【独占インタビュー】ロバート・バーネカー、ソナト・バーネカー夫妻<第2弾> – KOVAL
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熊本県で2022年4月16日にグランドオープンした山鹿蒸溜所に単独インタビューをさせていただきました。
第1弾では副社長の藤本様と広報の本坊様に、オープンの経緯やウイスキー製造で力を入れていることについてお聞きしました。
第2弾となるこちらの記事では、ジャパニーズウイスキー100周年への思いや山鹿蒸溜所の今後についてお聞きしています!
山鹿蒸溜所の今後のウイスキー造りにかける熱意についてたくさんお話をいただけました!
Dear WHISKY:
ウイスキーを作る前は焼酎を作っていたと伺いましたが、同じ蒸留酒として焼酎作りとウイスキー作りで通ずる部分はありますか?
本坊さん:
同じ蒸留酒というカテゴリーのため通ずる部分もある一方、原料や製造技術は全く異なりますので、新たに一から技術を学んでいく必要がありました。
ウイスキー造りの知識と技術をしっかり身に着け、そのうえで焼酎の技術でウイスキーに応用できそうなものがあれば取り入れていく。そういった姿勢を心がけています。
Dear WHISKY:
山鹿蒸溜所さんが目指している酒質は、山鹿市の伝統芸能である灯籠踊りをイメージした、やさしく綺麗でありながら力強さを感じさせる酒質だと伺いました。実際にそのような酒質を実現するためにどのような工夫をしているのですか?
本坊さん:
まず初めに検討したのは、どのような蒸溜器を導入するかということです。
ウイスキーの蒸溜器には様々な形状がありますが、その中で私たちが採用したものはバルジ型という胴の中央部分が膨らんでいるタイプです。
さらにスワンネックからラインアームにかけて上向きになっていることで、「やさしく綺麗」でクリーンなタイプの酒質を表現できるようになりました。
また、これに加えて「力強さ」を表現するために、発酵の過程で工夫を行っています。酵母の選択や発酵方法を試行錯誤することで、だんだんと酒質が安定してきたところです。
山鹿蒸溜所内の蒸溜器の画像
Dear WHISKY:
発酵に力を入れられているとお伺いしましたが、具体的にどのような試行錯誤をされたのですか?
本坊さん:
今年の冬は大変冷え込みましたが、外気温の変化に連動したウォッシュ(もろみ)の温度管理が非常に大切であることを痛感いたしました。外界の環境の変化にも敏感になり、考慮しながら造りを行うことが大変面白く感じています。
Dear WHISKY:
そうなんですね!ボトルの状態からはなかなかこういった試行錯誤はイメージがつかないので、とても興味深かったです。
Dear WHISKY:
ジャパニーズウイスキーは今年で100周年となりますが、率直な想いはいかがですか?
本坊さん:
私たちが新規参入し、ウイスキーを造ることができるのは、厳しい時代を乗り越え、変わらずクオリティーの高いウイスキーを国内外へ発信し続けた先輩蒸溜所や業界関係の方々がいらっしゃったからです。
現在のジャパニーズウイスキーブームを築き上げてくださったことに感謝しています。
Dear WHISKY:
これから先のジャパニーズウイスキー100年への想いはいかがですか?
藤本さん:
ジャパニーズウイスキーは世界中から注目が集まっており、極めて高品質の製品が誕生していると思います。
また近年、当蒸溜所も含めて新しい蒸溜所が数多く設立されておりますので、互いに切磋琢磨しさらに上のレベルを目指していけるように、私たちも腕を磨いてまいります。
Dear WHISKY:
近年日本各地で多くのクラフトウイスキー蒸溜所が立ち上がっていますが、これについてはどう思われますか?
藤本さん:
それぞれの地域特性やアイデアによって蒸溜所の個性が出てくると思います。ウイスキーファンの皆様にとってもそれが楽しみであると思います。
私たちも山鹿の特徴を活かしたウイスキー造りを目指します。
Dear WHISKY:
新しい蒸溜所も数多く設立されたことですし、それによって業界全体に新しい風が吹くことについてはどう思われますか?
藤本さん:
時代によって新しい技術や考え方が生まれると思いますし、そういった意味で日本独自のウイスキー造りが生み出される可能性もあると思います。
そのような可能性には期待していますし、我々としても、いいウイスキーを造るためにはどうしたらいいのか常に考えながら取り組んでいきたいと思っています。
Dear WHISKY:
山鹿蒸溜所として思い描く、今後の目標はなんですか?
本坊さん:
常に美味しいジャパニーズウイスキーを造り続けるというのが私たちの一つの目標です。
これだけ蒸溜所が増えつつありますので、その中でも山鹿とはこのような味だ、ということを認識してもらえるように山鹿らしいウイスキーを造り続けたいと思っています。
Dear WHISKY:
これから新しく商品をリリースされると思いますが、山鹿蒸溜所のウイスキーのここに注目してほしい、といったポイントはありますか?
本坊さん:
製造面ではありませんが、私たちの蒸溜所には見学施設があり、どなたでもお入りいただいてウイスキーがどのように造られているのか見学いただけます。ぜひお気軽に訪れていただき、ウイスキーに触れていただければと思います。
また蒸溜所から車で10分ほどの場所に観光名所・温泉が集まっています。
ぜひ一度山鹿に観光に来ていただき、その一つとして蒸溜所にもお立ち寄りいただけますと嬉しいです。最初のシングルモルトジャパニーズウイスキーが出来上がるまでは時間がかかりますが、私たちの目指す「優しく綺麗な味わいの中にも力強さのある」ウイスキーをお届けできると確信していますので、ぜひ楽しみにお待ちいただければと思います。
Dear WHISKY:
これからの山鹿蒸溜所にとって、ウイスキー造りにかける想いは何ですか?
藤本さん:
やはり、皆さんと同じ品質のウイスキーを造っても面白くありませんし、蒸溜所ごとの特徴や個性が大事だと思います。
繰り返しになりますが、山鹿の個性や特徴を活かしたウイスキーを造れるように、社員一丸となって情熱を持って取り組みます。
今はとにかく、丁寧に高品質のウイスキーを造って世に出したいという思いです。
Dear WHISKY:
最後に、Dear WHISKYの読者に向けてのメッセージをお願いします!
本坊さん:
ウイスキーが注がれたグラスを前にすれば、そのブランドのストーリーを歴史的・文化的・造り的に、そして各自の思い出を様々と語り合うことが出来ます。ウイスキーはコミュニケーションツールとしても面白いお酒だと思います。
ぜひウイスキーを飲みながら大切な人と語り合ったり、思いを馳せたり、楽しい時間を過ごしていただければと思います。
以上、山鹿蒸溜所へのインタビュー記事第2弾でした!
ウイスキー業界の先人に対する感謝を抱きながら業界全体の発展を目指す山鹿蒸溜所の姿勢、とても感銘を受けました。
熊本県初のモルトウイスキー蒸溜所として、栗樽などの独自の試みを行っている山鹿蒸溜所の今後が非常に楽しみです!
山鹿蒸溜所さん、ありがとうございました!