【イベントレポート】ワールド・ウイスキー・アワード(WWA)2024 授賞式
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2023年3月3日から5日、スコットランド中東部に位置するファイフ王国で、ファイフ・ウイスキー・フェスティバル2023が開催されました!パンデミックによる1年の延期を経て遂に復活した待望のイベントには、スコットランド全土から44の蒸溜所とインディペンデント・ボトラーが参加し、多くのウイスキーファンが訪れました。
この年次イベントの創立者および主催者は、ウイスキーに情熱を注ぐ2人の女性、ジャスティン・ヘイズルハーストさんとカレン・サマーヴィルさんです。今回の独占インタビューでは、ジャスティンさんにご自身のキャリアやファイフ・ウイスキー・フェスティバルに込めた想いについてお伺いしました!
イベント名 | Fife Whisky Festival 2023 |
日時 | 2023年3月3日(金)~5日(日) |
会場 | Lindores Abbey Distillery (金) |
The Corn Exchange, Cupar (土) | |
InchDairnie Distillery, Glenrothes (日) | |
主催 | Fife Whisky Festival Ltd. |
ジャスティン・ ヘイズルハーストさん |
エディンバラを拠点とするウイスキーイベント会社Kask Whiskyの創設者です。スコティッシュ・ウイスキー・アワード、ワールド・ウイスキー・アワード、スピリット・オブ・スペイサイド・ウイスキー・アワードのテイスティングパネルの審査員を務めています。The KeeperやWhisky Magazineの記事執筆も手掛けています。 |
カレン・サマーヴィルさん | Angels’ Share Glassの共同創業者兼マネージングディレクターです。アントレプレナー・オブ・ザ・イヤーの受賞ほか、Women’s Enterprise Scotland(WES)大使、The British Association of Women Entrepreneurs Scotlandの委員を務めるなど、幅広く活動しています。また、スコティッシュ・ウイスキー・アワードのビジネス審査員も務めています。 |
出典: https://www.fifewhiskyfestival.com/team
参照:https://www.fifewhiskyfestival.com/exhibitors
Dear WHISKY:
ファイフ・ウイスキー・フェスティバル2023について教えて下さい。
ジャスティンさん:
今年は、44の蒸溜所とボトラーズに参加いただき、3日間にわたって開催しました。
来場客の皆様には、オープニングディナー、テイスティング、蒸溜所ツアーを含む様々なプログラムをお楽しみいただきました。
まず、フェスティバルの開幕である3日(金)夜には、地元産の新鮮な食材を使った料理とウイスキーをペアリングした、特別ディナーコースを提供しました。
次に、全日開催の4日(土)は、参加企業が各ブースで来場者の方とお話し、ウイスキーを振る舞う交流イベントを行いました。
最終日の5日(日)は、グレンロセスに位置するインチデアニー蒸溜所の限定公開・ツアーが行われました。
Dear WHISKY:
フェスティバルの内容は毎年同じものなのでしょうか?
ジャスティンさん:
内容・規模ともに、毎年少しずつ拡大しています。
最初にファイフ・ウイスキー・フェスティバルが開催されたのは2018年です。当時は1日2回のセッションで、33の蒸溜所・ボトラーズにご参加いただきました。
その次の2019年には、金曜日のオープニングディナーが追加されました。
ディナー会場のリンドーズアビー蒸溜所は、記録に残る最初にスコッチウイスキーが造られた場所として、スコッチの故郷と言われています。元々は農場でしたが、2017年には蒸溜所として生まれ変わり、回廊には美しい長いテーブルが設けられています。
2019年のディナー参加者は50人でしたが、今年は90人もの方々が集い、大変人気なイベントとなっています。
Dear WHISKY:
蒸溜所での特別ディナーは、他では味わえない素晴らしい体験ですね!
ディナーにはどのように構成されているのでしょうか?
ジャスティンさん:
それぞれのメニューと共に、ペアリングのウイスキーが提供されます。蒸溜所の方々に、お食事との相性が良く、珍しいもしくは個性あるウイスキーを持ち寄っていただき、参加者の前でプレゼンを行っていただきます。
また、一般チケットの販売に加えて、日頃の感謝をお伝えするために、フェスティバルのサポーターの方々を特別ディナーにご招待しています。
今年度は最大規模のディナー会となり、1つの長テーブルの両側に45名ずつ、計90名にご参加いただきました。
主賓には、スコットランド出身の推理小説家ヴァル・マクダーミド氏をお迎えしました。
Dear WHISKY:
ファイフ・ウイスキー・フェスティバルを開催するに至った経緯を教えて下さい。
ジャスティンさん:
まずお伝えしておきたいのが、ファイフ・ウイスキー・フェスティバルは、私とカレンの2人の共同運営であることです。
私は前職で、長い間、中学校でフランス語を教えていました。
しかし、趣味として楽しんでいたスコッチウイスキー、特にその深い歴史に対する情熱・興味をとことん追及したいという強い想いから、2015年に退職を決意しました。そして、翌年の2016年、ウイスキーツアーやテイスティングを専門とする「Kask Whisky」を設立しました。
Dear WHISKY:
カレンさんとは、どのように知り合ったのですか?
ジャスティンさん:
カレンと出会ったのも、同じく2015年の出来事です。私たちは、85種類のウイスキーのテイスティングパネルに同じ審査員として呼ばれていました。
教育業界にいた私とは対照的に、彼女はビジネスのバックグランドを持ち、ウイスキーアクセサリーを製造・販売する「Angels’ Share Glass」という会社を運営していました。
Dear WHISKY:
1日に85種類のテイスティングとは、刺激的な体験ですね。
そこから、どのようにフェスティバルの共同運営へと至ったのでしょうか?
ジャスティンさん:
審査員として初めて出会った日から、私たちは友人として、定期的に交流を続けていました。
そして、2017年のある日のランチで、彼女は私にこう尋ねてきたのです。
「それで、いつファイフ・ウイスキー・フェスティバルを開催するつもりなの?」と。
カレンは、私がそういったイベントの開催に興味があることを知っていました。しかし現実的には、とても一人でこなせる準備量ではありませんでした。
そのことを伝えると、驚くべきことに、「では、一緒にやりましょうか!」と言ってくれたのです。忘れもしない、ファイフ・ウイスキー・フェスティバルが生まれた瞬間でした。
その後、すぐに会社を設立し、出展企業を探し始めました。
そして、2018年、待ち望んだ第1回ファイフ・ウイスキー・フェスティバルが開催されました。
Dear WHISKY:
お二人の強い信頼関係が、フェスティバルの開催を可能にしたのですね。
先ほどのお話に戻りますが、教育業界からの大きなキャリア転換を決断した際、どのようなお気持ちでしたか?
ジャスティンさん:
私は幸運にも、周りに支えてくれる人達がいました。
また、私が教師として培ってきたスキルは、限られたリソースで厳しい状況を乗り越えたり、人々と効果的にコミュニケーションをとる場面など、様々な形で活かすことが出来ることに気付かされました。
特に、20〜30人の前でウイスキーについて話すような状況では、教室で授業をするのと、本質的には何ら変わりません。
カレンもまた、以前の仕事で企業イベントの企画・運営を手がけてきました。
私たち二人は、それぞれの前職で培ったスキルを結集し、今のフェスティバルの運営に活かしています。
Dear WHISKY:
フェスティバルの準備は、どのように進められているのでしょうか?
ジャスティンさん:
カレンも私も、生まれながらにして計画的なタイプですので、準備プロセスは毎年かなり練りこんだものになります。
その緻密性に、周りの人達にはよく驚かれますね(笑)。
先ほども述べましたが、毎年わずかなアップデートを重ねることで、全体としての影響力を高め、皆さんにより良い体験を提供できるよう心がけています。ディナーイベントの追加や新しいセッションの導入はその一例です。
概要を二人で決定した後は、タスクを分担し、それぞれの仕事に取り掛かります。
私はSNSの管理、チケットの販売、ディナーイベントの企画を担当しています。カレンの担当は、財務管理、出展企業との連絡です。
お伝えしたいのが、我々のイベントは、フェスティバルチーム、蒸溜所、ボトラーズ、ボランティアなど、多くの方々の協力があって初めて実現しています。彼らのサポートには、心から感謝しています。
Dear WHISKY:
世界中には、様々なウイスキーフェスティバルがありますが、ファイフ・ウイスキー・フェスティバルの特徴・魅力とは何でしょうか?
ジャスティンさん:
私たちは、アットホームで和やかな雰囲気を大切にしています。
ファイフ・ウイスキー・フェスティバルは、ウイスキーメーカーが来場者に対して、商品の魅力を直接プレゼンし、彼らの情熱を伝えられる場を提供します。
これは、参加者にとっても貴重な体験であり、お気に入りのメーカーの人々と落ち着いてお話したり、新しくリリースされたウイスキーを飲む最初の一人になることが出来るのです。
参加者からのフィードバックには、こういった温かな空気感が、我々のイベントの一番の魅力だという声を多くいただいています。
Dear WHISKY:
イベントを開催するにあたって、大切にしていることはありますか?
ファイフ・ウイスキー・フェスティバルは、ウイスキーの造り手・愛好家、全ての人のためのイベントです。その信念から、オープンで、参加者間で楽しい時間を共有できるような環境づくりを目指しています。
ですので、会場が過度に混雑することを避けるため、チケットの数には制限を設けています。また、現在の開催形式・会場には、我々の目指すものに基づいた強い理由があるため、大幅な変更は避けたいのです。
我々としても、より多くの方々が来場を希望されていることは大変感謝しています。
今の雰囲気は大切にしつつ、より開かれたイベントにするため、最適なバランスを考え続けています。
Dear WHISKY:
参加者の多くは、どういった地域から訪れていますか?
ジャスティンさん:
最初の年は1日のみのイベントだったため、来場者の90%が地元の方々でした。ファイフはイギリスの他の主要都市から離れているため、ウイスキーを試飲することも考えると、日帰りの参加が難しかったのです。
そのため、次の年は、来場者が週末を全てファイフで過ごせるよう、金曜日の夜と日曜日にイベントを追加しました。
結果として、この試みは大成功でした。現在では、イギリス全域に加え、オーストリア、ノルウェー、ドイツなど、他のヨーロッパ諸国からもお客様を迎えています。
さらに、フェスティバルの来場者が地元のレストラン・ホテルを利用することで、地域の観光ビジネスにも貢献しています。
Dear WHISKY:
他のウイスキーイベントと比較して、来場者に何か特徴などは見られますか?
ジャスティンさん:
ファイフ・ウイスキー・フェスティバルは、女性にも多く参加いただいています。
私とカレンは、イベント主催者として、ウェブサイトやSNSを通じて私たち自身の存在を積極的にアピールし、情報を発信することを重視しています。それが、女性のウイスキー愛飲家にも上手く届いているのではないでしょうか。
Dear WHISKY:
日本では、ウイスキー=年配の男性の飲み物というイメージが根強いですが、スコットランドでもそういった先入観は残っているのでしょうか?
ジャスティンさん:
少なからず残っていると感じています。
というのも、他のウイスキーイベントでは、女性が圧倒的にマイノリティーな状況が珍しくありません。そういった状況では、女性だけで参加するのにためらいを感じることもあるでしょう。
我々が、女性二人が主催していることを宣伝の一部にしていることは、会場で女性は自分ひとりなのではないかと心配する、女性のウイスキー愛飲家を勇気づける意図もあります。
テイスティングを楽しむ来場者
Dear WHISKY:
イベントを企画するにあたり、苦労した点はありましたか?
あれば、どのように克服したのでしょうか?
ジャスティンさん:
イベントを始めた2018年当初は、チケットの販売や出展企業を見つけることが非常に大変でした。
過去のイベントの写真がなかったため、参加者にイベントの価値やイメージを伝えるのが難しかったのです。
しかし、ウイスキークラブのメンバーへの直接のアプローチを通じて、我々の情熱を伝えることに成功しました。
第一回のディナーイベントについても同様の課題を抱えていましたが、我々は別のアプローチをとることにしました。赤字を承知の上で、業界関係者を多く招待したのです。
これには多くのメリットがありましたが、その1つとして、その次の年にはSNSで使用する写真や動画を手に入れることが出来ました。ディナーイベントに参加することで、憧れの蒸溜所の関係者やマスターブレンダーの隣に座り、未発売のウイスキーを試飲できるかもしれないと、ビジュアルを通じて伝えることが可能になったのです。
これは、ウイスキーの生産者と消費者が繋がり、共にウイスキーを楽しむ場の提供者としての、イベント全体の価値を宣伝するのにも役立ちました。
出展社と来場者の交流の様子
Dear WHISKY:
最後に、Dear WHISKY読者にコメントをください!
ジャスティン:
次回のイベントは、2024年3月1日から3日にかけて開催されます。
詳細の多くはまだお伝え出来ませんが、イベントの形式や会場は変えず、今年のフィードバックやデータを参考にして、さらにアップデートさせる予定です。
私たちの理念は、出展社、参加者、会場のショップ、地元コミュニティ、その他すべての関係者にとってwin-winなイベントを開催することです。
今後の発表にご注目下さい!
以上、ファイフ・ウイスキー・フェスティバルの主催者、ジャスティン・ヘイズルハーストさんの独占インタビューでした!
ジャスティンさんは、もう一人の主催者であるカレン・サマーヴィルさんやフェスティバルチームと共に、過去5回のイベントを成功に導いてきました。
「関わる全ての人にとってWin-Winなイベントをつくる」という信念のもと、挑戦を続けるジャスティンさんからは、ウイスキーとファイフ地域への情熱が伝わってきます。
ファイフ・ウイスキー・フェスティバルは、ウイスキーの造り手と交流したい、ファイフ地域のウイスキーについて深く知りたい方にぴったりのイベントです。是非、足を運んで、その魅力を体感してみてはいかがでしょうか。
会社名 | Fife Whisky Festival Ltd |
所在地 | 4 Steuart Road, Bridge of Allan. FK9 4JQ, United Kingdom |
ウェブサイト | https://www.fifewhiskyfestival.com/ |
SNS | Facebook: https://www.facebook.com/FifeWhiskyFestival Twitter: https://twitter.com/fifewhiskyfest Instagram: https://www.instagram.com/fifewhiskyfestival/ |
お問い合わせ | Website: https://www.fifewhiskyfestival.com/contact-us Email: Karen@fifewhiskyfestival.com / Justine@fifewhiskyfestival.com |
会社名 | Kask Whisky |
所在地 | Dalmeny Street, Edinburgh, United Kingdom |
ウェブサイト | https://www.kaskwhisky.com/?fbclid=IwAR2JvnZ72clu0NQDKWi0LBuKFJWJmrtzJS0MVdNiTwmc3cItIKDIdeZ9cso |
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お問い合わせ | Website: https://www.kaskwhisky.com/contact Email: Justine@kaskwhisky.com |
会社名 | Angels’ Share Glass |
所在地 | Ground Floor (Castle View Group Building), 4 Steuart Road, Bridge of Allan, FK9 4JX, United Kingdom |
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