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- ウイスキー基礎知識
バランタインをはじめとするブレンデッドウイスキーは、さまざまなモルトウイスキーとグレーンウイスキーをブレンドして作られます。
モルトウイスキーは40種類以上の原酒がブレンドされることもありますが、そのなかでも味わいの方向性を決める重要なモルトウイスキーをキーモルトと呼びます。
バランタインのキーモルトは完成されたバランスのよい味わいから魔法の7柱と呼ばれており、人気の高いブレンデッドウイスキーであるからこそ、その中身が注目されているのです。
この記事では、バランタインのキーモルトを一覧形式で紹介し、代表的なキーモルトである3つの銘柄を紹介します。
この記事のポイント
バランタインは、1937年に販売されたバランタイン 17年から始まり、現在では日本全国のスーパーマーケットなどで購入できるスコッチを代表する銘柄です。
ウイスキーの種類ではブレンデッドウイスキーに分類されることから、複数のモルトウイスキーとグレーンウイスキーをブレンドして製造されています。
バランタインの構成原酒は銘柄によっても異なりますが、数十を超える原酒がブレンドされており、ブレンダーたちはこれを適切なバランスでブレンドしていくことにより、バランタインの完成された味わいを実現しているのです。
しかし、すべての原酒を同程度の量でブレンドしているわけではなく、ブレンデッドウイスキーにはバランタインを含めて味わいの方向性を決定するキーモルトが存在します。
キーモルトは販売元によっては戦略的に秘匿すべきという考え方もあるため、必ずしも公開されているわけではありませんが、バランタインはキーモルトが公開されている銘柄です。
ブレンデッドウイスキー以外に飲んだことがなく、シングルモルトに挑戦したいと考えている方は、自分の好きなブレンデッドのキーモルトから選ぶのも選択肢のひとつです。
そのため、バランタインが好きな方は、バランタインのキーモルトを飲んで、どのようにバランタインの味わいが作られているのか考察するのもウイスキーの楽しみ方になります。
バランタインの種類と味わいはこちらの記事で紹介しています。
バランタインの種類やおすすめは?味の特徴や飲み方についても解説
バランタインの種類ごとのキーモルト一覧と、魔法の7柱を紹介します。
画像引用:https://www.ballantines.ne.jp/products/finest.html
バランタイン ファイネストは、コンビニ・スーパーマーケットでも見かける現在のスタンダードであるバランタインです。
バランタイン ファイネストは以下の3つの蒸溜所で製造される原酒がキーモルトであるといわれています。
グレンバーギーとミルトンダフは、バランタインのキーモルトを代表する銘柄ですが、ロングモーンはバランタインの魔法の7柱にも含まれていないため、バランタインに使われている印象がない方も多いことでしょう。
後ほどグレンバーギーとミルトンダフについて詳しく解説しますが、ロングモーンはフルーティーな風味とオークのスパイス感があり、ライトで飲みやすい口当たりが特徴です。
バランタイン ファイネストを飲んでから、それぞれのシングルモルトを飲めば、どのような方向性でバランタインが作られたのか理解しやすくなります。
画像引用:https://www.ballantines.ne.jp/products/17years.html
バランタイン 17年は、1937年に発売されたバランタインの原点とも呼べる銘柄です。
発売当初のバランタインのキーモルトは公開されており、公開された7種類のキーモルトは魔法の7柱と呼ばれました。
ファイネストのキーモルトであったグレンバーギー、ミルトンダフに加えて、スコッチの中でも製造される地域も異なる5種類のモルト原酒がブレンドされています。
販売当初はこちらの7種類の原酒を使用して、バランタインは生まれました。
しかし、現在発売されているバランタイン 17年はもちろん、ファイネスト以外のバランタインのキーモルトが必ずしも上記の7種類となっているとは限らないようです。
根拠としては上記の蒸溜所は、1937年から現在までに休止や閉鎖があった蒸溜所もあり、その中でもバランタインの生産は続けられてきました。
ブレンデッドウイスキーを販売するにあたってキーモルトをすべて消費者に報告する義務はないため、生産の都合や時代にあわせたブレンドの方向性の変更によって、キーモルトが変化する可能性は十分に考えられます。
ただし、バランタインはウイスキー愛好家がブレンデッドウイスキーのキーモルトを知りたがり、シングルモルトで楽しみたいという需要を理解しており、バランタインのキーモルトに使用されるウイスキーをシングルモルトで3種類販売しています。
その中にはここまででキーモルトとして挙げられていないグレントファースがあるため、同じバランタインでも時代や銘柄の種類によってもキーモルトは変化していると考えられるでしょう。
バランタインの魔法の7柱といわれる銘柄で今回詳しく紹介しないシングルモルトの紹介記事を以下にまとめました。
リンク
バランタインブランドで販売されている代表的なキーモルトであるシングルモルトは3つあります。
それぞれ詳しく見ていきましょう。
画像引用:https://www.yamatoya-e.com/SHOP/ballantines9780.html
グレンバーギー 12年は、バランタインブランドで販売されたバランタインを代表するキーモルトであるグレンバーギーを12年以上熟成させたシングルモルトです。
グレンバーギーはほかのバランタインブランドとは異なり、12年物のほかに、15年・18年の3種類のラインナップが販売されている銘柄になります。
りんごや洋ナシのようなフルーティーで、ナッティな味わいが特徴的であり、滑らかな口あたりとなっているクセが少ないスペイサイドらしいシングルモルトです。
魔法の7柱にも入っており、現在もシングルモルトで販売される銘柄であることから、バランタインのキーモルトの中核をなす代表的なモルトウイスキーといえるでしょう。
ミルトンダフ 15年は、グレンバーギーと同様に魔法の7柱を構成しており、バランタインを長年支えてきたキーモルトです。
ミルトンダフのラインナップは15年物のみとなっており、同蒸溜所では珍しいオフィシャルボトルであるといえるでしょう。
麦芽由来の甘みとスパイス感と苦みを感じる複雑な味わいであり、キーモルトに必要な個性を持っている銘柄です。
バランタインではミルトンダフの個性は飲みやすく緩和されていますが、シングルモルトで飲むことでバランタインにも反映されている強い個性を味わうことができます。
画像引用:https://dearwhisky.com/knowledge/glentauchers/
グレントファース 15年は、バランタインを販売するペルノリカール社がグレントファース蒸溜所の所有者となったことをきっかけに、バランタインのモルトウイスキーとして採用されるようになったと考えられます。
そのため、バランタイン 17年の発売当初には魔法の7柱に構成されておらず、現在ではバランタインのブレンデッド用の原酒を製造する目的をメインに蒸溜所が稼働しており、バランタインズブランドで15年物のシングルモルトが発売される機会に恵まれました。
ヘザーのフローラルで華やかな香りと、果実のような複雑な甘みが感じられる銘柄であり、繊細な味わいとなっています。
バランタインで感じられる後味とグレントファースの後味は一致する部分が多いため、現在のバランタインのフィニッシュを決定づけるキーモルトといえるでしょう。
バランタインのキーモルトを紹介しましたが、魔法の7柱をはじめとするシングルモルトの中にはレアな銘柄も多く、入手難易度の高い銘柄も多くあります。
現在のバランタインを基準にキーモルトを飲んでみたい方は、バランタインのオフィシャルから販売されている3種類のシングルモルトから飲み進めることをおすすめします。
ブレンデッドウイスキーのキーモルトからシングルモルトに興味を持ち、シングルモルトを飲み進めることもウイスキーの楽しみ方のひとつになりますので、バランタインに限らず好きなブレンデッドウイスキーのキーモルトを調べてみましょう。