【イベントレポート】ニッカウヰスキーの新境地を五感で体感できる「NIKKA FRONTIER BAR」とは?
- イベント(国内)
- 飲み手
2024年6月26日、Dear WHISKY主催「ニッカウヰスキー90周年特別セミナー・懇親会」を、アサヒビール株式会社のウイスキーアンバサダー 金子太郎さんをお迎えして開催しました!
セミナーでは、金子さんにニッカウヰスキーのウイスキーづくりについてや、日本のウイスキーの父と呼ばれる竹鶴政孝氏とニッカウヰスキーの歴史についてお話いただきました。また、余市蒸溜所や宮城峡蒸溜所のキーモルトやグレーンウイスキーの試飲も行われ、蒸溜所によって異なるウイスキーの魅力が感じられるイベントとなりました!
イベントに参加された皆様も、参加できなかった皆様も、この記事を通して90周年を迎えたニッカウヰスキーの魅力をぜひご体感ください!
日時 | 2024年6月26日(水)18:30~20:30 |
会場 | BAR FIVE Arrows 〒160-0023 東京都新宿区西新宿1-13-1 今佐ビル6F BAR FIVE Arrows ホームページ |
アクセス | JR 新宿駅 徒歩3分/都営大江戸線 都庁前駅 徒歩5分 |
費用 | お一人様25,000円(税込み) (お食事・ドリンク・ウイスキー試飲付き) |
日本のウイスキーの父、竹鶴政孝氏が「日本で本物のウイスキーをつくりたい」という想いを胸に始めたニッカウヰスキー株式会社。1934年に北海道余市町の「大日本果汁株式会社」から歴史は始まり、今年で創業90周年を迎えました。
マッサンこと竹鶴政孝氏が大切にしていた「パイオニア精神」「品質第一主義」を今日まで受け継ぎ、現在はアサヒグループの中でウイスキーをはじめとした酒類事業を行っています。
“生きるを愉しむウイスキー”を90周年という節目の新たなコミュニケーション・コンセプトとして掲げ、歴史の新たな一章へと踏み出したニッカウヰスキーに目が離せません!
アサヒビール株式会社のウイスキーアンバサダーである金子太郎さんは、セミナーやイベントを通してニッカウヰスキーの魅力を発信しています。
Dear WHISKYは金子さんに独占インタビューをさせていただき、ウイスキーに興味を持ったきっかけや日本のウイスキーのこれからに対する想いを伺っております。ぜひ併せてご覧ください!
「ニッカの90年と竹鶴政孝」と題して行われたセミナーでは、日本のウイスキーの父と呼ばれる竹鶴政孝の生い立ちや日本のウイスキーの歴史、ニッカウヰスキーの蒸溜所ごとの特徴、ブレンダーというお仕事についてお話いただきました!
以下では、ウイスキーの奥深さが実感できるセミナの一部をご紹介します!
「日本のより多くの人に本物のウイスキーを飲んでほしい」という想いから、スコットランドでウイスキーづくりを学び、ニッカウヰスキーを創業したマッサンこと、竹鶴政孝氏。
スコットランドの主に3つの蒸溜所でウイスキーづくりを学んだ際に書き残した「竹鶴ノート」のレプリカを片手に、金子さんは竹鶴政孝氏と妻・リタ氏の出会いや、帰国後に日本でウイスキーづくりを始めた際の苦労話などを語ります。
竹鶴政孝氏が修行したロングモーン蒸溜所と余市蒸溜所のポットスチルの形が似ていることや、設立初期はりんごジュースを売ることで経営を維持していたことなど、ニッカウヰスキーの90年の歴史にまつわる様々なエピソードをご紹介いただきました。
スペイ川のような余市川が流れ、冷涼で湿潤な気候がスコットランドに似ていることから、竹鶴政孝氏は北海道余市町にニッカウヰスキー最初の蒸溜所を建設しました。
余市蒸溜所は、石炭直火蒸留を行う世界でも珍しい蒸溜所で、ストレートヘッド型でラインアームが下向きのポットスチルから、力強い味わいのウイスキーをつくっています。
海の近くにある余市蒸溜所と対照的に、緑に囲まれた蒸溜所である宮城峡蒸溜所。広瀬川と新川という2つの清流の合流地点にあることから湿潤な気候が特徴的で、熟成がゆっくりと進みます。
ポットスチルはバルジ型でラインアームが上向き、かつ余市蒸溜所の2~3倍近くの大きさのため、蒸気となった強い成分がコンデンサー(冷却器)まで届きづらく、柔らかくフルーティーなウイスキーがつくられます。スチームを使った間接蒸留方式で、余市蒸溜所と対照的なウイスキーが特徴です。
また、1999年に西宮工場からカフェ式連続式蒸溜機(カフェスチル)を移転し、グレーンウイスキーも製造しています。
スコットランド最高峰の山であるネヴィス山の麓にあるベン・ネヴィス蒸溜所。
1800年代からある伝統ある蒸溜所でしたが、製造を中止していた1989年にニッカウヰスキーが買収しました。
ストレートヘッド型のポットスチルと真横に伸びるラインアームが特徴で、宮城峡蒸溜所より更にフルーティーな原酒がつくられているそうです。
門司工場では2017年から、さつま司蒸溜蔵では2018年からグレーンウイスキーを製造しています。
2023年に発売された「ニッカ ザ グレーン」には門司工場とさつま司蒸溜蔵でつくられたウイスキーが使われているそうです。
焼酎用のステンレス製ポットスチルからつくられたグレーンウイスキー。品質的に高い評価を受けているそうで、将来が楽しみですね!
最後に、ウイスキーづくりには欠かせないブレンダーというお仕事についてご紹介いただいました!
新しく発売されるウイスキーのレシピを決めることがブレンダーの主な仕事のように思われますが、実は「今ある商品をつくる仕事」が全体の7割ほどを占めるそうです。
現在発売されているブレンデッドウイスキーにもレシピはありますが、1年経つとレシピに載っているウイスキーも1年熟成してしまうため、今と同じ香り、同じ味を作るために、新たにレシピを作り替える必要があります。このレシピを作るために自社が持っている原酒のサンプルを確認して、新たにブレンドを行う仕事が「今ある商品をつくる仕事」です。
なんと、ニッカウヰスキーのブレンダーは毎年余市蒸溜所、宮城峡蒸溜所、ベン・ネヴィス蒸溜所へ自らサンプルを集めに行くのだそうです!
各蒸溜所から集められたサンプルは、千葉県柏市にあるブレンダー室へ送られ、ブレンダーによってチェックされます。この作業は何千とあるロットを何日も嗅ぎ続けなくてはいけないため、とても大変な仕事ですが、あまり知られていないブレンダーの重要な仕事です。
今回のイベントでは、ニッカウヰスキーのキーモルト5種類をテイスティングしました!
余市蒸溜所、宮城峡蒸溜所から2種類ずつと、グレーンウイスキーを1種類テイスティングしましたので、それぞれの特徴をご紹介します!
また、Dear WHISKYは余市蒸溜所と宮城峡蒸溜所へ取材を行っています!余市蒸溜所と宮城峡蒸溜所のウイスキーづくりについて更に詳しく知りたい方は、ぜひ下記記事を併せてご覧ください!
宮城峡蒸溜所のピート香の少ない、ベーシックなタイプのモルト原酒をヴァッティング(混和)してつくられたウイスキー。モルティで軽快な香り立ち、麦の香ばしさと甘くやわらかな味わいが特徴です。
フルーティな香りを生み出す酵母で発酵させ、様々なタイプの樽で熟成させた原酒をヴァッティングしました。華やかでフルーティな果実香と、甘酸っぱさと微かにほろ苦いコクのある味わいが楽しめます。
シェリーの貯蔵に使用した樽で貯蔵・熟成した余市蒸溜所の力強い原酒をヴァッティングしました。レーズンのような果実香とカカオのような香ばしさが特徴で、濃厚な果実の甘みと樽由来のほろ苦さとコクを楽しめます。
ピートの香りが強い「ヘビーピート麦芽」を使用し、様々なタイプの樽で熟成させた原酒をヴァッティングしました。ピートのスモーキーさと、モルトの微かな味わいの中に感じられる塩味と果実のような甘さが特徴です。
とうもろこしを主体とし、カフェ式連続蒸溜機で蒸溜されたグレーン原酒を様々な樽で貯蔵し、ヴァッティングしました。軽やかで柔らかな樽香とバニラを思わせる甘い香り、樽の甘い味わいとオーク由来のタンニンのコクが楽しめます。
懇親会では、BAR FIVE Arrowsのフードと、余市蒸溜所、宮城峡蒸溜所、ベン・ネヴィス蒸溜所を中心としたスコットランドでつくられたモルト原酒だけをブレンドした、ブレンデッドモルトウイスキーである「ニッカ セッション」をはじめとする様々なドリンクが振る舞われました!
また、懇親会は金子さんとの貴重な歓談の時間ともなりました。参加者の皆様はウイスキーアンバサダーとしてのお仕事についてやウイスキーの楽しみ方などを話すことから、金子さんとの会話を満喫されていました!
今回は特別にセミナー前の金子さんに、セミナーの魅力や90周年を迎えたニッカウヰスキーのこれからの歩みについてお話いただきました!ぜひ最後までご覧ください!
Dear WHISKY:
今回のテイスティングで使われた5種類のウイスキーは、どのようなウイスキーでしょうか?
金子さん:
今回のテイスティングは、シングルモルト余市やシングルモルト宮城峡の構成要素になってるウイスキーを2種類ずつと、グレーンウイスキー1種類です。
実は今回テイスティングするウイスキー以外に、余市も宮城峡も構成要素となるウイスキーがもう1種類ずつあり、これら各蒸溜所の3種のウイスキーを合わせることでシングルモルト余市やシングルモルト宮城峡となります。
Dear WHISKY:
今回のイベントで初めて5種類のキーモルトを飲む人もいると思いますが、そのような人にはどのようなことを知ってほしいですか?
金子さん:
発売されているシングルモルト余市やシングルモルト宮城峡と香りや味わいは異なりますが、シングルモルトの構成要素を味わうという楽しみ方をぜひ知っていただきたいですね!
Dear WHISKY:
今回テイスティングしていただくグレーンウイスキーはどのようなウイスキーなのでしょうか?
金子さん:
宮城峡蒸溜所でつくっているカフェグレーンになります。ブレンデッドウイスキーは、シングルモルトにグレーンウイスキーを混ぜてつくりますが、ウイスキーの味わいが伸びシングルモルトに比べて非常に飲みやすくなります。
グレーンウイスキーのテイスティングを通して、ブレンデッドウイスキーの重要な構成要素を実感してもらいたいですね。
Dear WHISKY:
セミナー開催を通じて、どのようなことを伝えていきたいですか?
金子さん:
世代関係なく、ウイスキーについてや、特にニッカウヰスキーの歴史や魅力を伝えていければと思っています。
Dear WHISKY:
ウイスキーアンバサダーとして、どのような想いでニッカウヰスキー90周年を迎えられましたか?
金子さん:
1つの節目であり、90周年だから特別というわけではないのですが、やはり長い歴史の中でどのようなものがつくられてきたかを発信するチャンスではあると思いますね。
Dear WHISKY:
これからのニッカウヰスキーの展望を教えてください!
金子さん:
実は90周年から100周年に向けての指針がすでに発表されています。ニッカウヰスキーは伝統に裏打ちされたウイスキーとして知られてきましたが、海外、特にヨーロッパではクールでイノベーティブなウイスキーとして評価が高いです。
そういった新たなことに挑戦する姿勢も強調しつつ、先達が築き上げてきた伝統はしっかりと押さえて、ニッカウヰスキーを更に発展させていきたいと思います!
Dear WHISKY:
今後、金子さんはウイスキーアンバサダーとして、どのようなイベントを行なっていきたいとお考えですか?
金子さん:
色々なタイプのバーなどで、直接お客さんと話しながら、 ニッカウヰスキーの魅力やウイスキー情報を発信していく場をつくっていきたいと思います!
最後に、ニッカウヰスキー90周年を記念して数量限定で発売された「ザ・ニッカ ナインディケイズ」をご紹介します。
古くは1945年の余市モルトや設立間もない宮城峡蒸溜所で生まれたモルトから、未来を担う門司工場・さつま司蒸溜蔵のグレーン、スコットランドとの長い歴史を物語るベン・ネヴィスモルトなど、挑戦の歴史を彩る多種多様な原酒たちをブレンドしてつくられました。7月2日に2,000本が発売され、10月にさらに2000本が発売予定となっています。
商品名 | ザ・ニッカ ナインディケイズ |
発売日 | 2024年7月2日(火) |
容量 | 700ml |
アルコール分 | 48% |
価格 | 300,000円(税抜) |
本イベントの会場 Bar Five Arrowsでも数量限定で「ザ・ニッカ ナインディケイズ」をお楽しみいただけます!ぜひニッカウヰスキーの90周年の歩みを味わってみてはいかがでしょうか?
以上、ニッカウヰスキー90周年特別セミナー・懇親会のイベントレポートでした!
会場には若い方からニッカウヰスキーの熱いファンの方まで、幅広い世代の人が集まり、ニッカウヰスキーの魅力について学び、語らうイベントとなりました。
金子さんによるセミナーとキーモルトのテイスティングからは、竹鶴政孝氏の挑戦から始まったニッカウヰスキーの歴史や蒸溜所ごとの魅力を実感することができました。90周年を迎えて更なる進化を遂げるニッカウヰスキーから目が話せません!講師を務めてくださった金子さん、この度はお忙しい中貴重な機会をありがとうございました!
Dear WHISKYは今後もウイスキーの魅力を伝える様々なイベントを開催していきますので、皆様のご参加をお待ちしております!