを満喫したり、素晴らしい景色を眺めながら食事を楽しんだりと、ポート・オブ・リース蒸溜所では、スコットランドの大切にされてきた蒸留酒の背後にある文化とこだわりを体験できます。
もしエディンバラを訪れることがありましたら、ポート・オブ・リース蒸溜所を訪問し、ウイスキー愛好家や地元の方々からの人気を急速に獲得している背景を、ぜひ肌でかんじてみてはいかがでしょうか。